疲れが取れない30代|疲れを生む原因と回復方法も解説

十分な睡眠時間を確保しているつもりでも、なかなか疲れが取れないと悩んでいる30代は多いのではないでしょうか。疲労感が蓄積すると仕事のパフォーマンスが落ちたり、やる気が出なくなったりするため、早めの対処が必要です。今回は、疲れが取れない原因を解説しながら、忙しい30代におすすめの疲労を和らげる方法を紹介します。


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30代は特に疲れている

最初に、現代の30代が置かれている状況を見ていきましょう。一般社団法人日本リカバリー協会は、一般社団法人日本疲労学会、株式会社ベネクスと共同で全国10万人以上を対象に「ココロの体力測定」を行い、「日本の疲労状況」として発表しています。

2024年の調査結果によると、高齢になるほど元気な人が増える一方で、現役世代内では20~40代までの疲労状況が高いことが浮き彫りになりました。特に、30代の疲労状況は深刻です。調査に「疲れている」と回答した30代は、全体の約8割に及びます。

男女別では疲れを感じている女性が多く、30代の女性で「元気な人」と回答したのは全体の1割を切るほどです。男性の場合は、高い頻度の疲れを感じている方が全体の半数を超えます。働き盛りの30代は、心身の疲労に注意すべき年代だと考えて良いでしょう。

出典:一般社団法人日本リカバリー協会「日本の疲労状況2024

30代の疲れの原因

30代はまだ若く、仕事もプライベートも充実する年代です。本来回復力のある30代に疲労が蓄積する理由には、下記の原因があげられます。

・期待され責任も持たされる
・将来への不安
・プレ更年期

それぞれを詳しく見ていきましょう。

期待され責任も持たされる

30代の疲れが取れない原因としてまずあげられるのは、周囲からの期待や責任などによるプレッシャーの影響です。

社会に出てキャリアを積んで30代になると、大きな仕事を任されたり部下を与えられたりして、20代のころよりも責任のある立場に立つようになります。仕事にやりがいを感じる一方で、強いプレッシャーに押しつぶされそうになるのはよくあることです。

また、責任とともに仕事量が増えて、ワークライフバランスが崩れやすいのも疲れがなかなか取れない一因です。十分に休みが取れないと心身に疲労が蓄積して、疲れが取れにくくなります。

将来への不安

将来に対する漠然とした不安や悩みも、疲れが取れない状況をつくり出す一因です。30代になると、経験から自分の周りを客観的にみられるようになります。しかし、社会の不確実性が高まり続ける現代では安定した将来のビジョンを描きにくく、不安を感じがちです。

また30代になると、仕事や結婚、子育て、老後の生活、親の介護などの心配事が現実味を帯びてきます。心配事や悩みがストレスとなり、蓄積して身体の疲労回復が遅れるケースは多いのです。

プレ更年期

30代後半に始まる身体の変化も、疲労を蓄積させている原因のひとつです。個人差はあるものの、年齢を重ねると性ホルモンの分泌量が低下します。女性ではエストロゲン、男性ではテストステロンの分泌が減少し、ホルモンバランスが崩れて30代から『プレ更年期』と呼ばれる症状が現れる場合があります。

閉経前後の更年期になると、ホルモンバランスの崩れから疲れやすい、イライラする、眠れないなどのさまざまな不調が引き起こされます。プレ更年期も同じです。更年期特有の身体症状や精神症状、性機能症状のなかには疲労感も含まれ、疲れが取れにくくなります。

疲れが長引く場合は病気の可能性も

30代はまだ若く回復力がありますが、疲れやだるさがなかなか改善されない場合は、なんらかの病気が影響を与えているリスクがあります。感染症にかかっている可能性も否定できないため、体温をチェックして体調管理に努めましょう。

そのほか、疲労感を伴う下記の疾患にも注意が必要です。

・貧血:鉄分が不足して全身が酸欠状態になり、疲労感が生じる
・甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンの分泌量が不足して代謝が低下し、疲労感が生じる
・肝臓病:肝臓の機能が低下して全身のエネルギー不足が起こり、疲労感が生じる
・腎臓病:腎臓の機能が低下したために体内に尿毒症物質が蓄積し、疲労感が生じる
・うつ病:意欲の低下や不眠などの症状とともに、疲労感や倦怠感をともなう

これらの病気は、病院で治療を受ける必要があります。疲れが取れないだけでなく、発熱をはじめとする全身症状がある場合は、早めに医療機関を受診して検査を受けましょう。

疲れが取れない30代におすすめの疲労回復方法

若いうちは「たかが疲れぐらい」と軽視しがちですが、疲労の蓄積は心身にダメージを与えるため、放置するのは危険です。疲れが取れないと感じたら、早めの改善を目指しましょう。

ここからは、疲れがなかなか取れない30代におすすめの対処法を紹介します。

質の高い睡眠をとる

疲れやすいと感じたらしっかり睡眠を取り、心身を回復させる必要があります。時間よりも睡眠の質を重視して、熟睡感を得られる眠りを目指しましょう。

ストレスが蓄積していると睡眠の質が低下し、寝つきにくくなります。そのため、就寝前にはリラックスする習慣を取り入れましょう。ストレッチをしたり、アロマを焚いたりするのもおすすめです。

あわせて生活習慣も見直しましょう。起床時間と就寝時間を決めて守ると自然に生活リズムが整い、睡眠の質が向上します。スマートフォンやタブレットは眠りを妨げるため布団の中には持ち込まないようにし、スムーズな入眠を目指してください。

バランスの良い食事をとる

早めの疲労回復を目指すなら、バランスの良い食事を摂りましょう。食事は1日3食、しっかり摂取してください。

食生活が乱れてエネルギー源となる糖質や身体を構成するタンパク質が不足すると、疲労の回復が遅れます。タンパク質を豊富に含む肉や魚、大豆食品などの食べ物を活用して、主食・主菜・副菜がそろったバランスの良い献立を心がけましょう。

エネルギー生産に関与するビタミンB群も意識して摂ると、スピーディな疲労回復が目指せます。あわせて抗酸化作用があるビタミンCやビタミンEなどの栄養素も積極的に摂取して、疲労予防を心がけましょう。

適度に運動する

適度な運動は程良く身体を疲れさせ、寝つきを良くして疲労回復を早めます。息が軽くあがる程度の強度で、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動に取り組みましょう。有酸素運動は心肺機能を高めて血行を改善し、疲れにくい身体を養うのに有効とされています。

アクティブレストを取り入れる

アクティブレスト(Active Rest)とは、完全に休むのではなく軽い運動を行うなどして、心身の疲労回復を図る手法です。

実際に、企業が昼休みに10分間のアクティブレストを取り入れると従業員の活動量が増え、対人関係やメンタルヘルス面に良い影響をもたらすとの研究結果が出ています。厚生労働省が推進する研究事業では、職場単位でアクティブレストを導入するのが望ましいとしています。家庭でもぜひ取り組んでください。

出典:厚生労働科学研究費補助金 労働安全衛生総合研究事業「労働生産性向上や職場の活性化に効果的な運動プログラムの検証

人と交流する・趣味を楽しむ

疲れていると、外出して人と交流するのが面倒に感じることもありますが、あえてその一歩を踏み出してみましょう。親しい人と楽しく会話すれば良い気分転換になり、気持ちがポジティブになります。意欲向上につながる脳内物質「ドーパミン」の分泌も促進して、メンタル面で良い影響が期待できます。

そのほか、趣味を楽しむ時間をもつのも疲労回復を早めるのに有効です。読書や音楽鑑賞、手芸などの趣味に没頭するとストレスから開放され、心がすっきりします。没頭しすぎて逆に疲労が蓄積しないよう注意して、好きなことに取り組みましょう。

まとめ

30代になると会社では中堅社員として扱われるようになり、プライベートでは結婚や子育てでさまざまな変化や選択を迫られる機会が増えます。疲れが取れないと気が付いたら無理をせず、早めの改善を意識しましょう。体力や代謝が低下し始める年代でもあるため、生活習慣や食生活も見直して、疲れにくい身体を目指してください。