デスクワーク中に首の右側が痛くなるのはなぜ?
首の右側に痛みを感じる原因の多くは、筋肉のコリや疲労によるものです。肩や肩甲骨まわりの筋肉が硬くなると首の一部に大きな負担がかかり、片側だけ痛くなることもあります。
特に、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用は姿勢が悪化しやすく、筋肉への負担が増加してしまいます。
【セルフチェック】首の痛みを悪化させる5つのNG習慣
首や肩の痛みがなかなか改善しないときは、日常の何気ない行動が痛みを悪化させている可能性があります。ここでは、痛みを悪化させる5つのNG習慣を紹介します。ひとつでも当てはまった方は、すでに首への負担が蓄積している可能性があるため、早めの対策が重要です。
ケース1│スマホやマウスをいつも右手で持ち、長時間操作している
右利きの場合、マウスの操作で右側の筋肉を使うことが多くなります。また、スマートフォンを長時間使用するときも身体の右側に負担が集中し、血流の悪化や神経の圧迫を招きます。その結果、首の右側の筋肉に痛みやコリが現れるのです。
ケース2│カバンを右肩ばかりにかけている
カバンを右肩にかけると、バランスを保つために右肩が上がりやすくなります。すると身体全体が左側に傾き、背骨の左側の筋肉が緊張します。毎日同じ側にカバンをかけていると背中や首、肩まわりの筋肉がこわばり、頭や肩の位置に左右差が生じることもあります。
ケース3│パソコンモニターが机の右側にずれて設置されている
PCモニターが少しでも右にずれていると、肩や首の位置も右側に傾きやすくなります。その結果、片側だけに負担がかかり、疲労が溜まりやすくなります。常にモニターが身体の正面にくるよう、配置を見直しましょう。
ケース4│机と椅子の高さが合わず、首をすくめて作業している
机と椅子の高さが身体に合っていないと、首をすくめる姿勢がクセになったり、無意識に猫背になったりしがちです。猫背のままモニターをのぞき込むと、胸椎や背中の筋肉が引き伸ばされ、筋肉が過剰に緊張します。この状態が続くと、いわゆるストレートネックや胸の痛みを引き起こすことがあります。
ケース5│1時間以上、同じ姿勢で作業を続けている
長時間同じ姿勢を続けると筋肉が緊張し、血液の流れが悪くなります。その結果、首や肩こり、頭痛を引き起こします。座りっぱなしの状態が続くと姿勢が崩れやすく、首や肩への負担が増えて不調が起こりやすくなります。
今日からできる!首の痛みを予防する3つのポイント
首の痛みを放置すると生活の質が低下する可能性があるため、できるだけ早めの対処が重要です。ここでは、首の痛みを予防するために、デスクワーカーが意識すべき3つのポイントを紹介します。
ポイント1│机と椅子の高さを調整する
机と椅子の高さが合っていないと首や肩に負担がかかり、痛みや疲労、姿勢の悪化につながります。理想的な椅子の高さは、足裏全体が床に接し、膝の裏が座面よりわずかに高くなる状態です。椅子が高すぎるとかかとが浮き、低すぎると膝裏が座面から大きく離れてしまいます。膝から足先までの体重が自然にかかとに乗っているか確認しましょう。
また、机の高さは、上腕を垂直に下ろしたときに肘を90度に保てる状態が理想です。机の高さを調整すると自然な角度でキーボードを打てるようになり、疲労の軽減にもつながります。
ポイント2│1時間に1回は首・肩ストレッチをする
長時間同じ姿勢を続けると筋肉が緊張して血行が悪くなり、コリや痛みを招きます。特に前かがみの姿勢は首の筋肉に負担をかけ、痛みが生じる原因になります。
デスクワーク中は1時間おきに軽く身体を動かし、長時間同じ姿勢が続かないように心がけましょう。こまめに首や肩のストレッチをすることで血流が良くなり、痛みの予防につながります。
ポイント3│モニターの高さを調整する
PCのモニターを正しい位置に調整することで、首や肩の負担を軽減できます。モニターの中心がちょうど目の高さになるように位置を調整しましょう。ノートPCの場合は、高さや角度を調整できるスタンドの活用がおすすめです。
デスクワーク中に試してほしい!簡単ストレッチ&セルフマッサージ
ここでは、デスクワーク中に座ったままできる首のストレッチやセルフマッサージを紹介します。どれも短時間で簡単にできますので、ぜひ作業の合間に取り入れてみてください。
首のサイドストレッチ
首の両サイドにある斜角筋(しゃかくきん)をほぐすストレッチを紹介します。
1.椅子に座ったまま姿勢を正し、右手を左の側頭部に添える
2.右手で頭を倒し、左側の首筋を伸ばす(手の重みだけを使い、無理に力を入れないように注意する)
3.息を吸いながら、ゆっくりと首をもとの位置に戻す
4.反対側も1~3と同様に行う
5.右手で頭をやや右斜め前に倒し、首の左後方の筋肉を伸ばす
6.息を吸いながら、ゆっくりと首をもとの位置に戻す
7.反対側も5~6と同様に行う
首が気持ちよく伸びるのを意識しながら、ゆっくり行いましょう。
首すじセルフマッサージ
首に痛みがあるときは、首や肩まわりをほぐすセルフマッサージがおすすめです。
1.椅子に座ったまま脇に手を入れ、片方ずつ回すようにほぐす(痛い部分があれば入念にほぐす)
2.鎖骨全体をやさしくなでるようにほぐす
3.右手を首の左側に当て、後ろから前に滑らせるように優しくほぐす
4.反対側も3と同様に行う
5.こめかみの下にあるあごの筋肉に手を当て、円を描くように硬い部分をほぐす
6.目の上の骨のきわに親指を当て、気持ち良いと感じる強さで目の周りを押す(押している部分の痛みが弱くなるまで3~5周ゆっくりマッサージする)
7.親指と人差し指の間をほぐす(筋肉が凝っている部分があれば入念に揉む)
8.最後に、首裏と頭の間にあるくぼみを指で押す(気持ち良い部分を30秒程度押し続ける)
定期的に肩や首まわりをマッサージすることで、慢性的なコリの予防にもつながります。
それでも痛みが取れないなら?病院に行く目安とは
セルフケアを続けても首の痛みが軽減しないときは、単なる筋肉のコリではなく何らかの病気が隠れている可能性もあります。右首から腕にかけて痛みが起こる病気としては、下記のような例があげられます。
・頚椎椎間板ヘルニア:椎間板内部にある髄核(ずいかく)と呼ばれるゼリー状の組織が神経を圧迫・損傷し、首の痛みや肩こり、しびれなどが生じる
・頚椎症性神経根症:加齢によって頚椎が変形し、神経の根元が圧迫されることで片側の肩甲骨周りや腕の痛み、しびれ、筋力低下などが起こる
・変形性頚椎症:加齢による骨の変形によって脊椎が圧迫され、首・肩甲骨・腕・手指に焼けるような痛みやしびれが生じる
・胸郭出口症候群:神経の経路が骨や筋肉に挟まれて圧迫され、手のしびれや痛み、力が入りにくいなどの症状を引き起こす
右首から腕にかけて痛い場合、まずは整形外科を受診しましょう。受診の目安は、いつもとは違う痛みがある、安静にしていても痛みが強い、痛み以外にも吐き気やめまいなどの症状がある場合です。特に、痛みが徐々に強くなっている場合や、吐き気、めまい、高熱、頭痛、しびれなどをともなう場合は、早急に病院を受診してください。
まとめ
PCやスマートフォンを長時間使用すると姿勢が崩れやすく、首や肩甲骨まわりに大きな負担がかかり痛みを引き起こすことがあります。
日頃の何気ない習慣が痛みを悪化させている可能性もあるため、マウスやカバンの持ち方や椅子と机の高さ、PCモニターの位置などを確認してみることが大切です。
デスクワーク中は1時間に1回立ち上がって身体を動かし、首や肩まわりのストレッチやマッサージを行いましょう。