冷えやむくみが起こる原因とは?日常生活でできる予防法も解説

「手足が冷えて、なかなか眠りにつけない」「夕方になると脚がパンパンにむくむ」など、冷えやむくみに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。実は、冷えとむくみには深い関係があります。 今回は、冷えやむくみが起こる原因を詳しく解説します。日常生活でできる予防法も紹介するため、冷えやむくみでお困りの方は参考にしてみてください。


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冷えとむくみの関係とは?

むくみとは、血液中の水分が血管の外に溢れ出し、皮膚の下に溜まっている状態のことです。心臓から脚へ送られた血液は静脈を通って再び心臓に戻ってきますが、脚に運ばれた血液は重力に逆らって心臓へ押し上げられる必要があります。このとき、ふくらはぎを中心とした筋肉がポンプのような役割を果たし、血液を心臓に送っているのです。

しかし、ふくらはぎの筋肉が衰えたり、長時間同じ姿勢で筋肉を動かさなかったりすると、血液を心臓に押し戻す力が弱まってしまいます。その結果、血液のなかの水分が血管から溢れ出し、むくみとなって現れるのです。

また、身体が冷えると血行不良を起こし、皮膚の下に余分な水分が溜まることでむくみが生じやすくなります。特に足首が冷えるとふくらはぎの筋肉が固くなり、下半身のむくみにつながりやすいため注意が必要です。

冷えやむくみが起こる主な原因

冷えやむくみの多くは、生活習慣の乱れや偏った食生活が関係しています。ここでは、冷えやむくみが起こる主な原因を詳しく紹介します。

リンパの循環不良

リンパの流れが滞ると、むくみが起こりやすくなります。人間の身体には、動脈と静脈の他にリンパ管という管(くだ)が全身に張り巡らされています。リンパ管は「体の下水管」ともいわれ、老廃物や余分な水分を回収するはたらきがあります。

ただ、リンパには心臓のようなポンプ機能がありません。呼吸や筋肉の収縮によってゆっくり流れるため滞りやすく、老廃物や余分な水分が皮膚の下に溜まることがあります。その結果、むくみが生じてしまうのです。

リンパの流れが滞る原因としては、運動不足や水分不足、冷えなどがあげられます。また、過剰なストレスも自律神経が乱れることでリンパの流れに影響を及ぼします。

運動不足

脚に運ばれた血液はふくらはぎを中心とする筋肉の収縮・弛緩によって押し上げられ、逆流を防ぎながら心臓へ戻されます。そのため、運動不足によりふくらはぎの筋肉をあまり使わない方や、筋力が低下している方は血液を心臓へ戻す力が弱く、余分な水分が脚にたまりやすい傾向があります。

また、長時間のデスクワークや立ち仕事によって同じ姿勢が続くと、ふくらはぎのポンプ機能がうまく働かず、脚がパンパンにむくんでしまいます。

日常生活のクセ

自分では意識していなくても、日常生活のクセが冷えやむくみの原因になっていることがあります。例えば、普段からスカートを履く、薄着の習慣がある、冷たい食べ物や飲み物を好んで摂取するなど、冷えやすい習慣が身に付いている方は注意が必要です。

また、忙しくて朝食を抜く方も多いですが、起床時は一日のなかで最も体温が低く、朝食を抜くと体温が上がらないまま活動をスタートすることになります。その結果、身体の冷えを感じやすくなり、むくみにもつながるのです。

生活習慣の乱れ

生活習慣と冷え・むくみにも大きな関連があります。不規則な生活やストレスの蓄積、睡眠不足など生活習慣が乱れると、自律神経のバランスも崩れてしまいます。その結果、体温調節機能がうまくはたらかなくなり、冷えを起こしやすくなるのです。

また、偏った食事や食事制限をともなうダイエットによりミネラルやビタミン、タンパク質が不足すると、むくみが出やすくなります。

ホルモンバランスの乱れ

体温は、自律神経のはたらきによって一定に保たれています。しかし、体内のホルモンバランスが乱れると体温調整をする自律神経にも影響が及び、冷えやむくみが起こりやすくなるのです。

特に女性は生理や妊娠、更年期などによりホルモンバランスが乱れやすく、冷えやむくみが生じやすいといえます。

また、生理前に分泌量が増える黄体ホルモンがむくみの原因になることもあります。黄体ホルモンが増える生理前の時期は、妊娠に向けて身体が水分や栄養を溜め込もうとするため、むくみやすくなるのです。

冷え・むくみを予防する方法

冷えやむくみを改善するためには、日頃から身体を温める習慣をつけることが大切です。ここでは、日常生活で冷えやむくみを予防する方法を紹介します。

運動を習慣化する

ウォーキングや散歩、サイクリングなどの適度な運動を習慣化することで体温が上がり、血行が促進されます。血流が良くなると、冷えやむくみの解消や予防につながります。運動は継続することが大切なため「通勤時に一駅分歩く」「アプリで運動時間や消費カロリーを記録する」など、続けやすいような工夫をしてみましょう。

また、筋肉量が少ないと基礎代謝量が減少し、冷えやすくなります。脚には大きな筋肉が集中しているため、下半身を優先的に鍛えることで効率的に基礎代謝が上がり、血流の改善につながります。

湯船につかりリラックスする

冷えやむくみを予防するには、シャワーだけでなく毎日湯船につかることも大切です。入浴には、体温を上げる「温熱作用」、水圧により血液やリンパを刺激する「水圧作用」、浮力により身体全体の緊張がほぐれる「浮力作用」など、さまざまな効果があります。

38~40℃程度のぬるめの湯に20分程度つかることで身体の芯まで温まり、冷えやむくみの改善が期待できます。

身体を温める食べ物を取り入れる

食べ物の種類によっては、身体を温めたり冷やしたりするはたらきがあります。寒い土地で獲れるにんじんやごぼう、小松菜、れんこん、ねぎ、生姜、にんにくなどは身体を温めてくれるため、積極的に取り入れましょう。白湯や紅茶、ウーロン茶、ほうじ茶、ココアなど、身体を温める飲み物を摂取するのもおすすめです。

逆に、暑い土地で作られるトマトやきゅうり、なす、レタスなどは身体を冷やす性質があるため、摂り過ぎに注意しましょう。

無理なダイエットをしない

無理な食事制限をともなうダイエットをすると筋肉量が減り、冷えやすくなってしまいます。筋肉量が減ると基礎代謝も減少するため、ダイエット前の食事に戻した際にリバウンドしやすくなるデメリットもあります。

健康的にダイエットするには、栄養バランスの良い食事と適度な運動で、少しずつ体重を落とすことが大切です。筋肉量を増やし基礎代謝を上げることで、太りにくく痩せやすい身体に近づくでしょう。

部屋の中でも温かい服装で過ごす

冬でも薄着をしている方は身体が冷えやすい傾向があります。外出時は手足が冷えないように厚めの靴下や手袋を着用し、首を保温するためにマフラーも活用しましょう。温かい下着を着用して服のなかを温めるのも有効です。手首や足首の皮膚の近くには血流の多い動脈があるため、この部分を温めることで血流が促進され、全身を効率良く温められます。

また、外出時だけでなく部屋で過ごすときも薄着を避け、肌を露出しないことが大切です。冬は腹巻やひざかけ、レッグウォーマーなどで下半身を温め、夏はエアコンの風が直接身体に当たらないように注意しましょう。

むくみを解消するマッサージを取り入れる

マッサージで血液やリンパの流れを促すことで、余分な水分や老廃物が溜まりにくくなり、冷えやむくみの解消につながります。

ここでは、脚のむくみを解消できる簡単なリンパマッサージを紹介します。

1.イスに浅く腰かけ、左脚の太ももの付け根のくぼみの少し上にある三角状の部分(鼠径部:そけいぶ)に重ねた両手をあてる
2.鼠径部をゆっくり押しほぐしてから、腰のほうへ向かって流す(5回)
3.左脚の膝裏のくぼみに手のひらをあて、ゆっくりと押しほぐしてから、太ももの付け根に向かって流す(5回)
4.床に座り、左脚を右脚の太ももの上に乗せ、左手で足首を持ち安定させる
5.右手の指を左足の指に絡ませ、そのまま足首を回す(10回)
6.反対方向にも回す(10回)
7.左脚のふくらはぎを3つに分け、下から上の順に3秒ずつ両手で圧迫する(3回)
8.左脚の足首の後ろに両手をあて、ふくらはぎを下から上に向かって流す(5回)
9.左脚の足首の前側に両手をあて、すねを下から上に向かって流す(5回)
10.
左脚の太ももを3つに分け、下から上の順に3秒ずつ両手で圧迫する(3回)
11.左脚の膝裏を両手で包むように、太ももの裏側を上に向かって流す(5回)
12.左脚の膝を両手で包むように、太ももの前側を上に向かって流す(5回)

左脚のマッサージが終わったら、右脚も同様に行いましょう。優しい力で、ゆっくり行うのがポイントです。

まとめ

冷えやむくみの原因はリンパの循環不良や運動不足、日常生活のクセ、生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの乱れなどがあげられます。生活習慣を改善することで冷えやむくみの改善につながるため、できることから取り入れることが大切です。

就寝前にはリンパの流れを促すセルフマッサージを取り入れ、一日のむくみをその日のうちに解消しましょう。