その腰の痛みはおしりのコリが原因かも!
腰から太ももにかけての痛みやだるさは、「梨状筋症候群」の可能性があります。
梨状筋とは、脂肪に覆われたおしりの奥にある深層筋のひとつです。仙骨から大腿骨にかけて走っており、筋肉にコリやけいれん、炎症などが生じると付近の坐骨神経を圧迫して、強い痛みを引き起こします。
梨状筋症候群の代表的な症状は、次の通りです。
・腰やおしりまわりのピリピリ、チクチクする痛み
・足がしびれる、違和感がある
・太もも裏が突っ張る
・座っているときにおしりから太ももにかけて熱感がある
・おしりからふくらはぎにかけて重さやだるさがある
梨状筋症候群の症状は軽い違和感から始まり、次第に状態が悪化していくのが一般的です。ひどいときには、長時間歩くのが難しくなることもあります。特に、階段を登る、走る、長時間座ったままでいると痛みが悪化しやすいため、注意してください。
梨状筋症候群の症状は、坐骨神経痛とよく似ています。立ち上がったときや歩き出したときなど、些細な動作がきっかけで電撃のような痛みやしびれが生じるところも同じです。
梨状筋症候群と坐骨神経痛は、どちらも身体への負担が大きい疾患です。腰やおしりまわりに違和感があるときは無理をせず、悪化を防ぎましょう。
梨状筋症候群を引き起こす原因はいくつかあり、中でも疲労の蓄積は大きな要因とされています。長時間同じ姿勢を取り続けるデスクワーカーやドライバー、身体を酷使する仕事に就いている方はなりやすいので注意してください。
足を動かす起点となるおしりには坐骨神経が通っており、コリを放置すると神経圧迫により慢性的な痛みや身体の不調を招くリスクがあります。おしりの奥にある梨状筋のコリは自覚しにくいため、腰まわりに疲れや痛みを感じたら早めの対処を心がけましょう。
家庭でできるおしりの簡単ストレッチ法4選
それでは、おしりのコリにアプローチするストレッチ法を手順で紹介しましょう。軽度な梨状筋症候群なら、家庭でのセルフケアによって症状の軽減が期待できます。痛みが出ない範囲で、無理せずにストレッチに取り組んでください。
1.梨状筋を引き伸ばすストレッチ法
おしりの奥にある梨状筋を引き伸ばす、簡単なストレッチです。次の手順でしっかり伸ばしましょう。
1.布団の上で仰向けに寝て両膝を立てる
2.右足首を左足の太ももに乗せる
3.左足の太もも裏を両手で持ち、ゆっくりと胸に引き寄せて30秒キープする
4.ゆっくり戻り、足を入れ替えて反対側も同様にストレッチする。
梨状筋は、股関節を外側に回す動きをサポートする筋肉です。上に重ねた足の膝をできるだけ開いてストレッチすると、効率良く身体の奥にある梨状筋にアプローチできます。
2.坐骨神経への圧迫を軽減するストレッチ法
梨状筋のコリに効果的にアプローチして、坐骨神経への負担をやわらげることを目的としたストレッチです。ヨガのトレーニング法では、おしりの柔軟性を高める「鳩のポーズ」として知られています。
1.布団の上で両手と両膝をつき、四つん這いになる
2.右足を前に出して両手の間に置き、膝を外側に曲げる
3.左足は後ろに伸ばす
4.上半身をゆっくり前に倒しておしりを伸ばし、30秒キープする
5.ゆっくり逆の手順で四つん這いに戻る
6.足を入れ替え、反対側も同様にストレッチする。
上半身を倒す際に背中を丸めないように気を付けて、筋肉を伸ばしましょう。
3.椅子に座って行うおしりのストレッチ
椅子に座ってできる、簡単なおしりのストレッチです。動きが大きくなく目立たず運動できるため、オフィスでも疲れたときに手軽に取り組めます。
1.両足を床に付けたときに膝が90度になる高さで椅子に座る
2.右足を左足の上に乗せて足を組む
3.上半身を少し倒しておしりを伸ばす
4.左足のつま先を床につけたまま、かかとを20回上げ下げする
5.ゆっくりもとの姿勢に戻り、足を入れ替えて反対側も同様にストレッチする
朝夕に分けて、1日2回を目安にストレッチしましょう。膝とつま先を同じ方向に向けてかかとを上げ下げすると、しっかり梨状筋にアプローチできます。
4.おしりの深部にアプローチするストレッチ法
最後は、梨状筋につながる足の付け根を引き伸ばすストレッチです。1日2回を目安に、朝夕取り組んでください。
1.布団の上で膝立ちになる
2.右足を前に出して膝を立てる
3.両手を右膝に置き、3秒かけてゆっくり上半身を倒して股関節の前側を伸ばす
4.ゆっくり戻り、足を入れ替えて反対側も同様にストレッチする
5.交互に片足5回ずつ繰り返す
反り腰にならないようにお腹を引き締めながら足の付け根を伸ばすと、より深部の筋肉に効きます。
梨状筋は直接触って引き伸ばすのが難しいため、おしりをほぐすストレッチは毎日継続する必要があります。身体が温まっていると筋肉の伸びが良く効果が高まるので、お風呂上がりの習慣に取り入れましょう。
おしりのコリ対策にストレッチは有効ですが、セルフケアで対処できないケースもあるため安易な自己判断は危険です。痛みが続く場合や痛みが強い場合は、早めに整形外科を受診してください。梨状筋症候群は坐骨神経痛と症状が似ているので、正しい対処を心がけましょう。
おしりのコリを防ぐポイント
おしりのコリを防ぐには毎日ストレッチに取り組むとともに、日常生活での姿勢や身体の使い方を見直す必要があります。ストレッチで梨状筋のコリをほぐしても、同じような生活を続ければもとの状態に戻りやすいので、生活習慣を見直して予防しましょう。
梨状筋症候群を引き起こす主な原因は、次の通りです。梨状筋に負担をかけ続けると、筋肉疲労が蓄積して症状が悪化するため注意してください。
・長時間の同じ姿勢
デスクワークやドライブ、テレビ視聴、ゲームなどで長時間座ったままでいるとおしりが座面で圧迫されて血行が滞り、梨状筋にコリが生じる。
・悪い姿勢
姿勢が崩れて猫背や反り腰になっていたり、足を組む座り方をしたりしていると梨状筋に過剰な負荷がかかり、コリが生じる。
・身体の歪み
なんらかの原因で骨盤が歪んでいたり両足の長さのバランスが崩れたりすると、梨状筋に過剰な負担がかかる。
・運動不足と運動のしすぎ
適度に身体を動かさないと筋肉の働きが悪くなり、梨状筋に過剰な負担がかかる。逆に、トレーニングやスポーツで梨状筋を酷使すると筋肉に炎症が生じ、坐骨神経を圧迫して痛みを引き起こす。
特にリスクが高いのは、長時間の座りっぱなしです。デスクワークでは、最低でも1時間に1回は立ち上がる習慣をつけましょう。
座るときに足を組んだり机に頬杖をついたりして重心が片寄ると、梨状筋に過剰な負担がかかります。椅子に座る際は両足を床につけ、背筋を伸ばして重心を身体の中心に置きましょう。必要に応じて、椅子や机の高さを見直してください。
長時間同じ姿勢を取り続けると筋肉疲労が蓄積するため、仕事中に適度な休憩をはさむことも大切です。休憩時に軽く身体を動かすと、疲労感が和らぎます。
デスクワーカーは、休憩する際に前項で紹介した椅子に座って行うおしりのストレッチに取り組みましょう。立ち仕事の方は、休憩時に軽く足を動かして股関節をほぐしてください。
まとめ
おしりは痛みや硬さを感じにくく、コリを自覚しにくい部位です。しかし、おしりには坐骨神経が通っており、筋肉が凝り固まると痛みやしびれを引き起こします。本格的な不調に発展する前に、家庭で取り組めるストレッチでおしりの梨状筋を柔軟に保ちましょう。あわせて、日頃の姿勢や身体の使い方も見直して、痛みを防いでください。