理学療法士の健康相談室
肋骨が出ている原因とは?セルフチェックの方法や改善方法も紹介
肋骨が出ているとくびれができにくいため、ダイエットを頑張ってもなかなかスタイルが良くなりません。しかし、手で押せば引っ込むようなものでもないので、「どうすれば改善できるのか」と悩む方も多いでしょう。そこで今回は、肋骨が出てしまう原因や改善方法などについて解説します。
最終更新日: 2025.12.16
この記事は約4分で読み終わります。
肋骨が出てる原因とは

肋骨が目立つ原因として、下記の4つが考えられます。
- 姿勢の悪さ
- 浅い呼吸
- 肋骨まわりの筋肉の衰え
- 自律神経の乱れ
なぜ上記が理由で肋骨が出てしまうのか、詳細を解説します。
姿勢の悪さ
肋骨が出る主な原因のひとつが姿勢の悪さです。毎日長時間のデスクワークなどで猫背や反り腰になると、背骨のS字カーブが崩れます。
肋骨と背骨は連結しているため、背骨のS字カーブが崩れると肋骨が前に押し出されたり下部が開いてしまったりして、肋骨が目立つようになります。
浅い呼吸
肋骨は息を吸うと開き、息を吐くと閉じて元の位置に戻ります。呼吸が浅いと元の位置まで戻り切れなくなり、常に開いた状態(リブフレア)になるため、肋骨が出て目立ちやすくなります。
呼吸が浅くなる原因は、ストレスや長時間のデスクワークなどです。不安を感じたり長く同じ姿勢を取り続けたりすると呼吸筋が緊張して硬くなり、呼吸しづらくなります。
するとリブフレアになってさらに息が吐き出しにくくなり、ますます呼吸が浅くなるという悪循環に陥ります。その結果、いつまでも肋骨が元の位置に戻れず、肋骨が目立ってしまうのです。
肋骨まわりの筋肉の衰え
肋骨まわりにある前鋸筋(ぜんきょきん)や腹斜筋、広背筋などの筋力が衰えて肋骨が出ている場合もあります。肋骨まわりの筋肉が衰え硬くなると、正しい姿勢が保てなくなり肋骨が前に押し出されてしまうためです。
また、姿勢が悪かったり胸式呼吸を続けたりしていると、肺が膨らむときに働く横隔膜の機能が落ち、呼吸が浅くなります。すると、無理に肋骨を開いて酸素を取り入れようとし始めるので、肋骨が出やすくなります。
自律神経の乱れ
自律神経の乱れも肋骨が出る原因のひとつです。ストレスを感じたり睡眠の質が低下したりすると、交感神経が優位になって身体が緊張状態になります。
すると横隔膜が働きにくくなって呼吸が浅くなるため、肋骨が開いたままになって目立ちやすくなります。
肋骨の状態をセルフチェック!

肋骨が出ているような気がするものの、いまいちわからないという方もいるかもしれません。そこで、自分の肋骨の状態をチェックする方法を2つ紹介します。
正面から肋骨の状態を確認する方法
まずは正面から肋骨の状態を確認する方法です。
- 鏡の前に立つ
- 本やノートなど、直角のものの角を左右の肋骨の中心に当てる
これで胸骨下角(きょうこつかかく:左右の肋骨の角度)が90度以上の場合は、肋骨が開いて出ている可能性が高いと判断できます。
側面から肋骨の状態を確認する方法
続いて、側面から肋骨の状態を確認する方法です。
- 横向きで鏡の前に立つ
- 肋骨の最下部に触れる
- 腸骨(骨盤の左右にある一番大きな骨)の上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく:腸骨の一番突出しているところ)に触れる
これで肋骨が上前腸骨棘よりも前にある場合は、肋骨が開いて出てしまっている可能性があると判断できます。
肋骨が出てる状態を改善する方法

肋骨が出ている状態は、日ごろの心がけやストレッチなどで改善が見込める場合があります。ここでは肋骨が出ている状態の改善に役立つ習慣やストレッチを紹介しますので、ぜひ試してみてください。
姿勢を正す
姿勢の悪さで背骨のS字カーブが崩れると肋骨が出やすくなるため、普段から正しい姿勢で過ごすことが大切です。
特にPCやスマートフォンを使っているときは猫背になったり、無理に姿勢を良くしようとして反り腰になったりしがちなので、下記のポイントを押さえて正しい姿勢で座りましょう。
【正しい座り姿勢のポイント】
- 椅子に深く腰かける
- 座面に坐骨を立てて背筋を伸ばす
- あごを軽く引く
- 横から見たときに耳・肩・骨盤が直線になるようにする
- 膝と股関節を同じ高さにする
- 膝の角度を90度にする
- 足裏全体を床につける
頭頂に糸がついていて、天井に向かって引っ張られているような意識で座ると正しい姿勢を保ちやすくなります。また、正しい座り姿勢を保つには、椅子の高さや机の高さ、ディスプレイの位置なども調整するのがおすすめです。
【椅子の高さの目安】
- 座面の高さ:身長の1/4程度の高さ
- 背もたれの高さ:肩甲骨の上くらいの高さ
【机の高さの目安】
- 椅子に座り天板に腕を乗せたときに、肘が90度になる高さ
【ディスプレイの位置の目安】
- ディスプレイの高さ:目線が15~20度下を見る程度の高さ
- ディスプレイの距離:目から40cm以上離す
ストレッチをする
筋肉が凝り固まると肋骨が動きにくくなるため、ストレッチをして筋肉の柔軟性を高めることも重要です。肋骨まわりの筋肉をほぐすのに役立つストレッチを3つ紹介しますので、今日からさっそく始めてみましょう。
キャット&カウ

キャット&カウは前鋸筋や外腹斜筋、僧帽筋など、さまざまな筋肉を動かせるストレッチです。呼吸を深くし、自律神経を整える効果も期待できます。キャット&カウの流れは下記の通りです。
- 床に四つん這いになる
- 肩の真下に手首、股関節の真下に膝が来るように調節する
- 息を吐きながら床を手の平で押し、背中を丸めて目線をお腹に向ける
- 息を吸いながら肩甲骨を寄せ、背中を軽く反らせて目線を正面に向ける
- 3~4の動きを5~10セット繰り返す
背中を丸めたり反らしたりするときは、背骨を1個ずつ動かすイメージでゆっくりと動かしましょう。
背筋と脇腹のストレッチ

背中やわき腹の筋肉も、呼吸をするときに重要な役割を果たします。凝り固まってしまわないように、しっかりストレッチしておきましょう。背筋と脇腹のストレッチの流れは下記の通りです。
- 床に座って右足を斜め前に出す
- 左足を曲げて、かかとを身体に近づける
- 右の手の平を左の脇腹に当てて骨盤が浮かないように固定する
- 身体を右足に向かって倒す
- 左腕を右足のつま先を触るイメージで伸ばし、30秒キープする
- 手足を入れ替えて、1~5の動作を行う
筋肉が緊張したり血圧が上がったりしやすくなるので、ストレッチ中は呼吸を止めないようにしてください。また、痛みを感じるほど伸ばすと筋肉が硬くなるため、気持ち良く伸ばせる程度に留めるようにしましょう。
股関節のストレッチ

股関節が硬いと反り腰になりやすく、肋骨が目立ってしまう場合があります。下記の流れで股関節もストレッチしておきましょう。
- 膝立ちになって右足を前に出し、左足のつま先を立てる
- 両膝とも角度が90度になるよう調節する
- 頭・肩・骨盤・左膝が一直線になるよう調節する
- 左のお尻にギュッと力を入れて、少し腰を丸める
- 目線をお腹に向ける
- 左足の骨盤の前あたりが伸びているのを感じたら、30秒キープする
- 足を入れ替えて2~6の動作を行う
他のストレッチと同じく、途中で呼吸を止めないようにすること、痛みを感じるまで伸ばさないようにすることを意識しましょう。
深い呼吸をする
呼吸が浅くなると肋骨が元の位置に戻らなくなり、目立ちやすくなります。胸とお腹をしっかり使って深い呼吸をすることを意識しましょう。
また、横隔膜のトレーニングを行うのもおすすめです。下記の流れを参考に横隔膜を動かし、深い呼吸をする練習をしてみましょう。

- 椅子とタオルを準備する
- 床に仰向けになり、両脚の膝から下を椅子に乗せる
- タオルを10cmくらいの高さになるように丸めて、お尻の下に入れる
- 膝が90度に、太ももが床と垂直になるように調節する
- 両手の指先をみぞおちに乗せる
- 肋骨を開いたり閉じたりするのを感じながら、ゆっくりと20回ほど呼吸する
呼吸するときには腹筋に力を入れ過ぎないようにし、胸とお腹の両方に空気を入れるようにしましょう。朝晩20回ずつ行うと、より効果的です。
まとめ
肋骨が出ているのは、姿勢の悪さや呼吸の浅さ、筋力の衰え、自律神経の乱れなどが主な原因です。正しい姿勢で過ごしたり、ストレッチをしたりすれば改善できる場合が多いので、今回紹介した内容を参考に、さっそく今日から始めてみましょう。
関連記事
RELATED POSTS
注目キーワード
KEYWORD
監修
M&メディカルリハ
株式会社
執行役員
髙見 友
(たかみ ゆう)
保有資格
- 理学療法士
- 日本理学療法士協会会員
- 医科学修士(埼玉医科大学)
- Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS)
- ドイツ徒手医学認定セラピスト 2016年取得
- 認定理学療法士 運動器領域 2019年取得
経歴
- 2008年
- 千葉・柏リハビリテーション学院卒業
- 2008年
- いちはら病院勤務
- 2018年
- あかおぎ整形外科クリニック勤務
- 2019年
- M&メディカルリハ株式会社 執行役員就任