ルーズショルダーとは?原因や放置するリスク、対処法を解説

野球やテニスなど、肩を使うスポーツをしていると、肩に痛みを感じたり、思うように力が入らなかったりしたことはありませんか。肩がぐらぐらする感覚があったり、違和感を覚えたりする場合、ルーズショルダーの状態になっている可能性があります。 ルーズショルダーは、放置するとスポーツのパフォーマンス低下だけでなく、日常生活にも支障をきたすおそれがあるため、早めの対処が必要です。今回は、ルーズショルダーの症状や原因、具体的な対処法を解説します。


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ルーズショルダーとは

ルーズショルダーとは、肩の関節が通常よりも緩く、不安定な状態のことです。が外れそうな感覚になる方もいるでしょう。脱臼経験者はその影響で、ルーズショルダーになるケースもみられます。これらは医学用語で「肩関節不安定症」や「動揺性肩関節」とも呼ばれています。

また、肩の不安定感によって、肩にだるさや重さなどを感じることが、ルーズショルダーの主な症状です。腕を動かす際に痛みを感じたり、今までスムーズに行えていた運動に制限がかかったりすることもあるようです。

特に、テニスやバレーボールなど、腕を大きく動かすスポーツでは、ラケットを振る動作やアタック動作などで鈍い痛みを感じることがあります。

このように、ルーズショルダーは日常生活やスポーツをする際、肩にさまざまな不快感や制限をもたらす可能性があるため、早期の対策と適切なケアが重要です。

ルーズショルダーになる3つの原因

ルーズショルダーになる原因はさまざまですが、肩への過度な負担や筋力低下だけでなく、生まれつきの体質も影響している場合があります。ここでは、ルーズショルダーを引き起こす3つの原因を解説します。

原因1|肩や腕に負担がかかる動作

腕や肩に繰り返し負荷がかかる動作は、日常生活やスポーツにおいてルーズショルダーを引き起こす可能性があります。

特に、野球やバレーボール、テニスなど、肩を酷使するスポーツをするときは注意が必要です。また、日々のハードな練習は、肩への負担蓄積につながり、ルーズショルダーのリスクを高めます。

過去に脱臼を経験した場合、肩関節を構成する筋肉や靱帯が損傷している可能性があり、その状態で日常生活やスポーツを続けると、肩まわりの組織に過度な負担がかかります。肩に違和感を覚えたら、無理をせず肩を使い過ぎないようにしましょう。

原因2|インナーマッスルの筋力低下

ルーズショルダーの原因のひとつに、インナーマッスルの筋力低下もあげられます。肩を自由に動かすためには、インナーマッスルの働きが不可欠です。インナーマッスルは、肩関節の安定性を高め、怪我を防ぐ役割も担っています。

加齢や運動不足によってインナーマッスルの働きが弱まると、肩関節をしっかりと支えることが難しくなり、肩への負担が増えます。その結果、肩関節が不安定になり、ルーズショルダーを引き起こしやすくなるのです。

原因3|先天的な肩関節の構造

ルーズショルダーの要因として、遺伝的な要素が関係している場合もあります。生まれつき肩関節の構造が通常よりも不安定な状態にある方は、ちょっとした動作でも関節が外れやすく、ルーズショルダーを引き起こしやすい傾向があります。

遺伝的にルーズショルダーになりやすい体質を受け継いでいる可能性があるため、家族歴がある方は特に注意が必要です。とはいえ、生まれつきの要因だけでなく、肩まわりの筋力不足や特定のスポーツなどの動作が複合的に影響すると、症状が悪化する場合もあるかもしれません。

そのため、遺伝的な傾向がみられる方は、日頃からルーズショルダーにならないよう予防することが重要です。

ルーズショルダーを放置するリスク

ルーズショルダーは、肩関節が不安定な状態であるため、放置すると日常生活のさまざまな場面で支障をきたすおそれがあります。具体的な影響として考えられることは、下記の通りです。

【仕事や趣味における影響】
デスクワークやPC作業を長時間続けることは、ルーズショルダーの症状を悪化させる原因となります。キーボードを打つ際のわずかな振動でも、肩に痛みや不快感が生じ、集中力を維持することが難しくなるかもしれません。

また、細かい手作業をともなう趣味や仕事では、肩の違和感や疲労が蓄積し、作業効率が低下する可能性があります。

【日常生活における影響】
日常生活における動作も、ルーズショルダーの症状を悪化させる要因となります。洗濯物を干したり、掃除機をかけたりする動作は、肩関節に負担をかけるため、痛みや倦怠感を引き起こしやすくなります。

【身体機能への影響】
ルーズショルダーを放置すると、肩関節の可動域が制限され、関節が硬くなる可能性があります。痛みをかばう動作を続けることで、肩まわりの筋肉がアンバランスになり、筋力低下を引き起こすこともあります。

肩まわりの筋力が低下すると、四十肩や五十肩につながる可能性があるため、注意しましょう。また、些細な動作でも肩に痛みやうずきが生じるようになり、日常生活に支障をきたしやすくなります。

ルーズショルダーの症状が悪化すると、肩の痛みや不快感だけでなく、全身の倦怠感、行動力低下、無気力といった症状がみられることがあります。慢性的な痛みや不快感は、精神的なストレスとなり、日常生活の質を低下させる可能性があるため、早めの対処が重要です。

ルーズショルダーの対処法

ルーズショルダーを緩和するための対処法は、症状や原因によって異なります。ここでは一般的な対処法と日常生活で取り入れやすいストレッチを紹介します。

対処法1|自宅でのストレッチ

自宅でできるストレッチなら、好きな時間や場所で行えるのがポイントです。特別な道具も必要ないため、誰でも気軽に始められます。

まずは、ルーズショルダー対策におすすめの自宅で簡単にできるストレッチを3つ紹介します。

肩~肋骨のストレッチ

肩から肋骨の筋肉をほぐすストレッチです。

1.机やテーブルなどの平らな面にタオルを広げ、正面の椅子に座る
2.両手をタオルに乗せ、タオルをテーブルの上で前方に滑らせるようにして、息を吐きながらゆっくりと伸ばしていく
3.ゆっくりと元の位置に戻す
4.2~3の動作を繰り返す

10回×2セットを目安に、無理のない範囲でゆっくりと行いましょう。

胸椎のストレッチ

胸椎を伸ばすストレッチです。

1.四つん這いになる
2.そのまま手を前に伸ばし、頭を床に近づける
3.両手を組み、鼻から息を吸い、口から吐きながら肘を上方向に曲げ、胸を床に近づける
4.両手を元の位置に戻す
5.3~4の動作を5~7回行う

ストレッチ中は呼吸を意識することで、効果を高めることができます。

広背筋のストレッチ

広背筋のストレッチです。

1.椅子に座り、両手を頭上で組み合わせる
2.片側のお尻に体重をかけ、身体を反対側にゆっくりと傾ける
3.身体をまっすぐな状態に戻す
4.2~3の動作を繰り返す

脇腹の筋肉が伸びていることを意識しながら、行いましょう。

対処法2|整形外科での治療

肩の痛みや違和感が気になる場合は、自己判断せずに整形外科を受診しましょう。病院では、レントゲンやエコー検査などの画像検査で状態を確認し、炎症の有無などを調べます。

治療法としては、主に症状に合わせて湿布や痛み止めなどの薬が処方され、経過観察となる場合が多いようです。痛みがひどい場合には、ステロイド注射や鎮痛剤が使われることがあります。

すぐに痛みを和らげたい方や、仕事などで忙しく、頻繁に通院できない方は、整形外科で処方される鎮痛剤で対処するのもひとつの手です。

とはいえ、鎮痛剤はあくまで一時的な痛みの緩和を目的としたものであり、根本的な解決にはなりません。痛みの原因に対して、適切な治療法を選択することが大切です。

まとめ

ルーズショルダーとは、肩の関節が不安定で、外れそうな感覚になる状態のことです。原因は、肩への過度な負担やインナーマッスルの筋力低下、遺伝などがあげられます。

ルーズショルダーを放置すると、日常生活に支障をきたすおそれがあるため、肩に違和感を覚えたら早めに対処することが重要です。自宅で簡単にできるストレッチを試したり、整形外科を受診したりするなど、状況に合わせて選択しましょう。