理学療法士の健康相談室

土踏まずが痛いのは「足底腱膜炎」が原因?対処法や予防法は?

土踏まずが痛いのは「足底腱膜炎」が原因?対処法や予防法は?

歩く時に土踏まずが痛む足底腱膜炎の原因や症状、対処法について解説。痛みの慢性化を防ぐための早めのケアや、再発させないための予防法を詳しく紹介します。

最終更新日: 2025.12.16

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土踏まずが痛い原因は「足底腱膜炎」

土踏まずが痛い原因は「足底腱膜炎」

足底腱膜炎とは、足底腱膜という膜組織に負担がかかったことで炎症を起こす状態です。

起床後の最初の一歩や立ち上がるとき、歩き始めたときなどに痛みを感じやすく、しばらく歩いていると徐々に痛みが和らぎます。放置すると症状が悪化し、痛みが強くなったり長引いたりするようになるおそれがあります。

足底腱膜炎を起こす原因は?

足底腱膜炎が起きる主な原因として、下記の4つが考えられます。

・扁平足・外反母趾などの足の変形
・筋力の低下
・スポーツ・立ち仕事
・靴のサイズが合っていない

各項目の詳細を解説しますので、「足底腱膜炎かも?」と思ったら、該当するものがないかどうかをチェックしてみましょう。

扁平足・外反母趾などの足の変形

足底腱膜炎の原因のひとつが、扁平足や外反母趾による足の変形です。扁平足とは、足裏の土踏まず部分のアーチがない、または低い状態のことを指します。

一方、外反母趾とは、足の横方向のアーチが崩れて親指が内向きに曲がり、足が変形したり痛みを感じたり、炎症が起きたりする状態です。いずれも足の変形をともなうため、足底腱膜炎を併発するおそれがあります。

筋力の低下

足の筋力が弱いことで、足底腱膜炎が引き起こされる場合もあります。土踏まずは、歩く、立ち上がるなどの動作をしたときに身体にかかる衝撃を吸収する役目を担っています。

しかし、足の筋力が弱いと土踏まずへの負担が増大します。その結果、足底腱膜炎を発症することがあるのです。

スポーツ・立ち仕事

スポーツや立ち仕事も、足底腱膜炎を起こす原因のひとつです。スポーツ中や立ち仕事中は、常に足底腱膜が緊張状態にあるためです。

長時間緊張状態が続くと筋肉に疲労が溜まり、足底腱膜炎を起こしてしまう場合があります。

靴のサイズが合っていない

サイズが合わない靴によって、足底腱膜炎を発症する場合があります。靴は足への衝撃や負荷を緩和するためのものです。

しかし、サイズが合っていないとかえって足に負担がかかり、足底腱膜炎につながることがあるのです。サイズが合っていても、靴ひもが緩く靴内部で足がずれてしまう場合は、足底腱膜炎が起こる可能性があります。

足底腱膜炎の対処法

足底腱膜炎の対処法

足底腱膜炎は、放置すると症状が悪化する場合があります。そのため、足底腱膜炎が疑われる場合は、早めに対処することが大切です。ここでは、足底腱膜炎の対処法を3つ紹介します。

足を温める

足底腱膜炎になったときは、とりあえず湯船につかって足を温めてみましょう。足底腱 膜炎になると、足の筋肉や関節がこわばり柔軟性が失われます。その状態で足が冷えると、痛みが悪化しかねません。

湯船につかってしっかりと温めれば、柔軟性が戻って痛みが緩和される可能性があります。

マッサージする

ふくらはぎや足首をマッサージすることも、足底腱膜炎の痛み緩和に役立ちます。ふくらはぎや足首は足底腱膜に近い場所にあるため、マッサージをして緊張をほぐすと足底腱 膜炎の痛みが和らぐ場合があるのです。

ただし、マッサージの際に強く押すと、余計に筋肉が緊張して痛みが悪化する可能性があります。グイグイと強く押すのは避けて、やさしくもみほぐしましょう。

ストレッチを行う

ストレッチを行い筋肉の柔軟性を向上させるのも有効です。おすすめのストレッチを2つ紹介しますので、さっそく取り入れてみてはいかがでしょうか。

アキレス腱のストレッチ

アキレス腱のストレッチ

1.真っ直ぐ立つ
2.右足を大きく後ろに下げる
3.左足の膝をゆっくりと曲げていく
4.アキレス腱の伸びを感じたら30~60秒ほどキープする
5.元の体勢に戻り、足を入れ替えて同じ動作を行う

無理に伸ばすのではなく、ゆっくりとした動作で気持ち良く伸ばしましょう。

足底腱膜・足首のストレッチ

足底腱膜・足首のストレッチ

1.椅子に座る
2.右足を左足の膝上に乗せる
3.足の指とかかとをそれぞれ手で押さえる
4.足の指を反らせて10秒キープする
5.元の体勢に戻り、足を入れ替えて同じ動作を行う

左右それぞれ10回ずつ、1日3セット行うのが理想です。足裏とともにふくらはぎや足首の筋肉を鍛えると、足関節の周辺の安定感が高まります。

足底腱膜炎の予防法

足底腱膜炎の予防法

足底腱膜炎は一度痛みが落ち着いても再発することがあるため、痛みが出ないように予防することも重要です。そこで、足底腱膜炎の予防法を紹介します。

運動量を調整する

足底腱膜炎の原因がスポーツだと考えられる場合は、運動量を調節しましょう。特にサッカーやバスケットボールなど、走ったり飛んだりする動きが多いスポーツをしていると足底腱膜炎を発症しやすいといわれています。

足裏に違和感や痛みを覚えたときは、少し練習量を減らすなどしてオーバーユースにならないようにすることが大切です。

テーピングをする

足裏のアーチが崩れると、クッション性が低下し衝撃を吸収しきれなくなるため、足底腱 膜炎を発症しやすくなります。

そのため、テーピングをして足裏のアーチをサポートするのも、足底腱膜炎予防に有効です。アーチをサポートするためのテーピングは、下記の手順で行いましょう。

1.足首を90度に曲げる
2.【1本目】足裏側の親指付け根から小指付け根までテープを巻く
3.【2本目】足裏側の親指付け根→かかと外側側面→かかと後ろ→かかと内側側面→親指付け根の順にぐるりとテープを巻く
4.【3本目】足裏側の小指付け根→かかと内側側面→かかと後ろ→かかと外側側面→親指付け根の順にぐるりとテープを巻く
5.【4本目】足裏側の中指付け根→かかと外側側面→かかとの後ろ→かかと内側側面→親指付け根の順にぐるりとテープを巻く

かかとの後ろでは、2~4本目までのテープが重なっている状態です。足の甲やアキレス腱にはテープがかからないようにしましょう。

トレーニングを行う

足裏を鍛えるトレーニングを行うのもおすすめです。足裏の筋力をバランスよく使える アーチが崩れにくくなり、足底腱膜炎が起こりにくくなります。足底腱膜炎予防に役立つトレーニングを2つ紹介しますので、ぜひ実践してみてください。

タオルを使ったトレーニング

1.床にタオルを広げて敷く
2.椅子に座る
3.右足をタオルの上に乗せる
4.足の指を使ってタオルを5〜10回たぐり寄せる
5.タオルから足を離して、タオルを広げ直す
6.左足で3~5の動作を行う

畳やカーペットの上だと、タオルが滑らないのでうまくできません。フローリングなどの摩擦が少ない場所で行いましょう。

グー・チョキ・パーのトレーニング

1.【グー】右足のすべての指をぐっと握り込む
2.【チョキ】右足の親指以外の指をぐっと握り込む
3.【パー】右足の指がそれぞれ離れるように広げる
4.左足でも1~3の動作を行う

1~3の動き10回×1セットとして、合計3セット行います。グーの動きのときは、足の甲側の出っ張り(MP関節)がしっかりと浮き出るように握り込みましょう。

クッション性のある靴を履く

足裏への衝撃は足底腱膜炎を招きます。靴底のクッション性が高い靴を履く、衝撃吸収効果のあるインソールを入れるなどして、足を衝撃から守りましょう。

まとめ

土踏まずに痛みを感じるのは、足底腱膜炎が原因の可能性があります。土踏まずに痛みを感じたら、症状が悪化する前に足を温める、マッサージするなどして対処しましょう。

また、痛みが出ないように予防することも大切です。足の使いすぎには注意し、過度に負担を与えないようにしましょう。

監修

髙見 友

M&メディカルリハ
株式会社
執行役員

髙見 友
(たかみ ゆう)

保有資格

  • 理学療法士
  • 日本理学療法士協会会員
  • 医科学修士(埼玉医科大学)
  • Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS)
  • ドイツ徒手医学認定セラピスト 2016年取得
  • 認定理学療法士 運動器領域 2019年取得

経歴

2008年
千葉・柏リハビリテーション学院卒業
2008年
いちはら病院勤務
2018年
あかおぎ整形外科クリニック勤務
2019年
M&メディカルリハ株式会社 執行役員就任
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