腰痛でまっすぐ立てない原因や対処法を紹介

身体の中心に位置する腰は、さまざまな場面で負荷がかかるため、痛めやすい場所です。ときには痛みがひどく、まっすぐ立てなくなる場合もあります。 まっすぐ立てないほどの腰痛に襲われたときは、原因に合わせた方法で対処することが大切です。 今回は、腰痛でまっすぐ立てなくなる原因や、実践しやすい対処法を解説します。


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腰痛でまっすぐ立てない原因

まっすぐ立てなくなる腰痛の場合、考えられる原因は以下の6つです。

ぎっくり腰(急性腰痛症)

ぎっくり腰は「急性腰痛症」のひとつで、腰に急激な負担がかかることで起こります。腰の関節や椎間板(軟骨)、靭帯、筋肉などが損傷し、強い痛みによって動くことやまっすぐ立つことが難しくなる場合があります。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアとは、背骨の骨と骨の間にある椎間板の内部からゼリー状の髄核が飛び出し、神経を圧迫してしまう病気です。

加齢や無理な体勢、過度なストレスが主な原因となります。神経が強く圧迫されると強い痛みやしびれが生じ、立ち上がることやまっすぐ立つことが困難になる場合があります。

腰椎分離症

腰椎分離症は、腰椎(背骨の腰の部分)の一部に疲労骨折が生じ、骨の連続性が途絶えた状態を指します。その結果、腰の安定性が低下します。

ジャンプしたり腰をねじったりと、身体に負担がかかるスポーツを日常的に行っていると、発症しやすいとされます。ほかにも長期的な体重負荷や遺伝的要因による発症もあるため、激しい運動をする習慣がない方も注意が必要です。

症状としては、腰の痛みや運動時の違和感が現れ、分離部が神経や筋肉を刺激することで強い痛みにつながることもあります。症状が進行すると、動作が制限されることや姿勢を保つのが難しくなる場合があります。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは、腰の神経の通り道(脊柱管)が狭くなった結果、神経が圧迫されることで生じる病気です。加齢による骨の変形や、椎間板の変性が主な原因とされています。

主な症状は、足のしびれや歩行時の制限などで、腰の痛みは強くないことです。背筋をまっすぐ伸ばしたとき、脊柱管が狭まって神経を圧迫すると強い痛みを感じる場合があります。

長時間立ちっぱなしになったり、歩行したりすると症状が悪化しやすく、前かがみになると痛みが和らぐ傾向があるのも特徴です。

慢性腰痛

一時的な痛みではなく、腰や骨盤まわりの筋肉の緊張が長く続く場合は、慢性腰痛の可能性があります。筋肉が緊張して柔軟性を失うと、動作が制限され、姿勢を保ちにくくなることがあります。

慢性腰痛の特徴は、起床直後や同じ姿勢で長時間過ごした後には、腰の動きがスムーズでなくなる点があげられます。筋肉が伸びにくいため、立ち上がりや姿勢の保持が難しく感じられることがあります。

骨格の歪み

日頃の姿勢や過ごし方によって、気付かないうちに骨格が歪んでいる場合があります。骨盤や脊椎に歪みがある場合、腰まわりの筋肉もこり固まるため、まっすぐ立つことは困難です。

激しい腰痛がないにも関わらず、まっすぐ立てないときは、骨格に歪みが生じていると考えられます。

まっすぐ立てない腰痛の場合はまず病院へ

ひどい腰痛の影響でまっすぐ立てない方は、早めに病院を受診しましょう。まっすぐ立てないほどの強い腰痛は、すでに日常生活に支障をきたす状態です。腰を痛めただけのように見えて重篤なケースもあるため、注意が必要です。

病院でMRI検査、レントゲン検査、CT検査などを受けて、医師の指導のもとで適切な対処を行うことが重要です。

腰痛でまっすぐ立てないときの対処方法

前述では病院の受診をおすすめしましたが、実際には痛みが強すぎて歩行や立ち上がりが困難な場合も少なくありません。無理に動こうとすると、腰への負担が大きくなります。

痛みが強いときは無理をせず、症状が落ち着くまで待ちましょう。痛みが緩和したタイミングで医療機関に行き、適切な治療を受けることが重要です。

ここでは、痛みが強すぎてまっすぐ立てないとき、歩けないときにできる、対処方法を解説します。

安静

第一にできる対処方法は、安静にすることです。炎症などで強い痛みが出ているときは、安静にして緩和するのを待つ方法が適しています。

急激な腰の痛みを感じているときに無理をすると、症状が悪化するおそれがあります。

アイシング

筋肉の炎症には、アイシングがおすすめです。炎症を起こしているときに患部を温めると、症状が悪化しかねません。

まずはアイシングで炎症を抑えることが重要です。炎症が落ち着いてから、医師の指導のもとで適切な治療を受けましょう。

患部をアイシングするときは、20~30分ほど冷やします。氷のうが用意できないときは、厚手のビニール袋で代用しましょう。一度冷やした後、2~3時間の間を置いてから、再度同じ方法で冷やすと効果的です。

コルセット

腰まわりをサポートするアイテムとして、コルセットの使用が有効です。痛みによって姿勢を保ちにくいときに着用すると、腰や骨盤を支えて動作を助けてくれます。

特に外出や病院への移動時など、日常生活での負担を軽減するのに役立ちます。

注意点は、コルセットはあくまでサポートするための道具で、痛みの軽減や改善を目的としたものではありません。

長時間着用したからといって回復するわけではないため、適切な治療が必要です。

腰痛でまっすぐ立てなくならないための予防方法

まっすぐ立てなくなるほどの腰痛は、急な怪我が原因の場合もあれば、日頃の生活習慣が少しずつ影響していることもあります。

腰痛にならないためには、生活習慣の見直しなど日頃からの対策が大切です。積極的に対策したい方は、手軽に予防できるストレッチも無理のない範囲で試してみましょう。

ここでは、生活習慣を見直すときのポイントと、おすすめのストレッチを解説します。

生活習慣を見直す

日頃の生活習慣が腰痛の遠因となっている場合は、改善すると腰痛リスクの軽減が期待できます。生活習慣を見直すときのポイントは、次の2つです。

長時間座り続けない

長時間座り続けると、血流が悪くなったり腰に負担をかけたりします。デスクワークがメインの方も、長時間座りっぱなしで作業するのではなく、定期的に立ち上がって身体を動かすことが大切です。

腰に負担のかかる姿勢はしない

腰痛を避けるためには、以下のような姿勢もできる限り避けましょう。

・足を組んで椅子に座る
・同じ方向に足を向けて横座りする
・いつもどちらか一方の足に重心をかけて立つ
・スマートフォンを見るときに猫背や前のめりになっている
・床に寝転がってテレビを見る
など

左右のいずれかにのみ体重がかかる姿勢は、腰まわりに大きな負担を与えます。その結果、骨盤や背骨などの歪みにつながり、腰痛がなくとも姿勢をまっすぐ保ちにくくなる場合があります。

腰に負担のかからない姿勢は、骨格の歪み対策としても効果的です。日頃から片方の足に体重をかけるクセが付いている方は、まっすぐ座る・立つことを意識しましょう。

ストレッチをする

腰痛を防ぐためには、軽いストレッチや体操などで筋肉をほぐし、緊張状態をやわらげることが大切です。ただし、痛みが強い場合は控え、無理のない範囲で取り組みましょう。

ここでは、おすすめのストレッチを2つ解説します。

両膝を抱えるストレッチ

床に仰向けの状態で行うストレッチです。立ち仕事が多い方など、背中から腰までの筋肉が硬くなりやすいときにおすすめです。

1.仰向けになる
2.息を吐きながら両膝を抱える
3.15秒キープする
4.両膝を元の位置に戻す
5.1~4を3~5セット繰り返す

両膝を抱えるときは、胸に引き寄せるイメージで行います。背中が床から浮き上がらない(腰が丸まらない)ように注意しましょう。

腰をひねるストレッチ

椅子に座った状態でできるストレッチもあります。自宅ではもちろん、デスクワーク中のちょっとした息抜きとしても手軽に実践できるストレッチです。

1.椅子にやや浅めに座る
2.両足を腰幅に開く
3.上半身のみをひねって後ろを振り返る
4.呼吸しつつ10~15秒キープする
5.元の状態に戻り、反対側へ上半身をひねる
6.呼吸しつつ10~15秒キープする
7.3~6を10セット行う

椅子に座ったまま、後ろを振り返るように上半身のみをひねります。呼吸を止めないように、意識しつつ行うことがコツです。

腰がうまく回らないときは、背もたれのある椅子がおすすめです。後ろを振り返るときに背もたれを掴むと、体勢をキープしやすくなります。

まとめ

腰痛がひどくてまっすぐ立てない場合には、さまざまな原因が考えられます。なかには椎間板ヘルニアなど、早期の治療を要する病気やケガが隠れている場合もあるため、早めに医療機関を受診することが大切です。

痛みが強い場合は、アイシングで炎症がある程度治まってから医療機関を受診することをおすすめします。日頃から有酸素運動やストレッチを取り入れて、予防することも大切です。