寝違えたときの寝る姿勢とは?対処法や予防策を解説

朝起きたときに首が痛くて動かせない……。そんな経験はありませんか?寝違えると日常生活にも支障をきたし、数日間痛みが続くこともあります。 今回は、寝違えが起こる原因や、痛みを和らげる正しい寝方、自宅でできる対処法、そして再発を防ぐための予防策まで、わかりやすく解説します。


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寝違えるとどうなる?

寝違えとは、朝起きたときに突然、首や肩、背中、肩甲骨、脇の下などに強い痛みを感じる状態のことです。普段は何気なく行っている動作、例えば首を左右に動かす、後ろを振り返る、上を向くといったことが難しくなり、痛みで日常生活に支障をきたすこともあります。

症状が重い場合には、激痛に悩まされます。首がまったく動かせなくなったり、身体を起こすことすら苦痛に感じるほどの激痛をともなったりするかもしれません。

また、一度寝違えるとその後も繰り返しやすくなる傾向があります。慢性的な寝違えを防ぐには、痛みが出た際の対処法だけでなく、日頃の姿勢や睡眠環境を見直すことが大切です。

寝違える原因とは?

寝違えの原因の多くは、就寝中の不自然な姿勢や筋肉の緊張、血行不良にあります。特に、うつぶせ寝で首を不自然に横に向けたまま寝てしまったり、枕から頭が落ちた状態で長時間過ごしたりすると、首や肩周辺の筋肉が引っ張られ、負担がかかりやすくなります。

こうした状態のまま寝返りを打つことで、首の筋肉や靭帯に軽度の肉離れが生じ、寝違えを引き起こすのです。

また、高さが合わない枕、体圧をうまく分散できないマットレスなど、身体に合っていない寝具を使っていると、自然な寝姿勢を保つことが難しく、血流が悪化しやすくなります。これも寝違えの原因のひとつです。

さらに、首だけでなく腰を寝違えることもあります。腰の寝違えは、睡眠中に同じ姿勢で長時間過ごしたり、寝返りが少なかったりすることで筋肉が硬直し、血行不良が生じることが原因とされています。動きが少ないことで筋肉がこわばり、血流が滞ることで炎症が起きて朝起きたときに腰や背中に痛みを感じるのです。

寝違えたときの正しい寝方

寝違えたときは、痛みを最小限に抑える寝姿勢を取ることが大切です。基本的には、痛みがある側を下にして横向きで寝ることが推奨されます。そうすると首や肩への負担が軽くなり、筋肉の緊張がやわらぐため、比較的楽に眠ることが可能です。

一方で、痛くない側を下にする横向き寝は、一見楽に見えるものの、痛みのある側の首や肩が上になり、自然と筋肉が引っ張られてしまい、負担が増してしまいます。症状を悪化させてしまう可能性もあるため注意が必要です。

また、仰向けで寝たほうが首に優しそうと考える方もいるかもしれませんが、実はその逆です。仰向けで寝ると、首の自然なカーブ(頚椎の前弯)が保たれにくくなり、筋肉や関節に余分な負担がかかってしまいます。その結果、かえって痛みが増してしまうこともあるため避けましょう。

寝違えたときの対処法

朝起きたときに首や肩、あるいは腰に強い痛みを感じた場合、無理に動かそうとせず、正しく対処することが大切です。ここでは、寝違えた際に実践できる基本的な対処法を紹介します。

安静にする

寝違えたと感じたら、まずは患部を安静に保つことが最優先です。

肩こりのように「揉めば楽になるのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、無理に動かすのは逆効果となる場合もあるため注意が必要です。

痛む部分を無理に伸ばしたり押したりすると、かえって周囲の筋肉や関節に負担がかかり、痛みが広がるおそれがあります。なるべく患部に触れず、痛みを感じにくい姿勢で安静にすることが大切です。

痛みがある部分を冷やす

寝違えは、筋肉や腱などの組織に軽い炎症が起こっている状態と考えられます。そのため、炎症が強く、熱感やズキズキとした痛みがある場合には、患部を冷やすのが効果的です。

ビニール袋に入れた氷や保冷剤をタオルなどで包んで患部に当てると、炎症を抑える助けになります。冷湿布も便利な選択肢です。

ただし、冷やしすぎると血行が悪くなり、かえって回復が遅れる可能性があるため、冷却は腫れや強い痛みがある期間にとどめ、長時間の連続使用は避けましょう。

市販薬を内服する

強い痛みが続いて日常生活に支障が出る場合は、市販の鎮痛剤を一時的に服用するのもひとつの方法です。また、筋肉の緊張を和らげる成分が入った筋弛緩剤タイプの薬も、つらいコリや張りに効果が期待できます。

ただし、他の薬を服用している方や、持病のある方は、必ず医師や薬剤師に相談してから使用しましょう。自己判断による服用は思わぬ副作用を招くことがありますので注意が必要です。

寝違えたときに避けるべき行動

寝違えたときに誤った対応をしてしまうと、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。痛みを和らげ、早く回復するためには、やってはいけない行動を知っておくことも大切です。

ここでは、寝違えた際に避けるべき行動を紹介します。

痛みのある部分を温める

寝違えた直後の患部は、筋肉や靭帯などに炎症が起こっている状態であると考えられます。そのため、痛みや腫れがある段階で患部を温めてしまうと、血流が促進されて炎症が悪化し、痛みが強くなる可能性があります。

お風呂でしっかり温まったり、温湿布やカイロなどで首や肩を温めたりする行為は、この段階では控えましょう。

患部を温めて良いのは、炎症が治まり、熱感や腫れがなくなった後です。痛みが治まったら、緊張をほぐしたり、血行を促進したりする目的で温めると良いでしょう。

ストレッチやマッサージをする

首の痛みを早く取ろうと、ストレッチやマッサージを行いたくなるかもしれませんが、炎症が残っているうちは逆効果になることがほとんどです。

揉んだり、無理に首を回したり、痛みのある方向に伸ばしたりすると、患部にさらなる負荷がかかり、症状が悪化するリスクがあります。

炎症による痛みは、通常、3日~1週間ほどで治まります。マッサージやストレッチは、痛みや腫れが完全に引いた後に、軽めの範囲で行うようにしましょう。

寝違えを避けるための予防法

寝違えは突然起こるように思えますが、日頃の生活習慣や睡眠環境を見直すことで、予防できる可能性があります。ここでは、寝違えを防ぐために意識したい4つのポイントを紹介します。

お酒を飲みすぎない

寝違えを予防するには、飲酒の量を控えめにすることも大切なポイントです。

アルコールを摂取すると、身体の感覚が鈍くなり、筋肉の緊張がほぐれにくくなるほか、血行が一時的に悪くなることがあります。その結果、寝返りの回数が減少し、同じ姿勢で長時間寝てしまう傾向があります。

特に、就寝中に身体が動かず同じ姿勢が続くと、首や肩、腰に負担がかかりやすくなり、寝違えを引き起こす原因になることも珍しくありません。飲酒後は、筋肉の柔軟性も低下しやすく、無理な体勢から急に動いたときに、筋を違えるリスクが高まります。

「飲んだ日は寝違えやすい」と感じている方は、アルコール量を見直してみるのも予防策のひとつです。

ベッド以外の場所で就寝しない

ソファや床など、ベッド以外の場所で寝てしまうのも寝違えの大きな原因のひとつです。

これらの場所では身体をしっかり支えることができず、首や背中、腰に不自然な力がかかりやすくなります。お酒を飲んだ後や疲れているときは、そのまま眠ってしまいがちですが、できるだけベッドに移動して、正しい寝姿勢で休むようにしましょう。

適切な姿勢を保ちやすい環境で眠ることが、寝返りのスムーズさや身体への負担軽減にもつながります。

寝姿勢を工夫する

寝違えや腰の痛みを予防するには、寝ているときの姿勢にも気を配りましょう。

おすすめは、仰向けで膝を軽く立てる姿勢です。このとき、膝の下にクッションや枕を入れておくと骨盤への負担が軽減され、腰を痛めにくくなります。反対に、足をまっすぐに伸ばしたまま寝ると骨盤が引っ張られ、腰に負担がかかりやすくなります。

また、横向きで軽く身体を丸めた姿勢も、骨盤や首への負担が少なく、寝違えを防ぐ寝方としておすすめです。自分にとって楽な姿勢を見つけつつ、身体をリラックスさせる寝方を心がけましょう。

寝具を見直す

寝具の選び方も、寝違えを防ぐ上で大きなポイントで、特に寝返りがしやすい環境を整えることが大切です。

マットレスは、腰や背中を適度に支えてくれるものが理想です。柔らかすぎると身体が沈み込み、硬すぎると圧力が分散されずに負担がかかってしまいます。仰向けで寝たときに背骨が自然なS字カーブを保てるような、適度な反発力のあるマットレスを選びましょう。

枕の高さや硬さも、首のサポートに影響するため、合わせて見直してみると良いでしょう。

まとめ

寝違えたときは、無理に動かしたり温めたりせず、まずは安静にし、冷やすなどの適切な対処を行うことが大切です。また、痛みが強い場合には市販薬を使う選択肢もありますが、自己判断で行わず必要に応じて医療機関に相談するようにしましょう。

日頃から寝る姿勢に気を付けたり、寝具を見直すなどの習慣を取り入れることで、寝違えの予防にもつながります。今回紹介した内容を参考に、無理なく実践できるところから取り入れてみてください。

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