女性が冷え性になりやすい原因
冷え性は女性に多くみられますが、その原因はさまざまです。ここでは、冷え性の主な6つの原因を解説します。
ホルモンバランスの乱れ
女性は思春期や妊娠、出産、更年期などライフステージごとにホルモンバランスが大きく変化します。女性ホルモン「エストロゲン」には血管拡張作用がありますが、更年期になるとエストロゲンの分泌量が低下し、冷えを招きやすくなります。
また、エストロゲンの分泌量が減少すると自律神経のバランスも乱れ、血流が滞りやすくなります。その結果、手足の冷えが生じやすくなるのです。更年期に冷えのほか、のぼせやほてり、頭痛、不眠、めまいなどの症状がある場合は医療機関への相談も検討しましょう。
筋肉不足
筋肉には体内で熱を生み出す役割があるため、筋肉量が少ないと冷えやすくなります。女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、冷え性になりがちです。特にふくらはぎの筋肉には、血液を心臓に押し戻すポンプのような作用がありますが、筋肉量が低下すると血流の悪化を招き、冷えやすくなります。
低血圧
血液には体内で作られた熱を全身に伝え、身体全体を温める役割があります。低血圧の人は心臓から送り出される血液の圧力が低く、手足の先まで血液が行き届きにくくなります。その結果、末端が冷えやすくなるだけでなく、めまいや立ちくらみ、肩こりなども招きがちです。
貧血
鉄欠乏型の貧血になると血液中のヘモグロビンが不足し、酸素の運搬能力が低下します。その結果、手足だけでなく全身の冷えを引き起こし、疲れやすい、顔色が悪い、めまい、息切れ、立ちくらみなどの症状を引き起こします。
自律神経の乱れ
自律神経は体温を調整する役割を担っています。ストレスや不規則な生活、睡眠不足などによって自律神経のバランスが崩れると、末梢血管の循環が悪くなり、手足が冷えやすくなるのです。自律神経が乱れると、冷えのほか不安や落ち込み、無気力、イライラ、頭痛、肩こりなど心身のさまざまな症状を招きます。
食生活の乱れ
食生活の乱れも冷えの一因です。甘いお菓子やスナック菓子、ファストフードなどを過剰に摂取している方、無理な食事制限を伴うダイエットをしている方は注意が必要です。このような食生活を続けると栄養バランスが崩れ、ビタミンやミネラルが不足しやすくなります。その結果、代謝が落ちて身体が冷え、血液循環が悪くなってしまうのです。
また、タンパク質が不足すると筋肉量が減り、体内で熱を生み出す力が弱まり、冷えを感じやすくなります。冷たい飲食物の摂りすぎも内臓を冷やし、全身の冷えにつながります。
冷え性を防ぐための方法
冷え性は生活習慣を見直すことで予防が可能です。ここでは、冷え性を防ぐ温活のポイントを4つ紹介します。
身体を温める食材・飲み物を摂取する
一般的に、身体を冷やす食材・温める食材はその「旬」や「産地」などによって分類されます。暑い季節や温暖地で収穫される食材は身体の熱を冷まし、寒い季節や寒冷地でとれる食材は身体を温める作用があるとされています。
ただし、冷え性だからといって身体を温める食べ物ばかり摂るのではなく、バランス良く摂取するのがおすすめです。
身体を温める食材
身体を温める食材はにんじんやれんこん、ごぼう、生姜、ネギなどのほか、ほうれん草や胡麻、黒豆、あずき、黒糖、胚芽米などもあげられます。そのほか、味噌や納豆などの発酵食品、肉や魚などタンパク質の多い食品、ナッツ類、アボカドも温活に効果的です。
身体を温める飲み物
身体を温める飲み物はココアや紅茶、ウーロン茶、ほうじ茶、生姜湯などがあげられます。また、朝起きたら一杯の白湯を飲むのもおすすめです。朝は一日のなかで体温がもっとも低いため、白湯を飲むことで身体が温まりやすくなります。
湯船につかる
夏はシャワー浴で済ませる方も多いと思いますが、冷えを防ぐためには毎日湯船につかりましょう。38~40℃くらいのぬるま湯に15~20分つかることでじんわり汗をかき、身体が温まりやすくなります。
湯船につかる時間がない場合は、太い血管が通っている首の後ろを蒸しタオルで温めるのもおすすめです。蒸しタオルは、水を軽く絞ったタオルを電子レンジで加熱(500Wで約30秒)するだけで簡単に作れます。
運動をする
冷えを予防するためには、適度な運動を生活に取り入れることも大切です。定期的な運動によって筋肉量が増加すると体内で熱を生み出しやすくなり、冷えの改善につながります。身体のなかでも特に大きい太ももの筋肉を鍛えることで、熱を生み出す力が高まり、体温を維持しやすくなります。
運動が苦手な方や運動経験が少ない方は、軽いウォーキングを習慣化してみてはいかがでしょうか。ヨガやストレッチなど室内で無理なくできる運動だけでも基礎代謝の向上が期待でき、冷えにくい身体を目指せます。
セルフマッサージをする
セルフマッサージによって血行促進が期待でき、冷え性の予防につながります。特に下記で冷えに効くツボを押すのがおすすめです。
合谷(ごうこく)
合谷(ごうこく)は、手の甲側、親指と人差し指の骨が交差する部分の少し内側(人差し指寄り)にあるツボです。冷えはもちろん、冷えからくる肩こりや頭痛、ストレスの緩和にもつながります。反対側の親指をツボに、残り4本の指を手のひらに当て、心地良いと感じる強さで5秒ほど押さえてからゆっくり離しましょう。
労宮(ろうきゅう)
手のひらの中央付近、くぼんだところにあるのが労宮(ろうきゅう)です。自律神経を整え、だるさや冷え性などを軽減する効果が期待できます。反対側の親指の腹でツボを5秒程度押さえ、ゆっくり力を抜きましょう。
湧泉(ゆうせん)
湧泉(ゆうせん)は足の裏にあるツボで、足の指を曲げたときにできるくぼみ(人差し指と中指の骨の間)にあります。血行促進のほか、身体のだるさや疲れの軽減にも役立ちます。親指をツボに当て、5秒ほど押し続けましょう。
冷え対策におすすめのグッズ
冷えを感じたときは、身体の外から温めてくれるグッズの活用もおすすめです。ここでは、冷え対策におすすめのグッズを5つ紹介しますので、ぜひ毎日のセルフケアに取り入れてみてください。
カイロ
カイロは、身体を手軽に温められる便利な温活グッズです。背骨の真ん中、おへそのちょうど裏側にある命門(めいもん)というツボにカイロを貼ると血の巡りが良くなり、全身が温まりやすくなります。ただし、カイロを肌に直接貼ったり、同じ部位に長時間当て続けたりすると低温やけどを起こすおそれがあるため、正しく使いましょう。
湯たんぽ
湯たんぽは、容器にお湯を入れて使用することで程良い温度を長く保ってくれるエコな温活グッズです。電子レンジで温めるタイプや、通電して温めるタイプも販売されています。お腹→太ももの前側→お尻→二の腕の順に湯たんぽを当てると全身の冷えを緩和できます。湯たんぽは長時間身体に当てないように注意し、就寝前は布団から出しましょう。
インナー
締め付けの強いインナーを使用すると血流が悪くなり、冷えの原因になります。締め付けすぎず、適度なゆとりのあるデザインのインナーを選びましょう。温かさと通気性を兼ね備えたコットンやシルクなど、肌にやさしい天然素材がおすすめです。
腹巻き
お腹や腰まわりの冷えを防ぐには、腹巻きもおすすめです。特に、背骨の下、お尻のすぐ上にある仙骨(せんこつ)という骨が冷えると子宮や卵巣などの内臓にまで冷えがおよびます。その結果、自律神経やホルモンバランスの乱れにつながるといわれています。
仙骨の冷えを防ぐには、お尻やお腹をすっぽり包みこむハイライズのショーツを選ぶのがおすすめです。さらに、腹巻きやオーバーパンツ、スパッツなどを重ね着することで保温性が高まります。ポケット付きの腹巻きなら、カイロを入れて温めるのも効果的です。
5本指ソックス
指をバラバラに動かせる5本指ソックスを履くと血液の流れがスムーズになり、足先がゆっくり温まります。足の指と指の間は汗が溜まりやすい部分ですが、5本指ソックスが汗を吸うことで蒸れにくくなり、におい対策にもつながります。
まとめ
女性が冷え性になりやすい原因は、筋肉不足やホルモンバランスの乱れ、低血圧、貧血、自律神経の乱れなどさまざまです。
冷えは生活習慣が関係していることも多いため、栄養バランスの良い食事や適度な運動、入浴など身体を温める習慣を身につけましょう。
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