肉離れの前兆とは?
突然起こると思われがちな肉離れですが、実は前兆が出ている場合があります。もしものときに早く気づけるように、肉離れのよくある前兆を把握しておきましょう。
筋肉に張りや違和感がある
運動中や運動後に次のような症状が出た場合は、肉離れの前兆の可能性があります。
・筋肉が張る
・筋肉が突っ張った感じがする
・筋肉に違和感がある
上記のような症状が出ている場合は、微細な筋線維の損傷が生じていると考えられます。筋線維がダメージを受けると、筋肉の耐久性や柔軟性が低下するので、肉離れを起こしやすくなります。
また、違和感がある場所を押すと軽い痛み(圧痛)を感じる場合は、すでに軽度の肉離れを起こしている可能性があるため要注意です。
筋肉が痙攣する
肉離れが起こる前に、筋肉が痙攣(けいれん)することがあります。痙攣とは、筋肉が収縮しすぎないよう制御する「腱紡錘(けんぼうすい)」がうまく働かなくなり、異常に収縮してしまっている状態のことです。
カリウムやナトリウム、マグネシウムなどのミネラルバランスが乱れると、痙攣が起こりやすくなります。特に運動中は汗をかくことでミネラルが排出されるため、痙攣が起こりやすくなるのです。
また、筋肉に疲労が蓄積しているため、痙攣しているのを無視して無理をすれば、負担がかかりすぎて肉離れを起こす可能性があります。
筋肉が痙攣したときは、ただちに運動を中止して休むこと、水分やミネラルを補給して身体を正常な状態に戻すことが重要です。
筋肉疲労を感じる
筋肉疲労やだるさを感じるのも、肉離れの前兆かもしれません。筋肉を使いすぎると、修復が追いつかず疲労が溜まっていきます。その状態のまま筋肉を使い続けると、筋線維の耐久性や柔軟性が低下して、肉離れを起こすことがあるのです。
筋肉の疲労感やだるさが取れないときは、できるだけ安静にして回復を図ったり、入浴して筋肉を温め、血行を促進させたりしてみましょう。
前兆を見逃さないために日常でできるチェックポイント
肉離れの前兆が出ていたとしても、それに気づけなければ対処できません。ここでは、肉離れの前兆を見逃さないための、自分で簡単にできるチェックポイントを紹介します。
ストレッチで筋肉の伸び感や痛みを確認する
肉離れの前兆に気づくには、日頃からこまめにストレッチを行うことが大切です。左右の筋肉の可動域や伸び感に違いがないか、いつもと違う感じがしないかを確認しましょう。
ストレッチの際に動かしにくさや痛みがある場合、筋肉の柔軟性が低下していたり、疲労が溜まっていたりすると考えられます。運動直後だけでなく、運動した翌朝にストレッチをしたときに痛みを感じたら、肉離れの前兆の可能性が高いので注意が必要です。
また、ストレッチ痛は肉離れの重症度の判断基準にもなります。
例えば、腓腹筋(ひふくきん:ふくらはぎにある筋肉)が肉離れを起こしている疑いがある場合は、無理のない範囲で以下のストレッチを行って重症度を判断してみましょう。
・軽症:足を真っ直ぐ伸ばしてアキレス腱伸ばしをしても、軽い痛みを感じる程度で済む
・中等症:アキレス腱伸ばしをすると痛みがあるものの、膝を曲げれば痛みが軽くなる
・重症:アキレス腱伸ばしをしたときに、膝を曲げても強い痛みを感じる。つま先立ちができない
ただし、自分では軽症だと思っていても、実は中等症だったということもあります。上記はあくまでも目安と考えて、医療機関を受診しましょう。
筋肉の張りや圧痛を確認する
肉離れの前兆と思われる症状が出た場合は、違和感のある場所を軽く押して痛みを感じるかをチェックしてみましょう。翌朝になっても圧痛や筋肉の張り、硬さが残っているようなら、軽度の肉離れが起きているリスクがあります。
ただし、想像よりも重症度が高いケースもあるので、「軽症だから」と放置せず整形外科を受診することを検討しましょう。
へこみや腫れ、内出血がないか確認する
肉離れによって筋線維が損傷・断裂すると、患部が腫れたりへこんだり、内出血が起きたりすることがあります。肉離れの前兆を感じたら、違和感のある場所に腫れ・へこみ・内出血などが生じていないかを確認しましょう。
特に中等症以上の肉離れは、へこみや皮下出血による青あざなどの症状が出やすいのが特徴です。患部の見た目に異常がある場合は即運動を中止し、医療機関を受診しましょう。
柔軟性・水分補給・疲労度を意識する
筋肉の柔軟性が低下すると、肉離れが起こりやすくなります。運動前後はウォームアップやストレッチをしっかりと行い、筋肉の柔軟性を高めておきましょう。
また、筋肉疲労や水分不足も、筋肉が硬くなるため肉離れのリスクを高めます。激しい運動を連日続けないようにして休養日を設ける、こまめに水分を摂るなどして、筋肉疲労や水分不足に陥らないようにしましょう。
肉離れの前兆が出た際に実践すべき対処法
ここでは、肉離れの前兆が出た際に実践すべき対処法を紹介します。
応急処置
筋肉に痛みや違和感を覚えたら、速やかに応急処置を行いましょう。
まずは、ただちに運動を中止して安静にし、患部を動かさないようにします。
続いて、氷やアイスパックをタオル越しに患部へ15~20分ほど当てて、炎症を抑えましょう。
熱感が落ち着いたら、患部の腫れを軽減するために、弾性包帯やテーピングで患部を軽く圧迫します。同時に患部をクッションなどに乗せ、心臓より高くなるようにして、腫れや内出血の悪化を防ぎましょう。
患部を動かすと症状が悪化しやすくなるため、必要に応じてサポーターなどを使用して患部を保護することも大切です。
軽度の前兆の場合のセルフケア
患部の痛みや張りなど、軽度の肉離れの前兆が出ている場合は、痛みが引いてからストレッチやマッサージを試してみましょう。
ただし、ストレッチやマッサージ中に違和感を覚えた場合は、すぐに中止してください。
強く押したり伸ばしたりするのは避けて、無理のない範囲で少しずつ行うことが大切です。
同時に身体をしっかりと休ませること、水分や栄養を補給することも意識しましょう。筋肉の回復には、質の良い睡眠と水分、タンパク質やミネラルなどの栄養素が欠かせません。
何度も肉離れを繰り返しているときや、症状が慢性化してしまっている場合は、専門家に相談しましょう。医師の診察や理学療法士のリハビリを受けると、改善につながる可能性があります。
医療機関を受診すべきタイミング
「軽い肉離れ」と思っていても想定より状態が悪い場合があるため、整形外科に相談するのが基本です。特に次のような状態にある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
・肉離れが起きたと思われるときに「ブチッ」という音や感覚があった
・歩けないほどの痛みや腫れが起きている
・内出血や筋肉のへこみなどの症状が出ている
・数日安静にしていても、痛みや腫れなどの症状が改善しない など
まとめ
肉離れには前兆が出ていることがあります。運動後に筋肉の張りや痛みを感じる、筋肉が痙攣する、筋肉疲労を感じるなどの症状は肉離れの前兆である可能性が高いため、早めに対処しましょう。
また、前兆を見逃さないために、日頃から自分の身体をチェックすることも重要です。ストレッチのときに違和感や痛みがないか、患部を押したら張りやへこみがないかなど、入念に確認しましょう。