理学療法士の健康相談室
頭痛で夜眠れないほど痛い時の対処法|首こりや肩こり、頭痛の関係とセルフケアについて
頭痛によって夜に眠れない日々が続いているという方も多いのではないでしょうか?眠れないほどの頭痛には、「緊張型頭痛」と「偏頭痛」の2種類が関与している可能性があり、それぞれの原因に対して、適切な対処法を選択することが非常に重要となります。今回は慢性頭痛で睡眠に支障をきたして、不眠や寝不足になっている方に向けて、頭痛の特徴と関連する原因や対処法について解説します。
最終更新日: 2025.12.12
この記事は約5分で読み終わります。

眠れないほどの頭痛の種類と原因
病院に行っても明確な原因の診断はされないものの、「夜に眠れないほどの痛い」と現代人の多くが悩んでいる【頭痛】には以下の3種類があります。
- 偏頭痛(片頭痛)
- 群発頭痛
- 緊張型頭痛
偏頭痛(片頭痛)の原因と対処法
「偏頭痛(片頭痛)」は、脈を打つような痛みが頭部の両側、または片側に生じることが特徴の頭痛で、「嘔吐」「吐き気」「音や光に過敏」「めまい」などの自覚症状を伴う場合もあります。特に20代~40代で多く、また、女性が男性の4倍多く発症すると言われています。
偏頭痛(片頭痛)の発症原因は明確に解明されていませんが、脳の血管が急激に拡張することなどで頭痛が誘発されると言われていて、環境の変化や生活習慣も影響していると考えられます。
偏頭痛(片頭痛)の症状がある時は、「痛みのある部分を冷やす」「光や音などの刺激を避ける」などの対処療法に加え、リラックスできるような環境を作って精神的なストレスを減らす、姿勢を整えて身体にかかるストレスを減らすなどの工夫を心がけると良いかもしれません。
群発頭痛の原因と対処法
「群発頭痛」は、消炎鎮痛剤などの頭痛薬が効かない慢性的な激しい痛みが繰り返されることが特徴の頭痛で、20~40代の男性に多いとされていますが、発症率は1,000人に1人程度と他の2つの頭痛に比べて発症率は高くありません。
「鋭く尖っているもので突き刺されたような痛み」と表現される激しい頭痛が1日数回、数日から数ヶ月続くこともあり、「目の充血」「眼瞼下垂」「鼻づまり」「顔面の発汗」などの症状を伴う場合もあります。
「群発頭痛」の発症メカニズムは明確に解明されていませんが、「遺伝的要因」「自律神経失調」などの関与があると言われていて、「発作をいかにコントロールするか」が治療目標となります。
緊張型頭痛の原因と対処法
「緊張型頭痛」とは、頭部全体や後頭部に強い圧迫感や締め付けられるようなズキズキとする痛みが特徴の頭痛で、年齢や性別問わず現代人が悩む頭痛として大多数を占めると言われています。
ストレス、不良姿勢、眼精疲労などさまざまな要因によって筋肉が過剰に緊張していることが影響していると考えられていて、姿勢を中心に生活習慣を見直したり、筋膜リリースやストレッチなどのセルフケアで緩和できる可能性があります。
偏頭痛で眠れないときにおすすめの対処法
ここからは偏頭痛で眠れないときにおすすめの対処法について解説します。偏頭痛に該当した方は、以下にご紹介する対処法をぜひ試してみてください。
痛みがある部位を冷やす
偏頭痛由来の発作的な頭痛の場合は、痛みがある部位を冷やすことで、痛みを軽減させることが期待できます。偏頭痛は、血管が拡張して脳神経が刺激される神経痛が起因となると考えられているため、緊張型頭痛のように温めて血行を促進する対処法は適応できません。
冷やす方法としては、こめかみの辺りに冷却シートや氷枕、保冷剤などを当て、血管が拡張された状態を抑制することで症状の改善が期待できます。
光や音などの刺激を極力避ける
光や音などの刺激を避けることが重要です。例としては、太陽光線、パソコンやスマートフォンのブルーライトなどの光や、テレビやイヤホンから出力される音です。対策としては、日中の光の刺激が強い環境下では、サングラスやブルーライトカットの眼鏡を使用し、テレビやイヤホンなどの過度な刺激となる音に注意しましょう。
身体を無理に動かさない
症状がある際に無理に動作を行うと、自律神経である交感神経が優位となり、血管が拡張することで血流が増し、偏頭痛が悪化する可能性が高まります。偏頭痛の症状が誘発された際には身体を無理に動かさないように、リラックスできる環境下で休息するように心掛けましょう。
緊張型頭痛で眠れないときにおすすめの対処法
ここからはご自分でも解消できる、「緊張型頭痛」のセルフケアを中心に紹介します。
首や肩周り、身体全体を温める
緊張型頭痛は、緊張した首と肩回りの筋肉や身体全体を温めてほぐし、血行を促すことで痛みを緩和させることが期待できます。身体を温める方法としては、首や肩周りにホットタオルを当てる、お風呂で入浴をする、冷房や扇風機の冷風に直接当たらないようにする、靴下や手袋をする、ネックウォーマーや保温効果の高い衣類を着用する、飲み物は常温か温かいものを選ぶことなどをおすすめします。
頭や首、肩周りのマッサージやストレッチをする
頭や首、肩周りの筋肉に対してマッサージやストレッチを行い、筋肉の柔軟性や血行不良を改善することで、頭痛の症状を緩和させることが期待できます。ストレッチの際に勢いや反動をつけ過ぎることや、マッサージの際に筋肉を強く押しすぎると、症状が悪化する危険性があるため注意が必要です。
以下に頭、首、肩に関連するマッサージやストレッチの方法をご紹介しますので、眠れないほどの頭痛や肩こりで悩んでいる方は、ぜひチェックして試してみてください。
【頭皮のマッサージ】
頭部を頭頂部、側頭部、前頭部、後頭部に分け、人差し指から小指の腹を使用してコリやツボに対して頭皮マッサージを行います。
- 頭頂部に人差し指~小指の腹を当て、細かな円を描くように動かしながら頭皮のマッサージを行う
- 側頭部も同様に行う
- 前頭部も同様に行う
- 後頭部は、図のように親指の腹を当て、円を描くように頭皮をマッサージする
※各部位ともに硬く凝っている部分を探し、20~30秒程度マッサージしましょう

【肩甲骨のストレッチ】
- 肩幅より少し広めに両手でタオルを持ち、図のように頭の上にあげる
- 頭の後方を通過するようにタオルを背中の方向に下げる
- 20回程度繰り返す
※動作中には肩甲骨を動かしながら、筋肉をほぐすことを意識して行いましょう
※肩を上げる際には横から見て、耳のやや後方に持ち上げるように意識しましょう

【首側面のストレッチ】
- 図のように右手を頭頂部のやや左側に置く
- 右手で頭部を右に倒し、首左側面の筋肉をストレッチする
- 対側も同様に行う
- 片側ずつ20秒×3セット程度行いましょう
※ストレッチ中には反対側の肩が上がらないように、下方に固定しておきましょう
※動作中には肩甲骨を動かしながら、筋肉をほぐすことを意識して行いましょう
※肩を上げる際には横から見て、耳のやや後方に持ち上げるように意識しましょう

※日本頭痛学会のホームページ内にも頭痛体操が紹介されていますので、気になる方は下記のURLをチェックしてみてください。
正しい姿勢を意識する
姿勢の軸となる背骨は、頭部を支える首、首から肩、肩から腰へとつながっています。
普段から正しい全身姿勢を意識するように心がけることで、そもそもコリや「緊張型頭痛」が生じにくくなります。
姿勢は日常生活の中で常に変化するものなので、パソコンやスマートフォンの使い方や枕や寝具の調整をするなど、正しい姿勢を自然と維持しやすい環境を意識することでより効果を高められます。
肩周りのストレッチと筋膜リリース
また、頭部は体重の10%ほどの重さがあるため、首を支える筋肉群の中には肩や背中までつながる大きな筋肉群も含まれています。
巻き肩や猫背などの不良姿勢は肩こりの原因と言われますが、肩は関節、筋肉、筋膜でも直接的につながっているため、肩周りの筋肉のこりは「首こり」や「頭痛」に影響しますし、「首こり」「肩こり」はほぼ同時に起きていて、それが「緊張型頭痛」とも関連しています。
肩周りのストレッチは、「肩甲骨」の動きを意識することで効果的なセルフケアになります。
首周りのストレッチと筋膜リリース
不良姿勢や長時間のスマホ使用などにより慢性的な「首こり」に悩む人が増えていますが、首は、目や口など日常生活活動に欠かせないパーツがある顔(頭)と身体(肩から下)をつなぐ部分で、重い頭を支える首周りの筋肉や骨格には毎日大きな負担がかかっています。
特に「後頭下筋群(こうとうかきんぐん)」と呼ばれる頭蓋骨(頭の骨)後部と頸椎(首の骨)を繋いでいる4種類の筋肉は、スマホ利用など日常生活で前に傾きがちな頭部を支えながら目の動きに合わせて首の位置を微調整する働きもあるため、「首こり」だけでなく、眼精疲労や頭痛などにも大きく影響する筋肉です。
この状態を放置すると神経や関節にも影響を与えるため、「頭痛」だけでなく、「眼精疲労」「めまい」「動悸」「吐き気」「痺れ」などにつながる場合も多いので、正しい姿勢を意識したセルフケアを行で、お悩みの根本にアプローチすると効果的です。
「首こり」は、日常生活における姿勢や活動などさまざま原因で生じます。
- 不良姿勢でのパソコン作業
- 下向きでスマートフォンを使う時間が長い
- 家事や勉強など下を向いた状態での作業時間が長い
- 運動不足や筋力低下
首周りの筋肉群が過剰に緊張している時は、無理にひっぱろうとしたり強い反動をつけると組織を傷つけて症状を悪化させてしまう場合もあります。
入浴後など、身体が温まってリラックスしている状態や整体院の筋膜リリースを受けた後、筋肉の異常緊張がない状態で行うことで、身体に余計な負担をかけない効果的なセルフストレッチになります。
緊張型頭痛と偏頭痛の改善が見込めないときの対処法
頭痛によって日中や就寝時などの眠れない日が続いているケースでは、早期に専門医が在籍する医療機関を受診して医師の診察を受け、症状について相談することが望ましいです。
医療機関では、頭痛薬の服用などの治療や、食欲不振、胃痛、吐き気、発疹、薬物乱用頭痛、眠気、集中力低下などの、副作用に対しての対処も行ってもらえるためおすすめです。また、強い頭痛の場合には、くも膜下出血などの重篤な病気を発症している危険性があるため、軽視して放置しないように注意してください。
内科や外科病院、頭痛外来などの医療機関に通院しても、明確な疾患を診断されず痛みが継続している場合には、整体院で施術を受けてみることで、全身の筋肉がほぐされることでリラックスできてお悩みを軽減することが期待できます。
整体院の施術では、骨盤ケアによるアプローチが期待できます。さまざまな対処法を試しても症状が軽減しない方は、整体院での施術を受けることで、筋肉の緊張状態がほぐされリラックスできるとともに、ご自身に合ったセルフケアについてアドバイスを受けることができます。
頭部のマッサージと筋膜リリース
頭部にも複数の筋肉があり、肩や首から筋膜までもつながっています。
筋膜のつながりを意識した筋膜リリースやマッサージを行うことで症状の緩和にしやすくなります。
頭痛で寝れないときは痛みの種類によって対処しよう
頭痛によって眠れない日々が続いているという方に向けて、緊張型頭痛と偏頭痛に関連する原因や対処法について解説しました。
前述したように、緊張型頭痛と偏頭痛では原因と対処法がそれぞれ異なり、適切に対処することが非常に重要となります。
また、医療機関を受診しても特に原因がなく、症状が改善しないケースでは、整体院で施術を受けてみることをおすすめします。眠れないほど悩んでいる方は、ぜひ一度整体院にご相談し、首や肩まわりを中心に全身の筋肉をほぐしてみてください。
関連記事
RELATED POSTS
注目キーワード
KEYWORD
監修
M&メディカルリハ
株式会社
執行役員
髙見 友
(たかみ ゆう)
保有資格
- 理学療法士
- 日本理学療法士協会会員
- 医科学修士(埼玉医科大学)
- Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS)
- ドイツ徒手医学認定セラピスト 2016年取得
- 認定理学療法士 運動器領域 2019年取得
経歴
- 2008年
- 千葉・柏リハビリテーション学院卒業
- 2008年
- いちはら病院勤務
- 2018年
- あかおぎ整形外科クリニック勤務
- 2019年
- M&メディカルリハ株式会社 執行役員就任