筋膜とは

筋膜とは

筋膜(Fascia)は、全身をボディスーツのように包み込む立体的なネットワーク状の結合組織です。
筋肉だけでなく、血管・神経・内臓にも連続しており、身体の形状を保つ“第二の骨格”とも呼ばれます。
近年、国際的な学会や研究が進み、重要性が言及されるなど、医療・リハビリ分野でも注目度が高まっています。
筋膜は単なる“包む膜”ではなく、動き・姿勢・痛みのメカニズムに深く関わる組織として、科学的な視点から注目が集まっています。

筋膜の役割とは

筋膜は、身体の形状を保ち、姿勢を安定させる“支持”の役割を持っています。
また、筋肉同士の滑りを助け、関節や動作をスムーズにする“運動補助”の役割も担います。
さらに、筋膜には多くの感覚受容器が存在し、圧力や張力などの情報を脳へ伝える“センサー”として働くといわれています。
この機能が乱れると、姿勢の崩れや動きにくさだけでなく、肩こりや頭痛、めまい、耳鳴りなど、バランスに関わるお悩みにつながることもあると考えられています。
つまり、筋膜は身体全体の“張力バランス”と“運動制御”を支える、非常に重要な組織です。

全身ボディスーツのように張力を伝え合う筋膜システム。

身体の不調につながる“筋膜の癒着”とは

筋膜は本来、筋肉や関節の動きに合わせて層同士が滑り合うことで、身体がスムーズに動くように働いています。
しかし、長時間の同じ姿勢、過度な負荷、ストレス、過去のケガなどが続くと、筋膜同士や周囲の組織がくっついてしまう“癒着”が起こることがあります。筋膜が癒着すると、筋肉が十分に伸び縮みできなくなり、可動域の低下や動かしにくさ、コリや痛みの原因になるほか、身体が動きをかばおうとすることで、別の部位へ負担が広がる場合もあります。

さらに、痛みを感じている部位とは異なる場所に癒着があるケースも多く、一般的なもみほぐしでは取り切れない“原因の点”が潜んでいることも考えられています。
この癒着が、一見すると改善と悪化を繰り返す“慢性的な不調”を招く一因といわれています。

筋膜の癒着の図解

不調が戻りやすい背景にある“筋膜の高密度化“とは

筋膜は、コラーゲンとエラスチンという繊維で構成され、その層の間にはヒアルロン酸などの水分が存在し、層同士が滑り、スムーズに動くよう設計されています。しかし、水分量が減少したり、ヒアルロン酸の粘性が増加すると、筋膜の層がよじれて滑りが悪くなる“高密度化(Densification)”が起こることがあります。この状態では、動かしづらさ、違和感、重だるさ、痛みなどにつながる場合があります。高密度化した筋膜は、一般的なストレッチやその場限りのもみほぐしでは元の状態に戻りにくく、表面的なケアだけでは“再発”しやすい状態になると考えられています。

つまり、癒着が“くっつき”による制限だとすれば、高密度化は“質の変化”による滑走性の低下
どちらも、筋膜が本来持つ“滑らかに動く仕組み”を妨げてしまう要因となります。

筋膜の高密度化の図解

改善を定着させる鍵となる、筋膜の“形状記憶性”とは

筋膜には、日常生活で繰り返される姿勢や動作のクセに適応する性質があり、その状態が続くことで“形状”を記憶するように変化するといわれています。この性質により、猫背や反り腰、足を組むクセなどが習慣化すると、筋膜がその姿勢に合わせて硬くなり、元の正しい位置に戻りにくくなる場合があります。
そして、筋膜の形状記憶が起こると、肩こり・腰痛などの慢性的な不調が改善と悪化を繰り返しやすくなり、“戻り”の原因になることも考えられています。また、筋膜は全身で連続しているため、一部の形状記憶が別の部位の動きに影響し、姿勢のゆがみや動作の制限につながることもあります。

一方で、この性質は正しい姿勢や動きが身につけば、その状態が筋膜へ定着しやすくなるというメリットにもつながります。
施術やセルフケアで筋膜の状態を整え、日常での負担が減る習慣を取り入れることで、長期的な改善が期待できるといわれています。
不調を「戻りにくく」するためには、この“形状記憶”へ働きかけ、日常の動きと合わせて整える視点が重要です。

筋膜の形状記憶性の図解

筋膜マニピュレーション(Fascial Manipulation®)というアプローチ

筋膜マニピュレーション(Fascial Manipulation®)は、イタリアで体系化された、筋膜の張力バランスに着目した国際的なアプローチです。筋膜の癒着や高密度化が生じている“原因の点”を評価し、筋膜の緊張を整えることで、痛みや動きの制限を根本から改善することをめざします。痛みのある場所とは離れた位置に原因がある場合にも対応できる点が特徴です。

この手法は、公式の教育課程を修了した医師または理学療法士、鍼灸師が扱う専門技術であり、Next整体 KINMAQでは、国際基準の教育を受けた理学療法士が、あなたの状態に合わせた筋膜マニピュレーションをコアとした施術をご提供いたします。

医学監修

小野間優介

M&メディカルリハ株式会社
取締役代表医師

小野間優介 (おのま ゆうすけ)

保有資格

  • 総合診療専門医(家庭医療専門医)

経歴

2009年
横浜市立大学卒業
2009年
横浜勤労者福祉協会汐田総合病院研修医
2011年
亀田総合病院・筑波大学附属病院 勤務
2013年
アオイ病院 勤務
2018年
茎崎アオイ病院 勤務
2020年
埼玉みさと総合リハビリテーション病院 勤務
2018年〜現在
M&メディカルリハ株式会社 取締役代表医師
2022年〜現在
B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニック 院長

Fascial manipulation® に
関する監修

永井秀幸

エグゼクティブ
フェロー

永井秀幸 (ながい ひでゆき)

保有資格

  • 理学療法士 日本理学療法士協会会員
  • Fascial manipulation® certified Teacher
  • 医科学修士(埼玉医科大学)
  • マリガンコンセプト認定セラピスト(CMP)
  • International Schroth Scoliosis Therapist シュロスセラピスト
    (側湾症を対象としたドイツ徒手理学療法)
  • イタリアパドヴァ大学筋膜解剖コース修了 (2019,2025)

経歴

2006年
吉田学園札幌総合医療専門学校(現校名:専門学校北海道リハビリテーション大学校) 理学療法学科 卒業
2006年
社会福祉法人 北海道社会事業協会 小樽病院リハビリテーション科 勤務
2012年
埼玉医科大学大学院 医学研究科医科学専攻理学療法分野 修士過程 卒業
2012年〜
2020年
学校法人葵学園 埼玉医療福祉専門学校理学療法学科 教務課 勤務
2014年〜
2020年
医療法人K.N.C桶川K.Nクリニック 勤務
2017年〜現在
一般社団法人 日本筋膜マニピュレーション協会 理事
2020年〜現在
M&メディカルリハ株式会社 エグゼクティブフェロー
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