朝にやる気が出ない原因
朝からモチベーションが上がらないのは、決して珍しいことではありません。生活習慣や心理的な要因、体調などが複雑に影響している可能性があります。ここでは、朝にやる気が出ない原因を解説します。
体内時計が乱れている
体内時計の乱れは、感情にも影響をおよぼします。私たちの身体には「概日リズム」と呼ばれる、約24時間周期の体内時計が備わっており、睡眠や覚醒のタイミング、体温、ホルモン分泌などをコントロールしています。本来、体内時計は約25時間周期で働いていますが、朝に太陽の光を浴びることで、24時間のリズムに調整されているのです。
しかし、夜更かしや不規則な生活を続けていると、この調整がうまくいかなくなり、体内時計が乱れやすくなります。特に、就寝前にスマートフォンやテレビなどを見ることで、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌が乱れ、朝すっきりと起きられなくなることもあるのです。結果として、朝にやる気が出ないという状態につながります。
エネルギーが不足している
朝目覚めたときの脳は、エネルギーをほとんど使い切った状態です。脳が活動するためにはブドウ糖が必要ですが、夜間も脳は働き続けているため、朝にはそのストックが尽きてしまいます。
そのため、朝食を欠食すると、脳に十分なエネルギーが供給されず、集中力が低下したりイライラしやすくなったりします。脳はブドウ糖を多く溜め込む力が弱いため、朝食を食べて身体に必要な栄養素をしっかりと補いましょう。
ストレスを感じている
ストレス過多の状態は、やる気の低下を招きやすくなります。例えば、同じ業務でも自分に合った環境であれば、集中力やモチベーションの維持につながります。
しかし、自由度が低い仕事や、苦手な人間関係、過剰なプレッシャーがかかる状況では、ストレスが蓄積しやすくなることもあるかもしれません。
また、SNSなどのオンラインコミュニケーションは、現代社会に浸透している一方で、無意識のうちに心的負担となり、モチベーション低下を引き起こしかねません。
疲労が蓄積している
心身の疲れは、やる気の低下を引き起こすサインのひとつです。仕事や家事が忙しく、休む暇もないと、心身ともにオーバーワークの状態に陥りがちです。疲労が蓄積すると、「朝起きるのがつらい」「身体が重い」「何もしたくない」など、心身にさまざまな不調が現れ、意欲低下を招きかねません。
また、集中力が低下したり、食欲がなくなったり、肩こりなど、さまざまな体調の変化が現れやすくなります。疲労の原因には、長時間労働や睡眠不足、偏った食生活、慢性的なストレスなどが考えられるため、注意が必要です。
病気の影響を受けている
「やる気が出ない」という症状の背景には、病気が関係している可能性もあります。例えば、うつ病や睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能低下症、貧血、花粉症などは、朝の無気力感と深く関わっています。
また、女性の場合は更年期障害の影響も軽視できません。これらの病気が疑われる場合は、医療機関で相談することをおすすめします。
朝にやる気が出ないときの解決法
朝からやる気が出ないときは、生活習慣や体調不良などが影響している可能性があります。ここでは、朝のモチベーション低下を改善するための詳しい解決法を紹介します。
睡眠の質を高める
朝のやる気を引き出すためには、睡眠の質を高めることが大切です。6時間以上の睡眠時間を確保し、しっかりと身体を休めることで、日中の眠気や集中力の低下、疲労感を軽減する効果が期待できます。
また、就寝前のスマートフォン使用を控える、ぬるめのお風呂に入ってリラックスするなど、入眠前の行動を見直すことで、睡眠の質はさらに高められるでしょう。
質の高い睡眠をとる方法を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
「朝までぐっすり寝る方法10選!質の高い睡眠がとれない原因も解説」
朝日を浴びる
体内時計を整えるには、朝の光を取り入れることが効果的です。起床後すぐにカーテンを開けて朝日を浴びることで、体内時計がリセットされ、活動モードへと切り替わります。
特に、日中に日光を浴びると、セロトニンという脳内物質の分泌が促されます。セロトニンは夜になると、メラトニンに変換されて、質の良い睡眠へと導きます。
一方、夜遅くまでスマートフォンやテレビを見ていると、ブルーライトの影響で体内時計が乱れ、朝の倦怠感につながるため注意が必要です。
朝食を食べる
朝から活動的に過ごすためには、エネルギー源となる糖質の摂取が欠かせません。睡眠中に消費されたブドウ糖を朝食で摂ることで、脳に必要なエネルギーを補給できます。
特に、ご飯やパンなどの炭水化物を中心とした朝食がおすすめです。これらの食品に含まれる糖質は、体内でゆっくりと消化吸収されるため、血糖値の急激な上昇を抑えつつ、長時間かけて安定的に脳へエネルギーを届け続けることが可能です。
さらに、糖質を効率良くエネルギーに変えるために、ビタミンB群も一緒に摂取しましょう。ビタミンB群を多く含む食品は、下記の通りです。
・ビタミンB1:豚肉、たらこ、えんどう豆、エノキ など
・ビタミンB2:卵、チーズ、鯖、納豆、モロヘイヤ、ブロッコリー など
・ビタミンB3(ナイアシン):まぐろ、かつお、鮭、鶏胸肉、鶏ささみ など
また、朝食を食べる習慣をつけるためには、前日の夕食にも注意が必要です。夜遅くに食事をしたり、食べすぎたりするのを避けることで、翌朝の空腹感が促され、朝食が摂りやすくなります。
身体を動かす
朝にやる気が出ないときは、軽い運動を取り入れるのもおすすめです。ストレスの軽減やリラクゼーション効果が期待できるため、心身ともにリフレッシュできるでしょう。
また、運動には筋肉量を維持し、疲れにくい身体をつくる役割があるだけでなく、やる気に関係するテストステロンの分泌を促す働きがあります。
軽いストレッチを試すだけでも血流が良くなるので、運動が苦手な方でも始めやすいでしょう。ストレッチを行うことで、全身に酸素や栄養が行き渡りやすくなり、疲れにくくなります。
また、運動する際は、時間帯も意識すると、より効果が期待できます。午前中は軽いウォーキングを行い、15~19時には有酸素運動や筋トレに取り組むのが理想的です。朝におすすめのストレッチを、無理なく生活に取り入れていきましょう。
背伸びストレッチ
1.仰向けになり、両手を頭の上で組み、手のひらを天井に向ける
2.全身を伸ばすように、手のひらとつま先を互いに遠ざけるイメージで、気持ちの良い範囲で伸びを感じる
3.そのまま30秒ほどキープし、ゆっくりと力を抜く
立った状態のまま、同様の動きを2~3回繰り返すのもおすすめです。
体幹ストレッチ
1.床に仰向けになり、両手を肩の高さで左右に広げ、手のひらを下に向ける
2.右膝を立て、太ももが床に対して垂直になるようにもち上げる(膝から下は床と平行になるように曲げる)
3.右足を上げ、膝を90度に曲げ、膝から下を床と平行にする
4.左手で右膝の外側を軽く押さえ、右膝を身体の左側へ倒し、顔は無理のない範囲で右方向へ向ける
5.右肩が床から浮き上がらないように注意しながら、呼吸を続け、腰まわりが心地良く伸びるのを感じながら10秒から30秒ほどキープする
6.反対側も同様に行う
肩ストレッチ
1.楽な姿勢で立ち、両腕は身体の横に下ろし、足は肩幅に開く
2.肩を耳に近づけるように、もち上げる
3.そのまま、背中側にゆっくりと下げていく
4.肩全体で大きな円を描くように、前から後ろに向かってゆっくりと回す
5.同様に、肩を後ろから前に向かってゆっくりと回す
股関節ストレッチ
1.仰向けになり、両膝を胸に引き寄せて抱える
2.腹式呼吸しながら、あごを軽く引いて首の後ろを心地良く伸ばす
3.両膝を抱えたまま、左右に優しく揺らしながら、腰やお尻をほぐす
4.それぞれの手で左右の膝をもち、脚をゆっくりと開く
5.円を描くように内回しと外回しを交互に行い、股関節まわりをほぐす
キャットアンドカウ
1.両手と両膝を床につけて、肩幅に手を開き、膝は腰の真下にくるようにする
2.息を吸いながら腰を反らせ、顔を上げて視線を上に向け、お尻は天井に向けるようにもち上げる
3.息を吐きながら背中を丸め、頭とお尻を下げる
4.1~3の動きを呼吸に合わせて5回ほど繰り返す
チャイルドポーズ
1.四つん這いの姿勢になる
2.膝を肩幅よりやや広めに開き、両足の親指同士をつける
3.お尻を後方に引いてかかとの上に乗せ、上体を前に倒す
4.額を床につけ、両腕は脚の横に添え、手のひらは上に向ける
5.そのまま、深呼吸を数回繰り返す
サイドストレッチ
1.背筋を伸ばして椅子に座り、足裏を床につける
2.右手を上げ、身体を左側にゆっくり倒す
(右手を見上げるように視線を向ける)
3.そのまま20秒キープする
4.元の姿勢に戻り、同じ動きを左右2セットずつ行う
まとめ
朝にやる気が出ない原因には、体内時計の乱れやエネルギー不足、ストレス、疲労の蓄積、病気などがあげられます。生活習慣を見直し、適切な対策をとることで、朝から元気に過ごせるよう心がけましょう。