猫背を改善するセルフケア法|猫背のデメリットとセルフチェック法も紹介

なんとなく胸が痛いと感じている方は、猫背が原因かもしれません。猫背には痛み以外にもさまざまなデメリットがありますが、正しいセルフケアにより和らげることができます。 今回は猫背がもたらすデメリットやセルフチェック方法、対策を紹介します。


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猫背のデメリット

猫背が招く身体の不調や症状、見た目の悪化といったさまざまなデメリットを紹介します。

肩や腰の痛み

猫背は肩や腰の痛みを引き起こす一因となります。猫背になると頭が前に出てしまい、その重量を支えるために肩や首の筋肉に負担がかかるからです。

また、背中の丸まりと骨盤の後ろへの傾きにより、背骨のカーブが崩れて腰の椎間板や靭帯へのストレスが増加します。

さらに背中や腰の筋肉が引っ張られるため、疲労や血流の悪化により発痛物質が滞り、腰痛につながってしまうのです。

呼吸が浅くなる

猫背になると、呼吸が浅くなります。これは身体が丸まり、胸郭(胸の骨格)が十分に開かなくなるためです。

呼吸の際には肺が大きく膨らむと同時に、胸郭も広がる必要があります。しかし猫背の方は胸郭が動きにくくなっているため、肺が十分に膨らまず深い呼吸がしにくくなるのです。

その結果、脳への酸素供給が減り、集中力や思考力が低下する場合もあります。

自律神経の乱れ

猫背は自律神経の乱れを招く一因とされています。自律神経は呼吸や体温の調節など、生命維持に欠かせない機能を担う重要な神経です。

活動を促す交感神経と、リラックスする副交感神経がバランスを保って働き、身体の調子が整えられています。

しかし、猫背になると自律神経のバランスが乱れ、イライラや不眠といったさまざまな不調を引き起こす可能性があります。

見た目の悪化

猫背は、年齢よりも老けて見えるだけでなく、だらしない印象を与えがちです。例えばプライベートやビジネスの場面では、次のような印象を与えるかもしれません。

・友人やパートナーに「暗そう」「前向きではなさそう」と思われる
・商談やプレゼンで説得力に欠け、同僚や取引先から信頼されにくくなる

このように猫背は見た目の悪化を招き、対人関係や評価にもマイナスの影響を及ぼす可能性があるのです。

太りやすさ

猫背が肥満の要因となる場合もあります。

背中が丸まると胸が圧迫され、内臓が本来の位置よりも下がるため、胃腸の消化機能や代謝が低下して太りやすくなったり、お腹がぽっこりと出てしまったりするのです。

冷え性・むくみ

姿勢の悪さにより血管が圧迫され、血流が悪化する場合があります。特に手足の末端は血流が悪くなりやすく、冷たくなりがちです。

また筋肉の働きも悪くなり、手足の末端から心臓への血液循環が低下します。その結果、むくみが出たり老廃物の排出が妨げられたりします。

猫背による身体への悪影響について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
猫背の原因は?身体への悪影響や改善策も徹底解説

猫背のセルフチェック法

ご自身が猫背かどうかを簡単に確認できる、セルフチェック法を紹介します。壁を背にして、背筋を伸ばして立ってみましょう。

このとき以下の点に該当すれば、猫背の可能性が高いと考えられます。

・後頭部と両肩が壁につかない
・後頭部とかかとが壁につかない
・腰と壁の間に手が入らない

これらは「頭が前に出て背中が丸くなり、骨盤が後ろに倒れている」姿勢で、典型的な猫背の特徴といえます。

その他の姿勢の特徴は以下の通りです。

・後頭部とかかとが壁につき、腰と壁の間に手が入る:良い姿勢
・後頭部とかかとが壁につかず、腰と壁の間にこぶしが入る:反り腰
・後頭部が壁につかない、かかとが壁につかない、腰と壁の間に手が入る:ストレートネック

このように壁を使ったセルフチェック法で、簡単にご自身の姿勢を確認できます。猫背なのか、その他の姿勢なのかを判別するためにもぜひチェックしてみましょう。

猫背を改善するためのセルフケア

猫背の改善には、ストレッチや筋力トレーニング、生活習慣の見直しが大切です。以下で効果的なセルフケア方法を紹介します。

ストレッチ

胸椎や肩甲骨まわりを伸ばすストレッチや、背中の柔軟性を高めるストレッチの手順を解説します。ストレッチを行うことで、胸の筋肉や肩甲骨の可動域にアプローチできます。

胸椎を伸ばすストレッチ

胸椎(背中の骨)を伸ばすストレッチの手順は以下の通りです。

<手順>


1.枕に頭をあずけて横向きになる
2.両膝を軽く曲げる
3.上になっている方の手をこめかみあたりに添え、下の手で膝を支える
4.胸を開くように上半身を後方へひねる
5.姿勢を保ちながら、ゆっくりと深呼吸を5回繰り返す
6.左右3回ずつ行う

上半身をひねる際は、顔を肘の方に向け、膝がついてこないようしっかりと押さえましょう。

こめかみに置いた手をまっすぐ後ろに伸ばしてひねると、胸の筋肉をよりしっかりと伸ばせます。巻き肩になっている方には、特におすすめです。

胸椎・肩甲骨まわりを伸ばすストレッチ

胸椎を伸ばす方法と、肩甲骨まわりを伸ばす方法をそれぞれ紹介します。タオルを使用して行いましょう。

<手順:胸椎を伸ばす方法>


1.仰向けに寝転び、丸めたタオルを肩甲骨の少し下にセットする
2.両腕をバンザイさせ、足先を気持ち良く伸ばす
3.胸が開き、伸びていると感じる姿勢で1〜2分キープする
4.数回繰り返す

<手順:肩甲骨まわりを伸ばす方法>


1.長く丸めたバスタオルを床に置く
2.バスタオルの上に背骨が沿うように身体をあずける
3.両手・両脚をまっすぐに伸ばし、バンザイの姿勢をとる
4.そのまま両肘をゆっくりと曲げ、肩甲骨を内側に寄せる
5.3の姿勢に戻る
6.3~5を数回繰り返す

これらのストレッチにより胸が開き、肩甲骨まわりの可動域が広がります。実施する際は、痛みが出ない程度の強さで数回繰り返しましょう。

タオルの巻き方で伸び具合が変わるため、強すぎる場合は巻き加減を調節してください。

背中の柔軟性を高めるストレッチ

同じ姿勢で過ごす時間が長い方は、背中を柔らかくするストレッチが効果的です。

<手順>


1.骨盤を起こし背筋を立てた長座姿勢になり、両手・両足を伸ばす
2.両手をバンザイさせながら、上体を後ろへゆっくりと倒していく
3.背中全体を床につけ、仰向けになる
4.天井に向かって「前へならえ」をして、頭・背骨の順にゆっくり上体を起こす
5.1~4を5回程度行う

慣れないうちは、倒す動作のみゆっくりと行い、無理なく継続してください。

道具を使用した猫背改善のエクササイズ方法を知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
「フォームローラーで猫背改善!エクササイズ方法と注意点」

筋力トレーニング

猫背の改善には、体幹や骨盤の筋力トレーニングが有効です。それぞれの手順を紹介します。

体幹を鍛える筋トレ

姿勢を整えるインナーマッスルに効果がある「アブアイソメトリック(プランク)」の手順を紹介します。

<手順>


1.両肘を床につき、両脚を伸ばして身体をまっすぐにキープする
2.1の姿勢を30秒キープする
3.30秒を1セットとし、2〜3セットを目安に行う

両肘は肩の真下にセットし、頭からかかとまでが一直線となるように意識してください。脚を伸ばしておけない方は、両膝をついた姿勢から始めましょう。

呼吸を止めずに行うのがポイントです。声を出して数をカウントしながら取り組んでみてください。

最初は30秒のキープが難しい場合もあるため、無理のない時間から始めて少しずつ延長していきましょう。

骨盤や背中まわり を鍛える筋トレ

骨盤や背中まわりを鍛える「ヒップリフト」の手順を紹介します。

<手順>


1.仰向けに寝て、両膝を直角に曲げて立てる
2.お尻を上げ、肩・体幹・膝が一直線になる高さでキープする
3.ゆっくりとお尻を床に戻す
4.1~3を20回で1セットとし、3セット行う

初めは床に手をついて行い、慣れてきたら頭の後ろで手を組んでみましょう。また、片脚を上げたりお腹にダンベルを置いたりして行うとより効果的です。

正しい姿勢を意識する

普段の姿勢にも気を配りましょう。特に以下の姿勢のポイントを意識してみてください。

<座り姿勢>
・椅子には深く座り、骨盤を立てて背筋を伸ばす
・膝を直角にして足裏を床につける

<立ち姿勢>
・肩の力を抜いて立つ
・不自然に後屈したり反り腰になったりしないように、頭のてっぺんから糸で引っ張られているような意識で立つ

<スマートフォンを使う姿勢>
・胸元ではなく、顔の高さで見る
・肘置きやクッションを活用し、肩や腕の負担を減らす

常に正しい姿勢で過ごすのは簡単ではありません。完璧を目指すのではなく、思い出したときに意識することから始めるのがコツです。気づいたときに少しずつ整えましょう。

まとめ

猫背は体調や見た目に影響を及ぼす姿勢ですが、正しくセルフケアすれば改善できます。

セルフチェック法でご自身の状態を把握し、ストレッチや筋力トレーニングを行ってみましょう。また、普段の姿勢にも気を配って生活してみてください。