寝違えを悪化させないためには?対処法と痛みの予防法を解説

睡眠中に寝違えると朝起きたときに首が痛み、動かせなくなります。誰でも一度は経験があるのではないでしょうか。数日経てば痛みが落ち着くとはいえ、首を寝違えたときは悪化させないための対処が必要です。今回は首を寝違える原因や正しい対処法について紹介します。予防法も解説しているため、ぜひ参考にしてください。


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寝違えとは?どんな症状?

寝違えとは、首の筋肉や靭帯に急性の炎症が生じた状態を指します。医学的な正式名称ではなく、通俗的な呼び名です。

寝違えの症状は、CTやMRIなどの画像診断でははっきり確認できません。なんらかの原因で7つの頚椎をつなぐ椎間関節や椎間板が損傷し、炎症が引き起こされると考えられています。

寝違えると筋肉の強い痛みやコリ、張りで首を動かせなくなるため注意が必要です。しかし通常であれば、寝違えによる痛みやこわばりは1週間程度で自然に和らぎます。

首が寝違える原因

首に寝違えが起こる主な原因は、下記の通りです。いくつかの原因が影響し合っていることもあります。

・寝姿勢の乱れ
・寝具が身体にあっていない
・慢性的な肩こり
・筋肉の疲労
・身体の冷え
・悪い姿勢
・ストレスの蓄積

それぞれを詳しくみていきましょう。

原因1.寝姿勢の乱れ

睡眠中に長時間首を反らし過ぎたり曲げ過ぎたりしたとき、痛みで動かせなくなります。

寝姿勢の乱れによる寝違えが起こるのは、首や肩の筋肉が圧迫され過剰な負担がかかったためです。首まわりの筋肉に負担がかかると血行が悪くなり、痛みやこわばりを引き起こします。

原因2.寝具が身体にあっていない

枕があわないと頚椎に過剰な負担がかかり、寝違えやすくなります。高過ぎる枕や低過ぎる枕、首をあてる部分が盛り上がっている枕は注意してください。

そのほか、マットレスの硬さが適切でないと身体が沈み過ぎて首に負担がかかり、寝違えることがあります。

原因3.慢性的な肩こり

長時間同じ姿勢を取り続けると、首や肩まわりの筋肉が緊張して硬くなり、肩こりを引き起こします。肩こりが慢性化すると寝ていても首や肩の筋肉が緊張したままになり、頚椎にダメージを与えて寝違えを起こしやすくなるのです。

原因4.筋肉の疲労

疲労が蓄積した状態で眠ると、筋肉が凝ったり痙攣したりして寝違えやすくなります。特に、スポーツで身体を動かした後や長時間の仕事で同じ姿勢を取り続けた後は、注意が必要です。

原因5.身体の冷え

身体が冷えると血行が悪くなり、首まわりの筋肉が緊張して寝違えやすくなります。気温が低下する冬の季節だけでなく、夏場も油断できません。眠るときにクーラーをつけたままにしていると睡眠中に身体が冷え、寝違えやすくなります。

原因6.悪い姿勢

猫背や頭を前に突き出した悪い姿勢は首に負担をかけ、筋肉を緊張させて寝違えを引き起こすおそれがあります。実際に、首を寝違えて病院を受診する患者の多くが、頚椎のカーブが乱れたストレートネックだと指摘されています。

原因7.ストレスの蓄積

ストレスも、寝違えの原因のひとつです。ストレスが蓄積すると、無意識に身体が緊張します。首や肩まわりの筋肉が緊張すると血行が悪くなり、眠っているときに寝違えを引き起こすことがあります。

寝違えは放置していい?悪化するとどうなる?

首の痛みやこわばりが一週間以上改善されない場合は寝違えではなく、頚椎椎間板ヘルニアの疑いがあります。

頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎の骨と骨の間にある椎間板が神経に飛び出し、圧迫されて生じる疾患です。首の痛みやこわばりとともに肩・腕・手のしびれがある場合は、特に注意しましょう。

頚椎椎間板ヘルニアの初期症状は寝違えとよく似ていて、見分けにくい傾向があります。しかし、寝違えの痛みは時間が経つにつれ和らぐのに対して、頚椎椎間板ヘルニアは時間が経つほど悪化するのが特徴です。しびれがある場合は、早めに病院を受診して検査を受けてください。

寝違えを悪化させないための対処法

首を寝違えたときは、悪化させない対処が必要です。強いマッサージは刺激が強いため控えて、下記の要領で正しくケアしてください。

・安静にする
・痛む部分を冷やす
・ストレッチする

それぞれをみていきましょう。

対処法1.安静にする

寝違えたときは無理に首を動かさずに、安静に過ごすのが第一です。少し動かしただけでも痛む場合は、サポーター(頚椎カラー)を活用しましょう。頚椎の動きが制限され、痛みが楽になります。

対処法2.痛む部分を冷やす

首の痛みがつらいときは、アイシング(冷却)しましょう。炎症を鎮めて痛みが和らぎます。しかし、長時間アイシングをしたままにすると血液が流れにくくなり、回復が遅れる可能性があるため、冷やし過ぎに注意してください。

逆に慢性化した痛みはホットタオルで温めると楽になるので、痛みの種類に合わせて使い分けましょう。病院で処方された消炎鎮痛薬を含む湿布を貼るのも、痛みの緩和に効果的です。

対処法3.ストレッチする

寝違えて硬くなった首や肩の筋肉は、ストレッチでほぐしましょう。筋肉がほぐれるにつれて、痛みも和らぎます。

しかし、痛みを我慢してストレッチするのは逆効果です。寝違えの症状が悪化する可能性があるため、無理のない範囲で下記のストレッチに取り組んでください。

首の前を伸ばすストレッチ

首の前にある筋肉を引き伸ばすストレッチです。

1.椅子に腰掛け、机に両肘をつく
2.右手であごを支えながら左斜め上に押して、右前頚部の筋肉を引き伸ばした状態で30秒キープする
3.ゆっくり戻り、手を入れ替えて右前頚部の筋肉も同様にストレッチする

首の後ろを伸ばすストレッチ

寝違えて硬くなった、首の後ろの筋肉を引き伸ばすストレッチです。

1.背もたれのあるソファーに座る
2.背もたれに背中をつけ、両手を後頭部であわせる
3.ゆっくり両手で後頭部を前に押して、後頚部の筋肉を引き伸ばした状態で30秒キープする
4.ゆっくり戻る

寝違えにならないための予防法

繰り返す寝違えは、下記の方法で予防できます。

・日頃の姿勢を見直す
・ストレスを発散する
・十分な休息を取る
・適度な運動を心がける
・睡眠環境を整える

それぞれを詳しくみていきましょう。

予防法1.日頃の姿勢を見直す

寝違えを防ぐには、日頃の姿勢の見直しが必要です。特に、PCやスマートフォンを操作する際の前屈み、うつむき姿勢は首に負担をかけるので、早期の改善が求められます。

ストレートネックを防ぐためにも、下記の手順で骨盤を立てて座りましょう。

1.椅子を引き、深く座る
2.背骨をまっすぐ伸ばし、坐骨の上に立てる
3.背もたれに背中をつけて、背骨と骨盤を支える

予防法2.ストレスを発散する

ストレスも寝違えを引き起こす要因なので、溜め込まないことが大切です。ストレスは上手に発散し、避けられるものは避けて負担を減らしましょう。自分が余計なストレスを感じていないか、振り返って考えてみてください。

予防法3.十分な休息を取る

疲労が蓄積すると肩こりが悪化して繰り返し寝違えるため、しっかり身体を休めましょう。疲労の蓄積を防ぐには、睡眠時間は十分に取る必要があります。決まった時間に布団に入り、たっぷりと眠る規則正しい生活を心がけてください。

疲労回復を早めるために、栄養もしっかり摂りましょう。食事は3食欠かさず、幅広い食材からまんべんなく栄養を摂取する必要があります。

予防法4.適度な運動を心がける

寝違えの予防には、軽めの運動習慣を身につけるのが効果的です。運動には筋肉を動かして柔軟に保つ働きがあり、ストレス発散にも役立ちます。

激しい運動は筋肉疲労を引き起こすため、手軽にできるウォーキングや軽めの筋トレから始めましょう。デスクワーク中にこまめに身体を動かしたり、首や肩のストレッチをしたりするのもおすすめです。

予防法5.睡眠環境を整える

枕やマットレスなどの寝具も含めて、睡眠環境も見直しましょう。

体型は個人差が大きいため、寝具は身体にあわせて選ぶ必要があります。枕は高過ぎず低過ぎず、仰向けになったときに背中から首のS字カーブが維持できるものを選んでください。マットレスも体型にあわせて、適度な硬さで寝返りしやすいものを選びましょう。

しっかり眠れるよう、睡眠の質を高めることも大切です。就寝前に入浴し、身体を温めてから布団に入ると良く眠れます。寝る前にお酒を飲み過ぎると不自然な姿勢で寝落ちしやすいため、なるべく控えてください。

まとめ

眠っているときに寝違えると、首の筋肉や靭帯に炎症が生じて激しく痛みます。痛みやこわばりで首を動かしにくいときに、無理は禁物です。悪化する前に安静を心がけて、ストレッチで痛みとこわばりをやわらげましょう。寝違えを引き起こす原因には慢性的な肩こりや筋肉の疲労なども影響を与えているため、あわせて生活の仕方も見直してください。