理学療法士の健康相談室
骨盤の歪みの原因は日々のクセ?改善方法も紹介
身体の不調には骨盤の歪みが関係しているのではないかと感じたことはありませんか。骨盤の歪みは、腰痛や肩こりなどの原因になります。では、なぜ骨盤が歪んでしまうのでしょうか。 今回は、骨盤が歪む原因や骨盤の歪みによる不調、骨盤の歪みを改善する方法について解説します。
最終更新日: 2025.12.10
この記事は約4分で読み終わります。
骨盤の歪みの原因

なぜ骨盤が歪んでしまうのか、主な原因を3つ紹介します。
日常生活のクセ
普段、意識せずにやっている日常のクセが骨盤の歪みの原因になることがあります。例えば、下記のようなクセはないでしょうか。
- 椅子に座るときに脚を組んでいる
- 立つときに片足に重心をかけている
- 左側または右側のどちらかでバッグを持っている
- 横座りをすることが多い
- 長時間立っていることが多い
- 長時間座ったままのことが多い
- ハイヒールを日常的に履く
など
日常生活に良くないクセが染みついていると、骨盤などの特定の部分に負荷をかけてしまいます。結果として、負荷がかかることで身体のバランスが崩れ、骨盤の歪みを生じさせることがあります。
筋力の低下
日常生活におけるクセによる骨盤や筋肉への過剰な負担も歪みの原因になりますが、筋力の低下も骨盤の歪みの原因になります。
骨盤は、腰椎や仙骨などの複数の骨で構成され、骨盤を構成する骨は筋肉やじん帯などによって支えられています。そのため、筋力が低下すると骨を支えきれなくなり、骨盤が歪む原因になるのです。
日頃から運動の習慣がない場合は、筋力の低下により骨盤が歪んでいる可能性があります。
妊娠・出産にともなう身体の変化
妊娠や出産も骨盤が歪む原因になることがあります。妊娠中には、お腹が大きくなることで、骨盤に負荷がかかるためです。
出産時には骨盤が大きく開いた状態になります。骨盤の開きは、産後、徐々に戻っていくのが通常です。しかし、筋力が低下している状態だと、骨盤の開きがもとに戻りにくいことがあります。
骨盤が出産前の状態に戻らないと、骨盤が傾くなどして歪んでしまうことがあるのです。
骨盤の歪みによって引き起こされる不調

骨盤の歪みを放置することで、どのような影響があるのでしょうか。骨盤の歪みによって起こる主な不調を取り上げます。
身体の痛み
骨盤が歪んでいると、腰痛を生じることがあります。骨盤が歪むと筋肉が緊張したり、筋膜が硬くなったりすることがあるためです。
また、骨盤の歪みは骨盤周辺だけでなく、身体全体にも影響します。骨盤が歪むことで、上半身が前傾姿勢になり、背中や首などに負荷がかかりやすくなるのです。結果として、首こりや肩こりの原因になることがあります。
肩こりは頭痛の原因になることもあるため、骨盤の歪みを放置すると、骨盤周辺だけでなく、身体の至るところで痛みが生じるおそれがあります。
冷えやむくみ
冷えやむくみも、骨盤の歪みが原因で起きることがあります。骨盤が歪むことによって、身体を支える組織のバランスが崩れ、血管が圧迫されるためです。
血液の巡りが悪くなると、血液の循環が十分に行われなくなり、末端が冷える原因になることがあります。また、リンパの流れが悪くなることによって、むくみの原因になることがあります。
体型の崩れ
骨盤の歪みは、体型にも影響を与えます。
例えば、脚の長さへの影響です。骨盤の傾きで股関節がずれることにより、脚の長さが左右で変わってしまうことがあります。O脚やX脚も、骨盤の歪みが関係していることがあるのです。
さらに、骨盤の歪みが猫背を引き起こして胸の位置が下がったり、お尻周りの筋肉が緩むことでお尻の位置が下がったりすることもあります。
生理への影響
子宮周りを囲んでいる骨盤が歪むと、内臓が下がってきます。下がってきた内臓が、子宮などを圧迫することにより、女性ホルモンの分泌に影響を与えることがあります。
骨盤の歪みにより生じる可能性があるのは、女性ホルモンのバランスが崩れることによる生理周期の乱れです。また、子宮などの重要な器官が圧迫されて血流が悪くなることで、生理痛がひどくなる可能性もあります。
骨盤の歪みを改善する方法

骨盤の歪みを改善するにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、自分でも取り組める骨盤の歪みの改善方法を2つ紹介します。
筋力をつける
運動不足による筋力の低下は、骨盤の歪みの原因になると紹介しました。骨盤の歪みを改善するには、骨盤周りの筋肉を鍛えて筋力をつけることも重要です。
骨盤周りの筋力を上げるには、骨盤底筋を意識しましょう。骨盤底筋は、骨盤の周辺にあるハンモックのようになっている筋肉です。肛門などの近くにあり、排便などのコントロールを担っています。
骨盤底筋を鍛えるのに適したトレーニングを3つ紹介します。
座りながらできるトレーニング

椅子に座った状態でできるトレーニングです。下記の手順で行います。
- クッションまたはタオルを用意しておく
- 椅子に腰掛ける
- ひざの間に丸めたタオルまたはクッションをはさむ
- 膝よりも広く足を開く
- 息を吐きながら膝にはさんだタオルまたはクッションをつぶす
トレーニングでは、膝に力を入れようとせずに、骨盤を引き締めることを意識して行いましょう。
立ったまま行えるトレーニング

壁を利用してできる、立って行うトレーニングです。下記の手順で行います。
- 壁を背に20㎝離れた場所に立つ
- ひざを軽く曲げる
- 腰が壁にしっかりつくまで膝を曲げる
- 息を吐きながら骨盤を引き締める
トレーニング中は、壁から腰が浮かないように注意しましょう。あごが上がらないようにまっすぐ顔を向けた状態で行うのもポイントです。
寝ながらできるトレーニング

就寝前などにおすすめの寝ながらできるトレーニングを紹介します。手順は下記の通りです。
- 仰向けに寝る
- ひざを立てる
- 肩幅に足を開く
- 肛門に力を入れて引き締める
骨盤を引き締める動きをする最中は、呼吸を止めないようにしましょう。
ストレッチをする
骨盤の歪みは、筋肉や筋膜が硬くなることも原因だと紹介しました。筋肉のこりなどが主な原因の場合は、ストレッチをして、骨盤周りの筋肉を適度に刺激してほぐすようにしましょう。
特に、長時間立ったまま、あるいは長時間座ったままの姿勢が多い方は、筋肉が凝り固まっている可能性があります。適度にストレッチを行い、筋肉が硬くならないようにしましょう。ここでは、おすすめのストレッチを2つ紹介します。
立ったままできるストレッチ

身体を回転させることで腰まわりの筋肉をほぐすストレッチを紹介します。手順は下記の通りです。
- 地面に対して垂直に立つ
- 右足を前に出し膝を少し曲げる
- 腰と頭と両手を右方向にゆっくり回転させる
- 身体を元に戻す
- 反対も同じように行う
椅子を使ったストレッチ

椅子を使ってできる腰回りの筋肉をほぐすストレッチを紹介します。手順は下記の通りです。
- 足を椅子の座面に置く
- 腰を前に押し出してお尻の筋肉を伸ばす
- 30秒キープする
まとめ
骨盤の歪みの原因はいくつか考えられます。例えば、普段何気なくやっている日常のクセです。片足に重心をかけて立ったり、椅子に座るときに脚を組んだり、片方の肩にばかりバックをかけたりする場合は、日常のクセが骨盤の歪みの原因になっている可能性があります。
運動不足などによる筋力の低下も骨盤の歪みの原因になるため、日々の生活にも意識を向けるようにしましょう。今回紹介したストレッチや骨盤周りの筋肉を強化するトレーニングを取り入れてみてください。
また、日常のクセを改善することも骨盤の歪みを良くすることにつながります。まずは、日々の生活が骨盤の歪みに影響していないか見直してみましょう。
関連記事
RELATED POSTS
注目キーワード
KEYWORD
監修
M&メディカルリハ
株式会社
執行役員
髙見 友
(たかみ ゆう)
保有資格
- 理学療法士
- 日本理学療法士協会会員
- 医科学修士(埼玉医科大学)
- Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS)
- ドイツ徒手医学認定セラピスト 2016年取得
- 認定理学療法士 運動器領域 2019年取得
経歴
- 2008年
- 千葉・柏リハビリテーション学院卒業
- 2008年
- いちはら病院勤務
- 2018年
- あかおぎ整形外科クリニック勤務
- 2019年
- M&メディカルリハ株式会社 執行役員就任