股関節が右(左)側だけ痛い!原因や対処法・考えられる疾患も解説

股関節が右(または左)だけが痛いとき、「なぜ片方だけ痛いんだろう」と不安を感じることでしょう。原因が思い当たらず、対処に困ることもあるかもしれません。そこで今回は、股関節が片側だけ痛くなる原因や疾患、対処法などについて解説します。


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右(左)の股関節だけが痛む原因

股関節や膝関節などの「関節」とは、2つ以上の骨の連結部分のことです。身体を動かすための部位なので、通常は軟骨や滑膜、滑液、靭帯などで保護されています。

これらの保護機能に何らかの要因で問題が発生すると、骨同士がこすれ合ったり周囲に炎症が起きたりして痛みを感じます。

左右どちらかの股関節だけが痛む原因は、主に股関節周辺の炎症ですが、神経や筋肉の問題によることもあります。

長時間の運動などによって、過度に股関節に負担がかかったことが原因で炎症が起きた場合、2~3日ほど経てば痛みは落ち着いてくるでしょう。

ただし、肥満や加齢、生活習慣が原因の場合は、常に関節に負担がかかり続けるため、症状が慢性化するリスクがあります。

また、徐々に痛みが強くなっている、1週間以上経過しても痛みが落ち着かない、歩けないくらい痛いといった場合は、何らかの疾患が原因と考えられます。

股関節の痛みを感じる場合に考えられる疾患

日増しに症状が悪化している、強い痛みを感じるといった場合は、下記のような疾患が原因で股関節に痛みが出ているかもしれません。

・変形性股関節症
・鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)
・大腿骨近位部骨折
・単純性股関節炎とペルテス病

また、原因が明確になっていない疾患を発症しているケースもあります。それぞれの詳細を解説しますので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

なお、疾患が原因である可能性が高い場合は、放置すると症状が悪化するおそれがあるため、早めに医療機関を受診することが大切です。

変形性股関節症

変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減って周囲の滑液包に炎症が生じる、中高年層に多い疾患です。変形性股関節症には下記の2種類があります。

・一次性変形性股関節症:股関節への負荷や加齢が原因で後天的に起こる変形性股関節症
・二次性変形性股関節症:股関節の形成不全など先天性の要因で起こる変形性股関節症

主な症状は股関節の痛みで、年齢とともに症状が悪化するケースが多いのが特徴です。初めは片側の股関節だけに痛みを感じたり、立ち上がったときのみ痛みを感じたりしますが、悪化すると常時痛みを感じるようになります。

鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)

鼠径部痛症候群とは、不自然な動きや長時間の立ち仕事、偏った姿勢、激しい運動などによって、股関節周辺の筋肉や靭帯がダメージを受けて生じる疾患です。グロインペイン症候群と呼ばれることもあります。

左右の股関節のどちらかだけ筋力が強く、バランスが悪い場合に発生しやすいため、特に片足を酷使するサッカー選手に多く見られる疾患です。

股関節の片側に圧痛や運動痛が出ることが多いですが、両方の股関節が痛くなる場合もあります。また、症状が悪化すると常に股関節に痛みを感じたり、下腹部まで痛みが広がったりすることもあります。

大腿骨近位部骨折

大腿骨近位部骨折とは、転落や転倒などによって大腿骨にヒビが入ったり折れたりしている状態です。骨折した部位だけでなく、股関節まで痛むことがあります。

大腿骨近位部骨折は、特に高齢の骨粗鬆症の方に発生しやすいのが特徴です。ヒビが入ったケースでは、初めのうちは歩ける場合もあるのですが、そのまま治癒することはありません。

いずれ立ち上がれなくなったり歩けなくなったり、最悪の場合寝たきりになってしまう場合もあるので、早めに対処することが大切です。

原因がわかっていない疾患

関節リウマチ(リウマチ性関節症)や特発性大腿骨頭壊死(とくはつせいだいたいこっとうえし)などの疾患が原因で、股関節の片側に痛みを感じることもあります。

関節リウマチとは、何らかの原因で免疫に異常が起き、関節に炎症が生じて痛みを感じる疾患です。30~60代と若いうちから発症する場合が多く、女性は男性の約4倍の発症率とされています。

症状が進行すると関節が固まって動かせなくなったり、変形してしまったりする場合もあります。

特発性大腿骨頭壊死とは、大腿骨頭の一部の骨組織が壊死して機能が失われる疾患です。指定難病のひとつであり、重症化すると人工関節を入れる処置が必要になります。

股関節の痛みが徐々に強くなっていくことが多いですが、初期段階では腰や膝など、股関節以外の部位に痛みを感じる場合もあります。なお、関節リウマチと特発性大腿骨頭壊死のどちらも、明確な原因はわかっていません。

出典:日本リウマチ学会「関節リウマチ(RA)

単純性股関節炎とペルテス病

2~12歳くらいの子どもの場合は、単純性股関節炎やペルテス病が原因で股関節の片側に痛みが出ている可能性も考えられます。

単純性股関節炎とは、急に股関節や太ももに強い痛みを感じる疾患です。滑液が過剰に溜まって痛みが生じますが、発生の原因は明確になっていません。発熱するケースもありますが、しっかり安静にしていれば、数日で自然に症状が落ち着いていきます。

ペルテス病とは、特発性大腿骨頭壊死と同じく大腿骨頭が壊死する疾患です。ただし、特発性大腿骨頭壊死は壊死骨が恒久的に残るのに対し、ペルテス病は数年で骨が再生します。

とはいえ、適切な治療を受けないと徐々に悪化していき、股関節の痛みが慢性化したり骨が変形してしまったりするおそれがあります。歩けないほどではないものの、痛みが長く続いている場合は医療機関を受診しましょう。

右(左)だけ股関節が痛いときの対処法

歩きすぎや肥満など、生活習慣が原因で股関節の片側に痛みを感じている場合は、適切に対処すれば痛みが和らぐ可能性があります。ここでは、股関節が片側だけ痛いときの対処法を紹介しますので、ぜひ試してみてください。

保存的治療法を試してみる

股関節の片側だけ痛いときは、保存的治療法を実践してみましょう。強い痛みや熱感がある場合は、患部を冷やして炎症を抑えます。反対に、痛みが慢性化しているときは、患部を温めて血行を促進させましょう。

痛みが強い場合は、鎮痛剤や消炎剤を使用することも考えられますが、必ず医師や薬剤師に相談し、指導を受けた上で適切に使用することが重要です。薬剤の効果によって一時的に痛みを和らげることはできますが、自己判断での長期的な使用は避けましょう。

また、薬剤を使用しても痛みが引かない場合や、何らかの疾患が疑われる場合は、速やかに医師の診察を受けることが大切です。

整体院に行く

身体の歪みによって股関節に負担がかかり、痛みが生じている場合は、整体院に行くことも検討してみましょう。

整体院では、股関節周辺の筋肉や身体全体の歪みを整える施術を行っており、股関節への負担を軽減できる可能性があります。ただし、効果には個人差があります。

施術後に痛みが和らいでも、歪みの原因そのものを取り除かないことには再発してしまいます。再発を防止するためには、日常生活の姿勢や身体の使い方も見直すことが大切です。

ストレッチをする

ストレッチを行う習慣を身に付け、股関節まわりの柔軟性を保つのも有効です。膝を胸に近づけるストレッチや、股関節を外旋(外側にひねる)ストレッチを取り入れましょう。

ただし、痛みが強いときのストレッチはNGです。悪化を防ぐためにも、痛みが落ち着いてからはじめ、無理のない範囲で少しずつ強度を上げていきましょう。

生活習慣を改善する

姿勢の悪さや肥満などが原因の場合は、生活習慣を改善しましょう。例えば、長く同じ姿勢を続けると、股関節に負担がかかって痛みを感じやすくなります。長時間座ったまま、または立ったままになる状況はできるだけ避けましょう。

適正体重を保つことも、股関節への負担軽減に役立ちます。食事管理や適度な運動を取り入れ、体重を管理しましょう。

激しい運動をする必要はなく、ウォーキングやヨガ、水泳などの比較的強度が低い運動でかまいません。これらの運動は股関節周辺の筋力を高め、股関節への負担を軽減して痛みを防止するのに役立ちます。

まとめ

股関節の片側だけが痛い原因は、股関節への過剰な負荷や疾患などさまざまです。なぜ股関節が痛いのかを突き止めて、適切に対処しましょう。

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