理学療法士の健康相談室
フラットバックとは何?原因や症状、対処法まで紹介
「背中が平らだ」と言われたことはありませんか。通常、緩やかなS字カーブを描く背中が平らになっている場合、いわゆる「フラットバック」の可能性が考えられます。今回は、フラットバックといわれる状態や原因、フラットバックによって起こる症状や対処法について紹介します。
最終更新日: 2025.12.23
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フラットバックとは

正常な背骨は、身体の横から見たときにS字カーブを描いています。身体を横にして立ったときに、肩の骨が隆起した部分、骨盤の骨が隆起した部分、くるぶしの前側が一直線になるように見えるのが理想の背骨の形状です。
フラットバックとは、正常な背骨の状態と比べて、背骨のS字カーブが少なくなった状態をいいます。このことからフラットバックは、身体に歪みが生じている状態といえます。
フラットバックの原因
日々の生活習慣は、フラットバックなどの身体の歪みの原因になります。
そもそも、身体は歪みやすい構造です。背骨や筋肉は、重力に逆らって内臓を支えています。さらに、複雑な動きに対応するべく背骨は身体のバランスが取れるように配置されていることから、負担がかかりやすくなります。
日常のどのような生活習慣が骨格に負担をかけてフラットバックを生じさせてしまうのでしょうか。フラットバックになる日常の主な習慣を3つ紹介します。
筋力の低下によるもの
フラットバックの原因のひとつは、筋力の低下です。筋肉は骨格を支えているためです。筋力が落ちて骨格を支えることが難しくなると、身体が歪んでフラットバックになることがあります。
また、筋力が低下すると身体を支えている関節にも影響して痛みなどの症状につながることがあります。
筋力が低下する要因のひとつは、運動不足です。身体を定期的に動かす習慣がないと、筋肉が萎縮して動きにくくなってしまいます。
年齢も筋力の低下の要因です。20~30代を過ぎると少しずつ筋力は低下するとされており、意識して運動しないと筋力は年齢とともに衰えます。
長時間同じ姿勢でいることによるもの
長時間同じ姿勢でいることもフラットバックの原因になります。例えば、長時間のデスクワークや長時間の運転のような、座ったままの姿勢です。
特に、座ったときに仙骨(せんこつ)座りになるのは良くありません。仙骨とは脊椎の下部に位置し、骨盤の後ろ側を形成する骨です。椅子に浅く腰かけて、背中を背もたれに預けるように座ると仙骨座りになります。
仙骨座りは、腰や背中に負担がかかる姿勢です。背骨や骨盤が正しい位置にないことから、身体に傾きが生じ、フラットバックになることがあります。
姿勢が悪いことによるもの
猫背でスマートフォンを長時間操作するなど、日常生活での姿勢の悪さもフラットバックの原因です。下を向く姿勢を長時間続けると、首や背中に負担がかかります。
日々のストレスもフラットバックに影響します。ストレスが溜まると、身体が緊張してしまうためです。緊張が続くと猫背になるなど、姿勢も崩れやすくなります。
フラットバックで起こりうる症状

フラットバックは、背骨のS字カーブが少なくなり緩んだ状態です。S字カーブが正常でなくなることで、S字カーブによって保たれていたバランスが取れなくなり、負担が分散されなくなります。つまり、背骨が身体を支える際に負担が一部に集中するということです。
フラットバックにより負担が生じやすいのは、椎間板(ついかんばん)です。背骨は、複数の脊椎といわれる骨が積み重なることで構成されています。椎間板は、脊椎と脊椎の間にあるクッションのような役割をする組織です。
椎間板は、加齢などによりクッション性が失われていきます。加齢のほか、椎間板を酷使するような状況もクッション性が失われる原因です。クッション性が減少すると、椎間板の組織の一部が押し出されるなどして背骨が歪むことがあります。
椎間板に異常が生じることで起こるのが身体の不調です。代表的なものとして、腰痛、肩こり、背中の痛みなどがあります。状態が悪化すると、椎間板ヘルニアになることもあります。
フラットバックの改善が期待できる対処法

ここでは、フラットバックの改善が期待できる対処法を3つ紹介します。
筋トレをする
筋力の低下はフラットバックにつながります。フラットバックに対処するなら、腰まわりや太ももの筋肉を意識したトレーニングがおすすめです。筋力を向上させるトレーニングを2つ紹介します。
筋力トレーニング1

股関節前面の深層部に位置する筋肉(インナーマッスル)である腸腰筋(ちょうようきん)を鍛えるトレーニングです。
- 床に仰向けに寝る
- 足の裏を地面につけて膝を曲げる
- 骨盤を後ろに倒す
- へそを見るように頭を起こす
トレーニングでは、上半身全体を起こさないように注意します。起こすのは頭のみです。上体を丸めるように頭を起こします。あごが出ないように注意します。
筋力トレーニング2

両脚の重さで腸腰筋を鍛えるトレーニングです。
- 床に仰向けに寝る
- 両脚はまっすぐ伸ばす
- 腰を支点として両足をゆっくりと90度になるまで上に上げる
- 腰を支点としてゆっくり両足を下ろしていく
- 2~3を10回繰り返す
ストレッチをする
大殿筋やハムストリングスが硬くなると、フラットバックが起こりやすくなります。適度に筋肉をほぐすストレッチを取り入れるのがおすすめです。大殿筋とハムストリングスのストレッチを紹介します。
大殿筋のストレッチ

大殿筋(だいでんきん)は、太ももの外側にあるお尻の筋肉です。股関節を後ろに伸ばしたりする際に使用する筋肉で、下半身を安定させる役割があります。下記は、大殿筋をほぐすストレッチの手順です。
- 椅子に浅めに座る
- 右ひざの上に左足を乗せる
- 上半身を前に倒す
- 3の状態を10秒維持する
- 右足と左足を入れ替えて2~4の手順を繰り返す
- 2~5を左右3回ずつ行う
お尻が浮いてこないように注意します。股関節からしっかり身体を曲げるのがポイントです。
ハムストリングスのストレッチ

ハムストリングスとは、太ももの後ろにある筋肉の総称です。大腿二頭筋(だいたいにとうきん)と半腱様筋(はんけんようきん)、半膜様筋(はんまくようきん)のことをいいます。ハムストリングスは、膝を曲げるときに収縮する筋肉です。下記の手順で、ハムストリングスをほぐします。
- 椅子を用意する
- 右足を前に出して椅子の座面に置く
- 右足の太ももの付け根に両手を置く
- お尻を引く
- 30秒同じ姿勢を保つ
- 足を変えて2~5の動作を行う
- 2~6を2回または3回繰り返す
太ももの裏を伸ばす際は、胸をしっかり張って、伸びを意識しながら行います。
正しい姿勢で座る
フラットバックの原因のひとつとして、長時間同じ姿勢でいることがあげられます。しかし、仕事のスタイルによっては、長時間座った姿勢でいなければならないケースもあります。
長時間同じ姿勢のままでいるときは、座り方を意識することが重要です。正しい座り方で腰かけることで、腰への負担が軽減され、フラットバックの防止につながります。
デスクワーク時の座り方
デスクワークで椅子に腰かける際は、背筋を伸ばして深く座るようにします。S字カーブの正しい姿勢を保つには、骨盤が立つように座るのがポイントです。両足は地面につけて、浮いてこないようにします。正しい座り方を維持するには、椅子や机の高さを適度に調整することが重要です。
車を運転する際の座り方
車を運転する際は、シートに深く腰かけるようにします。適度な位置にシートがくるように座面の位置を調整します。
ハンドルの位置も重要です。ハンドルの高さが合っていないと姿勢が悪くなります。背筋がしっかり伸びる位置に調整します。運転中は前のめりの姿勢になりやすいため、姿勢が崩れないように注意しましょう。
まとめ
フラットバックは、背中のS字カーブが少なくなり、横から見たときに背中がまっすぐに見える状態のことです。フラットバックは、背中の痛みや腰痛などを生じることがあります。原因の多くは日常生活から来ているため、普段の生活習慣などを見直すことから始めましょう。
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監修
M&メディカルリハ
株式会社
執行役員
髙見 友
(たかみ ゆう)
保有資格
- 理学療法士
- 日本理学療法士協会会員
- Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS)
- ドイツ徒手医学認定セラピスト 2016年取得
- 認定理学療法士 運動器領域 2019年取得
経歴
- 2008年
- 千葉・柏リハビリテーション学院卒業
- 2008年
- いちはら病院勤務
- 2018年
- あかおぎ整形外科クリニック勤務
- 2019年
- M&メディカルリハ株式会社 執行役員就任