理学療法士の健康相談室

肩が上がらないときの対処法は?主な原因や控えるべきこと

肩が上がらないときの対処法は?主な原因や控えるべきこと

肩が上がらないことで悩んでいる方も多いのではないでしょうか?肩が上がらない主な原因としては、肩こり、肩の炎症、肩関節の脱臼、腱板損傷、石灰沈着性腱板炎、骨折などの整形外科疾患の関与が考えられます。 今回は、肩が上がらないことで悩んでいる方に向けて、原因と主な症状、控えるべきことや対処法について解説します。肩が上がらないことで悩んでいる方は、この記事をチェックしてみてください。

最終更新日: 2025.12.05

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肩が上がらない主な原因は?

肩が上がらない主な原因について解説します。主な原因としては、肩こり、肩の炎症、肩関節の脱臼、腱板損傷、石灰沈着性腱板炎、骨折などの整形外科疾患を患っている可能性があげられます。原因と症状の詳細について解説いたしますので、肩の症状で悩んでいる方はチェックしてみてください。

肩こり

肩こりの主な症状は、首から肩にかけての張り感やコリ感、痛みや重だるさを生じます。症状が悪化すると頭痛や吐き気、めまい、眼精疲労、耳鳴りなどが出現する場合もあります。

主な原因としては、猫背やなで肩などの不良姿勢、重労働、長時間の同じ姿勢、運動不足、冷えなどが影響する可能性があります。これらの負担によって、僧帽筋や後頭下筋群などの首から肩、背中、肩甲骨周辺の筋肉が硬くなり、筋肉疲労、血行不良、老廃物の蓄積を引き起こすことで症状が誘発されます。

肩の炎症

肩の炎症は一般的には四十肩や五十肩と言われていますが、疾患名としては肩関節周囲炎を指します。肩の炎症の主な症状は、肩を上げる動作や物を持つ動作によって痛みが出現し、重度のケースでは日常生活に支障をきたし、安静時痛や夜間痛などのズキズキとした痛みを生じます。

主な原因としては、日常生活動作の負担や加齢によって、肩の筋肉や腱、軟骨、靭帯、関節包、神経などの組織に炎症が生じることで発症します。好発年齢としては、40代や50代の人に発症しやすいと言われています。

肩関節の脱臼

肩関節の脱臼の主な症状は、腕に力が入らず肩が全く動かせなくなります。脱臼時の衝撃によって、靭帯や腱などの組織も同時に損傷し、強い痛みや関節の腫れを生じる場合があります。

主な原因としては、ラグビーや柔道などのコンタクトスポーツや、転倒などの強い外力による衝撃によって、上腕骨が関節から脱臼します。慢性的に脱臼を繰り返すと肩関節に緩みが生じてしまい、肩を動かす動作や物を持つ動作を行うだけで、簡単に脱臼することもあります。

腱板の損傷

腱板損傷の主な症状は、腕を上げる動作が困難となり、強い痛みが長期化する場合があります。中年以降の男性に多く発症し、安静時痛や夜間痛などの五十肩と類似した症状が出現するケースもあります。

主な原因としては、転倒や事故による外傷、加齢による退行性変化、重労働による使い過ぎなどによって、腱板という筋肉の腱が傷つくことで発症します。また、腱板が完全に切れて断裂した状態のことを腱板断裂と呼び、必要に応じて関節鏡を用いた手術が行われます。

石灰沈着性腱板炎

石灰沈着性腱板炎の主な症状は、急性型の場合は安静時や夜間に生じる急激な痛みで始まることが多いです。数カ月経過した慢性型の場合では、慢性的な鈍痛が継続し、腕を上げる動作や横に広げる動作、後ろに回す動作などで支障をきたします。好発年齢としては、40代や50代の女性に多く、四十肩や五十肩に類似した症状を生じます。

主な原因としては、肩の腱板内にリン酸カルシウム結晶という石灰が沈着することで炎症を生じ、石灰が溜まって膨らんでくると同時に、痛みや動作の制限が増すのが特徴の一つです。

骨折

骨折の主な症状は、動かせないほどの激痛と骨折部の腫れ、熱感、発赤を生じ、安静時痛や夜間痛を伴います。

主な原因としては、転倒や事故による強い外力による外傷です。骨折の治療としては、基本的には数カ月間のギプスや装具による固定を行い、不動による安静が重要となります。

肩が上がらないときの対処法

肩をあげられるよう施術する整体師

肩が上がらないときの対処法について解説します。対処法としては、医師の診察を受ける、整体院で相談する、専門家の指導の下で体操やストレッチをすることをおすすめします。詳細について解説しますので、肩が上がらないことで悩んでいる方は、適切な対処法についてチェックしてみてください。

医師の診察を受ける

肩が上がらない疾患や原因はさまざまで、症状が類似している病気もあるため、先ずは医師の診察を受けることが重要です。原因に応じた治療を受けることで症状の緩和が望めるため、必要に応じて消炎鎮痛剤の内服や注射、リハビリなどを処方してもらいましょう。肩が上がらずに悩んでいる方は、先ずは整形外科を受診することをおすすめします。

整体院で相談する

整体院で相談することもおすすめの対処法です。整体院では、状態に合った施術やセルフケアのアドバイスを受けることが可能です。継続的に通うことで、姿勢や筋肉のバランスが整い、セルフケアと相俟って肩のお悩みの繰り返し防止が期待できます。 また、整体院によって施術対象となるお悩みや得意分野、施術方針が異なるため、HPや口コミなどの情報を事前に確認し、ご自身のお悩みに合った整体院を選択するようにしましょう。

専門家の指導の下で体操やストレッチをする

患部の状態によっては、安静にするよりも適度に動かした方が良いケースもあります。そのため、専門家に現状を把握してもらってから専門家の指導の下に、筋肉や関節に対する体操やストレッチを行うことが非常に重要です。体操やストレッチなどは、姿勢改善にも繋がりますのでお悩みの緩和や再発予防の効果が期待できます。

肩が上がらないときに控えた方が良いこと

肩甲骨付近の施術をおこなう整体師

肩が上がらないときに控えたほうが良いことについて解説します。特に、無理に肩を動かす、専門機関へ相談せずに放置する、自己流のマッサージやストレッチをする、独断で冷やしたり温めたりすることには注意が必要です。以下に詳細について説明しますので、注意点について理解しましょう。

無理に肩を動かす

無理に肩を動かすことは、炎症などの症状を悪化させる危険性があるため注意が必要です。痛みや動かしにくさなどの症状が生じた場合は、痛い動作を無理に行わないようにし、安静を心掛けてください。

専門機関へ相談せずに放置する

早期に適切な治療を受けると治る確率もより高まりますが、軽視して放置すると状態が悪化し、より深刻な症状が出現するリスクが高まります。軽症なケースでも先ずは専門機関に相談し、早期に治療を開始するように心掛けましょう。

自己流のマッサージやストレッチをする

自己流のマッサージやストレッチは、患部に負担となる危険性や、症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。ご自宅でのセルフケアを取り入れる際には、先ずは専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。

独断で冷やしたり、温めたりする

急性症状には寒冷療法が適応となり、慢性症状には温熱療法が適応となります。このように時期や症状によって適応が異なるため、対処法を間違ってしまうと逆に症状が悪化する危険性が高まります。対処法の判断について悩んでいる方は、専門家の指導を受けることをおすすめします。

肩が上がらないことで悩んでいる方へ

体の旋回の駆動域をチェックする整体師と患者

今回は、肩が上がらないことで悩んでいる方に向けて、原因と主な症状、控えるべきことや対処法について解説しました。肩が上がらない主な原因としては、肩こり、肩の炎症、肩関節の脱臼、腱板損傷、石灰沈着性腱板炎、骨折などの整形外科疾患の関与が考えられます。 

これらの疾患は症状が類似しており、自己判断で症状を軽視することは非常に危険です。先ずは整形外科などの医療機関を受診して医師の診察を受け、専門家の指導の下で体操やストレッチを行うことをおすすめします。

監修

髙見 友

M&メディカルリハ
株式会社
執行役員

髙見 友
(たかみ ゆう)

保有資格

  • 理学療法士
  • 日本理学療法士協会会員
  • 医科学修士(埼玉医科大学)
  • Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS)
  • ドイツ徒手医学認定セラピスト 2016年取得
  • 認定理学療法士 運動器領域 2019年取得

経歴

2008年
千葉・柏リハビリテーション学院卒業
2008年
いちはら病院勤務
2018年
あかおぎ整形外科クリニック勤務
2019年
M&メディカルリハ株式会社 執行役員就任
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