理学療法士の健康相談室

慢性的な肩こりの原因とは?疑いのある病気や対処法、セルフケア

慢性的な肩こりの原因とは?疑いのある病気や対処法、セルフケア

慢性的な肩こりに悩んでおり、医療機関に通院しても症状の回復が一向に見込めていない方も多いのではないでしょうか?肩こりは運動不足によるなで肩だけでなく、加齢による身体の変化、内的な疾患、心理的要因など様々なタイプの原因が関連しており、適切な対処法を理解することが非常に大切です。 今回は慢性的な肩こりで悩む方に向けて、原因や疑いのある病気、対処法、セルフケアなどについて解説します。

最終更新日: 2025.12.05

この記事は約4分で読み終わります。

慢性的な肩こりの主な原因とは?

肩こりは筋肉の緊張や加齢の変化、内的な疾患、慢性的なストレスなど多くの原因が関連しています。主な原因の詳細について解説しますので、ぜひチェックしてみてください。

肩回りの筋肉の緊張や硬直

首すじや肩回りの筋肉は、重量のある頭部や腕を支えているため、通常の立位姿勢でも緊張した状態を保っています。長時間の緊張状態では、筋肉内に疲労物質が溜まることで硬くなります。

例としては、デスクワークや立ち仕事といった長時間同じ姿勢となる習慣のある方や、運動不足によって猫背や前屈み姿勢となりやすい方、冷房に当たり過ぎて身体が冷えて血行不良となっている方などです。 

このように筋肉の過緊張を生じたケースでは、血管の圧迫による血行不良だけでなく、神経に負担をかけてしまう可能性や、痛みやこり感、頭痛、眼精疲労などの症状を増悪させる危険性があり注意が必要です。

加齢による骨や軟骨の衰え

加齢によって骨や椎間板などが変形し、肩こりを増悪させる場合もあります。椎間板とは、頚椎から腰椎の椎骨間にある組織で、衝撃吸収の役割を担う軟骨です。

骨や椎間板の変性を生じる変形性頚椎症という疾患などは、首や肩の痛みやこりの症状が誘発されることが多いと報告されています。 また、50代付近で肩の痛みやこりの症状が誘発されている場合は、女性に多いとされる五十肩や胸郭出口症候群などを発症しているケースもあります。加齢による五十肩の場合でも、骨や軟骨、腱、靭帯の変性が原因である可能性があり、肩関節の負担を軽減させることが重要です。

内的な疾患

慢性的な肩こりなどに関連する深刻な状態が継続している場合は、内的な疾患を患っているケースがあります。深刻な症状としては、息苦しさ、息切れ、胸の痛み、むくみ、高血圧などで、疾患としては心筋梗塞、狭心症、肺気腫、肺がんなどが考えられます。これらの深刻な症状に該当する方は、早期に医療機関を受診するようにしてください。

慢性的なストレス

慢性的なストレスで悩んでいると、自律神経が乱れて交感神経が優位になります。交感神経が優位になると、身体がリラックスできず常に緊張した状態となり、肩こりや頭痛、動悸、不眠、高血圧などの身体的不調を生じます。 食事、睡眠、仕事、人間関係などのライフスタイルの改善と、ストレス解消が期待できる自分に合ったリラックス法を実践してみましょう。

慢性的な肩こりの原因がはっきりしないときにおすすめの対処法

肩甲骨付近の施術をおこなう整体師

肩こりの原因がはっきりしない場合は、医療機関の受診や薬の服用、ストレッチをすることがおすすめの対処法です。具体的な方法を紹介しますので、ぜひチェックしてみましょう。

医療機関の診断を受ける

慢性的な肩こりや症状が強い場合は、整形外科などの医療機関を受診して、医師の診察を受けることをおすすめします。医療機関を受診した方が良い症状としては、痛みが強くて動けない方や、頭痛・めまい・吐き気・手足のしびれなどがある場合です。これらの症状がある方は注意が必要で、なるべく早期に医療機関を受診してください。

薬を服用する

薬の服用もおすすめの方法です。

しかし、あくまでも一時的に痛みを緩和させるための方法であることを理解する必要があります。非ステロイド性消炎鎮痛薬を服用すると、痛みの軽減による筋肉の緊張緩和が期待できます。 内服薬が苦手な方でも湿布や塗り薬などの外用薬を使用することで、肩の痛みを和らげることが期待できますので、医療機関を受診して医師に相談してみましょう。

ストレッチをする

セルフケアとして、僧帽筋や肩甲挙筋などのストレッチを行うこともおすすめの方法です。具体的な方法には、リラックスした状態で自然な呼吸をしながら肩を軽く回すことや、肩を上げ下げするだけでも筋肉の張りや血行が改善することなどが挙げられます。自己流でストレッチを行ってしまうと、症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。 肩こりに効果的なストレッチ方法をご紹介しますので、痛みが誘発されない範囲でぜひ試してみてください。

【肩回し体操】

両手を肩の上に置く

肘を大きく回しながら円を描き、肩と肩甲骨を可動させる

前から後ろ、後ろから前の両方の動きを行う

肩回し体操

【肩の上げ下ろし体操】

両肩を耳に近づけるように上げる

3秒程度キープした後に、脱力することで肩を下げる

※肩を上げる際には横から見て、耳のやや後方に持ち上げるように意識しましょう

肩の上げ下ろし体操

整体院の施術を受ける

慢性的な肩こりで悩んでいる場合や、いくつかの対処法を試しても症状が改善されない方は、整体院で施術を受けてみるのがおすすめです。整体院の施術では、骨盤のケアによって肩こりへのアプローチが可能です。慢性的な肩こりで悩んでいる方は、ぜひ整体院にご相談するとともに、セルフケアやライフプランの見直しを試してください。

慢性的な肩こりの原因をつくらないためにおすすめの予防法・セルフケア

肩の可動域を確認する整体師

慢性的な肩こりの原因をつくらないために、おすすめの予防法とセルフケアについてご紹介します。肩こりで悩んでいる方は、ぜひ試してみてください。

正しい姿勢を身に付ける

猫背や前屈みなどの不良姿勢では、肩こりや肩甲骨周辺の痛みを引き起こす場合があります。このような不良姿勢では、首の後ろから肩にかけての筋肉をより硬直させ、血行不良を招いてしまいます。 パソコンやスマートフォンの使用時や、デスクワーク時などの長時間の座位姿勢時、重さのある物を持ち上げる作業時などには、猫背や前屈みなどの不良姿勢に十分注意するように心掛けましょう。

適度な運動をする習慣を付ける

肩こりの改善にはストレッチに加えて、適度な運動を行う習慣を付けることが効果的です。方法としては、肩周辺を動かすことで血流を改善し、筋肉を鍛える運動がおすすめです。 適度に肩を可動させて血流を改善させるウォーキングやジョギング、水泳、エアロビクス、ヨガ、筋力トレーニング、マッサージなどが効果的です。 肩を動かすと逆にこるのではと思っている方もいますが、これらの低負荷の運動は慢性的な肩こりや痛みを軽減させることが期待できます。

日頃から身体を温めるようにする

血行不良が長期的に継続すると、肩こりの症状が悪化する可能性があり注意が必要です。解決方法としては、冷房や扇風機などの冷風に直接当たらないようにし、冷える環境ではネックウォーマーや靴下などの、保温性のある防寒着の着用をおすすめします。 また、冷たい飲み物の飲みすぎにも十分注意し、帰宅後の入浴はシャワーで済ませず、湯船に浸かりながら身体を温めるように心掛けましょう。

慢性的な肩こりで悩んでいる方へ

女性にカウンセリングをおこなう整体師

今回は慢性的な肩こりで悩んでおり、医療機関に通院しても症状の回復が一向に見込めていない方に向けて、原因や疑いのある病気、対処法、セルフケアなどについて解説しました。慢性的な肩こりには運動不足、加齢による身体の変化、内的な疾患、心理的要因など様々なタイプの原因があるため、先ずは医療機関を受診して医師の診察を受けることをおすすめします。 

また、今回ご紹介した姿勢の改善やストレッチなどの適度な運動、身体を温めるといった効果的な対処方法は、今日からでも実践できますので試してみてください。慢性的な肩こりで悩んでいる方や、対処方法が分からない方はぜひ整体院にご相談ください。

監修

髙見 友

M&メディカルリハ
株式会社
執行役員

髙見 友
(たかみ ゆう)

保有資格

  • 理学療法士
  • 日本理学療法士協会会員
  • 医科学修士(埼玉医科大学)
  • Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS)
  • ドイツ徒手医学認定セラピスト 2016年取得
  • 認定理学療法士 運動器領域 2019年取得

経歴

2008年
千葉・柏リハビリテーション学院卒業
2008年
いちはら病院勤務
2018年
あかおぎ整形外科クリニック勤務
2019年
M&メディカルリハ株式会社 執行役員就任
店舗を探す