捻挫は整体で対応できる?
整体院では、主に身体のバランスや関節、骨格などの歪みを調整する施術が受けられます。ただし整体師は医師ではないため医療行為ができず、捻挫に対する施術もできません。
自分では軽い捻挫や打撲だと思っていても靭帯損傷や骨折などを起こしている可能性があるため、痛みや違和感がある場合は、まず病院の整形外科を受診しましょう。
整形外科では、レントゲン検査やエコー検査(超音波検査)を用いて患部の状態を確認し、症状に応じて冷却療法や固定・テーピング、理学療法、薬物療法、手術などの治療が行われます。
捻挫の重症度をセルフチェックする方法
ここでは、足首・手首・指の捻挫の重症度を大まかにチェックする方法を紹介します。ただし、セルフチェックはあくまでも目安とし、できるだけ早めに医療機関で診察を受けましょう。
足首の捻挫
足首を捻挫した場合、5項目で構成されたオタワアンクルルールというチェックテストによって簡易的に怪我の状態をチェックできます。下記のうち、1つでも該当すれば、骨折の可能性があります。
・外くるぶしの後方、下から6cmまでのラインを押すと痛い
・内くるぶしの後方、下から6cmまでのラインを押すと痛い
・かかとの小指側にある骨の出っ張り付近(第5中足骨基部)を押すと痛い
・足の甲から土踏まずに位置する舟状骨(しゅうじょうこつ)を押すと痛い
・怪我をした側の足で4歩歩けない、またはその足に体重をかけられない
ただし、足首が大きく腫れている方、もともと皮膚の感覚に異常がある方はオタワアンクルルールを使えません。
手首の捻挫
手首の捻挫の重症度は、痛みや違和感、熱感の有無などによってチェックできます。
・軽度:手首を動かすと痛みや違和感がある
・中度:手首が腫れており、少しでも動かすと痛みや違和感がある
・重度:手首を動かさなくても痛みがある、または熱を持っている
重度の症状に当てはまる場合は骨折の疑いがありますが、実際は捻挫と骨折を見分けるのが難しいケースも少なくありません。1週間以上痛みが続く場合は整形外科を受診しましょう。
指の捻挫(突き指)
指を捻挫(突き指)した場合、下記を目安に重症度をチェックしましょう。
・軽度:痛みや違和感、腫れがあるが曲げ伸ばしは可能
・中度~重度:指の曲げ伸ばしが困難、痛みや腫れが1週間以上続く、指が変形しているように見える
中度から重度の症状に該当する場合は腱の損傷や骨折、靱帯損傷の疑いがあるため、早めに整形外科を受診してください。なお「突き指したら指を引っ張ると良い」という話は間違いです。指を引っ張ると脱臼や神経損傷などを起こすおそれがあるため、できるだけ刺激しないようにしましょう。
捻挫の応急措置
捻挫した場合、直後のセルフケアをしっかりと行うことで早期回復へつながります。捻挫の応急処置としては、PRICE処置が有効です。PRICEとは、Protection(保護)・Rest(安静)・Icing(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)の頭文字を並べた言葉です。捻挫したらすぐにPRICE処置を行うことで痛みが和らぎ、腫れも最小限に抑えられます。
Protection(保護)
捻挫が悪化しないよう、テーピングや包帯、ギプス、添え木などで患部を固定しましょう。保護専用の装具がない場合は、タオルや上着、棒状のもので代用できます。
Rest(安静)
捻挫直後は活動を中止し、安全に休息が取れる場所に移動しましょう。安静にすることで骨や関節、筋肉の動きを最小限に抑え、損傷範囲の拡大を防げます。座ったり横になったりすることで捻挫をした部位を安静に保ち、患部に体重をかけないように注意しましょう。
Icing(冷却)
捻挫直後にアイシングすることで血管が収縮し、内出血や腫れ、痛みの緩和につながります。アイスバックやビニール袋に氷を入れ、タオルで包んでから患部に当てましょう。
15分程度冷却して皮膚の感覚がなくなってきたら外し、再び痛みが出てきたら冷やす、という動作を1時間おきに3回繰り返します。患部が腫れてくる前にアイシングを始めると効果的です。
Compression(圧迫)
内出血や腫れを最小限に抑えるために、テープや弾性包帯などで患部を圧迫・固定します。テープや包帯がなければ、手ぬぐいやストッキング、バンダナなどで代用できます。ただし、強く圧迫しすぎると血流障害や神経障害を招くおそれがあるため、注意が必要です。手の指先や足先などの変色や知覚異常がみられる場合は、圧迫を緩めてください。
Elevation(挙上)
血液は重力によって地面に近い部位に集まりやすいため、患部を心臓より高い位置に挙げることで腫れや内出血を軽減できます。足首を捻挫した場合は横になった状態でクッションや座布団を足首の下に敷き、手首を捻挫した場合は三角巾で腕を吊るしましょう。
捻挫を予防する方法
一度捻挫すると、同じ部位の捻挫を繰り返すことがあるため、日ごろから身体の軸を作り、柔軟性を高めておくことが重要です。ここでは、捻挫の再発を予防するためのケア方法を4つ紹介します。
足に合った靴を履く
足の形やサイズに合った靴を履くことで、足首の捻挫を防げます。安定感を高めるためには、かかとが低く、横方向の動きもしっかりサポートしてくれる靴がおすすめです。
また、インソールを入れることで足の指を踏ん張りやすくなり、捻挫の予防に役立ちます。
注意点として、柔らかすぎる靴は足をひねりやすいため、着用を控えましょう。
運動前は必ずウォーミングアップを行う
捻挫を予防するためには、運動前のウォーミングアップを欠かさず行うことが大切です。
ウォーミングアップによって身体全体が温まるとともに、関節の可動域も広がります。その結果、柔軟性が向上し、捻挫の予防だけでなくパフォーマンスアップにも役立ちます。
ここでは、勢いや反動をつけながら行う動的ストレッチを3つ紹介します。
もも上げ
1.立った状態で、反動をつけながら片脚ずつ太ももを高く上げる
2.背中が丸くならないように注意しながら左右20回ずつ行う
振り上げ
1.立った状態で両手を大きく振り上げ、片脚を前後に大きく振り上げる
2.左右20回ずつ行う
逆向きランジ&ひねり
1.立った状態で片足を大きく一歩後ろに引き、膝を直角に曲げる
2.前足の方向に上半身をひねり、反対側の手を真上に伸ばす
3.身体をもとの位置に戻し、反対側も同様に行う(左右交互に15回×2セット)
反動をつけすぎると関節や筋肉を痛めるおそれがあるため、気持ちいいと感じる程度の強さで伸ばしましょう。
サポーターやテーピングを使用する
サポーターやテーピングで関節を安定させることで、捻挫の予防や再発防止につながります。ただし、サポーターやテーピングのやり方を間違えると逆効果になる可能性があるため、できれば医師や看護師、理学療法士などに正しい方法を教えてもらうことをおすすめします。
日ごろからストレッチで筋肉を柔らかくしておく
捻挫を予防するためには、ストレッチで関節や筋肉の柔軟性を高めておくことも大切です。特に足首を捻挫したあとは、下記のストレッチでアキレス腱やふくらはぎを伸ばしておきましょう。
1.座った状態でフェイスタオルを足裏に引っかけ、足首を90度にする
2.ふくらはぎやアキレス腱がつっぱるところまでタオルを引っ張る
3.そのまま10秒キープし、タオルをもとの位置に戻す
4.2~3を20回繰り返す
まとめ
整体院は医療機関ではないため、捻挫に対する施術はできません。捻挫した場合はまず整形外科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。捻挫が治ったあとは足に合った靴を着用するとともに、運動前のウォーミングアップや日ごろのストレッチを習慣化し、再発防止に努めましょう。