目覚めが悪い原因その1:生活習慣
目覚めが悪いときに考えられる原因は、生活習慣によるものと病気・疾患によるものがあります。まずは、生活習慣に関わる原因から紹介します。
睡眠不足
睡眠不足の状態が続くと目覚めが悪くなり、朝スッキリ起きられなくなります。わずかな睡眠不足でも、毎日積み重なることで「睡眠負債」と呼ばれる状態に陥ります。
その結果、目覚めが悪くなるだけでなく、疲労感や倦怠感、肥満、認知力や判断力の低下、抑うつ状態など心身にさまざまな悪影響が及びます。
睡眠の質が悪い
目覚めが悪い原因として、睡眠の質の低下も考えられます。例えばスマートフォンの画面が発するブルーライトは脳を覚醒させる作用があり、就寝直前まで使用すると、寝つきの悪さや中途覚醒につながるとされています。
そのほか、いびきや睡眠時無呼吸症候群も睡眠の質を下げる要因のひとつです。これについては、後ほど詳しく説明します。
ストレス過多
ストレスが蓄積すると交感神経が活性化し、寝つきが悪くなったり睡眠が浅くなったりすることがあります。ストレスを感じると、脳を覚醒させるコルチゾールというホルモンが分泌されます。
通常、コルチゾールは夜になると分泌量が低下しますが、ストレス状態が続くと夜になってもコルチゾールの分泌量が減少しません。その結果、なかなか寝つけない、目覚めが悪い、途中で目が覚めるといった症状を引き起こします。
カフェイン、アルコールの摂取
カフェインやアルコールの摂取も、目覚めが悪くなる原因のひとつです。カフェインには脳を刺激して覚醒を促す作用があるため、寝る前に摂取すると寝つきが悪くなり、中途覚醒も増えてしまいます。
また、アルコールを摂取すると、睡眠の後半では浅い眠りが多くなり、中途覚醒が増加します。寝酒はかえって睡眠の質を低下させてしまうため、注意が必要です。
寝具が身体に合っていない
睡眠環境が整っていないと、目覚めが悪くなることがあります。例えば、布団の中の温度や湿度が快適でないと睡眠の質が低下しかねません。また、マットレスや枕の硬さが身体に合っていないと、腰や肩、首に過度な負担がかかり、痛みや中途覚醒を引き起こすことがあります。
目覚めが悪い原因その2:病気・疾患
十分な睡眠を取っているにもかかわらず、目覚めが悪い状態が続く場合、何らかの疾患が関係している可能性があります。気になる症状があれば医療機関に相談しましょう。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も無呼吸状態に陥る病気です。呼吸が止まっている間は、大きないびきやあえぎ声を発するのが特徴です。その他、しっかり睡眠時間を確保していても熟睡できた感じがしない、朝スッキリ起きられないなどの症状がみられます。また、日中も強い眠気を感じる、集中力が続かないなどの不調が生じることもあります。
肝疾患
肝機能が落ちると、しっかり眠っても倦怠感が残り、朝の目覚めがすっきりしなくなります。暴飲暴食や睡眠不足、ストレス、過度な運動などは肝臓への負担が大きく、全身にさまざまな悪影響を及ぼすおそれがあります。
甲状腺疾患
甲状腺機能低下症を発症すると代謝が低下し、疲労感や倦怠感が取れにくくなることがあります。睡眠の質にも悪影響がおよび、長時間睡眠をとっても疲れが取れない、目覚めが悪い、日中に眠気を感じるなどの症状を招きがちです。
また、甲状腺機能亢進症では代謝が活発になり、心拍数の上昇や体温の上昇を招きます。その結果、寝つきが悪くなる、夜中に目が覚めるなどの症状を引き起こします。
起立性調節障害
起立性調節障害は、自律神経の機能が低下することでさまざまな症状が現れる病気です。朝起きるのが困難になるほか、起立時に頭痛やめまい、立ちくらみ、動悸、失神などがみられますが、午後には徐々に症状が改善するのが特徴です。
低血圧・低体温
低血圧になると血液の循環が滞り手足や脳への血流が不足するため、起床時にだるさや身体の重さを感じやすくなります。また、低体温の状態では脳の指令がうまく伝わらず、交感神経の活動が低下して血流が悪くなります。その結果、全身が酸素不足に陥り、疲労が蓄積して目覚めが悪くなるのです。
貧血
貧血を起こすと全身に十分な酸素を運搬できなくなり、脳も酸欠状態に陥ります。そのため、しっかり睡眠時間を確保しても脳に疲労が残り、目覚めが悪くなることがあります。
自律神経失調症
自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れている状態です。通常、起床時は交感神経が優位になり、脳が活動モードに切り替わります。しかし、自律神経の切り替えがうまくいかないと、朝起きてもなかなか脳が覚醒せず、熟睡感が得られないと感じることがあります。
概日リズム障害
概日リズム障害とは、生活リズムをコントロールしている体内時計のリズムが地球の昼夜サイクルと一致しない状態です。体内時計が狂うと夜になっても眠くならず、朝起きるのが難しくなるなど、日常生活に支障をきたすことがあります。
むずむず脚症候群
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)とは、安静時や寝入ったときに足にむずむずするような不快感や、脚を動かしたくなる強い欲求が生じる病気です。 脚が動くと脳が覚醒し、睡眠が浅くなってしまいます。
目覚めが悪い朝に試したい対処法
ここでは、目覚めが悪い朝にすぐできる対処法を4つ紹介します。
朝日を浴びる
目覚めが悪いと感じたら、まずは朝日を浴びましょう。太陽の光には、脳に朝だと認識させる作用があります。また、朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、15~16時間後に自然な眠気が起こるようになります。
ストレッチやマッサージ
寝起きのストレッチやマッサージで身体を温めるのもおすすめです。耳には多くのツボが集まっており、もみほぐすことで体温が上がり、身体が目覚めて活動モードに切り替わりやすくなります。また、起床時に手足の指を握ったり開いたりする運動をすると全身の血行が良くなり、スッキリ目覚めやすくなります。
寝起きに水を飲む
朝起きたら、コップ1杯の水を飲みましょう。睡眠中に失った水分を補給できるのはもちろん、胃腸を目覚めさせるきっかけにもなります。なお、カフェインを含むお茶やコーヒーは利尿作用によって脱水を招く可能性があるため、常温の水が適しています。
朝食を摂る
起床後に朝食を摂ることで、体内時計がリセットされて体温が上がり、目覚めを促します。特に、炭水化物とタンパク質を意識して摂取するのがおすすめです。脳の唯一のエネルギー源は、炭水化物が分解されてできるブドウ糖です。朝食で炭水化物を摂取すると、日中の集中力アップにつながります。
また、朝食に摂るタンパク質は、重要な栄養源になるだけなく、夜に自然な眠気を起こす助けにもなります。これは、タンパク質に含まれるトリプトファンという成分は眠りのホルモンといわれる「メラトニン」の材料になるためです。
目覚めを良くするために改善したい生活習慣
スッキリ目覚めるためには、生活習慣を見直すことも大切です。ここでは、生活習慣を整えるポイントを6つ紹介します。
就寝2~3時間前に入浴する
入浴によって一時的に体温が上がりますが、その後、体温が下がるタイミングで眠くなります。就寝2~3時間前に入浴することで、ちょうど布団に入るころに体温が下がり、寝つきやすくなります。38~40℃のぬるめのお湯にゆっくりつかるのがおすすめです。
寝る前のアルコールやカフェインは避ける
アルコールやカフェインは睡眠を妨げる原因になるため、夕食以降の摂取は控えましょう。特にカフェインは、寝る4時間前までに摂ることが重要です。
寝る前にアルコールを摂ると睡眠後半の睡眠の質が下がり、カフェインを摂ると脳が覚醒してしまいます。
適度な運動をする
適度な運動をすると寝つきが良くなるとともに、睡眠の質も向上します。早歩きやジョギングなど、ややきついと感じる中強度の有酸素運動を週に3~5回程度行うのがおすすめです。就寝の3時間くらい前に有酸素運動を取り入れることで睡眠の質が高まり、朝の目覚めがすっきりしやすくなります。
規則正しい生活を心がける
質の良い睡眠をとるためには、生活リズムを安定させることが大切です。就寝時間と起床時間を一定に保つことで体内時計が安定し、自然な眠気とスムーズな目覚めにつながります。睡眠のリズムを整えるためには、特に起床時間を揃えることが重要です。毎日同じ時間に起きることで夜になると自然に眠くなり、寝起きもスッキリしやすくなります。
目覚まし時計の音を変える
大音量の目覚ましで起きると交感神経が急に活性化し、起きた直後から強い疲労感を感じることがあります。目覚まし時計は優しい音に変え、小さな音から少しずつ大きな音になる設定を利用するのがおすすめです。
スマートフォンの使用を控える
スマートフォンやPCなどのモニターから出るブルーライトは、脳を覚醒させる作用があるといわれています。寝つきを良くするために、スマートフォンの使用は寝る30分前までにとどめましょう。
まとめ
目覚めが悪くなる原因は、生活習慣やストレス、睡眠環境のほか、病気が関係していることもあります。規則正しい生活を意識するとともに、適度な運動や就寝2~3時間前の入浴を取り入れ、睡眠の質を高めましょう。
【関連記事】
朝にやる気が出なくて困る……原因と解決法を解説!