猫背とは?
猫背とは、猫のように背骨が丸く湾曲した姿勢をいいます。
人間の背骨は頸椎・胸椎・腰椎・仙椎の4つに分かれ、24個の骨で構成されます。重い頭を無理なく支え、かつ衝撃を逃がすよう頸椎と腰椎が反り、胸椎と仙椎が前に湾曲して全体的にS字カーブを描いているのが通常です。
しかし、猫背になると胸椎の湾曲が強くなり、身体の横から見ると背中が「C」の形に丸まってS字カーブが崩れてしまいます。
猫背の状態でいると背骨が正常に機能しなくなり、動いたときに衝撃吸収ができず、身体に大きな負担がかかります。
また、背中が丸まると胸郭が下がり、内臓が圧迫されます。肺が膨らみにくくなったり、消化器系の働きが悪くなったりと、健康にも悪い影響を及ぼしてしまうのです。
猫背になる原因
背骨のS字カーブが崩れて猫背になる原因には、日頃の生活習慣が関与しています。姿勢の歪みはいつの間にか進行するため、注意しましょう。
猫背になる原因には、次の3つがあげられます。
・長時間同じ姿勢を取り続けている
・座っているときの姿勢が崩れている
・運動不足が続いている
それぞれを詳しく解説します。
長時間同じ姿勢を取り続けている
同じ姿勢を長時間取り続けていると、背骨が歪みやすい傾向にあります。姿勢が歪んで猫背になるだけでなく、肩こりや腰痛などの身体の痛みも引き起こします。仕事がデスクワーク中心の方や、長時間スマートフォンでゲームや動画を視聴する方は、特に注意が必要です。
長時間デスクワークする際は定期的に休憩をはさみ、身体を動かして姿勢をリセットしましょう。うつむく時間が長いと横隔膜が圧迫され、胸式呼吸になるのも姿勢が歪む一因です。意識して腹式呼吸に切り替えて、正しい姿勢を維持してください。
座っているときの姿勢が崩れている
座っているときに前屈みやうつむき姿勢が習慣化すると、猫背になります。特に、スマートフォンやPCを操作するときの姿勢に注意しましょう。猫背だけでなく、頚椎の湾曲が失われる「ストレートネック」になる危険性もあります。
また、座っているときに身体の重心が偏ると、姿勢が歪みやすい傾向があります。足を組むクセがある方は、姿勢の歪みに注意しましょう。
運動不足が続いている
運動不足が続いていると体幹を支える筋肉が衰え、姿勢が悪くなります。筋肉が衰えたり減ったりすると背骨を支えるバランスが保てなくなり、猫背になりやすいのです。
筋力不足は、身体機能の低下にもつながります。日頃から適度な運動を心がけて、身体を良い状態に維持しましょう。
猫背による身体への悪影響
猫背になると背骨が曲り、顔が前に突き出たようになるので見た目が悪くなります。そのほか、次のような身体の不調を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
・肩こりや腰痛、首の痛みが生じる
・内臓機能が低下するおそれがある
・身体が疲れやすくなる
・手や顔がむくむ
ここでは、猫背が身体に及ぼす悪影響を解説します。
肩こりや腰痛、首の痛みが生じる
猫背になると、肩こりや腰痛、首こりなどの身体の痛みが引き起こされます。猫背になると頭部が前に突き出て、肩・首・腰に大きな負担がかかるためです。また、肩や腰などに負担がかかると筋肉が緊張して硬くなり、さらなる身体の歪みを招きます。
特に、骨密度が低下している高齢者にとって姿勢の歪みの負担は大きく、くしゃみや咳などの些細な動作で脊椎圧迫骨折を引き起こすこともあります。
内臓機能が低下するおそれがある
猫背になって背中が丸まると身体が内側に圧迫され、内臓への負担が大きくなります。特に、呼吸器官や消化器官の機能が低下しやすく、息苦しさを感じたり、消化不良や便秘になったりしがちです。
また、内臓機能が衰えると自律神経のはたらきも乱れて、さまざまな身体の不調を引き起こす可能性があります。
身体が疲れやすい
猫背になって呼吸しにくくなると、身体が疲れやすくなる傾向があります。これは、背骨が丸まることで肺が圧迫されて、酸欠を起こしやすいためです。
また、猫背になると胸式呼吸になり、呼吸が浅くなります。呼吸が浅い状態が続くと肺の機能が低下して、さらに息苦しくなり身体が疲労します。
手や顔がむくむ
猫背になるとリンパの流れが悪くなり、手や顔がむくみやすくなります。猫背が定着すると前傾姿勢の巻き肩を併発し、鎖骨付近にあるリンパ管が圧迫されるからです。
姿勢が悪くなると代謝機能も低下し、肌がくすんで見えることもあります。
猫背を改善するセルフケア対策
猫背の多くは生活習慣に起因するため、原因を取り除けば改善が目指せます。次の要領で、自宅でセルフケアに取り組みましょう。
・ストレッチで筋肉の柔軟性を高める
・普段の姿勢を見直す
・筋トレをする
それぞれの方法を詳しく解説します。
ストレッチで筋肉の柔軟性を高める
長時間机に向かって前傾姿勢を取り続けると、筋肉が凝り固まり猫背になります。ストレッチで筋肉の柔軟性を高めて、姿勢の歪みをリセットしましょう。
デスクワーカーの姿勢改善に効果的なのは、首の後ろにある僧帽筋や脊柱起立筋、胸の前にある大胸筋、小胸筋、お腹の腹筋群のストレッチです。定期的な休憩を取るときにストレッチするとすっきりするため、次の要領で取り組んでください。
首の後ろをほぐすストレッチ
1.椅子に座ったまま背筋を伸ばす
2.両手を頭の後ろで組む
3.ゆっくり両手を押し込み、首の後ろを引き伸ばす
胸の前を開くストレッチ
1.椅子に座ったまま背筋を伸ばす
2.顔をあげ、胸を天井に向ける
3.両手を耳のあたりに添えて肘を張り、胸を大きく開く
4.手を耳元から離し横に広げて、さらに胸の筋肉を引き伸ばす、
お腹を引き伸ばすストレッチ
1.椅子に浅く腰掛け、両手は机に置く
2.お尻の穴をまっすぐ後ろに向けるように意識して姿勢を正す
3.軽くのけぞり、胸を天井に向ける
4.両手で机を押すようにしてお腹の前を引き伸ばす
普段の姿勢を見直す
姿勢が崩れると猫背になりやすいため、普段の立ち方や歩き方、座り方を見直しましょう。次の要領で、意識して姿勢を整えることが大切です。
<立ち姿勢を整えるポイント>
1.壁に背中を付けて立つ
2.頭の上を糸で吊り上げるイメージで背筋を伸ばす
3.後頭部・肩甲骨・お尻の3点が壁に接しているのを確認する
1日5分でも繰り返すと、徐々に姿勢が整ってきます。
<歩き方のポイント>
1.正しい姿勢で立つ
2.上半身を軽く前に倒し、膝を曲げないように片方の足をまっすぐ前に出す
3.踵から着地し、つま先で蹴るように床を押して歩く
つま先を進行方向に向けるのが、姿勢を崩さず歩くコツです。
<座り方のポイント>
1.椅子に深く腰掛ける
2.膝を直角に曲げる
3.背もたれに寄りかかり過ぎずに、骨盤を立てて背筋を伸ばす
姿勢が崩れやすい場合は、背中と背もたれの隙間にクッションや丸めたタオルをはさむと安定します。
筋トレをする
体幹を支える背中・腹部の筋肉を強化すると姿勢を維持しやすくなり、猫背を改善できます。次の軽めの筋トレで、筋肉を養いましょう。
プランク
1.布団の上でうつ伏せになる
2.両肘を直角に曲げて、肩の真下に手をつく
3.両足は肩幅程度に開き、肘とつま先を支点に腰を持ち上げる
4.頭から足までが一直線になる姿勢をキープする
ヒップリフト
1.布団の上で仰向けになり、腕は身体の横に自然に伸ばして手のひらを下に向ける
2.両膝を90度に曲げて立てる
3.足裏・手・肩を支点に腰を持ち上げる
4.肩から膝までが一直線になる姿勢をキープする
バックエクステンション
1.布団の上にうつ伏せに寝て、両手は頭の上で組む
2.肩甲骨を寄せるように背中に力を入れる
3.ゆっくり状態を起こして姿勢をキープする
筋肉に負荷をかけるため、筋トレは正しいフォームで行いましょう。筋肉の柔軟性を高めるストレッチと筋トレを併用すると、より猫背の改善が見込めます。
まとめ
猫背の原因は、長時間のデスクワークや姿勢の乱れ、運動不足による筋力低下とさまざまです。背骨のS字カーブが崩れると、肩こりや首こりをはじめとする身体の痛みや内臓機能の低下などを引き起こします。猫背は生活習慣の見直しや毎日のストレッチ、筋トレなどでも改善が目指せるので、ぜひ自宅でできるセルフケア対策に取り組んでください。