筋膜マニピュレーションとは

イタリア発の筋膜マニピュレーションとは?

筋膜マニピュレーション(Fascial Manipulation®)は、1980年代にイタリアで開発され、現在では国際的に広く学ばれている整体技術です。イタリアの理学療法士 Luigi Stecco(ルイジ・ステッコ)氏により1987年に体系化され、筋膜(Fascia)のつながりに着目した手技によるアプローチとなります。

従来の整体が「痛む部分だけ」に施術をおこなうのに対し、筋膜マニピュレーションは全身の筋膜ネットワークを検査し、根本原因を特定してアプローチします。たとえば腰痛の原因が実は肩や脚の筋膜の硬さにあった、というケースも少なくありません。

そもそも“筋膜”とは、全身をボディスーツのように覆い、筋肉だけでなく内臓や骨・神経にもつながる組織のことで、近年の研究により、この筋膜の異常や癒着が痛みや不調の原因となることが明らかになってきました。

Next整体 KINMAQでは、この世界基準の筋膜マニピュレーションをコアに据え、医学的知識と豊富な臨床経験を持つ理学療法士が、一人ひとりの身体を丁寧に検査・施術し、痛みの根本改善を目指します

コア技術は、イタリア発の筋膜マニピュレーション

科学的根拠に基づく国際的徒手理学療法 “筋膜マニピュレーション”

筋膜マニピュレーション(Fascial Manipulation®) は、現在ではヨーロッパ・アメリカ・アジアなど世界50ヵ国以上で医師や理学療法士に広く学ばれ、身体の不調や動きの制限を「筋膜ネットワーク」の観点から評価・ケアする技術として発展しています。

2007年にはハーバード大学医学大学院で開催された第1回国際筋膜研究学術大会にてStecco氏が表彰され、その後も世界各地で国際会議が開催されているほどです。学術的な研究報告も多数発表されており、理学療法領域における重要な国際技術のひとつとして位置づけられています。

研究報告の一例

筋膜ネットワークに基づく“根本原因特定型”アプローチ

筋膜マニピュレーションは、身体を一枚の筋膜ネットワークとしてとらえ、全身のつながりの中から痛みの原因を探ります。
局所の硬結を中心に考えるトリガーポイント理論(Travell & Simons)と考え方を一部共有しつつ、より広い視点で身体全体の運動連鎖と筋膜の滑走性を重視している点が特徴です。

筋膜は筋肉や関節、内臓、神経を包みながら全身で連続しており、そのつながりは「ライン(Fascial Sequences)」と呼ばれる筋膜の連鎖構造として機能しています。このライン上には、動きを協調させるための重要なポイント、センター・オブ・コーディネーション(Center of Coordination/CC)および、センター・オブ・フュージョン(Center of Fusion/CF)が 存在し、ここに滑走不全や癒着が起こると、筋膜のバランスが崩れ、他の部位の痛みや動きの悪さにつながることがあります。

例えば、腰痛を感じている場合でも、その原因が必ずしも腰そのものにあるとは限りません。
太ももの前面や背中、胸部などの筋膜ライン上で滑走不全が起きていると、その影響が腰部へ伝わり、結果的に「腰が痛い」と感じてしまうことがあります。全身の筋膜連鎖を分析し、どのライン上のどのCCやCFが不調の起点となっているのかを見極めることで、表面的な痛みではなく、根本的な原因にアプローチすることができるのです。
このように筋膜マニピュレーションは不調のある場所だけでなく、全身の筋膜の動きやつながりを整えることで、原因に対して的確にアプローチすることを目的としています。

また、筋膜は"姿勢や動きをつかさどる組織"といえます。近年、最新の研究により、筋膜にはメカノレセプター(姿勢や動きを感知するセンサー)が豊富に含まれていることが明らかにされています。このことは、筋膜の硬さや滑りの悪さがあると、不良姿勢や、動きの悪さ、動作時の痛みに深く関わる可能性を示唆しています。
筋膜にアプローチすることにより、不良姿勢や動作の改善、動作時の痛みの軽減につながる科学的根拠の一つとなっています。

腰痛の一例

腰痛の一例

:痛みの箇所
:筋膜のライン
:CC/CF=不調の起点

腰痛を感じている場合でも、実際の原因は「ライン」と呼ばれる 筋膜の連鎖構造によってつながった太ももの前面や背中、 胸部などの不調が関係していることもあります。

※図はイメージです。実際のラインとは一部異なります。

筋膜について
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筋膜マニピュレーションの実際の施術

筋膜マニピュレーションでは、現在のお悩みだけでなく、過去のケガや内科系のご病気にともなうQOL(生活の質)の不調、スポーツ歴や、生活習慣、動作のクセまで丁寧にヒアリングすることを重視します。
そのうえで、実際の姿勢や動作を評価し、全身の筋膜のつながりから根本原因となりえるセンター・オブ・コーディネーション(Center of Coordination/CC)および、センター・オブ・フュージョン(Center of Fusion/CF)を見極めるところから始まります。

原因と考えられる CCやCFが特定できたら、指(ナックル)や肘(エルボー)、手のひらを使い、皮膚の深層にある筋膜を滑らせながら摩擦や圧を加えていきます。この刺激によって筋膜に温度変化や緊張の緩和が起こり、滑走性が低下して固まってしまった筋膜組織が、少しずつ動ける状態へと変化していきます。

一般的にイメージされやすい「ボキボキ鳴らす整体」とは異なり、筋膜という“姿勢や動きをつかさどる組織”の機能回復を重視したアプローチが特徴です。骨を急激に動かす施術ではなく、じわりと組織に変化を促す手技が中心となります。

筋膜マニピュレーションの実際の施術 筋膜マニピュレーションの実際の施術

実際の施術の様子

国際的に医師・理学療法士に限定された教育・認定制度

筋膜マニピュレーションは、国際的に統一された教育・認定制度のもとで運用されています。この制度は、イタリア本部「Fascial Manipulation® Association」により設計・管理され、世界各国で同一基準の講習と資格認定がおこなわれています。

受講対象は、医師または理学療法士、鍼灸師に限定されており、講習を修了し、公式試験に合格した者のみが認定資格(Certificate)を取得できます。この制度は、解剖学・運動学・生理学など医学的知識を前提とした専門教育体系のため、他の国家資格者は受講・認定を受けることはできません。

こうした国際的な教育体制によって、世界中の認定者が同一水準の理論と技術に基づいた施術を提供できる仕組みが整えられています。
日本では「日本Fascial Manipulation協会」がイタリア本部の認可を受け、教育・普及活動を公式に実施しています。

Next整体 KINMAQにおける取り組み

Next整体 KINMAQでは、この国際的な筋膜マニピュレーションの理論と教育体系を基盤に、全スタッフが専門的な研修を受け、科学的根拠に基づく施術を行っています。

また、日本Fascial Manipulation協会の講師陣とも連携し、最新の研究や技術動向を学ぶ継続的な教育体制を整えています。
さらに当院には、イタリア本部「Fascial Manipulation® Association」の試験に合格し、 世界で28名しかいない国際資格 Fascial Manipulation® Teacher (FMT) を取得した理学療法士が1名、 日本で37名しかいない 国際資格 Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS) を取得した理学療法士が8名在籍しています。
※2025年11月時点

こうした世界基準の知識と技術を持つ資格者が教育の中核を担うことで、全国どの院でも、世界基準に裏付けられた質の高い施術をご提供できる体制を整えています。

Next整体 KINMAQにおける取り組み Next整体 KINMAQにおける取り組み

医学監修

小野間優介

M&メディカルリハ株式会社
取締役代表医師

小野間優介 (おのま ゆうすけ)

保有資格

  • 総合診療専門医(家庭医療専門医)

経歴

2009年
横浜市立大学卒業
2009年
横浜勤労者福祉協会汐田総合病院研修医
2011年
亀田総合病院・筑波大学附属病院 勤務
2013年
アオイ病院 勤務
2018年
茎崎アオイ病院 勤務
2020年
埼玉みさと総合リハビリテーション病院 勤務
2018年〜現在
M&メディカルリハ株式会社 取締役代表医師
2022年〜現在
B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニック 院長

Fascial manipulation® に
関する監修

永井秀幸

エグゼクティブ
フェロー

永井秀幸 (ながい ひでゆき)

保有資格

  • 理学療法士 日本理学療法士協会会員
  • Fascial manipulation® certified Teacher
  • 医科学修士(埼玉医科大学)
  • マリガンコンセプト認定セラピスト(CMP)
  • International Schroth Scoliosis Therapist シュロスセラピスト
    (側湾症を対象としたドイツ徒手理学療法)
  • イタリアパドヴァ大学筋膜解剖コース修了 (2019,2025)

経歴

2006年
吉田学園札幌総合医療専門学校(現校名:専門学校北海道リハビリテーション大学校) 理学療法学科 卒業
2006年
社会福祉法人 北海道社会事業協会 小樽病院リハビリテーション科 勤務
2012年
埼玉医科大学大学院 医学研究科医科学専攻理学療法分野 修士過程 卒業
2012年〜
2020年
学校法人葵学園 埼玉医療福祉専門学校理学療法学科 教務課 勤務
2014年〜
2020年
医療法人K.N.C桶川K.Nクリニック 勤務
2017年〜現在
一般社団法人 日本筋膜マニピュレーション協会 理事
2020年〜現在
M&メディカルリハ株式会社 エグゼクティブフェロー
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