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女性に多い腰が冷える原因は?骨盤まわりの冷え対策を紹介
原因がはっきりしない腰痛や、身体の不調に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。慢性的な痛みの原因は、冷えかもしれません。身体の冷えは、万病のもとといわれています。特に、女性やデスクワーカーは腰や骨盤まわりが冷えやすいため注意しましょう。今回は、腰が冷える原因やリスクを解説しながら、骨盤の冷えを防ぐ方法を紹介します。
最終更新日: 2025.12.16
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骨盤や腰まわりが冷える原因

冷えとは、季節や気温に関係なく常に身体が芯から冷たく感じる状態です。冷えは、肩こりや腰痛をはじめとする身体の痛み、倦怠感、イライラ、不眠などのさまざまな不調を引き起こします。
特に、注意が必要なのは腰まわりが冷えやすい女性や長時間座って過ごすデスクワーカーです。ここからは、身体が冷える原因を解説します。
原因1.筋肉量の不足
身体が冷える原因でよくあるのは、筋肉不足です。筋肉量が少ないと血液を全身に送る力も弱まり、血行が滞って身体が冷えやすくなります。
身体のなかで熱を生み出すのは、筋肉です。しかし、女性は男性よりも筋肉量が少なく、多くの熱を作り出せずに冷えを感じやすい傾向があります。加えて脂肪が多いため、一度冷えるとなかなか身体が温まりません。
また、デスクワーク中心で生活していると運動不足になりやすく、筋肉量が低下して冷えが進行します。
原因2.基礎代謝の低下
基礎代謝の低下も、身体の冷えを招きます。基礎代謝とは、人間が生きるために最低限必要なエネルギーです。呼吸や体温調節などに使われますが、加齢や運動不足、不規則な生活、栄養バランスの偏りによって低下します。
基礎代謝が低下すると身体が温まりにくくなり、冷えを感じやすくなります。また、脂肪が増えることでさらに身体が冷えやすくなるため注意が必要です。
原因3.血行不良
血行不良も、身体を冷やす一因です。血液は酸素や栄養とともに熱を全身に運ぶ役割を担っているため、血行が滞ると身体が温まりにくくなります。また、血行不良になると細胞に酸素や栄養が供給されにくくなり、エネルギー不足から冷えが進行します。
特に、女性は月経時に血液量が不足して、身体が冷えやすくなりがちです。月経時のホルモンバランスの乱れも、血行不良を引き起こします。女性の身体は骨盤内に子宮や卵巣などの重要な臓器があるため、腰まわりの冷えは健康の大敵です。
そのほか、ストッキングやハイヒールによる過度な締め付けも血行不良を引き起こし、冷えを招くとされています。
原因4.食生活の乱れ
食生活の乱れも、冷えを招きます。栄養が偏ると、効率良く熱を生み出せません。例えば、タンパク質が不足すると熱を生み出す筋肉が作れなくなり、ミネラルやビタミンが不足すると血流が悪化して身体が冷えやすくなります。
痩せすぎも冷えを引き起こす一因です。過度な食事制限やダイエットをしていると筋肉量が低下し、栄養不足から冷えが進行しやすい傾向があります。
原因5.自律神経の乱れ
自律神経の乱れも冷えを引き起こします。自律神経とは、体温や呼吸などの生命維持に欠かせない機能をコントロールしている神経系です。ストレスや不規則な生活で自律神経のはたらきが乱れると体温調節がうまくいかなくなり、身体が冷えやすくなります。
女性に多い身体の冷え|4つのタイプの特徴と症状

身体の冷えには4つのタイプがあり、症状はそれぞれで異なります。いくつかの特徴が複合する混合型もあるため、タイプの違いを理解しておきましょう。
身体全体が冷える「全身型」
身体全体に常に冷えを感じるのが特徴で、倦怠感のほか、風邪や下痢になりやすいなどの症状がみられます。
全身型は若者や高齢者に多く、年間を通して体温が低い方や基礎代謝が低い方がほとんどです。冷えに慣れていて、自覚症状がない場合もあります。
手や足の先が冷える「四肢末端型」
手指や足先などの身体の末端が常に冷たいのが特徴です。10~20代の女性に多い典型的な冷えで、手足のむくみや頭痛、肩こりをともないます。
四肢末端型は、身体が熱を作り出せなくなっている状態です。ダイエットによる栄養不足、運動不足による筋肉量の低下も原因にあげられます。
骨盤から下が冷える「下半身型」
骨盤から身体の下に冷えを感じ、下半身は冷えていても顔や頭部がほてるのが特徴です。骨盤内には重要な臓器や大きな血管があるため、冷えると肩こりや便秘、免疫力の低下などのさまざまな不調を引き起こします。
下半身型は、女性やデスクワーカーに多い冷えです。長時間同じ姿勢を取り続けることで生じる血行不良や姿勢の悪さ、骨盤の歪みも影響を与えています。
身体の内側が冷える「内臓型」
身体の内側が冷えるのが特徴です。手足の冷えをともなわないため自覚症状はほとんどなく、「隠れ冷え性」とも呼ばれます。
内臓型の冷えは副交感神経が優位になり血管が拡張し、熱が逃げた状態です。内臓の動きが悪くなる、お腹が張る、発汗、倦怠感などの症状がみられるほか、風邪や下痢にもかかりやすくなります。
骨盤や腰の冷えを改善する方法

骨盤や腰まわりの冷えは、さまざまな不調につながる可能性があるため、早めに対策を始めるのがおすすめです。しかし、慢性的に冷えた身体は、外側から温めただけでは改善が難しい傾向があります。下記の方法で効率良く身体を温めましょう。
ツボまわりを温める
腰まわりのツボを刺激すると、骨盤を効率良く温められます。下記のツボのまわりに手をあてて温めるか、軽く揉みほぐして刺激しましょう。ツボの上にカイロを貼ったり、ストールや膝掛けを巻いて防寒したりするのもおすすめです。
- 次髎(じりょう):骨盤後部の仙骨中央にあるツボ
- 丹田(たんでん):おへそから3~5cm程度下にあるツボ
ストレッチする

凝り固まったお尻や腰まわりをストレッチでほぐすと、血行を促進する効果が期待できます。下記の方法で筋肉を引き伸ばして、足の先まで血液を巡らせて温めましょう。
- 長座で座る
- 左右の足を開き、骨盤下の座骨を床につけて背筋をまっすぐ伸ばす
- ゆっくりと足の付け根から上半身を前に倒す
- 無理のない範囲で止め、5回ゆったりと呼吸する
- ゆっくり上半身を戻す
デスクワーク中に長時間同じ姿勢で座り続けると筋肉が緊張し、血行不良から身体が冷えやすくなります。定期的に立ち上がり、動いたり歩いたりして血行を促すよう工夫しましょう。
慢性的な冷えに備える対策
慢性的に冷えを感じているなら、体質の改善が必要です。下記の要領で、生活習慣も見直してください。
対策1.生活リズムを整える
不規則な生活は、自律神経のはたらきを乱して冷えを招きます。起床時間と就寝時間を決めて、生活リズムを整えましょう。夜更かしせずにしっかり休息を取ってください。
対策2.バランス良く栄養を摂る
過度なダイエットや食事制限は避けて、3食しっかり摂ると冷えを防ぎやすくなります。下記の身体を温める食材も、積極的に献立に取り入れましょう。
<身体を温める食材>
- 大根やニンジンなどの根菜類
- サツマイモやジャガイモなどの芋類
- タンパク質が豊富な鶏卵や鶏ささみ肉
- 味噌や納豆などの発酵食品
- 血行を促進するネギや生姜
逆に、ナス・トマト・キュウリなどの夏野菜、白砂糖をはじめとする精製度の高い食材は身体を冷やすため、食べ方の工夫が必要です。冷たい飲み物や食べ物の摂り過ぎにも注意しましょう。
対策3.適度な運動を習慣にする
適度な運動を生活に取り入れると筋肉量の低下を防ぎ、冷えを防げます。ウォーキングやジョギングなどの軽めの有酸素運動に取り組みましょう。
大きな筋肉のある下半身や、インナーマッスルを鍛えるのもおすすめです。運動後はしっかり汗を拭いて、身体を冷やすのを防いでください。
対策4.暖かい服装を心がける
冷房が効いたオフィスでは、衣服で防寒する必要があります。太い血管が通る手首・足首・首元を温めると冷えを防げるため、靴下やレッグウォーマー、スカーフを活用しましょう。
肌を過剰に露出する服や締め付けがきつい下着も控えて、血行を促してください。
対策5.湯船で身体を温める
入浴はシャワーで済まさず、湯船につかると身体の冷えを防げます。38~40℃のぬるめのお湯に10分以上つかって、ゆっくり身体を温めましょう。入浴後は湯冷めに注意し、早めに肌の水分を拭き取り着替えてください。
まとめ
骨盤のなかには大きな血管や重要な臓器があり、腰まわりが冷えるとさまざまな身体の不調を引き起こすことがあります。特に、熱を作り出す筋肉が少ない女性や長時間同じ姿勢を取り続けるデスクワーカーは腰まわりが冷えやすいので、しっかり対策しましょう。ツボ押しや下半身のストレッチのほか生活習慣も見直して、身体の冷えを防いでください。
なお、身体が冷えると血行が滞り、むくみも生じやすいため注意が必要です。冷えとむくみの関係については下記の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
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監修
M&メディカルリハ
株式会社
執行役員
髙見 友
(たかみ ゆう)
保有資格
- 理学療法士
- 日本理学療法士協会会員
- Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS)
- ドイツ徒手医学認定セラピスト 2016年取得
- 認定理学療法士 運動器領域 2019年取得
経歴
- 2008年
- 千葉・柏リハビリテーション学院卒業
- 2008年
- いちはら病院勤務
- 2018年
- あかおぎ整形外科クリニック勤務
- 2019年
- M&メディカルリハ株式会社 執行役員就任