ランニング中に股関節が痛くなる主な原因
なぜランニング中に股関節が痛くなってしまうのでしょうか。ここでは、考えられる原因を6つ紹介します。
筋肉や関節の炎症
股関節は、足を前に出す・地面を蹴る・着地するといった動作の起点となるため、ランニング中は大きな負担がかかります。そのため、痛みが生じやすい部位といえます。
股関節周辺にある大腿四頭筋・内転筋・大殿筋などの筋肉や周辺の腱に過度の負担がかかって炎症が起こり、股関節が痛くなる症状は、一般的に「股関節周囲炎」と呼ばれます。
ランニングフォームが崩れている
間違ったランニングフォームで走ることで、股関節に痛みが生じることもあります。
股関節は上半身と下半身をつなぐ要の部分です。そのため、ランニング時に背中が丸まる、左右どちらかに身体が傾くなど、上半身の姿勢が悪いと股関節に過度な負荷がかかり、痛みが生じてしまいます。
足の筋肉バランスが均一でない
ランニング中に股関節が痛くなる原因として、左右の足の筋肉バランスが崩れているケースもあります。
手と同じく、足にも「利き足」があり、無意識のうちにどちらか一方の足に過度な負担がかかっていることがあります。片方の足に過度な負荷がかかると筋肉が硬直し、股関節周辺の筋肉に痛みが生じるのです。
股関節まわりの筋肉が硬い
股関節まわりの筋肉が硬いと股関節に過度な負荷がかかり、ランニング中の痛みにつながります。
特に、ランニングしている方は太ももの前側にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、太ももの裏にあるハムストリングス、お尻にある殿筋群(でんきんぐん)などが固くなりやすいのが特徴です。
また、筋肉を包む「筋膜」という薄い膜が固くなることで股関節が痛くなったり、動きが悪くなったりするケースもあります。
足に合わないシューズを着用している
足に合わないランニングシューズを着用すると着地時の衝撃をうまく吸収できず、股関節を傷める原因になります。合わないランニングシューズの着用によって足や股関節に負荷がかかるだけでなく、腰痛や肩こりなど全身のトラブルにつながることもあるため注意が必要です。
股関節や骨の病気
頻度はあまり高くありませんが、股関節や骨の病気によって痛みが生じているケースもあります。ここでは、股関節に痛みが出る病気を2つ紹介します。
変形性股関節症
変形性股関節症は股関節の軟骨がすり減ってしまう病気で、股関節に痛みが出たり、動かしにくくなったりする症状が現れます。変形性股関節症を放置したままランニングを続けると症状が悪化し、場合によっては歩行困難になる可能性もあります。
歩き始めや立ち上がりの際に股関節の痛みを感じる、安静時にも痛みがあるなどの症状がみられる場合はランニングを中止し、早めに整形外科を受診しましょう。
臼蓋形成不全
臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)とは、股関節の骨盤側の骨である「臼蓋」の形成が不十分で、球状の骨頭(太ももの骨の先端にある丸い部分)を包み込めない形になる病気です。女性に多くみられ、遺伝的な要素が大きく関係しているといわれています。
臼蓋形成不全になると軟骨がすり減りやすくなり、徐々に股関節の痛みや動きの制限が出てきます。また、部分的に負荷が集中してしまうため、変形性股関節症に移行するリスクが高いのが特徴です。
股関節の痛みを和らげるマッサージ
ここでは、股関節の痛みを軽減するマッサージ方法を紹介します。ただし、医師や理学療法士から許可が出ていない限り、股関節に痛みがある場合は我慢して走らず、痛みが消えるまでランニングを休みましょう。
股関節の内側・前側が痛い場合
股関節の内側や前側が痛い場合、太ももの内側や膝の内側、ふくらはぎの内側が硬くなっているケースが多くみられます。座った状態で下記のマッサージを行い、これらの筋肉をほぐしましょう。
1.足を上げたときに浮き出る、太もも内側の筋肉の真ん中を上下にマッサージする
2.手の付け根を膝のお皿の上に当て、太ももの内側を掴む。このとき指4本分が当たる場所を確認し、両手を重ねてマッサージする
3.続いて、すねを3等分した真ん中の部分をほぐす。脛骨(けいこつ:すねの内側にある太い骨)から指1本分くらい内側をマッサージする
股関節の後方が痛い場合
股関節の後方が痛い場合、お尻の筋膜や太ももの外側、ふくらはぎの外側が硬くなっている可能性があります。座った状態で下記のマッサージを行いましょう。
1.手の付け根を骨盤の一番上に当て、指を下ろした際に指先に触れる骨を確認する。この骨からお尻側へ3cm程度離れた部分を上下にマッサージする
2.続いて、太ももの外側の下半分をほぐす。太ももの裏側にあるスジと、膝の真横にあるスジの間に指を入れ、マッサージする
3.すねを3等分した真ん中の部分をほぐす。腓骨(ひこつ:膝から足首までの細い骨)のすぐ後ろをマッサージする
股関節の痛みを予防する方法
ランニング中の股関節の痛みを予防するためには、股関節にかかる負担を軽減することが大切です。ここでは、痛みを予防するために自分でできることを5つ紹介します。
足に合うシューズを着用する
ランニングシューズを購入する際は必ず試着し、足にフィットするか確認しましょう。ソールが柔らかくクッション性の高いシューズを選ぶことで、足や股関節にかかる負担を軽減できます。
また、初心者・中級者・上級者で適切なシューズが異なるため、自分のランニングレベルに合うシューズを選ぶことも大切です。
必ずウォーミングアップとクールダウンを行う
股関節の痛みを予防するためには、ランニング前後にウォーミングアップとクールダウンを入念に行いましょう。
ランニング前のウォーミングアップによって関節の可動域が広がり、筋肉痛やケガの予防につながります。また、ランニングの最後は徐々にペースを落としてクールダウンすることで、血行促進や疲労回復に役立ちます。
正しいランニングフォームを身に付ける
自己流のフォームで走るとケガにつながるため、正しいランニングフォームを身に付けることも大切です。
背筋を伸ばして身体の軸を真っすぐにし、目線を正面に向けましょう。上半身に余計な力が入らないように意識し、首や肩をできるだけリラックスさせるのがポイントです。
なお、ランニングフォームの乱れは自分で気づきにくいため、経験豊富なランナーやコーチにチェックしてもらうことをおすすめします。
同じコースを同一方向に周回しない
「いつも同じ公園を同じ向きで周回する」というパターンを毎回繰り返すと、片足に負担が偏ります。その結果、股関節周辺の筋肉が固くなったり炎症を起こしたりしてしまうことがあります。ランニングコースや走る方向が同じにならないよう、毎回、変化をつけましょう。
ランニングの量と頻度を見直す
過度なトレーニングをすると、股関節に大きな負担がかかってしまいます。ランニング初心者の方はいきなり長距離を走らず、少しずつ距離を伸ばしたり運動頻度を上げたりすることが大切です。適切なトレーニング量と頻度を心がけ、十分な休息を確保しましょう。
股関節の筋肉を強化する
股関節周辺の筋肉を強化することで、痛みの予防につながります。ここでは、股関節を支える中殿筋(ちゅうでんきん:お尻にある筋肉)のトレーニング方法を紹介します。
1.横向きに寝て上体を伸ばし、中殿筋を真上に向ける
2.腰が動かないようにし、かかとから脚を腰の少し上まで上げて下ろす
上記の筋トレを1日20回程度行うと効果的です。なお、足を高く上げ過ぎると、中殿筋ではなく腰周りの筋力で脚を上げてしまい、腰を傷める原因になるため注意してください。
まとめ
ランニング中に股関節が痛くなる原因は、筋肉や関節の炎症、足の筋肉バランスの偏り、股関節周りの筋肉の硬直などさまざまです。ランニングフォームが崩れたり、足に合わないシューズを着用したりすると股関節に過度な負担がかかるため、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
なお、ランニングを休んだり、今回紹介したセルフケアを行ったりしても痛みが軽減しない場合は、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。