胸が痛いのは猫背が原因?ストレッチで症状を緩和させる方法を紹介

猫背などの姿勢の悪さが原因で、胸に痛みを感じることがあります。何とかしたいと思ってはいるものの、どう対処したら良いのかと悩む方もいるでしょう。 そこで今回は、胸が痛い原因や猫背が原因で起こる症状、症状緩和に役立つストレッチなどについて解説します。


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その胸の痛み、猫背が原因?

猫背で過ごしていると、胸に痛みを感じることがあります。なぜ猫背によって胸が痛くなるのか、そのメカニズムから解説します。

胸骨に負担がかかると胸が痛くなりやすい

猫背になると背中が丸まり、胸部が圧迫されたり胸骨に負担がかかったりします。さらに腹部まで圧迫されて、腹圧が上がってしまうことも少なくありません。

胸や腹部に負担がかかると、その周辺にある肺や心臓、胃などの内臓にも負担がかかって胸の痛みや息苦しさを感じることがあります。

他の病気の可能性も

胸が痛いのは何らかの病気の可能性もあるため、安易に猫背が原因だと決めつけるのは良くありません。

例えば、胸の痛みとともに胸やけや喉の違和感などの症状が出ている場合は、逆流性食道炎を発症している可能性があります。逆流性食道炎とは、下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)という食道と胃の間にある筋肉が緩み、胃から食道に飲食物が逆流してしまう病気です。

逆流性食道炎が起こる原因として加齢や肥満などがありますが、猫背による腹部の圧迫が原因で発症することもあります。

また、胸だけでなく脇腹や背中などにも痛みを感じる場合は、肋間神経痛になっている可能性が考えられます。「肋間神経」とは肋骨に沿うように走っている神経のことです。

ストレスや猫背などによって胸周辺の筋肉が硬くなったり、神経が圧迫されたりすることで痛みを感じます。

このように猫背が原因なのではなく、何らかの病気で胸の痛みを感じている場合もあることを覚えておきましょう。

猫背がもたらす他の症状

猫背は胸の痛み以外にも、身体に不調を引き起こすことがあります。どのような症状が起こる可能性があるのか、詳しくみていきましょう。

頭痛

猫背が引き起こす症状のひとつに頭痛があります。猫背になると肩が丸まり、頭が前に突き出たようになるため、首や肩周辺の筋肉に大きな負荷がかかります。

すると筋肉が緊張して硬くなり、頭に血液を送る血管が圧迫されてしまうのです。その結果、脳に酸素や栄養が十分に行き渡らず、頭痛が生じる場合があります。

肩こり・腰痛

猫背によって、肩こりや腰痛が引き起こされることもあります。先述の通り、猫背になると頭が通常よりも前に突き出ます。

頭の重量は体重の10%ほど、つまり体重が60kgの場合、頭の重さは約6kgあるということです。これだけ重い頭が前に突き出ると、頭を支えるために首や肩、背中などの筋肉に大きな負荷がかかって肩こりが起こります。

さらに、猫背になると背骨のS字カーブが崩れ、上半身を支えにくくなります。すると上半身を支えようとして腰回りの筋肉が頑張るため、腰痛が起こる場合もあります。

呼吸機能の低下

猫背は呼吸機能の低下を招く場合もあります。背中が丸まり、肩が内向きに巻き込まれるため、胸部が圧迫されて呼吸が浅くなってしまうのです。

この状態が長引くと、徐々に呼吸機能が落ちていきます。呼吸機能が低下すると息苦しさを感じたり、代謝が落ちて疲れを感じやすくなったり、ストレスが溜まりやすくなったりします。

猫背で胸が痛いときはストレッチがおすすめ

猫背が原因で胸が痛いときは、ストレッチで筋肉をほぐすのがおすすめです。ここでは猫背による胸の痛みの緩和に役立つストレッチを4つ紹介しますので、さっそく取り入れてみてください。

大胸筋のストレッチ

猫背の状態が長引くと大胸筋が硬くなり、胸の痛みや肩こりなどの症状が出やすくなります。下記のストレッチで大胸筋の柔軟性を高めましょう。

1.壁の前に横向きで立つ
2.右手のひらと肘を壁につける
3.右手のひらと肘が動かないように固定したまま、身体のみ前方に傾けて20秒キープする
4.ゆっくりと元の体勢に戻る
5.左でも同じ動作を行う

肘を肩より上に上げると大胸筋の上部、肩と同じ高さにすると大胸筋の中部、肩より下げると大胸筋の下部のストレッチができます。上部・中部・下部のストレッチをそれぞれ1日3セット行いましょう。

小胸筋のストレッチ

 

猫背の方は、胸の奥にある小胸筋も硬くなりがちです。小胸筋がこり固まると、肩が内向きに巻いて呼吸が浅くなったり、肩がこったり、腕を上げづらくなったりします。下記のストレッチで小胸筋も伸ばしておきましょう。

1.壁の前に横向きで立つ
2.指先が下向きになるようにして、右手のひらを壁につける
3.手のひらと肩が同じ高さになるように調整する
4.手のひらが壁から離れないようにしつつ、ゆっくりと身体を壁と反対方向に向けて30秒キープする
5.ゆっくりと元の体勢に戻る
6.左でも同じ動作を行う

無理に反対方向を向こうとせず、リラックスした状態でできる範囲で行いましょう。

前鋸筋のストレッチ

前鋸筋(ぜんきょきん)とは、脇の下あたり、肋骨と肩甲骨内部を結ぶようについている筋肉です。猫背が原因で巻き肩になると、前鋸筋が硬くなって首や肩のこり、腰痛、息苦しさなどを感じやすくなります。下記のストレッチで硬くなった前鋸筋を緩めましょう。

1.壁の前に横向きで立つ
2.右手のひらを壁につける
3.手のひらが肩よりも少し下の高さになるように調整する
4.右足を1歩前に出す
5.右肘が曲がる程度に、身体の右側に体重をかけていく
6.肋骨あたりに圧を感じたら、左ななめに身体をひねって10秒キープする
7.ゆっくりと元の体勢に戻る
8.左でも同じ動作を行う

動作に慣れてきたら、20秒キープ、30秒キープと時間を伸ばしていきましょう。

肩甲骨のストレッチ

猫背の方は、肩甲骨まわりの筋肉も硬くなりがちです。肩甲骨まわりの筋肉が硬いと、肩こりや疲労感などの症状が出やすくなります。下記のストレッチで、肩甲骨周辺の筋肉も緩めておきましょう。

1.床に正座で座る
2.両腕を前に真っ直ぐ伸ばす
3.肘を曲げて胸を張る
4.あごを軽く引いて30秒キープする

キープ中は深呼吸することを意識して、息を止めないようにしましょう。

胸の痛みが治らない場合の対処法

いろいろ試しても胸の痛みが治まらない、長期間痛みが続いているなどの場合は、医療機関を受診してみましょう。

先述の通り、胸の痛みは逆流性食道炎や肋間神経痛などの病気から来ている可能性があるためです。

また、関節リウマチを発症していて、その痛みや炎症が原因で猫背になっているケースもあります。さらに猫背を長期間放置したことで背骨のS字カーブが崩れて歪み、脊椎が潰れて圧迫骨折を起こす場合もあるので、安易に自己判断しないことが重要です。

医療機関を受診すれば、ただの猫背なのか、何らかの病気なのか、今の身体の状態や対処法を把握できます。

なお、猫背が原因の場合の対処法はさまざまです。鎮痛剤の服用や電気治療、運動療法、筋力トレーニング、靴のインソールによる姿勢改善など、身体の状態に応じて選択されます。どの対処法が合うか、医師と相談してみましょう。

まとめ

胸の痛みを感じるのは猫背が原因の場合があります。そのまま放置すると胸の痛みだけでなく、頭痛や肩こり、腰痛、呼吸機能の低下などの症状が現れることもあるので、早めに対処することが大切です。

猫背による胸の痛みは、首や肩、背中などの筋肉が硬くなって起きていることが多いので、今回紹介したストレッチを試してみましょう。

痛みが長引いている場合、胸やけやわき腹の痛みなどがある場合は、何らかの病気が原因で胸の痛みを感じている可能性があります。「たかが猫背」と放置せず、早めに医療機関を受診し、医師に相談してみましょう。

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