リュックで姿勢が悪くなる理由
リュックの使用によって姿勢が悪くなる主な理由として、「肩紐の長さ」と「重量」があげられます。なぜ肩紐の長さや重量が姿勢に影響するのか、詳細を解説します。
リュックの肩紐が長すぎるため
リュックの肩紐が長すぎると、リュックが仙骨に当たることがあります。仙骨とは、尾てい骨上部にある三角形の骨です。仙骨にリュックが触れると骨盤が後ろに傾きやすくなり、バランスを取ろうとして猫背になることがあります。
仙骨にリュックが触れている時間が長くなるほど、姿勢が悪くなる確率も高くなるため、毎日肩紐が長い状態でリュックを使っている方は注意が必要です。
重たいリュックを背負っているため
リュックが重すぎると、身体が後ろに引っ張られます。そのまま倒れてしまわないようにしようと前傾姿勢になるので、姿勢が崩れて猫背になってしまいます。
さらに身体が後ろに倒れると骨盤が前傾するため、反り腰になるおそれもあります。リュックの重量が体重の15%より重いと猫背や反り腰が生じやすくなるので注意が必要です。
例えば、体重50kgの場合、15%は7.5kgです。リュック自体の重量が1kg前後あるので、財布やペットボトル、スマートフォン、タブレットなどいろいろ詰めると、あっという間に15%を超えることがあります。
リュックで姿勢が悪くなるリスク
リュックが原因で猫背や反り腰になると、腰痛になるリスクがあります。もともと背骨は首と腰部分(頚椎と腰椎)が前弯に、胸部分(胸椎)が後弯に曲がっています。
この緩やかなS字カーブによって上半身を支えているのですが、姿勢が悪くなると上半身を支えづらくなって腰まわりの筋肉に負荷がかかり、痛みが出やすくなるのです。
また、猫背や反り腰になった結果、腰痛以外の症状が出るケースもあります。例えば猫背の場合、下記のような症状が現れる場合があります。
・頭痛
・めまい
・首こり・肩こり
・膝痛
・外反母趾 など
反り腰が悪化した場合は、下記のような状態になるリスクがあります。
・慢性腰痛
・坐骨神経痛
・腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう) など
猫背の原因や改善策を知りたい方はこちら
「猫背の原因は?身体への悪影響や改善策も徹底解説」
リュックを背負う際に意識すべきポイント
リュックが原因で姿勢が悪くなるのを防ぐには、リュックを正しく使用することが大切です。ここでは、リュックを背負う際に意識すべきポイントを5つ紹介します。
ポイント1|リュックの重さを調節する
リュックは左右の肩で均等に重さを支える構造なので、通常であれば姿勢が悪くなったり腰痛になったりしにくいはずです。
しかし、荷物を詰めすぎて重たくなると、後ろにひっくり返らないようにしようとして身体のバランスが崩れるため、猫背や反り腰になってしまいます。ついついたくさんの荷物を入れたくなりますが、身体のことを考えて体重の15%以内に抑えるようにしましょう。
仮にリュック本体の重さが1kgだとして、そこにノートPCと500mlのペットボトル、スマートフォン、長財布を入れたとします。それぞれの重さの平均は下記の通りです。
・ノートPC:2kg前後
・500mlのペットボトル:0.5kg
・スマートフォン:0.18kg前後
・長財布:0.2kg前後
リュック本体と上記のものの重さを合計すると3.88kgになります。体重50kgの15%は7.5kgなので、3.62kgほどの余裕があります。しかし、モバイルバッテリーや筆記用具、タオル、メイク道具などを詰めていくとすぐに超えてしまいます。
荷物を分散させたり、会社のロッカーや引き出しに置いたりして、重くなりすぎないように調節しましょう。
ポイント2|重たいものは背中側に集める
荷物を持つときは、重量があるものを上に置いて重心を上げたほうが軽く感じます。リュックの場合は背中側に重量があるものを集め、外側に向かって比較的軽いもの、軽量なものと重ねていくと軽く感じます。
ただし、重心を上げすぎるとバランスが崩れやすくなるので、肩甲骨から肩付近までにしておきましょう。
ポイント3|リュックが背中に密着するように背負う
姿勢が悪くなるのを防止するなら、リュックを背中にぴったりと密着させることも重要です。肩紐が長くリュックと背中の間に空間ができると、重心が下がって姿勢が崩れやすくなるためです。
リュックの底が仙骨に触れると骨盤が後傾して猫背になる場合があるので、骨盤の上に来る程度まで肩紐を調整しましょう。
また、一方の肩ばかり重さがかからないよう肩紐の長さを左右同じにすることも重要です。さらに肩紐の幅が太いリュックにすれば、より負担がかかりにくくなります。
どうしても荷物を減らせない場合は、チェストベルトや腰ベルトを締めてリュックを背中に密着させましょう。するとリュックの重量が肩以外にも分散されるので、腰痛などの症状が出にくくなります。
ポイント4|目線を高くして歩く
リュックを背負って歩いているときは、身体が前に傾き目線が下に向きがちです。下を向くと猫背になりやすいので、軽くあごを引いて目線を上げるようにしましょう。
ポイント5|リュックが重たすぎる場合は他のバッグに変える
リュックの重さを調整するのが難しい場合は、他のバッグに変えることも検討しましょう。例えば、たくさん荷物を持ち運ぶ必要があるなら、キャリーケースを使うのがおすすめです。自分で荷物を抱えることがないので、身体に負担がかかりにくくなります。
また、トートバッグやショルダーバッグなどを使うときは、ときどきバッグをかける肩を変えましょう。常に一方の肩にかけ続けると、負担が偏ってしまいます。
長期間同じバッグを使い続けると負担がかかる部位が固定されるので、定期的にバッグを変えるのも良いでしょう。
リュックで姿勢が悪くなった場合のセルフケア
すでにリュックが原因で姿勢が崩れ、猫背や反り腰になってしまった場合は、早めに改善することが重要です。そのまま放置すると、身体に不調が生じる可能性があります。
ここではリュックで姿勢が悪くなった場合のセルフケアの方法を3つ紹介しますので、今日からさっそく始めてみましょう。
ストレッチをする
猫背や反り腰の改善にはストレッチが効果的です。おすすめのストレッチを2つ紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
猫背に効果的なストレッチ
猫背になると身体の前側の筋肉が縮んでしまうので、「大胸筋ストレッチ」で伸ばしましょう。
1.椅子に浅く腰かけ、両手を背中の後ろで組む
2.両肘を伸ばして胸を前に突き出す
3.元の姿勢に戻る
しっかりと胸の筋肉が伸びていることを感じつつストレッチするのがコツです。
反り腰に効果的なストレッチ
反り腰の場合は、姿勢の改善や腰痛予防に役立つ「腸腰筋ストレッチ」を行いましょう。
1.床に膝立ちになり、右足を前に出す
2.ゆっくりと右足に体重を乗せる
3.元の姿勢に戻る
4.脚を入れ替えて1~3の動作を行う
ストレッチ中は腰を反らせないように注意してください。
筋トレをする
姿勢を改善するなら筋トレも役立ちます。自宅での筋トレでおすすめなのは、腹筋と背筋を同時に鍛えられる「プランク」です。
1.床にうつ伏せになってつま先を立てる
2.両肘を床について肩の真下に肘が来るように調節する
3.腹筋を使いながら、つま先と肘で床を押して身体を持ち上げる
4.頭から足までが1枚の板になったイメージで、真っ直ぐの状態をキープする
初めは30秒、慣れてきたら60秒、1日3セットを目安に行いましょう。フィットネスジムに通える場合は、「TRX」を使うのがおすすめです。天井からぶら下がっているサスペンションを手で掴んだり脚にかけたりして、背筋を伸ばしながら筋トレできます。
姿勢を見直す
リュックを背負っているとき以外の姿勢を見直すことも重要です。椅子に座っていても立っていても、常にあごを軽く引きましょう。
あごを喉に当てるように下げるのではなく、後ろ方向に水平移動させるイメージです。あごを引くと頭が正しい位置に戻るので、良い姿勢を保ちやすくなります。
まとめ
リュックの肩紐が長すぎたり重すぎたりすると、姿勢が悪くなってしまいます。リュックの肩紐や重量を調節し、身体への負担を減らしましょう。
また、ストレッチや筋トレで姿勢を改善できることがあります。今回紹介したのは簡単にできるものが多いので、ぜひ取り入れてみてください。