血行不良としびれの関係とは?
まずは、血行不良がしびれとどのように関係しているのか、その仕組みを詳しく解説します。
神経や筋肉への血液供給不足
血流が滞ると手足の末端にある神経や筋肉に十分な酸素や栄養が届かなくなり、痛みのセンサーが過敏になってしびれや痛みを引き起こすことがあります。血行を促進することで、しびれや痛みを軽減できる可能性もあるため、日常的なセルフケアが重要です。
生活習慣、ストレスなども血行不良の原因に
血行が悪くなる原因として、運動不足や喫煙、飲酒といった生活習慣の乱れがあげられます。また、ストレスによる自律神経の乱れも血流の悪化を招きます。
しびれの症状に病気が隠れている場合
手足のしびれは生活習慣の見直しによって改善が期待できますが、なかには病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。手足のしびれを引き起こす主な病気は、下記の通りです。
<手のしびれの原因になる主な病気>
・脳血管障害:脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の血管が破れる脳出血など(手や口まわりのしびれ・話しにくい・手足の麻痺・頭痛などの症状がみられる)
・手根管症候群:指先や手の感覚、運動に関わる正中神経が圧迫されることで手のしびれや痛みが生じる
・多発性硬化症:難病のひとつで、視力障害や感覚障害、運動麻痺など複数の神経症状が現れる(主な症状は手のしびれ・ふらつき・排尿障害・見え方の異常など)
<足のしびれの原因になる主な病気>
・腰椎椎間板ヘルニア:腰への大きな負担によって椎間板が飛び出し、神経を圧迫して足やお尻のしびれ、腰痛を引き起こす
・脊柱管狭窄症:背骨の中を走る神経が圧迫され、足がしびれる
・足根管症候群:かかとと足の裏を支配する後脛骨神経(こうけいこつしんけい)が圧迫されることで、足裏から足指にかけて焼けつくような、ピリピリするような痛みが生じる
・脳血管障害:脳出血や脳梗塞によって、手足のしびれ、ろれつが回らない、意識がおかしいなどの症状が現れる
・糖尿病性神経障害:糖尿病によって神経が傷つき、足先のしびれや冷え、足の裏に紙が張り付いたような感覚が生じる
<手足のしびれの原因になる主な病気>
・頚椎症性脊髄症・頚椎症性神経根症:頚椎の神経(脊髄)が圧迫されることで手足のしびれや麻痺が生じ、動かしにくくなる
気になる症状がある場合は、一度医療機関に相談しましょう。
自宅でできる血行改善対策
血行不良によるしびれや痛みは、血液の流れを良くすることで改善が期待できます。ここでは、自宅で手軽にできるセルフケアを3つ紹介します。
身体を温める
身体が冷えると筋肉が緊張し、血管が圧迫されることで手足のしびれを引き起こしやすくなります。その対策として手軽にできるのが、湯船につかって身体を温めることです。
特に夏はシャワーだけで済ませる方も多いと思いますが、血行不良を改善するためには毎日湯船につかることが大切です。38~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくりつかることで温熱効果が得られ、血行の改善が期待できます。全身浴が難しい場合は、足湯や手浴(しゅよく)などの部分浴だけでも効果があります。
また、起床時は1日の中でもっとも体温が低いため、朝食に温かいものを摂るのもおすすめです。白湯やお粥、温かいスープなど身体を内側から温める食事を取り入れることで体温が上がり、内臓の働きも高まります。
ストレッチをする
入浴によって手足のしびれが和らぐ場合、ストレッチで血液の循環を促進すると症状の緩和が期待できます。ここでは、椅子に座ったままできる簡単なストレッチを紹介します。
<膝裏伸ばしストレッチ>
1.椅子に浅く座って右脚を伸ばし、つま先を天井に向ける
2.両手を右膝に当て、股関節を軸に上半身をゆっくり前に倒す(10秒間キープ)
3.左脚のストレッチも1~2と同様に行う
下半身は筋肉と血管が多く集まっています。太ももやふくらはぎ、膝の裏などを意識的に伸ばし、血流を促しましょう。
筋力を高める
太ももやお尻など、大きな筋肉が集まっている下半身を鍛えることで全身の血行促進につながります。日常生活で無理なく続けられる下半身の筋トレとして、スクワットがおすすめです。
<スクワット>
1.足を肩幅に開き、つま先は膝と同じ方向に向ける
2.両手は真っすぐ肩の位置に伸ばすか、胸の前で腕を交差して組む
3.椅子にゆっくり腰をかけるようなイメージで、後ろに腰を落とす(膝がつま先より前に出ないように注意)
4.太ももが床と平行になる位置まで腰を下ろしたら、ゆっくり元の姿勢に戻る
最初は10回1セットから始め、慣れてきたら10回3セットを目指しましょう。まずは浅い姿勢から始め、慣れてきたらしゃがむ角度を深めていくのがおすすめです。
血行不良を防ぐための方法
身体が冷えると血管が収縮して血液の流れが悪くなり、手足のしびれにつながります。ここでは、冷えを改善する生活習慣と食べ物を紹介します。
生活習慣を見直す
サイズの小さすぎる服や締め付けの強い服は血管を圧迫し、血行不良を招きます。スキニーパンツやタイトなストッキング、きつめの靴など身体を締め付けるアイテムは控え、ゆとりのある服装を心がけましょう。
冬は、太い血管が通っている首・手首・足首を温めることで効率良く身体を温められます。マフラーや手袋、靴下、レッグウォーマーなどを有効活用しましょう。夏も冷房の効いた室内で長時間過ごすと身体が冷えやすいため、上着や膝掛け、レッグウォーマーなどを常備しておくのがおすすめです。
極端な食事制限を伴うダイエットは代謝の低下によって冷えを招くため、バランスの良い食生活を意識し、無理のない範囲で体重管理を行いましょう。十分な睡眠と適度なストレス発散で自律神経のバランスを整えるのも、冷え対策として有効です。
また、タバコに含まれるニコチンには血管収縮作用があり血流を妨げてしまうため、できるだけ禁煙することをおすすめします。
食べ物を見直す
食べ物には、身体を温めてくれるものもあれば、冷やすものもあります。血行不良を改善するためには、身体を温める「温性」の食材を意識的に取り入れましょう。
例えば、しょうがやにんにくは血流を促し、ネギ類は血液の流れを整えてサラサラにする効果があるとされています。また、筋力アップに役立つ肉や魚などのタンパク源も、身体を内側から温めてくれます。
一方で、トマトやきゅうりのような夏野菜、コーヒーや緑茶などカフェインの多い飲み物は身体を冷やす作用があるため、できるだけ控えましょう。
こんなときは専門家に相談しよう
手足のしびれがみられる場合、整体院では主に血行促進や神経の圧迫を軽減することを目的とした施術が行われます。さらに、しびれや痛みの再発を防ぐために、生活習慣の見直しや正しい姿勢のアドバイスも受けられます。
ただし、しびれが長期間続く、左右差がある、感覚異常がある場合は医療機関へ相談しましょう。自己判断せず、できるだけ早めの相談をおすすめします。
まとめ
血行不良は、手足のしびれを引き起こす原因のひとつです。血液の流れを良くするためには、入浴やストレッチ、筋トレのほか、しょうがやにんにくなど身体を温める食べ物を取り入れるのがおすすめです。この機会に生活習慣を見直し、しびれや痛みの緩和を目指しましょう。
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