おでこ周辺の頭痛の原因は主に5つ
おでこ周辺に現れる頭痛には、いくつかの原因が考えられます。なかでも代表的なのが「緊張型頭痛」「片頭痛」「副鼻腔炎」「帯状疱疹」「脳疾患(脳腫瘍)」の5つです。
多くの場合は緊張や疲れによるものですが、治療が必要な疾患が隠れていることもあります。それぞれの原因によって痛みの種類や症状の現れ方は異なり、適切な対処法も変わります。
正しく原因を見極めることで、頭痛の軽減や予防につながるため、まずは特徴を知ることが大切です。
おでこ周辺の頭痛1|緊張型頭痛
おでこ周辺の頭痛のなかで、もっとも多いとされているのが「緊張型頭痛」です。肩こりや精神的ストレスと関係が深く、誰にでも起こりうる身近なタイプの頭痛といえます。ここでは、その特徴や原因、改善のポイントを紹介します。
緊張型頭痛の症状
緊張型頭痛は、全体の約7割を占める最も多い頭痛とされています。特徴的なのは、頭を締め付けられるような圧迫感や、帽子を深くかぶせられたような重苦しい痛みです。
症状は軽度から中等度で、めまいや吐き気を伴うケースもあります。30分ほどで治まる場合もあれば、1週間ほど続くこともありますが、日常生活への影響は比較的少なめです。
緊張型頭痛の原因
緊張型頭痛の主な原因は、身体的ストレスと精神的ストレスの2つに分けられます。身体的ストレスの例をあげると、長時間のデスクワークや同じ姿勢の継続です。肩や首の筋肉が緊張し、血流が悪化することで身体的ストレスになります。
一方、精神的ストレスでは、仕事や人間関係などの精神的な負担が大きく関係しています。精神的な負担も、筋肉のこわばりを引き起こすのです。
これらの状態が続くと血管の収縮や筋肉周辺の循環不良が起こり、頭痛の発生につながります。
緊張型頭痛の対処法
緊張型頭痛を和らげるには、血流を促すことが重要です。首や肩をほぐすマッサージやストレッチ、ぬるめの入浴で血行を改善しましょう。
さらに、ウォーキングなどの軽い運動を習慣にすると、筋肉の緊張が和らぎやすくなります。特にデスクワーク中心の方は、こまめに姿勢を見直すと予防につながるでしょう。
おでこ周辺の頭痛2|片頭痛
おでこ周辺がズキズキと脈打つように痛む場合は、片頭痛の可能性があります。日常生活に支障をきたすほど強い痛みをともなうこともあり、適切な対処が必要です。ここでは、片頭痛の特徴や原因、改善方法を紹介します。
片頭痛の症状
片頭痛は、ズキズキと脈打つような痛みが特徴で、日常生活に影響を与えるほど痛みが強く出ることもあります。吐き気や嘔吐をともなうほか、光や音、においに敏感になるケースもあるのです。
突然、視界にキラキラした光が現れる「閃輝暗点(せんきあんてん)」が前兆として出る方もいます。
片頭痛は、発作が4~72時間続くのが特徴です。薬を飲まなくても30分程度で治まる頭痛や4日以上頭痛が続く場合は、片頭痛ではない頭痛が疑われます。
片頭痛の原因
片頭痛は、三叉神経が刺激を受けて炎症反応が起こり、血管が広がることで痛みが生じると考えられています。詳しいメカニズムは明らかになっていないものの、きっかけとなる要因は多岐にわたります。
体質や遺伝に加え、ストレス、睡眠不足や寝すぎ、アルコール摂取、強い光や音、におい、月経周期、気候の変化などが代表的な誘因です。
片頭痛の対処法
片頭痛を軽減するには、誘因となる刺激を避けることが重要です。強い光や音、においを避け、静かな暗い場所で安静に過ごすと症状が落ち着きやすくなります。頭を冷やすのも効果的です。
また、睡眠リズムを整え、ストレスをためこまない生活を意識しましょう。食べ物に気を付けたり、カフェインを適度に取り入れたりするのも対処法のひとつです。ツボ押しも、セルフケアとしておすすめです。
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おでこ周辺の頭痛3|副鼻腔炎
おでこ付近の頭痛に加えて鼻づまりや顔の重さを感じる場合は、副鼻腔炎が原因かもしれません。風邪やアレルギーが原因となることが多く、早めの対応が重要です。ここでは、副鼻腔炎による頭痛の特徴や原因、改善策を紹介します。
副鼻腔炎の症状
副鼻腔炎による頭痛は、おでこや頬のあたりに重だるい痛みを感じるのが特徴です。また、鼻水や鼻づまり、顔面の痛み、圧迫感、においの低下、悪臭、後鼻漏(のどに鼻水が流れ込む)などの症状がみられます。
発症から4週間以内であれば「急性副鼻腔炎」、3か月以上続く場合は「慢性副鼻腔炎」と診断されます。
副鼻腔炎の原因
副鼻腔炎は「蓄膿症」とも呼ばれ、風邪やアレルギーなどが引き金となって副鼻腔内に炎症が起こります。
炎症により鼻の粘膜が腫れたり、粘り気のある鼻水が出たりすると、副鼻腔と鼻をつなぐ通り道(自然口)が塞がってしまうのです。
その結果、膿や鼻水がうまく排出されず、内部にたまって炎症が慢性化してしまいます。
副鼻腔炎の対処法
副鼻腔炎の症状を和らげるには、鼻の通りを良くするセルフケアが効果的です。蒸しタオルを鼻の上にあてて蒸気を吸入したり、専用の洗浄液を使って鼻うがいをしたりする方法があります。
症状が続く場合は、自分で対処するのではなく、医療機関を受診し、適切な対処を受けることが大切です。
おでこ周辺の頭痛4|帯状疱疹
おでこや顔の片側に強い痛みを感じ、その後に赤い発疹が現れた場合は、帯状疱疹の可能性があります。ウイルスが原因で起こる病気で、早めの対応が重要です。ここでは、帯状疱疹による頭痛の特徴や原因、対処法を紹介します。
帯状疱疹の症状
帯状疱疹は、まず皮膚に神経痛のような痛みが起こり、その後、水ぶくれをともなう赤い発疹が現れます。痛みの感じ方は人によって異なり、ピリピリ・チクチクした刺激から、針で刺されるような鋭い痛み、焼けるような痛みまでさまざまです。
発疹は、身体の片側に帯状に現れ、徐々に痛みが強くなることもあります。皮膚症状以外では、顔面の神経、特に三叉神経にウイルスが影響をおよぼすと、顔や頭部に強い痛みや頭痛が広がるのです。
さらに、ストレスや体調不良が重なると、片頭痛や緊張型頭痛を引き起こすきっかけになるおそれもあります。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹は、かつて水ぼうそうにかかったことのある方の体内に潜んでいた「水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)」が、再び活性化すると発症します。
このウイルスは神経の奥深くに潜み、加齢やストレス、病気などで免疫力が低下すると、神経を通じて皮膚に現れ、水ぶくれをともなう発疹や痛みを引き起こすのです。
帯状疱疹の対処法
帯状疱疹は、皮膚に発疹が出たらできるだけ早く皮膚科を受診することが重要です。顔まわりに症状が出た場合は、視力に影響をおよぼすおそれもあります。
治療には、抗ウイルス薬が用いられ、発症から3日以内に服用を始めると効果が高いとされています。受診が遅れると、薬の効き目が弱くなり、痛みが長引くリスクもあるため注意しましょう。
おでこ周辺の頭痛5|脳疾患(脳腫瘍)
おでこ周辺の頭痛が長期間続いたり、これまでにない異変をともなったりする場合は、脳の病気が隠れている可能性もあります。なかでも注意したいのが脳腫瘍です。ここでは、その症状や考えられる原因、早期に取るべき対処法について解説します。
脳疾患(脳腫瘍)の症状
脳腫瘍が原因の頭痛は、慢性的に続くことが多く、あわせて原因不明の吐き気や嘔吐が現れるのが特徴です。
腫瘍が脳のどの部位を圧迫するかによって症状は異なり、視野が狭くなる、ものが二重に見える、手足のしびれや麻痺、言葉がうまく出ない、音が聞こえにくくなるといった神経症状がみられます。
脳疾患(脳腫瘍)の原因
脳腫瘍の主な原因は、遺伝子の変異とされていますが、その詳細は明らかになっていません。
ただし、腫瘍の進行を促す要因としては、高たんぱく・高脂肪の食事を過剰に摂ること、慢性的なストレス、喫煙などの生活習慣が関与している可能性が指摘されています。
脳疾患(脳腫瘍)の対処法
普段と異なる頭痛や、長期間続く違和感がある場合は、早めに脳神経外科や脳神経内科を受診することが大切です。
専門の医療機関では、CTやMRI、PETなどの画像検査を活用し、診察や他の検査とあわせて腫瘍の種類や進行度を判断します。早期発見と適切な治療により、症状の進行を抑えることが可能です。
まとめ
おでこ周辺の頭痛には、緊張型頭痛や片頭痛だけでなく、副鼻腔炎や帯状疱疹、脳の疾患などさまざまな原因が考えられます。放置せず、症状の特徴を見極めて早めに対処することが大切です。気になる症状が続く場合は、医療機関の受診を検討しましょう。