冷えとぎっくり腰の関係
冬が近づき気温が下がると、ぎっくり腰になる方が増えます。突然起こるぎっくり腰には、身体の冷えが関与しています。
ここでは、冷えとぎっくり腰の関係を詳しくみていきましょう。
なお、冷え以外のぎっくり腰を引き起こす原因は、下記の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
「ぎっくり腰の原因は?なりやすいシーンと予防策も解説」
寒さと筋肉
寒くなり身体が冷えると、人間の身体は血液が流れにくくなります。血行不良は筋肉をこわばらせて、収縮させる要因です。腰まわりの筋肉が冷えによる血行不良から凝り固まると、ぎっくり腰になりやすいため注意してください。
身体が冷えているときに、いきなり運動を始めるのは危険です。最初にウォーミングアップで筋肉をほぐしてから運動しましょう。
寒さと関節
寒さは、身体の関節の動きを悪くします。身体が冷えると関節周辺の組織が収縮し、血行が悪くなって硬くなるからです。
関節がなめらかに動かなくなると身体の動きが制限されて、ぎっくり腰になるリスクが高まります。冬の季節は軽めの運動やストレッチを毎日の習慣にして、関節の柔軟性を保ちましょう。
寒さと姿勢
寒いと身体が縮こまり、姿勢が悪くなることがあります。悪い姿勢は腰に負担をかけ、ぎっくり腰のリスクを高める要因です。
なかでも、猫背や巻き肩などの悪い姿勢は背中のS字カーブを崩し、腰に大きな負担をかけるため注意しましょう。普段から立つ・歩く・座る際に注意して、姿勢を正す習慣をつけてください。
寒さと運動
寒くなると外出するのが面倒になり、運動不足になりやすいのも問題です。運動不足になると筋力が低下して、腰をサポートする力が弱くなります。その結果、身体を動かしたときに十分に腰まわりを支えきれなくなり、ぎっくり腰になりやすいのです。
寒いからと面倒くさがらずに、軽めの筋トレやストレッチなどの運動習慣をつけましょう。運動すると冷えた身体が温まり、血行も良くなります。
夏の冷房にも注意
身体の冷えは、冬だけでなく夏の季節にも注意が必要です。夏に冷房を入れたオフィスで長時間過ごすと身体が冷え、ぎっくり腰になりやすい傾向があります。
冷房の風にさらされながら長時間机に座って仕事をするデスクワーカーは特にリスクが高いため、夏場でも防寒対策が必要です。
冷えによる腰の痛みの特徴
ぎっくり腰を引き起こす原因は、冷え以外にもいくつかあります。原因によってぎっくり腰の対処法や予防策は異なるため、まずは、いま感じている腰の痛みが冷えによるものなのか、しっかり見極めることが大切です。
冷えによる腰の痛みには、下記の特徴があります。
・冷えると腰が痛み、患部を温めると痛みが和らぐ
・身体を動かすと腰が痛むものの、ストレッチやウォーミングアップで痛みが楽になる
・冷え込む朝目覚めると腰が痛むが、動き出してしばらくすると痛みが和らぐ
そのほか、身体が冷えている方は手足の末端が冷たかったり、胃腸不良や下痢になりやすかったりする特徴があります。冷えの特徴に当てはまる方はリスクが高いため、早めに生活環境を改善してぎっくり腰を防いでください。
冷えからぎっくり腰になったときの対処法
冬や冷房にあたり続けてぎっくり腰になったときの対処法は、通常の場合と変わりありません。
寒いから、身体が冷えているからといって患部を温めるのは危険です。ぎっくり腰になった直後に患部を温めると、血行が促進してかえって痛みが強くなるため、正しい応急処置を心がけてください。
突然のぎっくり腰で強い痛みが生じたら、まずは安静にして、アイシングで腰まわりを冷やしましょう。冷タオルや氷嚢(ひょうのう)を当てて冷やすと、急激な痛みが落ち着きます。
しかし、ぎっくり腰のケアでは、患部を冷やしすぎるのも良くありません。長時間氷嚢を当て続けると付近の組織にダメージを与えるため、氷嚢を患部に当てるのは1回10~15分を目安にし、様子を見ながら冷やしましょう。
安静とアイシングで痛みや症状が落ち着いたら、早めに病院を受診するのが第一です。
なお、ぎっくり腰になったときの応急処置については、下記の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
「ぎっくり腰の応急処置とは?再発を防ぐ対策と正しい姿勢について解説」
冷えからぎっくり腰にならないための予防法
ぎっくり腰の痛みは強く、身体を動かしにくくなって生活に支障がでます。そのため、ぎっくり腰は予防が第一です。
冷えによるぎっくり腰は、下記の対策で予防できます。季節を問わず身体を冷やさないよう工夫して、ぎっくり腰を防ぎましょう。
・防寒対策をする
・身体を冷やさない食事を心がける
・湯船につかる
・日頃から運動する
・正しい姿勢を意識する
ここからは、具体的な予防の仕方を解説します。
防寒対策をする
冷えによるぎっくり腰を防ぐには、身体を温める必要があります。冬の外出時はもちろん、室内で過ごすときにも衣類で防寒して、腰まわりの冷えを防ぎましょう。
冬の季節の外出時は、裾が長めのコートやセーターなどの腰まわりをカバーする服装を選ぶのがポイントです。腰痛が気になる方は下着や衣服の上からカイロを貼って、腰まわりを温めても良いでしょう。
街歩きで身軽に外出したい場合は、吸湿発熱素材のインナーや腹巻き、タイツなどを活用しましょう。厚着になりすぎず、身体を動かしやすくなります。ヒールの高い靴やパンプスは身体を冷やしやすいため、厚手の靴下に防寒用のブーツを組み合わせましょう。
室内では暖かい素材の靴下やスリッパを着用して、足元の冷えを防いでください。身体の末端の足先を温めると、全身に血液が巡りやすくなります。ヒーターやエアコンも活用して、適切な室温管理で冷えを防ぎましょう。
身体を冷やさない食事を心がける
身体を温めるには、食生活の改善が必要です。寒い季節は、身体を温める食材を積極的に摂りましょう。栽培技術の発達で、一年中出回っているものの、トマトやキュウリ、ナスなどの夏野菜は身体を冷やすため、冬は避けたほうが無難です。
寒い季節におすすめなのは、身体を温める下記の食材です。冷たいメニューではなく、なるべく温かい煮込み料理や鍋などの調理で献立に取り入れましょう。
・ニラ
・ショウガ
・ニンニク
・カボチャ
・ネギ
飲み物もコールドドリンクではなく、身体を温める効果が期待できる生姜湯やホットティーがおすすめです。夏の季節も冷たいものの摂りすぎに注意して、意識して身体を温める食生活を心がけてください。
湯船につかる
冷えを防ぐために、入浴はシャワーだけで済まさず、湯船につかる習慣をつけましょう。湯船につかると寒さから滞っていた血行が改善し、縮こまっていた筋肉もほぐれてぎっくり腰の予防につながります。
冷え対策として、お湯の温度は38~40℃程度に設定してください。ぬるめのお湯に15~20分間つかると血流が良くなり、身体が内側からしっかり温まります。
日頃から運動する
冷えによるぎっくり腰を予防するには、日頃から適度に運動することも大切です。寒いからと面倒くさがらずに、ウォーキングやヨガ、軽いストレッチなどを日常生活に取り入れましょう。
腰を軽く動かすと血行が良くなり、筋肉がほぐれて、冷えによるぎっくり腰を防ぐのに役立ちます。
正しい姿勢を意識する
冷えによるぎっくり腰を防ぐために、意識して正しい姿勢を心がけましょう。寒いと身体が縮こまり姿勢が崩れやすいので、机に向かって座る際は猫背になったり腰を反らせすぎたりしないよう注意してください。
また、デスクワークで長時間同じ姿勢を取り続けると腰に負担をかけます。こまめに身体を動かして、筋肉が緊張して血行が悪くなるのを予防してください。用事をつくって席を立つよう工夫すると、血流が改善されて腰の痛みを防げます。
まとめ
冬に身体が冷えたり、夏に冷房にあたり続けたりすると、血行が滞り、筋肉や関節が硬くなってぎっくり腰が引き起こされます。
冷えによる腰の痛みの特徴を理解して、ぎっくり腰を防ぎましょう。衣服や生活習慣、食生活も見直して、身体を温めるよう工夫してください。