眠りが浅い人にみられる特徴
まずは、眠りが浅い人にみられる身体の特徴を3つ紹介します。心当たりがないかチェックしてみましょう。
起床後も疲れが残っている
睡眠は、時間だけでなく質も重要です。十分な睡眠時間を確保していても、眠りが浅いと心身の疲労回復が追いつかず、翌朝に疲れを持ち越してしまうことがあります。その結果、身体がだるい、日中に眠くて仕方がないといった症状が現れます。
集中力が維持できずミスが増える
睡眠の質は日常生活のパフォーマンスにも影響を及ぼします。眠りが浅いと脳が十分に休息できず、集中力が低下します。その結果、仕事や勉強でケアレスミスが増えやすくなるのです。また、睡眠の質が低下すると生産性も悪くなり、業務効率が落ちる可能性もあります。
感情をコントロールしにくくなる
睡眠の質が低下すると、身体面だけでなく精神面にも悪影響が及びます。睡眠が不足すると感情をコントロールする脳の働きが弱まり、些細なことでイライラしたり、落ち込んだりすることがあります。
また、眠りが浅いとストレスに対抗するホルモンの分泌も減少し、ストレス耐性の低下を招く可能性もあるでしょう。
眠りが浅くなる原因
前述の通り、睡眠の質が低下すると心身ともに悪影響がおよびます。では、なぜ眠りが浅くなってしまうのでしょうか。考えられる原因を5つ紹介します。
精神的なストレス
精神的なストレスが蓄積すると夜になっても交感神経が優位になり、副交感神経への切り替えがスムーズに行われません。この状態で眠ると、脳に深い休息をもたらす「ノンレム睡眠」が減り、脳が活発に働く「レム睡眠」が増えてしまいます。
その結果「夜中に何度も目が覚める」「睡眠時間は足りているのに朝起きてもスッキリしない」などの症状を引き起こします。眠りが浅いと日中のストレスを感じやすくなり、睡眠の質がさらに低下するという悪循環も招きがちです。
不規則な生活
不規則な生活も、眠りが浅くなる原因のひとつです。人間の身体には体内時計が備わっており、睡眠と覚醒のサイクルを約24時間のリズムで調整しています。
しかし、「平日は遅くまで起き、休日に寝だめをする」といった不規則な生活を続けると、体内時計が乱れます。その結果、レム睡眠・ノンレム睡眠の周期が乱れ、睡眠の質が低下してしまいます。
不適切な睡眠環境
眠りが浅い場合、睡眠環境が整っていない可能性もあります。枕の高さやマットレスの硬さが身体に合っていないとリラックスできず、睡眠の質が低下しがちです。
また、就寝前に昼光色の照明をつけたり、スマートフォンやPCなどの画面を見たりすると、眠気を誘うホルモン「メラトニン」の分泌が妨げられる可能性があります。就寝2時間前くらいから暖色系の照明に切り替え、スマートフォンやPCの画面を見ないようにしましょう。
更年期
加齢によって睡眠が浅く短くなりますが、女性の場合は更年期に入ると女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」の分泌量が激減します。その結果、動悸やほてり、発汗、イライラなどさまざまな不調を引き起こし、睡眠の質低下につながることがあります。
更年期は家庭や仕事の環境変化や身体の衰えも重なり、ストレスによってさらに眠りが浅くなるケースも少なくありません。
病気
これまで紹介した原因に当てはまらない場合、病気が原因で眠りが浅くなっている可能性も考えられます。例えば、夜間頻尿や睡眠時無呼吸症候群、うつ病、喘息、花粉症などは眠りを妨げる原因になります。病気が疑われる場合は早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
睡眠の質を高める7つのポイント
眠りが浅くても、生活習慣を見直すことで改善が期待できます。ここでは、睡眠の質を高めるために日常生活で意識したいポイントを7つ紹介します。
就寝2~3時間前に入浴する
入浴によって一時的に体温が上昇し、その後体温が下がることで眠気が生じやすくなります。就寝2~3時間前に入浴すると、ちょうどベッドに入るころに眠くなり、良質な睡眠につながります。心身ともにリラックスするためには、38~40℃程度のぬるま湯に15~20分程度つかるのがおすすめです。
寝る前にストレッチする
寝る前に10分程度のストレッチをすると副交感神経が優位になり、リラックス効果が期待できます。ここでは、布団の上で寝ながらできるストレッチを紹介します。
1.仰向けになり、両手を頭の下で組む
2.上半身を動かさず、両方の足を右端に向けて動かす(足先をベッドや布団の角に向けるように意識する)
3.腰を基点に上半身も右側に傾け、身体の左側面を伸ばして5秒キープ
4.身体をもとの位置に戻す
5.2~3をもう一度繰り返す
6.反対側も同様に行う
呼吸を止めず、息を吐きながら身体を伸ばすのがポイントです。無理に伸ばしすぎず、気持ち良いと感じる強さで行いましょう。
朝起きたら太陽の光を浴びる
睡眠の質を高めるためには、体内時計のリズムを整えることも大切です。体内時計の周期は24時間より少し長く、地球の自転のリズム(24時間)よりも約1時間長くなっています。1日の始まりに朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、夜ベッドに入るころに眠くなるリズムを維持できます。朝起きたらカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。
規則正しい生活を心がける
日頃から規則正しい生活を心がけ、生活リズムを整えておくことで、睡眠の質向上につながります。平日の夜更かしや休日の寝だめを控え、毎日同じ時間に就寝・起床する習慣を身につけましょう。
残業などで就寝時間がバラバラになってしまう場合、まずは起きる時間だけでも一定にすることをおすすめします。
食生活を見直す
十分な睡眠時間を確保しているのに翌日の疲れがとれない場合は、栄養不足によって脳や身体の疲労回復が追いついていない可能性があります。食生活を見直し、1日3食バランスの良い食事で栄養不足を解消しましょう。
なかでもビタミンB群が不足するとエネルギーを効率良く産生できず、翌朝に疲れが残ってしまうことがあります。ビタミンB群は豚肉やうなぎ、玄米、レバー、納豆、マグロなどに含まれるため、意識的に取り入れましょう。
また、睡眠の質を向上させるためには、朝食を抜かないことも重要なポイントです。毎日朝食をしっかり摂ることで日中の活動に必要なエネルギーを補給でき、規則正しい生活のリズムも維持できます。
ストレスを発散させる
精神的なストレスが蓄積すると、眠りが浅くなってしまいます。ストレスをゼロにするのは難しいですが、適度に発散させることが大切です。趣味に没頭するほか、ヨガやストレッチ、腹式呼吸などのリラックス法を取り入れるのもおすすめです。
適度な運動を習慣化する
長時間のデスクワークや車移動などで日頃から運動不足を感じている方は、適度な運動を習慣化しましょう。定期的に運動することで寝つきが良くなり、睡眠の質向上にもつながります。ただし、激しい運動は逆効果になる可能性があるため、軽く汗ばむ程度の運動を心がけましょう。
ウォーキングやサイクリングなど、負担にならない程度の有酸素運動を長く継続すると効果的です。運動は就寝3時間前までに済ませ、寝る直前はゆったりしたストレッチを行いましょう。
まとめ
眠りが浅い人の特徴は、しっかり寝ても起床後に疲れが残っている、日中に集中力が維持できない、感情のコントロールがしにくいなどがあげられます。心当たりがある場合は、規則正しい生活やバランスの良い食事、就寝2~3時間前の入浴、適度な運動を意識し、睡眠の質を高めましょう。
日頃からできるだけストレスを発散させるとともに、今回紹介した就寝前のストレッチも取り入れ、深い眠りを誘いましょう。