ふくらはぎが張る原因は?張りを和らげる方法と予防法も解説

ふくらはぎが張っている感じがあり、日常生活にストレスを感じていませんか。ふくらはぎの張りは誰にでも起こりうる身近な症状ですが、なかには病気が隠れているケースもあります。 そこで今回は、ふくらはぎが張る原因から張りを和らげる方法、予防法まで紹介します。ふくらはぎの張りに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。


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ふくらはぎが張る原因

ふくらはぎの張りを軽減するためには、まず原因を知る必要があります。ここでは、ふくらはぎの張りや違和感があるときに考えられる原因を4つ解説します。

むくみ

ふくらはぎが張るだけでなく重くだるい感じがする方は、脚がむくんでいる可能性があります。

むくみとは、体内の水分バランスが崩れ、細胞の間に余分な水分が溜まっている状態のことです。重力の関係により、全身のなかでも脚は水分が溜まりやすい傾向があります。

例えば、塩分を摂り過ぎると、人間の身体は体内の塩分濃度を一定に保つために多くの水分を溜め込もうとします。その結果、身体のむくみにつながるのです。過剰な塩分を体外に排泄するカリウムが不足することでも、むくみが起こりやすくなります。

運動不足・長時間の座り作業・立ち作業

ふくらはぎを構成する下腿三頭筋(かたいさんとうきん)という筋肉には、脚に流れる血液を心臓に戻すポンプの役割があります。

しかし、運動不足によって下腿三頭筋が衰えたり、座り作業・立ち作業などで長時間同じ姿勢で過ごしたりすると、血液が心臓に戻りにくくなります。その結果、ふくらはぎに血液が溜まり、パンパンに張ってしまうのです。

合わない靴の着用

足に合わない靴を長時間着用するとふくらはぎの筋肉に負担がかかり、張りやすくなります。合わない靴の着用は、ふくらはぎの筋肉だけでなくアキレス腱にも過度な負荷がかかり、炎症が起こることもあります。

また、仕事の都合でハイヒールを履かなければならない方もいると思います。この場合、通勤時はヒールのない靴を履き、勤務中のみハイヒールに履き替えるなど、できるだけハイヒールの着用時間を短くするのがおすすめです。

病気

生活習慣によるものではなく、病気が原因でふくらはぎが張ることもあります。

突然、片方の脚全体やふくらはぎが赤黒く腫れ、痛みが現れた場合は、深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)という病気を発症している可能性があります。深部静脈血栓症は「エコノミークラス症候群」とも呼ばれ、脚から心臓へ血液を戻す静脈に血の塊(血栓)ができてしまう病気です。

車内や飛行機内などの窮屈な場所で長時間同じ姿勢を続けたり、入院生活により安静状態が長く続いたりしたときに多くみられます。血栓が血流にのって肺に流れると、肺の血管を塞いでしまう肺塞栓症(はいそくせんしょう)を引き起こし、命の危険が生じる可能性もあるため注意が必要です。

片方の脚のむくみや痛みのほか、歩行時の息切れや胸の痛み、一時的な意識消失(いわゆる失神)などの症状が出た場合は早急に医療機関を受診してください。

ふくらはぎの張りを和らげる方法

ふくらはぎが張ると立っていても歩いていても違和感があり、ストレスを感じている方も多いでしょう。ここでは、ふくらはぎの張りを和らげるセルフケアを3つ紹介します。

意識的に脚を動かす

長時間の立ち仕事や座り仕事などで何時間も同じ姿勢が続く場合は、定期的に脚を動かしましょう。脚を動かすことで血流が良くなり、ふくらはぎのむくみ軽減につながります。

デスクワークの方の場合、少なくとも1時間に1回は席を立ち、何度か屈伸運動をするだけでも血流が改善します。立ち仕事の方も、少しの合間を見つけて両脚のかかとを上げ下げするだけで、むくみを緩和できるため、取り入れてみてください。

ふくらはぎをほぐすマッサージを取り入れる

1日1回、身体が温まっているお風呂上がりに、ふくらはぎのマッサージを取り入れるのもおすすめです。マッサージ前にはオイルやクリームを塗り、肌への摩擦を軽減させましょう。

ここでは、1日5分でできるふくらはぎのマッサージ方法を紹介します。

1.座った状態で左脚の膝を曲げる
2.ふくらはぎの内側、膝側の中央部分に両手の親指を押し込み、足首に向かって一直線にほぐす(30秒)。
※痛みが出ない程度に親指をしっかり食い込ませるのがポイント
3.左脚の膝を立て、両手の拳でふくらはぎを挟む。ふくらはぎの窪んでいる部分(筋間中隔:きんかんちゅうかく)という部分に拳の先端をあて、ほぐす(30秒)
4.ふくらはぎの中央のラインに両手の親指をグッと押し込み、上から下に向かって全体的にほぐす(30秒)
5.左脚の膝を曲げて右脚の上に乗せる
6.内くるぶしと、かかとの骨の間(アキレス腱の奥側)にあるくぼみを両手の親指でほぐす(30秒)
7.右脚も同じようにマッサージする
8.右手の指に左足の指、左手の指に右足の指を絡ませ、ギュッと食い込ませたまま30秒キープ

なお、痛いと感じるほどのマッサージは、筋肉を傷めてしまう原因になるため注意が必要です。気持ち良いと感じるほどの強さで行いましょう。

ふくらはぎの張りに効果的なエクササイズを行う

ふくらはぎの張り感は、神経の癒着が原因になっている可能性もあります。ここでは、膝裏の神経の癒着を剥がすことでふくらはぎの張りにアプローチするエクササイズを紹介します。

1.椅子に座った状態で左の膝裏に両手の指を入れ、コリコリした硬い部分を上下に動かす。
2.手をふくらはぎの方へ少し下げ、同じようにほぐす
3.左脚を伸ばしたまま、足首の曲げ伸ばしをする
4.2~3を繰り返す
5.右脚も同じように行う

強く押すと神経の炎症を招く可能性があるため、気持ち良い程度で行うのがポイントです。

ふくらはぎの張りを予防する方法

ここでは、ふくらはぎの張りの原因となるむくみや血行不良を予防するために、日常生活でできることを紹介します。

こまめな水分補給を心がける

水分が不足するとむくみやすくなるため、こまめな水分補給が大切です。ただし、水分の取り過ぎもむくみの原因になるため、1日の水分摂取量は体重1kgに対し30mlを目安にしましょう。

例えば、体重50kgが1日に摂取する水分量の目安は1日1500ml程度です。一気に多くの水分を補給せず、コップ1杯(200ml程度)の少量をこまめに飲むのがポイントです。カフェインやアルコール、糖分が含まれている飲み物は避け、常温の水かお湯を飲みましょう。

食生活を改善する

塩分の過剰摂取はむくみの原因になるため、インスタント食品やスナック菓子、食塩・醤油などの調味料の摂り過ぎに注意しましょう。

そのほか、カリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラルのほか、ビタミンB1やたんぱく質の不足もむくみの原因になります。これらの栄養素もバランス良く摂取するよう意識しましょう。

また、アルコールを摂り過ぎると血管内の水分が減り、血液の濃度が高くなります。その結果、身体は危険を回避しようと血管内に水分を溜め込み、むくみにつながります。厚生労働省では、節度ある適度な飲酒として「純アルコールで1日約20g程度」を推奨しています。

例えば、ビール(アルコール度数5%)なら中びん1本(500ml)、日本酒(アルコール度数15%)なら1合(180ml)、ウイスキー・ブランデー(アルコール度数43%)ならダブル1杯(60ml)が目安です。

出典:厚生労働省「アルコール」

湯船につかり身体を温める

血行不良により身体が冷えると、老廃物や余分な水分が排出されにくくなり、むくみにつながります。シャワー浴で済ませると身体の芯まで温まらないため、できるだけ毎日湯船につかることをおすすめします。

就寝の2~3時間前に38度のぬるめのお湯に25〜30分程度(42度の熱めのお湯なら5分程度)つかることで、心地よく眠ることができます。

運動や筋トレの習慣を取り入れる

ウォーキングやサイクリングなどの軽い運動や、ふくらはぎを動かすトレーニングを習慣にすることで下半身の血流が促進され、むくみの予防効果が期待できます。

忙しくて運動する時間を確保できない場合は、エレベーターやエスカレーターを極力使わず、階段を使うだけでも効果的です。階段の上り下りでふくらはぎの筋肉を使うことで、血液循環が促進されます。

まとめ

ふくらはぎが張る原因はむくみや運動不足、長時間の座り作業・立ち作業、合わない靴の着用、病気などがあげられます。同じ姿勢が続く場合は定期的に脚を動かし、入浴後はふくらはぎをほぐすマッサージやエクササイズを取り入れるのがおすすめです。

また、日頃からこまめな水分補給をするとともに、栄養バランスの良い食事や適度な運動を心がけ、むくみを予防しましょう。