腰痛は温める?それとも冷やす?患部の温め方・冷やし方も解説

腰が痛いと「温めたほうがいいの?それとも冷やしたほうが楽になるの?」と悩んでしまいますよね。実は、腰痛は症状や原因によって対処法が異なります。今回は、腰痛のタイプ別に「温めるべきか」「冷やすべきか」をわかりやすく解説します。あわせて、自宅でできる正しい温め方や冷やし方、予防のポイントもみていきましょう。


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腰痛は温める?冷やす?

腰痛がつらいとき、「温めたほうがいいのか、それとも冷やしたほうがいいのか」と迷う方は多いでしょう。実は、腰痛の対処法は痛みが出てからの経過時間によって異なります。基本的には、長引く腰痛は温めることで血行を促進し、発症したばかりの急性腰痛は冷やして炎症を抑えるのが効果的です。ここからは、それぞれの腰痛の特徴と対処法について詳しく解説します。

慢性腰痛とは

腰の痛みが、3か月以上続いている場合「慢性腰痛」と呼ばれます。ここでは、慢性腰痛の主な症状と効果的な対処法についてみていきましょう。

慢性腰痛の症状

慢性腰痛の主な特徴は、鈍く重い痛みが長期間にわたって続くことです。特定の動作による痛みではなく、日常生活の中で常に違和感や不快感を覚えるケースが多く、いつの間にか症状が軽くなる場合もあります。

また、腰だけでなくお尻や太ももにかけてだるさやしびれを感じることもあり、痛みが断続的に出現するのが特徴です。こうした症状は、筋肉の緊張や血流の悪化が関係しているとされています。

慢性腰痛の対処法

慢性腰痛は、血行不良や筋肉のこわばりが原因となることが多いため、温めて血流を促すのが効果的です。入浴やカイロなどで腰をじんわりと温めると、筋肉の緊張を和らげることが期待できます。

また、適度なストレッチや軽い運動を取り入れると、腰まわりの柔軟性が高まり、症状の緩和や再発予防にもつながります。日常的に、腰を冷やさないよう心がけることも大切です。

急性腰痛とは

腰痛が突然起こり、発症から4週間未満の状態は「急性腰痛」と呼ばれます。ここでは、急性腰痛の代表的な症状と適切な対処法について解説します。

急性腰痛の症状

急性腰痛は、重い物を持ち上げたときや急な動作をきっかけに突然強い痛みが現れるのが特徴です。いわゆる「ぎっくり腰」もこの急性腰痛に含まれ、腰を動かすことが難しいほどの鋭い痛みをともないます。

痛みは局所的で、無理に動かすと悪化するおそれもあります。発症から数日は炎症をともなうことも多く、適切な初期対応が重要です。

急性腰痛の対処法

急性腰痛を発症した直後は、まず安静を保ち、炎症を抑えるために冷やすことが大切です。氷のうや保冷剤などをタオル越しに患部に当て、冷却を行います。

痛みが強い場合は、無理に動かさず、横になって腰への負担を軽減しましょう。ただし、数日間で痛みが落ち着いたら徐々に動かすことも重要です。

腰の温め方

慢性的な腰の痛みには、腰まわりをしっかり温めて血流を促す方法が効果的です。日常生活の中でも無理なく取り入れやすい温め方を知っておけば、腰のつらさを和らげやすくなります。また、冷房の風に直接当たる、寒い場所に長時間いるといった身体の冷えにも注意が必要です。ここからは、具体的な温め方を紹介します。

入浴する

腰の血行を促したいときは、湯船に浸かって全身を温める方法が効果的です。ここでは、腰痛対策としておすすめの入浴法を紹介します。

半身浴

半身浴は、時間をかけて下半身をじんわり温める方法です。身体の深部まで熱が伝わりやすく、冷えによる腰の痛みが気になるときに効果が期待できます。

お湯の温度は、40度前後がおすすめです。ぬるめのお湯にゆっくりつかると、副交感神経が優位になり、身体がリラックスしやすくなります。

熱すぎるお湯は筋肉の緊張を高めて血行を妨げる可能性があるため、42度以上の高温は避けましょう。

温冷交代浴

温冷交代浴は、温かいお湯と冷水を交互に使うことで血流を刺激する方法です。下記の手順で実践してみてください。

1.40度前後の湯船に2~3分つかって身体をしっかり温める
2.湯船から出て25~30度程度の冷たいシャワーを手足に10秒ほどかける
3.1~2を3セット繰り返す

入浴の最後は湯冷めしないよう、湯船で身体を温めてから出るのがポイントです。

足湯

ゆっくり入浴する時間がない日や、体調がすぐれないときでも、腰の冷えが気になるなら足湯を取り入れてみましょう。足を温めるだけでも、下半身全体の血行が促進され、腰まわりの筋肉も緩みやすくなります。

1.熱が冷めにくいよう、深めで口の狭い容器を用意する2.容器にぬるめのお湯(38度程度)を入れ、くるぶしがつかるまで足をつける
3.60度前後のお湯をやかんなどで準備し、徐々に加えて湯温を42〜43度まで上げていく
4.さし湯は直接足にかからないように注意しながら、15分以上を目安に温める

短時間でも全身がぽかぽかしてくるのを感じられ、冷えによる腰痛の緩和に役立ちます。

腰のツボを押す

腰痛の対策としては、ただ広い範囲を温めるよりも、痛みの原因とされるツボを的確に刺激するほうが効率的です。ツボを押すと筋肉の緊張がゆるみ、血行の改善が期待できます。

さらに、その部分をカイロなどで温めれば、相乗効果で腰の負担が軽減されやすくなります。慢性的な腰の重だるさや冷えが気になる方にとって、ツボ刺激と温熱は手軽で効果の高い方法といえるでしょう。

腰痛緩和に効果的なツボを知りたい方はこちらをご覧ください。
腰痛に効くツボとは?ツボ押しのポイントも解説

カイロやホットパックを活用する

腰だけを集中的に温めたい場合は、使い捨てカイロやホットパックを使うのがおすすめです。ホットパックは保温材が入った温熱療法用のアイテムで、電子レンジやお湯で温めて繰り返し使用できます。

カイロは直接肌に貼らず、服の上から挟むようにすると熱が穏やかに持続します。仰向けになってホットパックを腰に当てると、心地良く温まりながら筋肉の緊張もほぐれやすくなるでしょう。ツボを意識して当てると、より効果的です。

ドライヤーで温める

手軽に腰を温めたいときは、ドライヤーの温風を使う方法も便利です。痛みを感じる部位や、血行が滞りやすいふくらはぎなどに温風を当てると、広い範囲が効率良く温まります。

特に腰痛に関連するツボの周辺も一緒に温められるため、温熱効果が得やすくなります。ただし、やけど防止のためには風量を「弱」に設定し、肌から10cm以上離して使用してください。同じ場所に、長時間当てないよう注意が必要です。

腰の冷やし方

急に腰が痛くなったときは、炎症を抑えるために冷やすのが効果的です。うつ伏せの姿勢で安静にしながら、氷のうやアイスパック、保冷剤、濡れタオルなどを腰に当てましょう。

患部を冷やすことで腫れや熱感が落ち着き、痛みの軽減が期待できます。ただし、長時間の冷却や身体全体が冷える状態は避ける必要があります。室温を適度に保ち、冷やす部分以外が冷えすぎないように注意しましょう。

腰痛は日常生活の心がけで改善・予防しよう

腰痛を和らげたり再発を防いだりするには、日々の生活習慣を見直すことが重要です。姿勢や運動、身体の使い方に気を付けるだけでも、腰への負担を減らしやすくなります。ここでは、腰痛予防に役立つ基本的な心がけを紹介します。

正しい姿勢を保つ

腰痛を予防するためには、日常生活での姿勢に気を配ることが欠かせません。特に長時間のデスクワークやスマートフォンの操作中に猫背の姿勢を続けていると、腰に大きな負担がかかります。

骨盤を立てて背筋を伸ばし、足裏をしっかり床につけて座ることを意識しましょう。また、同じ姿勢を長く続けるのは避け、30分に1回は立ち上がって身体を動かすと腰への負担が軽減されます。

骨盤を立てた正しい座り方を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
骨盤を立てる座り方で腰痛を防ぐ!姿勢維持のポイントを解説

ストレッチを取り入れる

腰痛の予防や改善には、日常的にストレッチを取り入れるのが効果的です。ストレッチによって腰を支える筋肉の柔軟性が高まり、緊張がほぐれるとともに、姿勢の乱れも整いやすくなります。

また、筋肉を動かすことで血流が促進され、老廃物が溜まりにくくなるため、慢性的な腰のこわばりを感じる方にもおすすめです。無理のない範囲で、継続的に行いましょう。

腰痛緩和に効果的なストレッチは、こちらで紹介しています。
腰痛緩和のためのストレッチ5選!日常生活でできる対策も!

運動を習慣にする

腰痛を防ぐには、日ごろから適度な運動を習慣にすることが大切です。筋力が低下すると腹圧が十分に保てなくなり、腰椎を支える力が弱まって腰への負担が増してしまいます。

特に背骨や腰まわりの筋肉の柔軟性を保つことが、腰痛予防には効果的です。水中ウォーキングやヨガ、ハイキングなど、無理なく続けられる有酸素運動を取り入れて、身体を動かす習慣をつけましょう。

まとめ

腰痛は、状態に応じて「温める」「冷やす」を使い分けることが重要です。慢性腰痛は血流を促す温めが効果的で、急性腰痛には冷却が適しています。入浴やカイロ、ツボ刺激などをうまく取り入れつつ、日常生活でも姿勢や運動を意識して、予防や改善につなげていきましょう。