顎を上げる癖の直し方は?原因と今日からできる対策法を解説

無意識のうちに顎が上がってしまう癖に悩んでいませんか。顎が上がると見た目に影響を及ぼすだけでなく、後頭部の付け根・肩甲骨周辺の緊張によって肩こりや首こり、頭痛につながることもあります。今回は、無意識に顎が上がる原因や放置するリスク、今日から実践できる対策法を解説します。


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無意識に顎が上がる原因

無意識に顎が上がってしまう癖には、さまざまな要因が隠れています。ここでは、なぜ顎が上がってしまうのか、考えられる原因を4つ解説します。

不良姿勢

顎が上がる原因のひとつが、不良姿勢です。顎の位置は姿勢と密接に関係しており、悪い姿勢が習慣化することで、顎が前に突き出しやすくなります。

例えば、背中が丸まった猫背の姿勢になると、身体全体が後方に傾きがちになります。すると、重心のバランスを取ろうとして、無意識に顎を前に突き出すような姿勢になるのです。

この状態が習慣化すると、顎まわりの筋肉や骨格に余計な負担がかかり、顎が前に出た姿勢が癖として定着してしまう可能性があります。

長時間のデスクワーク

長時間デスクワークに集中していると、画面をのぞき込むように顔を前に突き出した姿勢になりがちです。特に、頭が肩よりも前に出ている状態を長時間続けると、首や肩の筋肉に余計な負担がかかり、肩こりや首こりを引き起こしやすくなります。

さらに、机や椅子の高さが合っていないと猫背になりやすく、顎を突き出すような姿勢が習慣化してしまいます。この状態が続くと、頚椎(首の骨)やその下に続く脊椎にゆがみが生じ、椎間板に負担がかかり、不快感を覚えることもあります。

口呼吸や片側で噛む癖

日頃の生活習慣も、無意識に顎が上がる原因になります。例えば、口呼吸の癖があると、顎まわりの筋肉の発達が妨げられ、下顎が前方にずれやすくなり、顎が突き出てしまうことがあります。

また、片側ばかりで食べ物を噛む癖や、硬いものを頻繁に噛む習慣も、顎の歪みや突出、噛み合わせの悪化を引き起こす要因になります。

顎の突出を予防するためには、日頃から鼻呼吸を意識し、食事の際は左右の歯をバランス良く使って噛むことが大切です。

加齢による骨格や筋肉の変化

年齢を重ねると、筋力が低下するだけでなく、骨密度の減少や骨格の変化も徐々に進行します。特に、顎の骨の成長が終わった大人になってから顎の突出がみられる場合は、骨格そのものの変化が原因になっている可能性があります。

顎が上がる癖を放置するとどうなる?

顎が上がる癖は見た目の問題だけでなく、身体の不調にもつながる可能性があるため、注意が必要です。顎が上がった状態が続くと、後頭部の付け根にある筋肉が常に緊張した状態になります。その結果、首から肩の筋肉も連動してこわばり、慢性的な肩こりや首こりを引き起こすのです。

さらに、後頭部の筋肉が緊張することで、その周辺を走る神経が圧迫され、後頭部を中心にズキズキとした鈍い痛み(緊張性頭痛)を引き起こすこともあります。頭痛が慢性化すると、集中力の低下や倦怠感を引き起こし、日常生活に支障をきたすおそれもあります。

このように、顎を上げる癖は全身の筋肉バランスや神経にまで影響を及ぼすため、放置せず早めの対処が重要です。

顎を上げる癖の直し方

顎を上げる癖は、自分ではなかなか気づきにくいものの、生活習慣の見直しによって改善できる可能性があります。ここでは、顎を上げる癖を直すために自分でできる対策法を4つ紹介します。

正しい姿勢を意識する

顎を上げる癖を改善するためには、日常の姿勢を見直すことが大切です。座っているときも立っているときも、身体のバランスを意識することで、顎が自然な位置に収まりやすくなります。デスクワーク時は、体型に合わせて椅子と机の高さを調整し、無理のない姿勢を保つことが大切です。以下のポイントを意識しましょう。

・おへその下に軽く力を入れ、骨盤をまっすぐ立てる
・胸を少し後ろに引き、顎を引く(舌は上顎に軽くつける)
・頭頂部から糸で引っ張られているような感覚をイメージする
・モニター画面の上端が、目線と同じ高さか、やや下になるように調整する

顎を引くと頭の重心が体幹の真上に乗り、舌を上顎につけることで顎の位置が安定し、顎が上がるのを抑制できます。モニターの高さを適切に調整することで前傾姿勢になりにくくなり、顎の突き出しを防げます。

また、立っているときは重心を足の親指側にかけ、かかとが紙1枚分ほど浮くようなイメージを意識してみましょう。この姿勢で歩くことで、顎だけでなく全身のゆがみの改善にもつながるとされています。

顎の筋肉を鍛える体操をする

顔の筋肉を鍛えることで、顎のラインが引き締まり、突出の改善も期待できます。ここでは、手軽に顎の筋肉を鍛えられるトレーニングを紹介します。

1.口を大きく開けて、「あ」「い」「う」「べ」と発音する
2.舌を口の中で時計回り・反時計回りにゆっくり回す

この体操は、場所を選ばずいつでも行えます。1回5分程度を目安に1日数回行い、無理のない範囲で継続しましょう。

ストレッチで首や肩まわりの筋肉をほぐす

首や肩まわりの筋肉がこわばると、姿勢が崩れがちになり、顎を上げる癖が定着しやすくなります。日常的にストレッチで筋肉の緊張を緩めることで、姿勢の改善につながります。ここでは、首や肩まわりの筋肉をほぐす簡単なストレッチを2つ紹介します。

首のストレッチ

首の筋肉をほぐすストレッチです。1分ほどでできるため、デスクワークの合間にぜひ取り入れてみましょう。

1.左腕を自然に下ろす
2.右手で左の側頭部(こめかみあたり)を持ち、頭を右斜め前にゆっくり倒す(そのまま15~30秒キープ)
3.反対側も同じように行う

ストレッチは反動をつけず、ゆっくりと行うのがポイントです。呼吸を止めずに、リラックスしながら続けましょう。

肩甲骨のストレッチ

肩甲骨まわりの筋肉をしっかり動かすことで、首や肩のコリが和らぎ、姿勢改善や冷え対策にもつながります。

1.両ひじを曲げ、肩よりやや高い位置まで上げる(腕が上がりにくい場合は、無理のない範囲で行う)
2.手を軽く握り、鎖骨のあたりに添える
3.両ひじをゆっくりと後ろに引きながら、5秒かけて息を吐く(できるだけひじの高さをキープし、肋骨から肩甲骨をはがすイメージでしっかり寄せる)
4.肩甲骨を寄せたまま、ひじを下げて脱力する
5.1~4を5回繰り返す

一つひとつの動作を丁寧にゆっくり行うことで、ストレッチの効果が高まります。ぜひ起床時や就寝前に取り入れ、習慣化していきましょう。

自分に合う高さの枕を選ぶ

顎を上げる癖を直すためには、睡眠中の姿勢も重要です。中でも枕の高さは、首や顎にかかる負担に大きく関係しています。高すぎる枕は顎を引きすぎた姿勢になり、低すぎる枕は顎を突き出すような状態になりやすく、いずれも首や顎に負担をかけてしまいます。

自分に合った高さの枕を選ぶことで、首や肩、顎に余計な力がかからず、睡眠中も自然な姿勢を保ちやすくなります。仰向けで寝る場合は、顎を軽く引いた状態で、目線が天井よりやや下を向く高さの枕が理想です。

横向きで寝る場合は、首の角度が頭から背中まで一直線になるように意識しましょう。頭の位置は、耳と肩が垂直に並ぶように調整するのがポイントです。

まとめ

無意識に顎が上がる原因には、不良姿勢や長時間のデスクワーク、口呼吸や片側で噛む癖、加齢による骨格や筋肉の変化などがあげられます。顎が上がる癖を放置すると肩こりや首こり、緊張性頭痛などの不調を引き起こすことがあるため、早めのケアが重要です。

日頃から正しい姿勢を意識するとともに、顎の筋肉を鍛える体操や首・肩まわりの筋肉をほぐすストレッチを取り入れましょう。また、自分に合う高さの枕を選び、睡眠中に自然な姿勢を保つことも大切です。できることから習慣化し、顎を上げる癖を改善しましょう。