理学療法士の健康相談室
ストレートネックでしびれる原因と対処法│首や肩、手足に現れる症状
ストレートネックで首や肩、手足にしびれを生じ、生活に支障が出てきて不安な方も多いのではないでしょうか?スマホ首とも呼ばれるストレートネックは、頚椎という首の骨が真っすぐになっている状態を指し、猫背や反り腰などの不良姿勢が原因となって発症します。 今回は、ストレートネックでしびれが発生する原因と対処法などについて解説します。症状が改善しない方や、長期的に悩んでいる方はこの記事をチェックし、対処法をぜひ実践してみてください。
最終更新日: 2025.12.12
この記事は約4分で読み終わります。
ストレートネックとしびれの関係性
先ずは、ストレートネックとしびれの関係性について理解することが大切です。ストレートネックは背骨のゆがみを生じる猫背などの不良姿勢との関連があり、首や肩回りへの負担によって神経症状が誘発されます。詳細について以下に解説しますので、しびれの仕組みについて理解しましょう。
ストレートネックとは
スマホ首とも呼ばれるストレートネックとは、頚椎という首の骨が真っすぐになってしまった状態を指します。正常の頚椎は前方に湾曲した形状となっていますが、背中が丸まった猫背や反り腰などの不良姿勢、長時間のスマホ操作、パソコン業務の座り姿勢などが原因で、正常な湾曲の配列が崩れることでストレートネックを発症します。
ストレートネックとは何かより詳しくは以下の記事をご覧ください。
ストレートネックの原因は?起こりがちな症状やセルフケアの方法

ストレートネックがしびれを起こす仕組み
ストレートネックがしびれを引き起こす仕組みについて解説します。ストレートネックのように首の配列が崩れると、頭の重さを分散できず、首や肩回りに過度な負担がかかります。
これにより頚部を中心とした神経の圧迫や損傷などによって神経が刺激され、顔、肩、手足のしびれや痛みだけでなく、頭痛、吐き気、眼精疲労、めまい、自律神経失調症などの不調を生じる可能性があるのです。
<ストレートネックのしびれでよくある症状>
- 首周りが全体的にしびれている感覚になる
- 肩から腕、指先まで全体的にしびれる
- 足首がしびれて力が入りづらい
- 手の小指や薬指がピリピリとしびれる
- 手のしびれでお箸やペンが持ちにくい
- しびれが強く、痛みを伴う
- 就寝時にしびれで目が覚める
- しびれによって長時間の座位姿勢やデスクワークに支障をきたす
- しびれと共に冷感や灼熱感を感じる
ストレートネックによるしびれは病気の疑いもある

ストレートネックでしびれを生じるときは、病気を患っている疑いがあり注意が必要です。
その中で、頚椎椎間板ヘルニアを発症しているケースがあります。頚椎椎間板ヘルニアとは、不良姿勢や不意な外力などによって頚部に負担がかかり、首の骨と骨の間にある椎間板という部位から髄核という組織が飛び出し、頚部の神経を圧迫する疾患です。
首周りや肩周りだけでなく、腕から手指にしびれや痛みを感じる場合は、症状が徐々に進行している状態と考えられます。初期症状としては、首こりや肩こりによる痛みや違和感が一般的で、これらの症状が出現した方は、早期に整形外科などの病院を受診してください。
また、頚椎椎間板ヘルニアは状態が悪化すると、しびれや麻痺が下半身などに出現するリスクがあり、軽視して放置することは非常に危険です。特に歩行に支障をきたしたり、排尿障害が出現したりするようなケースでは、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。
ストレートネックによるしびれの対処法と予防法

ストレートネックによるしびれへの対処法と予防法として、以下のような方法があげられます。
- 首周りのストレッチをする
- 整体院の施術を受ける
- 日頃から身体を温める
- 枕を適切な位置に調整する
- 正しい姿勢を身につける
それぞれ詳しく説明しますので、ぜひ実践してみてください。
首周りのストレッチをする
首周りのストレッチをすることは、筋肉のこりなどに直接的に行うセルフケアとして非常におすすめです。方法としては、後頭部中央から背中にある肩甲骨周辺の筋肉をストレッチし、後頭下筋群、僧帽筋、胸鎖乳突筋、背筋群などの伸張性や、筋肉内の血液やリンパの流れを促進することを目的に行います。
首から肩回りの筋肉のバランスを整えることによって、首や肩回りの過剰な負担を取り除き、その結果として、しびれや痛みの症状を緩和させる効果が期待できます。 ストレッチの際には、無理に引っ張ることや反動をつけてしまうと、効果的にストレッチできない場合や、痛みが増す危険性があるため注意してください。
【首側面のストレッチ】
- 右手を頭頂部よりやや左側の頭部に置く
- 顔は正面を向いたまま右手で頭部を右に倒した状態をキープし、左首側面をストレッチする
- 10~20秒×2~3セット程度、左右の首側面をストレッチする
※ストレッチ中は対側の肩を下方に固定しておく

【首後面のストレッチ】
- 仰向けに寝る
- 後頭部が地面に接地した状態から、顎を引き首の後ろの筋肉をストレッチする
- 10~20秒×2~3セット程度行う
※顎を引く際には力み過ぎないように注意し、軽く引くイメージで行いましょう

整体院の施術を受ける
しびれの症状が続いている場合や、いくつかの対処法を試しても症状が継続している方は、整体院で施術を受けてみることをおすすめします。整体院の施術では、骨盤ケアによって首や肩回りにアプローチしてバランスを整えるとともに正しい姿勢を身につけて、ストレートネック由来の悩みを取り除くことが期待できます。
日頃から身体を温める
日頃から身体を温めることもおすすめの対処法です。筋肉内の血流が低下すると、筋肉が過緊張の状態となり、しびれの症状が悪化する危険性があります。 解決方法として、冷たい飲み物の摂り過ぎや冷房などの冷風に当たり過ぎないように心掛け、靴下や手袋の使用、ネックウォーマーや保温性の高い衣類の着用を試してみてください。
枕を適切な位置に調整する
枕の高さを適切な位置に調整してみることも、首や肩への負担を軽減させることが期待できる方法としておすすめです。
適切な位置としては、①左右に寝返りやすい②呼吸がしやすい③顎や肩を中心に全身がリラックスできている、というポイントに注意して枕を選びましょう。 枕の購入が難しい方は、上記の点に注意しながらご自宅にあるバスタオルを使用し、適切な高さに折りたたむことでも代用可能です。
正しい姿勢を身につける
座っている姿勢での負担が多いため、座位姿勢時に正しい姿勢を身につけることが重要となります。デスクワークで長時間座るケースにおける注意点やポイントについて解説します。
正しい姿勢としては、①腰が丸まらないように座面に対して骨盤を垂直に立てる(腰は反り腰とならないように注意)②みぞおちを少し持ち上げる③顎を少し引く、というポイントを意識して座りましょう。
ストレートネックのしびれで悩んでいる方へ

今回は、ストレートネックで首や肩、手足にしびれを生じ、生活に支障が出て悩んでいる方に向けて、しびれが発生する原因と対処法などについて解説しました。
ストレートネックは、猫背や反り腰などの不良姿勢によって、首や肩の神経に負担がかかることで発症します。 同様な症状として、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症などの整形外科疾患を発症している危険性もあるため、先ずは医療機関を受診して医師の診察を受けることをおすすめします。日常生活の中で直ぐに行える方法としては、今回ご紹介した首周りのストレッチや身体を温めること、枕を適切な位置に調整すること、正しい姿勢を身につけることなどを実践してみてください。
医療機関での治療や、今回ご紹介した対処法を試しても症状が改善しない方は、ぜひ整体院にご相談し、正しいセルフケアの習得やライフスタイルの見直しを試してください。
関連記事
RELATED POSTS
注目キーワード
KEYWORD
監修
M&メディカルリハ
株式会社
執行役員
髙見 友
(たかみ ゆう)
保有資格
- 理学療法士
- 日本理学療法士協会会員
- 医科学修士(埼玉医科大学)
- Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS)
- ドイツ徒手医学認定セラピスト 2016年取得
- 認定理学療法士 運動器領域 2019年取得
経歴
- 2008年
- 千葉・柏リハビリテーション学院卒業
- 2008年
- いちはら病院勤務
- 2018年
- あかおぎ整形外科クリニック勤務
- 2019年
- M&メディカルリハ株式会社 執行役員就任