背中のコリの原因は?簡単なストレッチや予防法を紹介

「背中がガチガチに固まっている」「張りや痛みを感じる」などの症状がある場合、背中が凝っているのかもしれません。今回は背中が凝る原因や、コリを和らげる簡単なストレッチの方法を紹介します。背中のコリを予防するポイントも解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。


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背中のコリの主な原因

背中のコリは、生活習慣が関係していることが多いといえます。ここでは、背中のコリの主な原因を3つ紹介します。

運動不足

背中のコリの主な原因として、運動不足があげられます。

日頃から運動する習慣がないと血液の流れが悪くなり、筋肉に酸素が運ばれにくくなります。酸素の供給量が減ると筋肉が硬くなり、さらに血行不良が悪化する悪循環に陥ります。この状態が長期間続くと、筋肉がガチガチに凝ってしまうのです。

特にデスクワークの方は、1日8時間以上座ったまま過ごすことが多く、運動不足になりがちです。その上、長時間同じ姿勢を続けることで全身の血流が悪くなり、背中をはじめ首や肩、腰が凝りやすい傾向にあります。

不良姿勢

不良姿勢も背中のコリの一因です。背中が丸くなる猫背の姿勢や前傾姿勢をとると、頭を支えるために背中の筋肉に過度な負担がかかります。その結果、筋肉の疲労やこわばりが強まり、背中のコリや痛みが生じるのです。

また、正常な脊柱(背骨が柱状につながった状態)は、通常緩やかなS字を描いています。しかし、間違った姿勢を続けると脊柱や骨盤が歪みやすくなります。身体が歪むと背中の筋肉も緊張し、コリやだるさ、痛みにつながるのです。

自律神経の乱れ

ストレスや睡眠不足、過度な緊張状態が続いている場合は、自律神経の乱れが背中のコリを招いている可能性があります。ストレス状態や睡眠不足が長期間続くと交感神経が優位になり、血管が収縮します。血行不良によって酸素の供給量が減ると筋肉が固くなり、背中のコリや張りにつながってしまうのです。

また、自律神経が乱れると、背中のコリだけでなく疲労感や胃の不調、不安感、イライラなど心身のさまざまな不調を引き起こすおそれがあります。ストレスを完全になくすことは難しくても、自分なりのストレス発散方法を見つけ、うまく対処することが大切です。

背中のコリを手軽に確認するセルフチェック

背中のコリの感じ方には個人差があり、あまり固くなっていなくてもコリを感じる方もいれば、コリがあっても気づかない方もいます。

ここでは、背中のコリを自分で簡単にチェックできる方法を紹介します。

座った状態でチェック

椅子に座ったまま、広背筋(こうはいきん)の柔軟性をチェックできるテストです。広背筋とは、肩甲骨の下から腰部にかけて広がる大きな筋肉で、体幹の骨と上腕骨(二の腕に当たる部分の骨)をつなぐ重要な役割があります。PCやスマートフォンの使用時間が長いと広背筋が凝りやすい傾向にあります。

下記の方法で、広背筋の柔軟性をチェックしてみましょう。

広背筋テストの方法は、下記の通りです。

1.椅子に座り、肩と肘が90度になるように曲げる
2.両手の指先から肘までピッタリくっつける
3.両腕をくっつけたまま、上がるところまで腕を持ち上げる

このとき、肘が鼻の高さを越えなければ広背筋の柔軟性が低下していると考えられます。

仰向けの状態でチェック

仰向けの状態で胸椎(きょうつい)の柔軟性をチェックするテストです。胸椎とは背骨の一部分を指し、12個の骨で構成されています。胸椎は上半身のさまざまな動きと連動している重要な関節であるため、長時間同じ姿勢を続けたり悪い姿勢で過ごしたりすると、可動域が低下することがあります。

下記の手順で、胸椎の硬さをチェックしてみましょう。

1.仰向けになり、肩と同じ高さに手を広げる
2.両肩を床につけたまま、片方の足を反対側に倒す
3.膝を床につけた状態で離れないようにする

このとき、肩や膝が床から浮く場合は胸椎が硬く、背中の柔軟性が低下している可能性があります。

背中のコリを和らげる簡単ストレッチ

セルフチェックで背中のコリを実感した方は、簡単なストレッチで柔軟性を高めましょう。短時間でもストレッチを毎日続けることで、コリの軽減が期待できます。

なお、ストレッチ中は呼吸を止めないよう注意し、筋肉の伸びを意識しながら行うのがポイントです。ここでは、背中のコリを軽減するストレッチを3つ紹介しますので、一日の終わりやお風呂上がりに、ぜひ試してみましょう。

猫のポーズ

猫のポーズでストレッチすることで、背中や体幹、肩甲骨まわりがほぐれ、リラックス効果も期待できます。

1.四つん這いになる
2.背中を丸め、2~5秒キープ
3.背中を限界まで反らせ、2~5秒キープ
4.2~3を何度か繰り返す

肩甲挙筋のストレッチ

肩甲骨挙筋(けんこうきょきん)とは首の後ろにある筋肉で、首を動かしたり肩甲骨の動きを良くしたりする役割があります。肩甲挙筋をほぐすことで肩甲骨がスッキリし、背中のコリ軽減につながります。

1.頭の後ろで両手を組む
2.首を前に傾ける
3.そのまま斜め下に向かってひねり、10秒キープ
4.姿勢を戻す
5.反対側も同様に行う

広背筋のストレッチ

背中の表面に広がる広背筋(こうはいきん)には、腕を動かしたり肩甲骨を安定させたりするはたらきがあります。広背筋のストレッチを行うことで、肩から腰まで背中全体が伸びやすくなります。

1.床に両膝をつけ、斜め前に両手をつける。片方の手の甲に、もう一方の手のひらを重ねる
2.手をつけたまま身体を後方へ動かし、そのまま10秒キープ。腰を反らさないように注意し、脇の下の伸びを感じながら行うのがポイント
3.ゆっくりと姿勢を戻す
4.1~3を繰り返し行う
5.反対側も同様に行う

背中のコリを予防する方法

ストレッチで背中の筋肉をほぐすとともに、コリの原因となる生活習慣を見直すことも大切です。ここでは、日常生活で背中のコリを予防する方法を紹介します。

正しい姿勢を心がける

普段から正しい姿勢を心がけるだけで、背中のコリの予防につながります。

立っているときは、横から見て耳・肩・骨盤が一直線になるように意識しましょう。目線は少し遠くに置き、肩甲骨を少し内側に寄せるイメージで背筋を伸ばすのがポイントです。

座っているときも背中が丸まったり反ったりしないよう注意し、耳・肩・骨盤が一直線になる状態を維持しましょう。

適度な運動を習慣化する

運動習慣を身に付けることで血行が良くなり、背中のコリを予防できます。ウォーキングやサイクリング、ヨガなど、無理なくできる運動を習慣化しましょう。

運動は血行促進だけでなくストレス解消や気分転換にもつながり、心身の健康維持に役立ちます。軽い運動でも、心を安定させるホルモン「セロトニン」「エンドルフィン」などが分泌され、ポジティブな気持ちになりやすいことが分かっています。

栄養バランスの良い食事を心がける

1日3食の栄養バランスの良い食事を基本に、背中のコリ解消に役立つ栄養素を摂取するのもおすすめです。

例えば、マグネシウムには筋肉の緊張を緩和するはたらきがあります。マグネシウムは、アーモンドをはじめとする種実類や昆布、わかめなどの海藻類、豆腐や納豆などの大豆製品に多く含まれます。

そのほか、ビタミンEには血行促進や筋肉の緊張を緩和する効果があり、ビタミンCには筋肉を疲労から守るはたらきがあります。ビタミンEはかぼちゃやアーモンド、アボカドに多く、ビタミンCは赤ピーマンやブロッコリー、キウイフルーツなどに多く含まれます。

これらの栄養素を積極的に取り入れ、身体の中から背中のコリを予防しましょう。

適切な高さの枕を使う

枕が高すぎると首に過度な負担がかかり、背中や首のコリにつながる可能性があります。

仰向けで枕を使ったとき、あごを引いたような姿勢になる場合は枕が高すぎると考えられます。首の自然なカーブが維持できる高さに調整し、首や背中への負担を軽減させましょう。あごが軽く引けた状態で、目線が天井よりやや下向きになれば、頭を正しい位置に調整できています。

背中のコリにアプローチできるツボを押す

背中のコリに効くとされるツボを押すのもおすすめです。自分で背中のツボを押しにくい場合は、家族にも協力してもらいましょう。背中のコリにおすすめのツボは、下記の3つです。

ツボの名前 位置 効果
中府(ちゅうふ) 鎖骨の外側下のくぼみから親指1本分下 ・胸の筋肉がほぐれ、背筋が伸びやすくなる

・呼吸の機能を高める

天宗(てんそう) 肩甲骨の真ん中 ・肩甲骨付近や背中の筋肉を緩める

・背中の張りや背中から腕にかけてのだるさ、肩こりを緩和する

膏肓(こうこう) 肩甲骨の内側中央 ・背中のコリや肩こりを軽減効

・特に肩甲骨の内側の慢性的なコリに効果的

それぞれのツボを「痛気持ち良い」と感じる強さで約5秒押し、コリが強い場合はゆっくり円を描くように刺激してみましょう。コリが強い部分は固さや痛みを感じることがありますが、毎日ツボ押しを続けることで変化を実感できるでしょう。

まとめ

背中のコリは運動不足や不良姿勢、自律神経の乱れなどが原因で起こります。

日頃から正しい姿勢を心がけるとともに、ストレッチしたり適度な運動で血行を促進したりするのがおすすめです。食事では、マグネシウムやビタミンなど、筋肉のコリ軽減に役立つ栄養素を積極的に取り入れましょう。