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【理学療法士資格保有者監修】腰痛の主な原因は?腰痛の種類や対処法を解説
腰痛で悩んでいるが原因は何なのか理解できていない方も多いのではないでしょうか? 腰痛は原因や疾患が明確な特異的腰痛と、原因が明確でない非特異的腰痛の二種類に分けられます。これらの腰痛は、類似した症状が誘発される場合が多いため、ご自身の症状がどの腰痛に分類されるのか、先ずは医療機関で検査を受けることが重要です。 今回は、腰痛の原因が分からずに悩んでいる方に向けて、腰痛の主な原因や種類、対処法について詳細をご紹介します。
最終更新日: 2025.12.12
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腰痛の主な原因
腰痛は「特異的腰痛」と「非特異的腰痛」の2つに大別されます。特異的腰痛は原因が特定できている腰痛で、非特異的腰痛は原因が特定できていない腰痛です。それぞれに関連する疾患や症状について以下に解説しますので、ご自身の腰痛がどれに該当するのかをチェックしてみましょう。
特異的腰痛の原因
特異的腰痛は、背中から腰の中にある脊柱という背骨の障害や疾患など、原因が明確な腰痛のことを指します。関連する疾患としては、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、変形性脊椎症などが挙げられます。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、前かがみの動きを行った際に腰部に負担が掛かり、クッションの役割を担う椎間板内にある髄核が飛び出し、脊髄などの神経を圧迫する疾患です。腰部、臀部、太もも、下肢などに痛みやしびれなどの症状が誘発されます。加齢だけでなくスポーツ動作や生活動作などの負担によって発症します。
腰部脊柱管狭窄症
脊椎の中にあるトンネル状の脊柱管には、脊髄神経が走行しています。腰部脊柱管狭窄症では、この脊椎に変性を生じ、脊髄神経を圧迫した状態を指します。脊髄神経の圧迫により、腰痛や足のしびれ、歩行障害を伴う疾患です。
変形性脊椎症
変形性脊椎症は、主に加齢によって椎間板や椎体、椎間関節などに退行性変化による変性を生じ、腰痛や神経症状が誘発される疾患です。加齢と共に発症する場合が多いですが、背骨に負担がかかる動作によっても発症するリスクが高まります。
ぎっくり腰(急性腰痛)
ぎっくり腰は、重い物を持った際や急な動作などの腰部への負担によって、骨折を疑うような激しい痛みを生じることで発症します。痛みの原因としては、筋肉や関節、靭帯などに炎症を生じることが原因で、老化、姿勢不良、過度な外力による負担が起因となると考えられています。
加齢の場合は、骨粗鬆症による圧迫骨折を生じている危険性があるため、急性腰痛を発症した際には早期に医療機関を受診してください。
その他、内臓疾患などによるもの
膵臓炎、腎結石、尿路結石、前立腺がん、腹部大動脈瘤などの疾患や、子宮内膜症、子宮がんなどの産婦人科系の病気によっても腰痛を訴えるケースがあります。特に動作に関係のない痛みが続く場合は、上記の疾患や腫瘍などの内臓疾患の関与が考えられるため、不安な方は早期に医療機関を受診してください。
特に、若年性の腫瘍の場合は他の組織への転移など、症状の進行が早いため、症状を軽視せず医師に相談するようにしましょう。
非特異的腰痛の原因
非特異的腰痛は、原因が明確でない腰痛のことを指します。筋肉や靭帯系の痛み、心理的ストレス、姿勢不良などの問題などが考えられます。以下で詳細について解説します。
筋肉や靭帯の炎症
筋肉や靭帯が炎症を起こすことで、非特異的腰痛を発症する可能性があります。動作時の負担や運動不足、加齢などによって炎症を生じます。筋肉や筋膜の炎症によって発症する
では、繰り返される強度の高い運動による疲労が原因となる場合があります。
運動不足による筋力低下
運動不足による筋力低下が腰痛を引き起こすことがあります。加齢に伴う筋力低下だけでなく、成人の場合でも姿勢を保持する体幹筋群の弱化によって、正しい姿勢を維持することができなくなり、腰痛を発症するケースがあります。
ストレスなどの心理的要因
慢性腰痛の原因として、ストレスなどの心理的要因の関与が指摘されています。心理的ストレスでは、交感神経が常に優位となることで筋肉の過緊張や血行不良を生じ、腰痛の原因となる可能性があります。心理的ストレスによる腰痛は、レントゲンやMRIなどの画像診断では分からないため、原因不明の腰痛となる場合があります。
悪い姿勢などの生活習慣
デスクワークやスマートフォンの使用時に不良姿勢などの生活習慣が身についてしまうと、肩こりや腰痛の原因となる可能性が高まります。円背姿勢となる猫背では、背骨が丸まることで腰部への負担を増加させます。
体重増加や肥満体型
体重増加や肥満体型の方は、腹部の質量が増加することで反り腰傾向となります。反り腰傾向となると、腰の筋肉が常に緊張した状態となり、腰部痛を発症するリスクが高まるため注意が必要です。
腰痛の対処法

ここからは腰痛の対処法についてご紹介します。腰痛は時期によって、発症直後の状態である急性腰痛と、発症後に数カ月経過した慢性腰痛とに大別されます。
急性腰痛の場合では、投薬やブロック注射による痛みの管理や、横になり安静にすることが推奨されています。一方、慢性腰痛の場合は、マッサージやストレッチ、日常生活での生活習慣の見直しなど、症状に合わせた対処法が必要です。慢性腰痛の場合の対処法についてそれぞれ解説します。
特異的腰痛の対処法
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などが起因となる特異的腰痛の場合は、投薬やブロック注射、手術などの治療法が適応となります。先ずは整形外科を受診して医師の診断を受け、MRI検査などで原因を特定することが重要です。
非特異的腰痛の対処法
非特異的腰痛の場合は、原因が明確ではないため適切な予防が重要となります。方法としては、正しい姿勢の獲得や運動習慣の改善、心理的ストレスの解消などが適応となります。安静にすることよりも、ストレッチや腰痛体操などの運動を行うことが効果的な場合があります。
マッサージやストレッチを行う
慢性腰痛は、運動不足による血流不良が原因であることが多いです。血流を改善するには背骨から股関節の筋肉に対して、マッサージやストレッチなどのセルフケアを行うことをおすすめします。間違った方法を行うと逆に症状が悪化する危険性があるため、先ずは専門家の指導を受けましょう。
ゆっくりと入浴をする
ゆっくりと入浴する方法は、体の血液循環の改善や自律神経の調整、疲労回復などの効果が期待できます。就寝の1時間前を目安に、少しぬるめのお湯に20~30分ほど入浴することを心掛けましょう。半身浴も効果的なため、ご自身に合った方法で無理のない範囲で行ってみてください。
整体院で施術を受ける
さまざまな対処法を試しても症状が改善しない場合や、原因や対処法が分からない方は、整体院で施術を受けることをおすすめします。整体院では、院内での腰に対する施術だけでなく、ご自宅で行えるセルフケアの指導を受けることも可能です。
慢性的な腰痛でお悩みの方へ 筋膜に着目した解消法

慢性的な腰痛でお悩みの方へおすすめの解消法として、全身の筋膜を整えることで腰まわりが楽になる可能性があります。
筋膜は、全身にある筋肉などの組織や内臓などの臓器を包み込んでいる膜で、「第二の骨格」とも呼ばれています。この筋膜が硬くなることでさまざまな症状が誘発されるため、筋膜の機能を高めておくことが重要です。
整体院で相談する
筋膜リリースなどのアプローチを得意とする整体院に相談することもおすすめの対処法です。整体院では、状態に合った施術やセルフケアのアドバイスを受けることが可能で、継続的に通うことで、生活習慣の改善にも繋がり、お悩みの緩和や繰り返し予防が期待できます。 整体院によって施術対象となるお悩みや得意分野、施術方針が異なるため、HPや口コミなどの情報を事前に確認し、ご自身のお悩みに合った整体院を選択するようにしましょう。
腰痛の原因が分からずに悩んでいる方へ

今回は、腰痛の原因が分からずに悩んでいる方に向けて、腰痛の主な原因や種類、対処法についてご紹介しました。腰痛は原因や疾患が明確な特異的腰痛と、原因が明確でない非特異的腰痛に大別されます。
対処法としては、特異的腰痛の場合は整形外科を受診して、投薬や手術などの適切な治療法を受けることが重要です。非特異的腰痛の場合は、姿勢の改善、運動習慣の見直し、ストレス解消といった、原因に関連した対処法を行う必要があります。
慢性的な腰痛で悩んでいる方は、全身の筋膜調整を行うことで、腰痛の症状が楽になる可能性があります。慢性的な腰痛で悩んでいる方や、腰痛の原因が分からない方は、筋膜リリースなどのアプローチを得意とする整体院にご相談して生活習慣から見直してみるようにしましょう。
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監修
M&メディカルリハ
株式会社
執行役員
髙見 友
(たかみ ゆう)
保有資格
- 理学療法士
- 日本理学療法士協会会員
- 医科学修士(埼玉医科大学)
- Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS)
- ドイツ徒手医学認定セラピスト 2016年取得
- 認定理学療法士 運動器領域 2019年取得
経歴
- 2008年
- 千葉・柏リハビリテーション学院卒業
- 2008年
- いちはら病院勤務
- 2018年
- あかおぎ整形外科クリニック勤務
- 2019年
- M&メディカルリハ株式会社 執行役員就任