腰痛で仕事を休んでも問題ない?
ひどい腰痛でやっと起き上がれるような状態であれば、無理に出勤するのは控えましょう。痛みを我慢して仕事に向かうと、さまざまな弊害を生むリスクがあります。
以下に、つらい腰痛がある場合に休むべき理由を解説します。
悪化して痛みが強まるおそれがある
腰痛がひどい状態で無理に出勤すると、症状がさらに悪化するおそれがあります。特に長時間のデスクワークや立ち仕事、重い物の持ち運びは痛みを悪化させやすく、腰痛の慢性化を招くことがあります。
一時的には頑張れても、その後に動けなくなってしまえば、結果的に長く休まざるを得なくなるのです。かえって職場に大きな負担をかけることを避けるためにも、症状が強いときはしっかりと休養をとりましょう。
疾患が隠れている可能性がある
腰痛はさまざまな原因によって起こり、何らかの疾患が隠れている場合があります。以下に、腰痛が生じる代表的な疾患を原因別に紹介します。
原因 | 疾患名 |
筋肉・骨・関節 | ・筋・筋膜性腰痛
・腰椎椎間板ヘルニア ・脊柱管狭窄症 ・腰椎分離症・すべり症 ・腰椎圧迫骨折 ・腰椎椎間関節症 ・変形性腰椎症 |
内臓 | ・尿路結石
・腎盂腎炎 ・大動脈瘤 ・子宮内膜症 ・子宮筋腫 ・卵巣腫瘍 ・前立腺炎、前立腺肥大、前立腺がん |
免疫の異常による炎症反応 | ・強直性脊椎炎
・リウマチ性多発筋痛症 |
腫瘍や感染症 | ・転移性脊椎腫瘍
・骨髄腫 ・脊椎炎 ・椎間板炎 |
腰痛には思わぬ疾患が隠れている可能性があるため、自己判断で出勤せず、病院を受診して痛みの原因を明らかにしましょう。
生産性が低下する
腰痛を抱えながら出勤しても、動作制限により仕事に集中できません。このような体調不良によって十分なパフォーマンスを発揮できない状態を「プレゼンティーズム」と呼びます。
実は、体調不良による欠勤(アブセンティーズム)よりも、プレゼンティーズムのほうが企業に与える損失が大きいとされています。
腰痛を我慢して働くよりも、しっかり休んで回復してから職場に復帰したほうが、結果的には生産性の向上につながるという考え方です。
腰痛で仕事を休むときの会社への伝え方
ここからは、腰痛で仕事を休むときの会社への伝え方を紹介します。職場への影響を最小限に抑えられるように、参考にしてください。
伝える方法
仕事を休むときの連絡は、電話で行うのが基本的なマナーです。メールやチャットでは緊急性や誠意が十分に伝わらないことがあるため、まずは電話で直接伝えましょう。
ただし、テキストでの連絡が一般的な職場では、日頃のルールや社内の慣習に従って、適切な方法を選択しましょう。
伝える相手
連絡は原則として、直属の上司にしましょう。上司はあなたの業務状況を把握し、仕事の調整や代替案を判断する立場であるからです。
上司が不在の場合は、時間をおいて再度連絡するか、人事部門に状況を伝えて伝達してもらうかしましょう。人事に取り次ぎを依頼した場合は、改めてメールやチャットで上司にフォローしておくと丁寧です。
注意したいのは、同僚を通じて伝えることです。第三者を介すると正確な状況が伝わりにくいばかりか、不信感を与えてしまう場合もあるため避けましょう。
伝えるタイミング
連絡を始業時間の直前にするのは避けましょう。直前の連絡では、業務の調整や引き継ぎに十分な時間を確保できない可能性があるためです。
しかし、あまりに早すぎると上司がまだ出勤していない場合もあります。始業の30分前から、遅くとも15分前までには連絡するのが望ましいでしょう。
伝える内容
痛みの程度や日常動作への影響を具体的に伝え、仕事に支障をきたす理由を理解してもらうことが大切です。スムーズに説明できるように、あらかじめ以下の項目を整理しておきましょう。
・痛みの部位:背中、腰、脚など
・痛みの種類:鋭い痛み、鈍い痛み、しびれを伴う痛みなど
・痛みによる動作制限:座っていられない、立っていられない、歩けないなど
・仕事への影響:デスクワークができない、重い物を持てないなど
・仕事復帰の見込み:受診時に医師へ確認した内容
これらに加えて以下の点もあわせて伝えておくと、職場への配慮がより伝わります。
・代替案の提示:納期延長の相談や、代役の依頼など
・報告体制の整備:休業中の連絡手段や、情報共有の段取りについて
・診断書の確認:診断書が必要かどうかの確認
業務への影響を最小限に抑えるため、丁寧な伝え方を心がけましょう。
会社を休む期間の目安
腰痛で休む期間は、症状の重症度によって異なります。以下に、重症度別の回復期間の目安や症状を紹介します。
重症度 | 復帰までの目安 | 症状や対応 |
軽度 | 3日~5日 | ・痛みはあるが動ける状態
・安静にしていれば炎症が落ち着き、短期間で楽になる傾向 ・軽い運動やストレッチを、痛みが悪化しない範囲で行うのを推奨 |
中度 | 1週間~10日 | ・立ち上がりや歩行、日常生活に制限が出る
・病院での投薬や物理療法(マッサージ・電気・冷却)などを行うことがある ・専門家の指示に従い適切に安静を保つ必要がある |
重度 | 2週間~1か月 | ・神経への影響が疑われ、強い痛みやしびれ、歩行困難などがみられる
・椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの可能性あり ・精密検査や長期的な治療が必要になるケースもある |
これらはあくまでも一般的な目安です。個人差や症状の原因によっても異なるため、医師の診断を受けた上で、職場とも相談しながら休む期間を決めましょう。
腰痛で仕事を休むときの具体的な伝え方(例文)
腰痛で仕事を休む際の連絡方法について、電話とテキストに分けて例文を紹介します。
いずれの方法でも「現在の体調」や「休む予定の日数」に加え、可能であれば「医師の見解」も伝えると良いでしょう。ご自身の症状や職場のルールに応じて、適宜内容を調整しながら活用してください。
電話での連絡例
「おはようございます。〇〇部の△△です。今朝起きたときから、腰から背中にかけて鋭い痛みがあり、立ち上がったり座っていたりすることが困難で、デスクワークが厳しい状態ですので、本日はお休みをいただきたくご連絡しました。
このあと病院を受診予定ですので、診断結果については改めてご報告いたします。
急ぎの業務については××さんに引き継ぎ済みです。診断結果については別途メールで報告します。診断書が必要な場合はご指示ください。
お手数をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。」
メールやチャットでの連絡例
「おはようございます。〇〇部の△△です。起床時より腰から背中にかけて鋭い痛みがあり、立ち上がったり座ったりしていられず、デスクワークも困難な状態です。
そのため、本日はお休みをいただきたくご連絡いたしました。このあと病院を受診予定ですので、診断結果については改めてご報告いたします。
急ぎの業務は××さんに引き継ぎました。診断結果につきましては、別途メールにてご報告いたします。診断書が必要な場合はご指示ください。
急なご連絡となりご迷惑をおかけし申し訳ありません。何卒よろしくお願いいたします。〇〇部 △△」
腰痛から職場復帰するための事前準備
腰痛から職場復帰するための事前準備のポイントを紹介します。
まずは、自分の腰の状態を正しく把握しましょう。医師や理学療法士に相談し「やっても良い動作」「避けるべき動作」を確認しておきます。どの程度まで身体を動かして良いかを把握した上で、なるべく腰に負担をかけない動作を身につけておきましょう。
次に、快適に働けるように、職場の環境を整えておくことも準備のひとつです。例えば、椅子やデスクの高さ・配置を見直しましょう。クッション性のある靴や足元用マットの用意もしておくと、快適に仕事ができます。
症状が落ち着いた後には、再発予防や姿勢改善のために運動療法やストレッチを取り入れるのも有効です。必要に応じて、整体などの民間療法を利用し、身体のバランスを整えるサポートを受けるのもひとつの方法です。
ただし、必ず医師の指導を優先しながら取り入れるようにしましょう。
まとめ
腰痛がつらいときは、無理せずに仕事を休むことも大切です。復帰のタイミングについては、医師の診断を踏まえて検討しましょう。その上で、職場への影響を最小限にとどめるためにも、丁寧な連絡を心がけてください。基本は電話での連絡をおすすめしますが、状況に応じてテキストメッセージを活用するのもひとつの方法です。