産後の腰痛の原因は?つらい場合の過ごし方や改善策も解説

出産後も腰の痛みが続くと、心身ともに疲れが溜まりやすくなります。妊娠中から続く腰痛がなかなか改善せず、不安を感じる方も少なくありません。今回は、産後の腰痛の原因や続く期間、日常生活での過ごし方、セルフケアの方法までをわかりやすく紹介します。


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産後に腰痛が生じる原因

産後の腰痛は、多くのママが抱える身体の不調のひとつです。妊娠・出産による身体の変化や、育児に伴う日常動作など、複数の原因が関係しています。

ここでは、腰痛の主な原因について詳しく見ていきましょう。

ホルモンバランスの変化

妊娠・出産に伴い分泌される「リラキシン」と呼ばれるホルモンには、骨盤まわりの関節や靭帯をゆるめ、出産に向けて身体を整える働きがあります。

このホルモンの影響は、出産後も数週間続くため、関節の安定性が低下するのです。その結果、腰まわりに負担がかかりやすくなります。

骨盤の変化

出産時には、赤ちゃんが通れるように骨盤が大きく広がりますが、元の状態に戻るまでにはある程度の時間が必要です。

骨盤が不安定なままでいると、身体を支える役割を担う周囲の筋肉や靭帯に負担がかかり、結果として腰まわりに痛みが出ることがあります。

腹筋の筋力低下

妊娠中、お腹の膨らみによって腹筋は大きく伸ばされ、筋力が低下しやすくなります。出産後すぐに元の状態へ戻るわけではなく、回復に時間がかかるため、その間は、体幹の安定性が損なわれがちです。

腹筋が適切に機能しないと腰椎を支える力が弱まり、結果として腰への負担が増し、痛みが出やすくなります。

育児による姿勢の変化

産後は、授乳やおむつ替え、抱っこなど、前かがみの姿勢を取る機会が増えます。こうした動作が繰り返されると、腰に大きな負担がかかりやすくなるのです。

さらに、出産によって筋力が低下した状態で育児を行うため、身体を支える力が不足し、姿勢の崩れや腰への負担が痛みの原因となる場合があります。

婦人科系の疾患

産後の腰痛には、子宮筋腫や子宮内膜症など婦人科系の疾患が関係している場合もあります。骨盤内の臓器に異常があると、周囲の神経や筋肉に影響を及ぼし、腰に痛みを感じるのです。

体調が優れない、痛みが長引く、あるいは強くなるような場合は、自己判断せずに婦人科で診察を受けましょう。

産後の腰痛はいつまで続く?

産後の腰痛は、身体の回復が進むにつれて徐々に軽減していくのが一般的です。多くの場合、数週間から数か月で痛みが和らぎ、日常生活に支障をきたさなくなるレベルまで落ち着きます。

ただし、痛みの程度や回復のスピードには個人差があり、産後半年以上たっても違和感が残るケースもあるでしょう。

よくみられる症状としては、腰全体に広がる鈍い痛みがあります。長時間同じ姿勢をとった後や、起き上がるときに重だるさを感じるようなタイプです。

また、急な動作や無理な体勢によって鋭く刺すような痛みが出ることもあり、抱っこや授乳の姿勢によって悪化する傾向もあります。さらに、筋力や柔軟性が十分に戻っていない場合、痛みが数週間以上続くことも珍しくありません。

このように、産後の腰痛は身体の回復状況や生活環境によって大きく左右されます。痛みを我慢して無理を重ねると、筋肉や関節への負担が増し、慢性化してしまうリスクもあるため注意が必要です。早く回復したいと思っても、焦らずに身体をいたわりながら過ごすことが、腰痛を軽減させるための重要なポイントです。

目安としては、産後1~2か月ほどで痛みが軽くなってくるのが理想的ですが、それ以上続く場合や痛みが強くなっていく場合は、整形外科や産婦人科など専門医の診察を受けることをおすすめします。

原因が筋肉の問題だけでなく、骨盤や内臓の異常による可能性もあるため、適切な治療やアドバイスを受けましょう。

産後に腰が痛いときの過ごし方

産後の腰痛がつらいと、育児や家事も思うように進まず、心身ともに疲れが溜まりやすくなります。無理をすると痛みが長引くため、できるだけ負担を減らしながら過ごすことが大切です。

ここでは、腰痛があるときでも安心して育児を続けるために意識したい過ごし方のポイントを紹介します。

一時的にコルセットを使う

腰の不安定さが気になるときは、一時的にコルセットを使用するのもひとつの方法です。コルセットで骨盤まわりをサポートすれば、立ち上がりや抱っこなど日常の動作による腰への負担を和らげる効果が期待できます。

ただし、長期間の着用に頼りすぎると、筋力の回復が妨げられるおそれがあるため注意が必要です。

痛みが和らいできたら、無理のない範囲で軽い体操やストレッチを取り入れ、インナーマッスルを鍛えると腰痛の再発予防につながります。

乳児の抱き方に注意する

授乳や抱っこは毎日のことだからこそ、姿勢に気を付けることが大切です。前かがみの体勢が続くと腰に大きな負担がかかり、痛みの悪化を招く原因になります。

抱っこをするときは、できるだけ背筋を伸ばし、赤ちゃんを胸の前でしっかり支えるよう意識しましょう。

抱っこ紐を使って赤ちゃんを身体に密着させると、腕や腰への負担を分散させることができ、長時間の育児でも疲れにくくなります。

寝るときはクッションを使う

妊娠中は、お腹が大きくなるので反り腰になりやすく、背中や股関節の前側の筋肉が硬くなりやすい状態になります。さらに、腹筋や背筋の筋力が低下していると、産後も反り腰の姿勢が続きやすく、腰への負担が大きくなるのです。

反り腰になっている場合は、寝るときに膝の下にクッションを入れると腰の反りを軽減でき、リラックスした姿勢を保ちやすくなります。睡眠中の姿勢を見直すことも、腰痛を和らげるための有効な対策のひとつです。

産後の腰痛を緩和させるための体操

産後の腰痛を和らげるには、日常の中で無理なく取り入れられる軽い体操が効果的です。筋力を少しずつ回復させながら、身体のバランスを整えることで、痛みの軽減や再発防止が期待できます。ここでは、自宅で簡単にできる5つの体操を紹介します。

腹式呼吸

腹式呼吸は、腹部の深層にある「腹横筋」を意識的に動かすことで、体幹を安定させ、腰への負担を軽減する体操です。

1.仰向けになって両膝を軽く曲げ、足は肩幅程度に開きます。
2.お腹の上に手を置き、自分の呼吸でお腹がどう動くかを感じ取ります。
3.息を吸うときは、お腹がふわっと膨らむように意識しながらゆっくりと空気を取り込みます。
4.息を吐くときには、お腹をへこませるように力を入れ、腹筋が働いているのを感じましょう。

腰が浮いたり動いたりしないよう、床にしっかりとつけた状態を保つのがポイントです。

膝抱えストレッチ

膝抱えストレッチは、背骨の両側に沿って走る「脊柱起立筋」の緊張を和らげる効果があります。抱っこや授乳で負担がかかりやすいこの筋肉を優しく伸ばせば、血流が促され、腰痛緩和につながるでしょう。

1.仰向けになった状態で両膝を胸に引き寄せ、両腕でしっかり抱えます。
2.腰を丸めるようなイメージで太ももをお腹に近づけ、できるだけ背中全体を床につけるように意識しましょう。
3.そのままの姿勢で数秒キープし、腰から背中にかけて伸びを感じてください。

さらに深くストレッチしたい場合は、腰の下にタオルを入れると効果的です。無理のない範囲で、呼吸を止めずに行いましょう。

ヒップリフト

ヒップリフトは、お尻の筋肉である大殿筋を鍛えることで、骨盤まわりの安定性を高め、反り腰や腰痛の予防・改善につなげる体操です。産後は大殿筋の働きが低下しやすいため、無理のない範囲で少しずつ筋力を回復させていきましょう。

1.仰向けになり、両膝を肩幅に開いて立てます。
2.かかとに力を入れながら、お尻をゆっくりと持ち上げていきます。
3.肩から膝までが一直線になる位置まで上げたら、そのまま数秒キープします。
4.息を吐きながらゆっくりと元の姿勢に戻しましょう。

動作中に腰を反らせすぎないよう注意し、お尻の筋肉を意識して行うことがポイントです。

足の運動

足の運動は、産後の血流改善や筋肉の緊張緩和に役立ちます。足首を動かすことで下半身のめぐりが良くなり、腰への負担も軽減されやすくなるでしょう。

1. 仰向けの姿勢でリラックスしたら、左右の足首に軽く力を入れ、つま先を交互に前後へ動かします。
2. 足首を左右交互に大きく円を描くように回転させましょう。

これらの動作を行うと、関節の可動域が広がり、筋肉のこわばりがほぐれてきます。無理をせず、ゆっくりとした動きで行うのがポイントです。

骨盤と肛門の運動

骨盤と肛門の運動を意識的に取り入れると、骨盤まわりの安定感を高める効果が期待できます。

1.仰向けになり、両手は身体の横に自然に置きます。
2.膝を軽く立ててリラックスしたら、肛門をキュッと締めるように力を入れます。
3.少しキープしたらゆっくり力を抜いて緩めます。

この動きを、呼吸を止めずにゆっくりと繰り返します。

まとめ

産後の腰痛は、ホルモンの影響や骨盤の不安定さ、育児による姿勢など、さまざまな要因が重なって起こります。無理をせず身体を休めながら、セルフケアや体操を取り入れることで、少しずつ痛みを和らげることが可能です。長引く場合は、早めに専門医へ相談しましょう。