冷房は肩こりの原因
暑い季節に冷房が効いた部屋で長時間過ごすと、「クーラー病(冷房病)」と呼ばれる不調が生じることがあります。肩こりもクーラー病の典型的な症状のひとつです。
下記の不調に気が付いたら、冷房の使い方や普段の生活の仕方を見直しましょう。
・身体がだるい
・寝ても疲れが取れない
・食欲がでない
・お腹の調子が悪い、便秘が続いている
・肩や腰の筋肉がこわばり、痛みがある
・関節が痛む
・足がむくんでいる
・夏なのに手足が冷たい
・月経不順や更年期障害に似た症状がある
冷房が肩こりを引き起こす理由
冷房が肩こりを引き起こす理由として、下記3つがあげられます。
理由1.自律神経の働きを乱すため
夏に身体の不調が起こりやすいのは、冷房が自律神経の働きを乱すためです。人間の身体は暑さにさらされると自動的に発汗を促したり血管を広げたりして、体温を調節します。この、体温を調節しているのが自律神経です。
自律神経による体温調整は、暑い屋外から冷房の効いた室内に出入りするたびに行われます。しかし、冷房によって頻繁に温度変化にさらされると自律神経に負担がかかり、うまく機能しなくなることがあります。
自律神経は体温調節や血流、心拍数などの生きるために必要な機能を司る神経系です。冷房によって適切な体温調節ができなくなると血流が悪くなり、筋肉が凝り固まって肩こりが生じます。また、血圧や心拍数、消化などの機能も乱れて、さまざまな不調が引き起こされます。
理由2.寒暖差による疲労を引き起こすため
冷房が効いた部屋と暑い外への出入りを繰り返すと、頻繁な体温調節によって身体はエネルギーを消費して疲れます。冷房を入れる期間が続くほど疲労が蓄積して、だるさや倦怠感を感じやすくなります。
この寒暖差疲労は、クーラー病の典型的な症状です。寒暖差疲労が続くと自律神経の働きも乱れて、肩こりや頭痛、下痢、便秘などのさまざまな症状につながります。
理由3.冷えが血流を滞らせるため
冷房によって身体が冷えると血管が収縮し、血液が流れにくくなるのも不調を引き起こす理由のひとつです。
血行が滞ると細胞に酸素や栄養が供給されず、肩こりや頭痛、腹痛などが起こりやすくなります。また、不眠ややる気が出ないなど、メンタルの不調にもつながりやすいため、注意が必要です。
冷房による肩こりになりやすい人の特徴
冷房による肩こりになりやすいのは、比較的筋肉量が少ない女性や高齢者です。ただし、成人男性でも冷房にさらされ続けると、体調を崩しやすくなります。男性は自分の冷えに気付きにくいため、疲れやすい方は冷え対策に取り組みましょう。
また、空調で一定の温度が保たれたオフィスで長時間過ごす方も、冷えによる肩こりになりやすい傾向があります。動脈硬化や血管老化にともない皮膚感覚が鈍くなっている方も、手指が冷えていないか日常的に確認することが大切です。
冷房による肩こりの対処法
冷房による肩こりには、血行を促すストレッチやマッサージが有効です。ここからは、筋肉の緊張や痛みを和らげる具体的な方法をみていきましょう。
対処法1.ストレッチする
ストレッチで凝り固まった肩の筋肉を引き伸ばすと血管への圧迫が減り、血液が流れやすくなります。また、身体が温まり血行も促進するため、下記の要領で取り組みましょう。
肩を回すストレッチ
凝り固まった肩の筋肉をほぐすストレッチです。
1.足を肩幅に開いて立つ
2.手の指先を軽く肩につけ、胸を張って背筋を伸ばす
3.腕ごと両肩を前に10回ゆっくりと回す
4.いったん止まり、今度は肩を後ろにゆっくり10回ずつ回す
背中を伸ばすストレッチ
首から背中にかけて広がる「僧帽筋」まわりをほぐすストレッチです。
1.足を肩幅に開いて立つ
2.手のひらを前に向けて、ゆっくりと両手を頭の上にあげて伸ばす
3.手のひらを前に向けたまま両手をゆっくりおろし、肘を身体に引きつける
4.2~3を10回繰り返す
肩のリフレッシュ体操
椅子に座ったままできる、肩をほぐすストレッチです。仕事の合間に取り組みましょう。
1.椅子に座ったまま背筋を伸ばす
2.右手で左肩を押え、力にあらがうように左肩を上げてから脱力してストンと落とす
3.手を入れ替え、右肩も同様に動かす
4.両手の指を曲げて胸の前で組みあわせ、ゆっくりと力を入れて左右に引っ張る
5.いったん力を抜き、今度は両手のひらを合わせてゆっくり力を入れて押し合う
6.右手で左手首をつかみ胸の高さにあげ、左肩を外に10回、内に10回ずつ回す
7.手を入れ替え、右肩も同様に回す
対処法2.マッサージする
緊張して固まった筋肉をマッサージでほぐすと血管への圧迫が減り、血行を促す効果が期待できます。下記の要領で肩のマッサージに取り組みましょう。
1.肩の凝り固まった部分に指先を置く
2.指先に軽く力を入れて押し込み、5~10秒程度ゆすって刺激する
力を入れ過ぎてマッサージすると、逆に筋肉の緊張を引き起こす可能性があります。「気持ち良い」と感じる程度に、やさしく刺激しましょう。
冷房による肩こりを防ぐ方法
冷房による夏の肩こりを防ぐポイントは、下記の5つです。
1.冷房の温度設定は控えめにする
2.衣服で防寒する
3.シャワーで済ませず湯船につかる
4.軽めの運動に取り組む
5.食生活を見直す
身体を冷やさず、温める方法をみていきましょう。
方法1.冷房の温度設定は控えめにする
冷えによる肩こりを防ぐには、冷房の温度設定を下げすぎないことが大切です。外気との寒暖差が大きいほど身体に負担がかかるため、冷房の温度は外気温マイナス4~6℃ほどを目安に設定しましょう。
冷房の風が直接当たると寒暖差で疲労が蓄積しやすくなるため、エアコンの風向は上向きに設定するのがおすすめです。扇風機やサーキュレーターも活用すると冷気を効率良く循環でき、快適な室温を保てます。
方法2.衣服で防寒する
冷房温度を自分で設定できないオフィスや公共の場では、衣服で防寒する必要があります。冷房の効いた部屋では、身体を冷やしやすい薄着や肌の露出の多い服は控えましょう。
太い血管が通る首元・手首・足首をガードすると冷えを防げるため、オフィスで長時間過ごす場合は靴下やカーディガン、ひざ掛けなどを活用してください。重要な臓器が集まるお腹まわりの防寒には、腹巻きがおすすめです。
方法3.シャワーで済ませず湯船につかる
暑いからとシャワーで済まさず、夏でも湯船につかって身体を温めましょう。湯船につかると全身の血行が良くなり、冷えによる肩こりを和らげる効果が期待できます。
入浴は、就寝1~2時間前までに済ませるのがおすすめです。湯温設定をぬるめにすると副交感神経が優位になり、寝つきが良くなって夏の疲労回復にも役立ちます。
方法4.軽めの運動に取り組む
軽めの運動習慣を生活に取り入れると、肩こり予防に役立ちます。ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動に取り組みましょう。心拍数が持続的にあがり、血行を促して肩こりを和らげる効果が期待できます。
冷房が効いた部屋で長時間同じ姿勢で過ごすと肩こりになりやすいため、こまめに身体を動かす習慣をつけましょう。
方法5.食生活を見直す
冷えによる肩こりを防ぐには、食生活の改善も必要です。代謝を良くするビタミンB1や血流を促すビタミンEなど、身体を内側から温める栄養を積極的に摂りましょう。筋疲労を軽減するクエン酸も夏におすすめです。
暑いからと冷たい物ばかりを摂り過ぎず、意識してホットドリンクや温かいメニューの食事を選ぶのが冷えを防ぐポイントです。生姜やにんにく、ねぎなどの身体を温める食材も献立に取り入れてください。
まとめ
夏の冷房は、熱中症を防ぐためにも欠かせません。しかし、使い方によっては「クーラー病」と呼ばれるような冷えによる不調の要因となることがあります。
夏の肩こりを防ぐためには、冷房の使い方や生活習慣を見直し、身体への負担を減らすことが大切です。血行を促すストレッチやマッサージにも取り組み、早めの改善を目指しましょう。
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