【部位別】筋膜リリースのやり方!道具なし&ありでの方法を紹介

筋膜リリースは、筋膜に働きかけることで筋肉の緊張や痛みを和らげる手法です。筋膜リリースは整体院や整骨院などで受けられるだけでなく、自分で行うことも可能です。 今回は、自分でできる筋膜リリースのやり方を部位別に紹介します。道具なしで手軽にできる方法から、専用の道具を使って効率良く筋膜をほぐす方法までお伝えしますので、ぜひ日常のケアに取り入れてみてください。


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筋膜リリースとは

筋膜とは、筋肉を包み込んでいる薄い膜のことです。悪い姿勢や長時間同じ姿勢でいることによって身体の一部に負担がかかると、筋膜のよじれやシワが生じ、身体の組織が硬くなります。その結果、動きにくさやコリ、痛みを感じるようになるのです。

筋膜リリースとは、筋膜のよじれやねじれを改善し、柔軟性を向上させるための手法です。筋膜を一定方向に伸ばすのではなく、さまざまな方向に解きほぐすのが特徴です。

筋膜リリースで期待できる効果

ここでは、筋膜リリースによって期待できる効果を4つ紹介します。

身体の柔軟性向上

筋膜が萎縮・癒着すると、コリや痛みが生じて筋肉の柔軟性が低下します。筋膜リリースを行うことで筋膜のよじれ・ねじれがほぐれ、身体の動きがスムーズになります。

筋膜の萎縮や癒着が和らぐと身体のバランスも整い、軽く感じられるようになるでしょう。

身体のコリ・痛みの軽減

筋膜には痛みを感知するセンサーが多く存在するため、動きが悪くなるとコリや痛みが生じます。筋膜リリースは、筋膜の萎縮や癒着を剥がしたり 擦ったりすることで、筋膜の柔軟性を取り戻しやすくなると考えられます。

そのため、痛みやコリの緩和が期待でき、慢性的な不快感を軽減できるでしょう。

スポーツのパフォーマンス向上

筋膜の癒着 によって動きが悪くなると、筋肉がもつ本来の能力を発揮しにくくなります。そのため、筋膜リリースで柔軟性を向上させることで、スポーツのパフォーマンス向上につながることがあります。

実際に、多くのトップアスリートがウォーミングアップ前に筋膜リリースを行っています。

姿勢改善

筋膜によじれやこわばりが生じると柔軟性が低下し、正しい姿勢を保ちにくくなります。筋膜リリースで癒着した筋膜を解きほぐすことで、筋肉の柔軟性や関節の可動域が向上し、姿勢改善が期待できます。

姿勢改善を目的とする場合は、姿勢保持に必要な筋肉のトレーニングも一緒に行うと効果的です。

道具なし!自分でできる筋膜リリースのやり方

ここでは、道具なしで手軽にできる筋膜リリースのやり方を部位別に紹介します。
なお、身体が冷えると筋膜や筋肉などが硬くなるため、身体が温まっている入浴後のタイミングで筋膜リリースを行うのがおすすめです。

肩まわりをほぐす筋膜リリース

椅子に座った状態でできる、鎖骨まわりの筋膜リリースのやり方を紹介します。

1.鎖骨の中央より指一本分外側の場所に指3本を置く
2.鎖骨の下に指をずらし、上下・左右・斜め方向にマッサージする
3.反対側の鎖骨も同様に行う

腰痛対策におすすめの筋膜リリース

腰痛対策に効果的な筋膜リリースを2つ紹介します。

骨盤の後外側の筋膜リリース

1.横向きに寝る
2.骨盤の真ん中の少し外側の上部にある出っ張った骨を見つける
3.2で見つけた骨のすぐ外側を指で上下にマッサージする
4.反対側も同様に行う

股関節の後外側の筋膜リリース

1.横向きに寝る
2.お尻の下部にある骨の出っ張りを見つける
3.出っ張りの外側の部分を指で上下・左右・斜め方向にマッサージする
4.反対側のお尻も同様に行う

フォームローラーを使ったセルフ筋膜リリースのやり方

続いて、自分で手軽に筋膜リリースができる筒状のアイテム「フォームローラー」を使った方法を紹介します。フォームローラーはさまざまな種類がありますが、初めて使う場合は長さ33cmの標準サイズ(グリッドフォームローラー)がおすすめです。いずれの筋膜リリースも呼吸を止めないように注意し、ゆっくり行いましょう。

肩まわりの筋膜リリース

デスクワークや家事を長時間続けると背中が丸まり、肩が内側に巻かれたような状態になりがちです。肩が本来の位置よりも前に出ると胸や腕の筋肉が収縮し、首や肩に違和感が生じます。

ここでは、フォームローラーを使った筋膜リリースについて紹介します。

上腕三頭筋の筋膜リリース

上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)は、腕の裏側、二の腕部分にある大きな筋肉です。下記の筋膜リリースで、上腕三頭筋をゆっくりほぐしていきましょう。

1.仰向けになり、肘を立てる
2.肘のすぐ上の部分(二の腕側)にフォームローラーを当てる
3.手の平を上に向けてフォームローラーを転がし、違和感やこわばり感がある部分を探す
4.違和感がある部分で動きを止め、そのままゆっくり圧をかけて2回呼吸する
5.圧をかけた部分をずらすように、ゆっくり小さく転がす(4往復)
6.横方向にこするように、ゆっくり小さく動かす(2往復)
7.肘をフォームローラーに当てたまま曲げ伸ばす(4回)
8.反対側の腕も同様に行う

三角筋後部から胸部の筋膜リリース

三角筋は、肩関節を覆う三角形の筋肉です。三角筋後部から胸部エリアの筋膜リリースのやり方を紹介します。

1.仰向けになり、脇の下にフォームローラーを当てる
2.この状態で身体を横向きにする
3.少し上を向き、肩の後ろ側にフォームローラーを当てる
4.フォームローラーを転がし、こわばり感がある部分を探す
5.違和感がある部分で動きを止め、そのままゆっくり圧をかけて2回呼吸する
6.息を吐きながら身体を前に倒し、息を吸いながら体を後ろに倒す(4往復)
7.反対側の脇も同様に行う

三角筋中部から上腕二頭筋の筋膜リリース

上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)は、腕の前面にある「力こぶ」と呼ばれる筋肉です。ここでは、三角筋中部から上腕二頭筋の筋膜リリースのやり方を紹介します。

1.横向きに寝転んで肘を曲げ、二の腕の外側(肩と腕の境目部分)にフォームローラーを当てる
2.フォームローラーを転がし、違和感がある部分を探す
3.違和感がある部分で動きを止め、そのままゆっくり圧をかけて2回呼吸する
4.圧をかけた部分をずらすように、ゆっくり小さく転がす(4往復)
5.反対側の肩も同様に行う

首の筋膜リリース

1.仰向けになり、首の中心部にフォームローラーを当てる
2.首を左に45度傾け、もとの位置に戻す(4往復)
3.首を右に45度傾け、もとの位置に戻す(4往復)

広背筋の筋膜リリース

広背筋(こうはいきん)は、背中の広い範囲に広がる三角形の筋肉です。ここでは、広背筋の筋膜リリースのやり方を紹介します。この筋膜リリースは、ゾーン1とゾーン2の2か所でそれぞれ行います。

・ゾーン1:脇の下(片手をあげ、もう片方の手を前から回してきたときに当たる部分)
・ゾーン2:ゾーン1のすぐ下

1.横向きに寝て膝を少し曲げる
2.ゾーン1にフォームローラーを当て、片手でフォームローラーを支える
3.グリッドフォームローラーをつかみながら、背伸びするイメージで上下に転がす(4往復)
4.手の平を上に向け、身体を開くように腕をまっすぐ伸ばす(4往復)
5.ゾーン2も1~4と同様に行う
6.反対側も1~5と同様に行う

太ももの筋膜リリース

続いて、太もも前側・太ももの裏(ハムストリングス)の筋膜リリースのやり方を紹介します。

太もも前側の筋膜リリース

太もも前側をゾーン1・ゾーン2の2箇所に分け、それぞれ筋膜リリースを行います。

・ゾーン1:太もも前側の下半分
・ゾーン2:太もも前側の上半分

1.フォームローラーの上に片脚のゾーン1を乗せ、うつ伏せの状態になる
2.肘は肩の真下につく
3.もう片方の脚は膝を内側につく
4.お腹に少し力を入れ、床と平行の高さにする
5.この状態で前後にフォームローラーを動かす(4往復)
6.膝を90度曲げ、もとの位置に戻す(4回)
7.ゾーン2も1~6と同様に行う
8.反対側の脚も1~7と同様に行う

太ももの裏(ハムストリングス)の筋膜リリース

太ももの裏のゾーン1・ゾーン2の2箇所でそれぞれ筋膜リリースを行いましょう。

・ゾーン1:太もも裏側の下半分
・ゾーン2:太もも裏側の上半分

1.フォームローラーの上に片脚のゾーン1を乗せ、もう片方の脚は膝を立てる
2.両手は肩と同じ位置で床につき、身体を支える
3.お尻を少し持ち上げ、フォームローラーを前後に転がす(4往復)
4.より負荷をかけたい場合はフォームローラーの上に身体を乗せ、手を太ももの上に乗せた状態で転がす(4往復)
5.続いて、左右に太ももを転がす(4往復)
6.ゾーン2も1~5と同様に行う
7.左右の脚を入れ替え、1~6と同様に行う

ふくらはぎの筋膜リリース

ふくらはぎの筋膜リリースも、ゾーン1・ゾーン2の2箇所でそれぞれ行います。

・ゾーン1:ふくらはぎの下半分
・ゾーン2:ふくらはぎの上半分

1.フォームローラーの上に片脚のゾーン1を乗せる
2.もう片方の脚は、その上にクロスさせる
3.両手は肩と同じ位置で床につき、身体を支える
4.フォームローラーを前後に転がす(4往復)
5.より圧をかけたい場合はお尻を持ち上げ、フォームローラーを前後に転がす(4往復)
6.フォームローラーの上で足を左右に転がす
7.ゾーン2も1~6と同様に行う
8.左右の脚を入れ替え、1~7と同様に行う

自分で筋膜リリースを行う際の注意点

最後に、筋膜リリースを行う前に知っておきたい注意点を3つ紹介します。

悪性腫瘍やがんがある人は筋膜リリースを控える

下記のいずれかに当てはまる人は、筋膜リリースを控えましょう。

・悪性腫瘍やがんがある人
・開放創(皮膚の開いた傷)・縫合部がある場合
・感染症にかかっている人

筋膜リリースを行うと最初は痛みを感じることがありますが、徐々に気持ち良い刺激に変わっていくのが一般的です。筋膜リリースを続けても痛みが変わらなかったり、痛みが強くなったりした場合は何らかの病気が隠れている可能性があります。この場合は筋膜リリースを一旦止め、医療機関を受診しましょう。

無理な力をかけない

筋膜リリースは、無理な力をかけず気持ち良いと感じる程度の強さで行いましょう。フォームローラーに体重を乗せすぎると筋肉や筋膜が傷つき、炎症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。初めて筋膜リリースを行う方や、筋膜の硬さを感じる部位は20〜30秒程度から始めましょう。

こまめに水分補給を行う

筋膜リリースを行うと血行が良くなり、筋肉や筋膜内に蓄積した老廃物が排出されます。この過程で水分が必要なため、筋膜リリース後は多めに水を飲みましょう。

まとめ

筋膜リリースを行うことで身体のコリや痛みが軽減するだけでなく、柔軟性やスポーツのパフォーマンス向上、姿勢改善にもつながります。フォームローラーがあれば効率良くセルフ筋膜リリースが可能ですが、道具なしでも手軽に行えます。今回紹介したやり方を参考に、ぜひセルフ筋膜リリースを実践してみてください。

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