50代女性が寝ても寝ても眠いのは更年期の影響?その理由とは
50代になって「寝ても寝ても眠い」と感じている場合は、更年期の影響が考えられます。
更年期とは、閉経前後の約10年間を示す言葉です。一般的に、日本人女性が閉経を迎えるのは50歳前後とされています。ちょうど50代が更年期とされる年代です。
本来人間の身体には、朝太陽が登ると目が覚めて、夜暗くなると眠くなる自然なリズムが備わっています。しかし、女性の場合は月経周期や妊娠などによるホルモンバランスの変化によって睡眠のリズムが乱れがちです。
特に更年期は影響を受けやすい時期で、厚生労働省の調査によると、更年期の女性の4~6割が睡眠トラブルを抱えているとされています。日中の眠気が取れないと集中力が低下し、仕事の効率にも影響を与えるため無視できません。
まずは、50代の女性の眠気が取れない原因をよく理解しておきましょう。
また、睡眠以外に以下のような更年期の症状が見られる場合は、医療機関へ受診することをおすすめします。
・のぼせ、ほてり、発汗
・めまい
・疲労感
・頭痛
・腰痛
・腹痛
・うつ状態、不安感
・動悸、息切れ
・イライラ
出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
自律神経が乱れるため
50代の女性の眠気が取れない原因には、更年期に起こりがちな自律神経の乱れが関与しています。自律神経とは、呼吸や血圧、体温などの身体の機能を正常に保つようコントロールしている神経系です。
更年期に入り生理が来なくなると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が低下します。エストロゲンは、自律神経を調整する働きを担うホルモンです。エストロゲンの分泌量が低下すると自律神経のバランスが乱れやすくなるため、睡眠の質に影響を与えて眠気を感じやすくなります。
ホルモンバランスが乱れるため
更年期に起こるホルモンバランスの乱れも、50代女性の眠気が取れない一因です。
エストロゲンは子宮内膜の成長や月経周期に関与するだけでなく、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を促す働きも担っています。更年期になってエストロゲンの分泌量が低下するとメラトニンも減り、体内時計に影響を与えて、日中の眠気が取れなくなるのです。
加齢そのものの影響を受けるため
50代の加齢による身体の変化も、眠気を引き起こす要因です。例えば、年齢を重ねるとメラトニンの分泌量が自然に減るため、夜中に眠れなくなったり睡眠のサイクルが乱れやすくなったりします。
また、加齢により身体の代謝機能が低下すると疲労が蓄積しやすくなり、日中の強い眠気を引き起こすのです。
寝ても寝ても眠い50代女性におすすめの眠気対策9選
軽度な更年期の睡眠トラブルなら、家庭でのセルフケアでも対処できます。寝ても寝ても眠い50代の女性におすすめの対処法は、下記の通りです。
・生活リズムを整える
・朝日を浴びる
・適度に身体を動かす
・短めの昼寝をする
・日中にカフェインを摂取する
・水分をしっかり摂取する
・食事を見直す
・就寝前にリラックスする習慣を取り入れる
・就寝前のスマートフォンの使用は控える
自分のライフスタイルに合う方法で、眠気の軽減を目指しましょう。しかし、なんらかの病気が影響を与えて日中の眠気を引き起こしているケースもあるため、無理するのは禁物です。
更年期の睡眠トラブルは、病院での投薬治療やホルモン補充療法などで改善できます。セルフケアで症状がなかなか改善できない場合、強い眠気に悩んでいる場合は、病院を受診して医師に相談してください。
1.生活リズムを整える
睡眠トラブルの改善は、生活リズムを整えるところから始めましょう。朝起きる時間と、就寝時間を決めて守ることが大切です。
規則正しい生活は乱れた体内時計のリズムを整え、日中の眠気を和らげるのに役立ちます。
2.朝日を浴びる
更年期の影響で乱れた睡眠のリズムを安定させるために、朝起きたときに太陽の光を浴びるのもおすすめです。日光を浴びると睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、体内時計をリセットする効果が期待できます。
また、太陽の光は幸福感をもたらす神経伝達物質「セロトニン」の分泌も促し、睡眠の質にも良い影響を与えるため一石二鳥です。
3.適度に身体を動かす
睡眠トラブルの改善には、適度な運動が必要です。軽く身体を動かすとストレス軽減や体内時計の調整に働きかけ、眠気を和らげる効果が期待できます。
適度な運動は身体を心地良く疲れさせ、メラトニンの分泌を促して質の高い睡眠につながるため、ぜひ毎日の習慣にしてください。しかし、激しい筋トレは身体に過度な負担をかけ、睡眠の質を低下させる可能性があるため、注意が必要です。
睡眠トラブルの改善には、ウォーキングやサイクリングなど、軽めの有酸素運動が適しています。寝る前に運動したい場合は、血行を促してリラックスを誘うヨガやストレッチがおすすめです。
4.短めの昼寝をする
日中に眠気が取れない場合は、20分程度昼寝するのも良いでしょう。短めの昼寝は生産性を高める「パワーナップ」と呼ばれ、午後の眠気を防ぐ効果があると取り入れている企業もあります。
しかし、長時間昼寝するとかえって眠気が長引く可能性があるため気を付けてください。軽く眠気を取りたい場合は20分以内、あくまでも短時間睡眠にとどめましょう。
5.日中にカフェインを摂取する
日中の強い眠気対策には、カフェインを摂るのも有効です。カフェインは中枢神経に刺激を与えて、眠気を防ぐ効果が期待できます。コーヒーや紅茶、緑茶などの適量のカフェインを含む飲み物を活用して、眠気を取り除きましょう。
しかし、カフェインの過剰摂取には注意が必要です。摂りすぎると不眠や動悸、不安感などを引き起こすリスクがあるため、適度な摂取を心がけてください。
6.水分をしっかり摂取する
眠気が取れなくて困っているなら、こまめな水分摂取を心がけましょう。水分不足は身体の機能を低下させ、疲労感や集中力の低下、眠気を引き起こす原因になります。
逆に身体がうるおうと機能が正常に保たれ、眠気を感じにくくなるため、しっかり水分補給してください。
7.食事を見直す
更年期の睡眠トラブルの改善には、食生活を見直す必要もあります。バランスの良い食事は睡眠の質を向上させる効果が期待できるため、1日3食しっかり摂りましょう。
栄養面では、メラトニンの分泌に関与するトリプトファンを意識して摂るのがおすすめです。トリプトファンはタンパク質に含まれる必須アミノ酸の一種で、下記の食材に多く含まれます。
・肉類や魚類、卵
・味噌や納豆、豆腐などの大豆製品
・牛乳やヨーグルトなどの乳製品
タンパク質と一緒にビタミンBを摂取すると、メラトニンが効率良く分泌されます。肉類や大豆製品と一緒に、ピーマン・ブロッコリー・かぼちゃなどの緑黄色野菜を積極的に献立に取り入れましょう。
8.就寝前にリラックスする習慣を取り入れる
日中の眠気を防ぐには、質の高い睡眠を取る必要があります。就寝前はリラックスを心がけて、良質な睡眠を確保しましょう。読書やストレッチ、アロマを焚くのもおすすめです。
お風呂に入って身体を温めるのも、リラックスを誘い質の高い睡眠を取るのに有効です。就寝1時間半前を目安に、ぬるめの湯船に10~15分程度ゆっくりつかりましょう。湯上がりに体温が下がるタイミングで寝つきが良くなり、熟睡に導きます。
9.就寝前のスマートフォンの使用は控える
夜しっかり眠るためにも、就寝前のスマートフォンやPCの使用、テレビの視聴は控えてください。画面から発せられている強い光にさらされるとメラトニンの分泌が抑制され、脳が活性化して寝つきにくくなります。
特に、スマートフォンやPCなどの画面から出るブルーライトは睡眠の質を低下させる要因です。布団に入る30分~1時間前には手を離して、熟睡する体勢を整えましょう。
まとめ
50代になると身体の状態が変化し、睡眠トラブルを抱える女性が増えてきます。日中の仕事のパフォーマンスや集中力にも影響を与えるため、寝ても寝ても眠い場合は前向きに対処することが肝心です。日頃の生活習慣も見直して、すっきりした目覚めを目指しましょう。