理学療法士の健康相談室

ストレートネック(スマホ首)とは?手足がしびれる原因?【セルフチェックとストレッチ方法】

ストレートネック(スマホ首)とは?手足がしびれる原因?【セルフチェックとストレッチ方法】

ストレートネックの原因が分からずに悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。ストレートネックを生じると、頭部から頸部の骨格のくずれや筋緊張の亢進が原因となって、血行不良、神経の圧迫刺激などを引き起こすリスクが高まり、肩や首周りの違和感、頭痛、めまい、吐き気、手や腕のしびれ、眼精疲労、むくみ、不眠、自律神経の不調といった症状が出現する可能性があります。 今回は、ストレートネック由来の不調が軽減せずに悩んでいる方や、原因や効果的なアプローチ方法が分からずに困っている方に向けて、ストレートネックの原因やおすすめの対処方法と予防方法についてポイントを解説します。

最終更新日: 2025.12.12

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ストレートネック(スマホ首)とは?

ストレートネック(スマホ首)とは、横から見た時に確認できる、頸椎の正常な前カーブ(前弯)がゆがみ、頸椎の配置が直線的になった状態のことです。

姿勢の軸となる背骨は、本来「自然なS字カーブ:頸椎(前弯)・胸椎(後弯)・腰椎(前弯)」を描いていることが理想です。

姿勢チェックで、ストレートネック(スマホ首)が確認できる場合、「巻き肩」「猫背」「反り腰」などの他の不良姿勢ポイントも確認できることがほとんどで、スマホが手放せないデジタル社会で生きる私たちの典型的な不良姿勢と言えます。

また、正常な骨配列がくずれたストレートネック(スマホ首)は、全身の骨格、筋肉や筋膜のバランスが崩れるため、首こりや肩こりだけでなく、手にまで広がる痛みやしびれ、頭痛やめまいなどの自律神経症状などにつながる場合もあるので、適切なセルフケアで姿勢を整えて、予防するようにしましょう。

ストレートネック(スマホ首)の症状

ストレートネック(スマホ首)は、名前の通り、首の骨(頸椎)の自然な後弯が消失して真っ直ぐになっている状態のことです。

私たちは、体重の10%ほどある頭を常に背骨の一番上に乗せて安定させた状態で様々な日常生活活動を行う必要がありますが、ボウリングのボールくらいの重さの頭を乗せた状態でも、重さや衝撃を分散させながら姿勢を安定させて歩行などの運動を行うために、頸椎の後弯を含んで腰までで背骨が自然なS字カーブを描いた構造になっています。

ストレートネック(スマホ首)の姿勢では、ボウリングボールほどの重さのある頭が前に出てしまっている状態であり、本来、背骨全体で支えていた頭の重さに引っ張られるように、特に首の後面から、肩〜背中の筋肉に大きな負担がかかるようになり、全身の筋肉、筋膜、骨格のバランスも崩れます。

筋膜とは何か詳しく見る

頸椎の中を通る脊髄神経は、全身の運動や感覚に作用する太い神経なので、頸椎の神経を通る隙間を圧迫するほどの不良姿勢が続くと、首や肩の違和感に留まらず、肩から指先まで、脚や足先など、広範囲の痛み、しびれ、こりなどの症状につながりやすくなります。

首や肩の違和感やこり

ストレートネック(スマホ首)では、特に首の後面から、肩〜背中の筋肉に大きな負担がかかるため、首や肩周囲の違和感やコリから症状を感じる場合がほとんどです。

もともと反り腰であったり、猫背など他の不良姿勢の影響(バランスをとるための代償動作)でストレートネック(スマホ首)になっている場合は、慢性的な腰痛で既にお悩みかもしれません。

このままストレートネック(スマホ首)を放置すると、首や肩の違和感の悪化だけでなく、全身の痛みやしびれなどの症状が出現したり、「頸椎椎間板ヘルニア」や「変形性頚椎症」など手術が必要な疾患につながる可能もあります。

できるだけ早い段階から、姿勢が悪くなりにくい生活習慣の調整や身体のアライメントを整える筋膜リリースやストレッチなどのセルフケアを習慣にするように心がけましょう。

「頭痛」「めまい」「吐き気」

ストレートネック(スマホ首)は、頸椎(頸部の骨)の自然な配列が消失してしまうため、頭〜首〜肩〜背中の筋肉に大きな負担がかかって筋肉が硬くなって血行不良などで筋肉のこりをまず感じますが、全身の筋肉のバランスが崩れた状態が続くと、第二の骨格と言われる全身を包み込む筋膜のバランスも崩れ、「頭痛」「めまい」「吐き気」など日常生活が困難になるようなお悩みにつながる可能性があります。

ストレートネック(スマホ首)で特に負担のかかる首〜肩〜背中の筋膜は、後頭部を経由して眉毛の辺りまで繋がっていますので、「緊張型頭痛」「片頭痛」「めまい」「吐き気」「目の辛さや重さ(眼精疲労)」「むくみ」「不眠」「自律神経失調症」などにつながる場合があります。

痛みやしびれ

ストレートネック(スマホ首)は、頸椎(頸部の骨)の自然な配列が消失してしまうため、首〜肩〜背中の筋肉に大きな負担がかかって筋肉が硬くなり血行不良になるだけでなく、脳から全身へつながる脊髄神経の通り道が狭くなったりズレたりする可能性もあります。

背骨の配列が乱れて神経の通り道が狭くなると、全身の運動や感覚を制御する神経が圧迫されることになるので、圧迫の位置や範囲によりさまざまな箇所に痛み、しびれ、運動障害を生じる可能性があります。

  • 首まわりが全体的にしびれている
  • 肩から腕を経由して指先まで全体的に痺れている
  • 指がピリピリする感じがする
  • 手が痺れて箸やペンなどが持ちにくい

しびれだけなく、冷感や灼熱感、痛みの感覚を伴ったり、細かい動きが困難となる場合もあります。

「頸椎椎間板ヘルニア」や「変形性頚椎症」など、手術が必要な疾患に進行する可能性もありますので、痛みや痺れの状態がひどくなる前に、医療機関を受診するようにしましょう。

ストレートネック(スマホ首)の原因

ストレートネック(スマホ首)は、スマートフォン利用やデスクワークが長時間続く現代人に生じやすい典型的な不良姿勢です。また、ベッドマットの硬さや枕の高さなどによる睡眠時の姿勢が原因となっている場合もあります。

ストレートネック(スマホ首)のセルフチェック

ストレートネック(スマホ首)を解消するには、まず正しい姿勢と比較して、自分の姿勢の問題がどこにあるのか確認することが第一歩となります。

以下のチェックリストで3つ以上当てはまる場合は、要注意です。

  • 首こりや肩こりを感じている
  • 目が疲れやすい
  • ドライアイである
  • 猫背だとよく言われる
  • スマホやパソコンを毎日長時間連続して使う
  • スマホを枕元に置いて寝ている
  • 上を見上げる時に首がつまる感じがある(上を向きにくい)
  • 口を開けた時指が縦に3本入らない

首は、脳と全身を繋ぐ神経や血管の通り道なので、ストレートネック(スマホ首)を放置すると、「やる気が起きない」「身体が疲れやすい」「なんとなく全身がだるい(不調である)」「口が開きにくい」「二重顎」「老けて見える」などにもつながりやすくなります。

毎日の生活を充実させるためにも、生活習慣の見直しやセルフケアから対策を実践しましょう。

ストレートネック(スマホ首)のセルフケア

ストレートネック(スマホ首)は生活環境を整えて良い姿勢を意識した上で、全身の筋膜や筋肉のバランスを整える筋膜リリースやストレッチを習慣化することで、予防したり症状の緩和ができます。

既に痛みや痺れなどの症状がある場合は、まず医療機関に相談してから、適切なセルフケアを取り入れるようにしましょう。

スマホを正しい姿勢で使う

ストレートネック(スマホ首)は、スマートフォンを長時間使う現代人の典型的な不良姿勢なので、まず「正しい姿勢」を意識し、正しい姿勢を維持しながらスマホを使うようにすることが、一番根本的な対処法になります。

正しい姿勢で座れたら、脇をしっかり閉めてスマートフォンの画面を目線の高さに合わせることで、首への負担がかかりにくくなります。「猫背」にならないように「胸を張る」意識と腰痛予防のための座面設定や座り方も一緒に意識することも重要です。

なお、「ベッドやソファに横になってスマホを見る」「下を向いてスマホを見る」ことは絶対に避けるようにしましょう。

枕や寝具を見直す

毎日何時間も続く睡眠中の姿勢は、安眠のためにはもちろん、日常生活で歪んだ姿勢をリセットするためにもとても重要です。

寝具の硬さや枕の高さが適切かどうか、以下のポイントを中心に確認してみましょう。

  • 左右どちらにも寝返りしやすい
  • 呼吸がしやすい(苦しくない)
  • 顎、肩がリラックスできる
  • 全身のどこにも余計な力が入らない

まくらが高すぎて、睡眠中もストレートネック(スマホ首)のような姿勢になっている場合は、枕の代わりにタオルを畳んだり重ねたりして適切な硬さに調整して代用する方法もあります。

身体を温める習慣を取り入れる

入浴、散歩などの全身運動や有酸素運動を習慣化する、冷たい飲み物や冷房温度を下げすぎない、ネックウォーマーを使う、など体温を下げない工夫を日常生活に取り入れましょう。

体温が下がると血行不良となり、筋肉の緊張のアンバランスが整いにくくなります。

首周りのストレッチや筋膜リリースをする

ストレートネック(スマホ首)では、頭部を直接支える筋肉群に特に大きな負担がかかります。

強い力で引っ張られて緊張している筋肉やスムースな滑走ができなくなった筋膜を優しく解きほぐすことで、首から頭部への血流が改善するので、こり、痛み、しびれの緩和しつつ、不良姿勢を正しい姿勢へ整えることにつながります。

強い負担がかかり悲鳴をあげている筋肉や筋膜にアプローチしますので、無理に引っ張ったり、反動をつけて大きく動かそうとするのではなく、負担がかかって硬くなっている場所を解きほぐすようなイメージで行うようにしましょう。

監修

髙見 友

M&メディカルリハ
株式会社
執行役員

髙見 友
(たかみ ゆう)

保有資格

  • 理学療法士
  • 日本理学療法士協会会員
  • 医科学修士(埼玉医科大学)
  • Certified Fascial Manipulation® Specialist (CFMS)
  • ドイツ徒手医学認定セラピスト 2016年取得
  • 認定理学療法士 運動器領域 2019年取得

経歴

2008年
千葉・柏リハビリテーション学院卒業
2008年
いちはら病院勤務
2018年
あかおぎ整形外科クリニック勤務
2019年
M&メディカルリハ株式会社 執行役員就任
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