腰痛の種類と原因
「腰痛(腰が痛くなる)」原因は、神経、骨、内臓の病気、筋肉や筋膜の炎症や機能不全、心理的ストレスなど様々で、複数の要素が複雑に関連している場合もあります。
安静時には大丈夫でも歩いたり前屈みになったりなど日常生活の特定の動作で腰の痛みが出てくる場合は、腰回りの骨、関節、筋肉や筋膜に問題がある場合が多く、動作に関係なく、または安静にしていたとしても腰に痛みがある場合は、内臓に問題がある場合もあります。
原因によっては医療機関にて早期に適切な処置が必要な場合もありますので、自己判断でセルフケアを試す前に必ず医療機関を受診するようにしましょう。
この記事では、日常生活習慣や姿勢に問題があり、夜にぐっすり眠れないほどの腰痛に悩んでいる方向けの参考記事として解説しています。
夜眠れないほどの腰痛になる原因(生活習慣と姿勢)
悪い姿勢身体の特定部位に大きな負担をかけるような動作を繰り返し行うと、姿勢を支える筋肉や筋膜のバランスが崩れて痛みや痺れを生じることがあります。
腰は重力に対抗して上半身の重さを支えている身体部位なので、普段の生活習慣を見直して予防する(ひどくしない)動作や環境調整の工夫が大切です。
腰に大きな負担がかかる活動が多い
「重い荷物を持ち上げる」「前屈みになることが多い」「長時間のデスクワーク」などは腰痛になりやすい典型的な生活習慣の例です。
これらは、「ぎっくり腰(急性腰痛)」のきっかけとなることが多いため、重い荷物を持ち上げた時などに強い腰痛を感じたら、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。
同じ姿勢で長時間活動する
私たちの筋肉は、関節運動をする時だけでなく姿勢を維持するためにも常に活動をしています。
長時間のデスクワーク、立ち仕事、スマホ画面を見る、など身体の特定の部位に大きな負担がかかる姿勢を長時間続けていると、負担の強くかかった場所に痛みや痺れを感じるようになります。
眠れないほど辛い腰痛の対処法(ベッドに入る前)
夜ベッドに寝ても続く腰痛、寝返りによる腰の痛みで目が覚めてしまいぐっすり眠れない場合は、以下のような対処法をお試しください。
不良姿勢や腰に負担が大きい運動を繰り返すと、筋肉が筋膜のバランスが崩れてしまいますので、負担のかかった部分をリラックスさせ、全身のバランスを整えます。
お風呂で身体を温める
湯船の中では浮力により重力の影響がなく、お風呂にゆっくり浸かることで身体が温まって血行が良くなるため、筋肉の緊張が緩和しやすくなります。
また、リラックスすることで自律神経のバランスも整いやすくなり、睡眠の質を高めやすくなります。
筋膜リリースやストレッチを行う
実際に痛みを感じている部分ではなく、不良姿勢でこり固まったり、正常に機能しなくなっている筋肉や筋膜を整える筋膜リリースを行なってから、全身のバランスを整えるストレッチを行うことで全身のバランスが整い、痛みやストレスによって眠れなくなるような自律神経の乱れを緩和しやすくなります。
寝具などで環境調整をする
睡眠は毎日長時間行う日常生活活動のひとつであり、寝具によって姿勢を調整する筋肉や筋膜のバランスが崩れることで腰痛になったり、腰痛が慢性化する要因になる可能性もあります。
マットレスや敷布団の硬さや枕の高さなどの調整などについても検討する必要があるかもしれません。
慢性腰痛でも夜ぐっすり眠るための寝方(寝る姿勢)の工夫
寝ている間も、ある程度同じ姿勢を長時間続ける必要があるため、腰痛がひどくて仰向けでは眠れない場合は、症状や原因に合わせて、痛みが生じにくい寝方(寝る姿勢)を工夫しましょう。
これから紹介する方法は、現在腰痛がある方が「今、できるだけ痛みを緩和できる寝方」の例で、身体にとって負担の少ない最適な寝方の提案ではありません。
腰痛の原因の対処法を適切に行い、できるだけ寝返りを行なって同じ姿勢が継続しないようにしましょう。
仰向けで腰が痛くなる場合
「仰向け寝」は、背中全体が布団に接していることで身体の特定の部分に負担がかかりにくく、左右どちらにも寝返りがしやすいので、日中の負担や姿勢の乱れをリセットしてアライメントを整えるには理想的な寝方です。
ただし、股関節を伸ばした仰向けで寝る姿勢は、腰の反りが出やすくなる姿勢でもあるため、反り腰の姿勢の人や腰を腰部脊柱管狭窄症がある場合、腰痛が増強しやすくなります。
仰向けで寝ると腰痛がひどくなる場合の対処法としては、「膝関節と股関節を曲げて腰の反りを抑制する」ことが有効です。
仰向けのまま眠りたい場合は、膝を立てて膝の下にクッションを置く、厚めの座布団をふくらはぎの下に置く、腰の下にタオルを入れる、などして寝やすい姿勢を調整しましょう。
また、背骨は首から腰まで繋がっていますので、枕の高さやマットレスの硬さなども含めて、身体に負担がかかりにくい寝方を調整することも重要です。
横向き寝で腰が痛くなる場合
「横向き寝」は腰の屈曲角度を調整しやすいため、一時的に腰痛を緩和させる寝方として有効です。
「横向き寝」は呼吸がしやすい姿勢でもあるので、リラックスして睡眠の質を高めやすい寝姿勢でもあります。
ただし、横向き寝は布団との設置面が少なく、腰椎の回りには胸椎周りのような強い骨格がないため、体幹の筋力が弱い方が長時間横向きで寝ると、腰椎に偏った負担がかかって腰痛や痺れにつながることがあります。
この場合は、膝を抱えるようなイメージで身体を丸めて腰の筋肉の緊張を和らげる姿勢をとりましょう。
抱き枕などを併用すると、腕や脚の重さが腰にかかりにくくなって身体が安定し、腰椎のねじれも抑制しやすくなります。
また、左右のバランスを取るために寝返りも意識して行いましょう。
うつ伏せ寝で腰が痛くなる場合
うつぶせ寝の姿勢では、自然な腹式呼吸がしやすく、自室神経が整うことでの良眠効果が期待できます。
腰を反った方が腰痛が緩和する場合もありますが、うつ伏せ寝は、腰だけでなく首も反りやすい寝方なので痛みや痺れなどの症状がある場合は、基本的に避けた方がよい寝姿勢です。
腰痛で寝返りができない時の対処法
腰痛は、同じ姿勢や不良姿勢を長時間続けることによって身体の局所に負担がかかることによって起こる場合が多くあります。
睡眠中は、身体を支える支持面が大きく、背骨が重力の影響を受けにくいので、そもそも日中活動(立っている、座っているを含む)をしている時よりも腰痛を増強させにくいのですが、同じ姿勢を長時間続ければ身体に負担がかかります。
そのため、私たちは睡眠中でも無意識に「寝返り」をすることで姿勢を変え、全身のバランスを整えようとします。
特定の姿勢や運動によって「腰痛」が生じつ場合、無意識に行う「寝返り」で目が覚めてしまうこともあるので、どうしても同じ姿勢で長時間眠ることになってしまい、一時的な痛みの回避のための対処で、慢性腰痛を長引かせてしまう要因にもなりかねません。
当面の痛みを回避してぐっすり眠るために、特定の姿勢で眠ることは心身の健康を維持するためにとても大切なことですが、寝返りができないほど腰痛がひどく、特定の姿勢で長時間眠らざるを得ない場合は、全身のバランスを整えるストレッチや筋膜リリースを併用し、身体の負担を解放する時間を作ることも意識することが大切です。
ベッド(布団)上でOK!腰痛対策ストレッチと筋膜リリース
筋肉や筋膜の特定の部分に強い負担がかかる姿勢を長時間続けると、全身をボディスーツのように覆う筋膜の特定の部分の動きが悪くなり、痛みや痺れを生じやすくなります。
筋膜や筋肉の硬く動きの悪くなった部分をほぐして全身のバランスを整える効果のある、布団の上でもできるストレッチをいくつか紹介します。
支持面の多い仰向け、またはうつ伏せで行う身体に負担のかかりにくいストレッチですが、特定の姿勢で強い腰痛が出る場合は、必ず医師や理学療法士などに相談してから行うようにしましょう。
膝を抱える(腰の後ろ側のストレッチ)
仰向けで膝を抱えるだけの簡単なストレッチですが、背中全体がベッドなど安定した支持面上にある状態で膝関節と股関節を曲げるので、背骨の局所に大きな負担をかけずに、反り腰など不良姿勢で負担が集中している腰回りの筋肉を緩めてリラックスできます。
- 膝を立てて仰向けで寝る
- 太ももの前側をお腹に引き寄せるように膝を抱える
- 余裕があれば膝頭を頭の方向へ近づけるようにして腰回りの筋肉のストレッチ
- 20秒 x 3セットを目安に、身体の状態に合わせて調整
腰をひねる(腰の横側のストレッチ)
腰回りの筋肉は、姿勢や寝方を含む生活習慣影響で左右差も出やすく、腰痛が長引く要因のひとつとなっています。
膝を立てて仰向けに寝た状態で腰を左右にひねる運動は、普段の生活ではあまり使わない筋肉をバランス良く使えるので、姿勢の軸となる背骨回りの筋肉の緊張のバランスを整えやすくなります。
- 仰向けに寝て両膝を立てる
- 腕は体側から離して、手のひらは床面を向けて上半身を安定させる
- 立てた膝を右側に倒し、左側の腰の筋肉をストレッチする
- 反対側も同様に行う
- 左右交互に20秒×3セットを目安に、身体の状態に合わせて調整
膝を横に倒す時に、腕や手で支持面をしっかりと捉えて上半身を固定した状態で行うことがポイントです。
肘を立てる(腰の前側のストレッチ)
現代人の典型的な不良姿勢では、お腹の前側の筋肉が縮んでいることが多く、その分強く引っ張られる腰に負担がかかりがちです。
日常の姿勢で短縮しがちなお腹の筋肉をストレッチすることで、身体の前後のバランスが整いやすくなり、姿勢を整えることで腰痛の要因を解消しやすくなります。
- うつぶせになる
- 手のひらを下向き、肘を胸の辺りに置いて前腕を床面安定させる
- 肘を伸ばしながら、胸からお腹の筋肉を伸ばすように上半身を起こす
- 20秒 x 3セットを目安に、身体の状態に合わせて調整
首や腰を反る運動ではなく、胸からお腹の筋肉や筋膜を伸ばすストレッチです。
首や腰は自然な状態のまま、胸とお腹が気持ちよく伸びる範囲でとどめ、腰や首の負担を増強しないように充分に注意して行うことがポイントです。