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骨盤が開いている原因とは?自宅でできるストレッチ方法も紹介
お尻が大きく見えたり、下半身だけが太ったりしてしまい、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。これらの悩みは、骨盤が開いていることが原因の可能性があります。骨盤の開きを放置していると、腰痛や股関節痛を発症する場合もあるため注意が必要です。 今回は、骨盤が開いてしまう原因や、骨盤の開きを改善するためのストレッチを紹介します。
最終更新日: 2025.12.17
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骨盤が開いている状態とは?

骨盤が開いている状態とは、骨盤が傾いていることによって骨盤が開いているように感じることです。
骨盤が傾くことによって開いているように見えるだけで、実際は骨盤が開いているわけではありません。骨盤の傾きとは、骨盤の位置が前傾や後傾、左右非対称になっている状態を指します。
下記にあてはまるものが多いと、骨盤に傾きが生じている可能性があります。
- 鏡の前でまっすぐ立ったときに片方の肩が下がっている
- 片方の靴の裏(特に外側)がすり減りやすい
- 椅子に座ったときに脚を組まないと落ち着かない
- 下半身ばかりが太くて、ダイエットをしてもいまいち効果が感じられない
- 歩いていると、どちらかの方向にスカートが回ってしまう
骨盤に傾きがあると、姿勢のバランスに影響を与えることがあり、腰や股関節、太ももなどの骨盤まわりの筋肉に負担がかかる場合があります。
骨盤の状態をチェックする方法については、下記の記事を参考にしてください。
「骨盤の状態をチェックする方法とは?歪みの原因や緩和の方法も解説!」
骨盤が開いてしまう原因

ここからは、骨盤が開いてしまう原因を紹介します。
姿勢や座り方にクセがある
長時間の立ち仕事やデスクワーク、無理な姿勢での作業を頻繁に行っている場合は、骨盤が開いてしまうことがあります。
例えば、片方の足だけに体重をかけて立つ、カバンをいつも同じ方向で持つといった習慣は、骨盤のバランスを崩す要因です。
また、あぐらをかくと太ももが左右に大きく開く形になるため、骨盤に傾きが生じやすくなります。
そのほか、椅子に座る際に片方のおしりに重心をかけていると、骨盤に不均等な負荷がかかります。すると、片方の骨盤まわりの筋肉や靭帯だけが常に緊張状態になるため、骨盤の位置がずれてしまうことになるのです。
骨盤まわりの筋力が低下している
骨盤は、骨盤底筋群や腸腰筋など、さまざまな筋肉によって支えられています。これらの筋肉が低下すると骨盤が安定しにくくなり、骨盤を正しい位置に保つことが困難になります。
筋力の低下の原因は、一般的に運動不足や加齢などです。また姿勢にクセがあったり身体のバランスが悪かったりすると、骨盤まわりの筋肉が正しく使えないため、骨盤の開きにつながります。
例えば、O脚やX脚の場合は脚の筋肉、反り腰の場合は腰の筋肉に負担が集中するため、骨盤まわりの筋肉を適切に使うことができません。
使われない筋肉は徐々に衰え、最終的に骨盤のバランスが崩れてしまうことになります。
骨盤が開いていることで起こりうる症状
ここからは、骨盤が開くことで起こりうる症状をみていきましょう。
頭痛や肩こりなどの身体的不調
身体の中心に位置する骨盤は、上半身と下半身をつなぐ役割を果たす重要な部位です。しかし、骨盤の傾きが生じると、骨盤の前後左右のバランスが乱れることがあります。
骨盤の傾きがあると、姿勢の変化によって腰や股関節に負担がかかることがあります。また、血行の影響などで身体に不調を感じる場合もあります。
さらに、骨盤の傾きにより下半身への血行やリンパの流れが悪くなると、お尻やお腹まわりに負担がかかりやすく、見た目の変化が気になることもあります。
骨盤が傾いている状態が続くと股関節の位置に影響を与え、O脚やX脚の原因になることもあります。
内臓機能の低下
骨盤は内臓を支える役割も担っており、胃や腸、膀胱、子宮などの重要な臓器を覆うように位置しています。そして骨盤底筋群と呼ばれる筋肉が骨盤の底を支え、内臓を正しい位置に保っているのです。
そのため、骨盤に傾きが生じると、内臓を正しい位置に保てなくなり、内臓機能が低下するおそれがあります。
内臓の機能が低下すると、消化不良や腹部膨満感、胃もたれ、便秘、下痢、むくみ、冷え、肌荒れ、疲労感などの原因になると考えられています。
自律神経の乱れ
骨盤に傾きが生じると、骨盤を支えている筋肉や全身に過緊張が起こりやすいといわれています。
過緊張が続くと、自律神経の乱れやメンタル面の不調、ホルモンバランスの乱れが現れやすくなるのです。
また、背骨を中心とした骨格が歪むと呼吸が浅くなり、十分な酸素が全身に行き渡らなくなります。
短く浅い呼吸を続けていると、常に交感神経が優位な状態になるため、自律神経のバランスを乱す原因になるのです。
自律神経が乱れると、頭痛や倦怠感、不眠、慢性的な疲労感などの症状が表れることがあります。
骨盤の開きを改善するためのストレッチ

ここからは、骨盤の開きを改善するためのストレッチを紹介します。
親指トントン体操

親指トントン体操は、骨盤の開きを改善するための体操です。
- 仰向けになり、身体の力を抜いてリラックスする
- 上方向につま先を軽く反らせる
- かかとをそろえて、床からげんこつ1個分ほど足を浮かせる
- そのままの状態で、左右の親指の付け根をトントンとぶつける
この体操を毎日、朝晩30回ずつを目安に行いましょう。ある程度の筋力が必要なため最初は辛いかもしれませんが、継続して行うことが大切です。
お尻歩きトレーニング

お尻歩きトレーニングは、骨盤のズレを矯正するトレーニングです。
お尻にある大殿筋(だいでんきん)や中殿筋(ちゅうでんきん)などの筋肉を活発に動かすことで、お尻からお腹までを効率良く鍛えられます。
- 足を伸ばして座り、背筋を伸ばす
- 胸の前に腕を置く
- お尻だけを使って前方へゆっくりと動く
- 前に少し進んだら、今度は後ろに進む
前進、後退の10歩ずつを1セットとし、毎日3セット行います。
身体を反らせたり、反動をつけたりしないように注意しましょう。お尻と骨盤の動きのみで前進、後退するのがポイントです。
骨盤チルト運動

骨盤チルト運動は、骨盤の前傾や後傾を調整し、柔軟性をアップさせる運動です。
骨盤以外の部位をほとんど動かさずに、骨盤を前傾(少し反ったような状態)、後傾(腰を少し丸める)させることで可動域を広げます。
- 仰向けの状態で膝を曲げ、足を床に平らにつける
- 息を吸いながらお腹を引き締め、腰は床につけた状態で骨盤をゆっくりと前傾させる
- 息を吐きながら、骨盤を後傾させる
10回を1セットとして、1日3セット行います。息を止めないように注意して、ゆっくり呼吸をしながら行いましょう。
ヒップフレクサーストレッチ

ヒップフレクサーとは股関節を屈曲させる筋肉のことで、股関節の前側(筋肉でいうと腸腰筋、大腿直筋など)に位置します。
ヒップフレクサーストレッチの目的は、骨盤まわりの筋肉の柔軟性を向上させることです。
- 足を一歩前に踏み出し、前の膝は直角に曲げ、後ろの膝を床につける
- 身体を前に押し出し、前の太ももの前面と後ろの足のヒップフレクサーを伸ばす
このストレッチを1回30秒~1分間、1日2回を目安に行いましょう。毎日継続することで、骨盤だけでなく全身のバランスを整える効果が期待できます。
ハムストリングスのストレッチ

ハムストリングスとは、太もものうしろにある筋肉の総称です。ハムストリングスのストレッチを行うと、骨盤まわりの筋肉の柔軟性を向上させることができます。
- 床に座って片方の足を伸ばし、もう一方の足を内ももにつける
- 上体を前に倒し、伸ばした足のつま先をつかむ
このストレッチを1回30秒~1分間、1日2回を目安に行いましょう。ハムストリングスの柔軟性を高めることで、姿勢改善や腰痛緩和の効果が期待できます。
まとめ
骨盤が開いている状態とは、骨盤が傾いていることによって骨盤が開いているように感じる状態のことです。普段の座り方のクセや、筋力の低下などによって骨盤のバランスが崩れることで引き起こされます。
骨盤の傾きを放置していると、腰や股関節への負担や内臓機能の低下、自律神経の乱れといった症状につながるため注意が必要です。
骨盤の開きが気になる方は、この記事で紹介したストレッチを試してみてください。ただし痛みがひどい場合や改善がみられない場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
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監修
M&メディカルリハ
株式会社
執行役員
髙見 友
(たかみ ゆう)
保有資格
- 理学療法士
- 日本理学療法士協会会員
- Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS)
- ドイツ徒手医学認定セラピスト 2016年取得
- 認定理学療法士 運動器領域 2019年取得
経歴
- 2008年
- 千葉・柏リハビリテーション学院卒業
- 2008年
- いちはら病院勤務
- 2018年
- あかおぎ整形外科クリニック勤務
- 2019年
- M&メディカルリハ株式会社 執行役員就任