肩こりは女性がなりやすい
肩こりは、現代人にとって「国民病」ともいえる症状のひとつです。肩こりは誰でもなり得るものの、女性のほうが男性より多い傾向にあります。
女性が訴える不調のうち、最も多いのが肩こりです。厚生労働省の調査によると、肩こりの症状を訴える人の割合は男女でそれぞれ以下の通りでした。
・男性:53.3万人
・女性:105.4万人
性別で見ると、肩こりの症状がある女性は男性の約2倍です。以上の結果から考えても、女性のほうが肩こりになりやすいといえます。
出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
女性が肩こりになりやすい原因
ここでは、女性が肩こりになりやすい原因を5つ解説します。
筋肉量が少ないため
女性は男性よりも筋肉量が少ないため、肩こりになりやすいといえます。女性の場合、少ない筋肉量で重い頭に加えてバストを支えなくてはなりません。首、肩、背中の筋肉に負担がかかり、筋肉が緊張状態となれば、肩こりが起こりやすくなります。
肩こりで悩んでいる方の中には、酷いときは頭痛・めまいの症状も現れるという方も多いのではないでしょうか。頭痛やめまいなどの症状も、肩こりが原因のひとつです。
肩こりは血管を圧迫するため、血流を悪くします。血の巡りが悪くなれば身体に発痛物質が蓄積され、肩こりが改善されにくくなり、さらなる悪化や頭痛、めまいにつながります。
ストレスが多いため
女性に多い症状のひとつが、ストレス性の肩こりです。ストレスは精神的なもののほか、寝不足や疲労といった身体的な原因も含まれます。
ストレスは自律神経のバランスを崩し、肩こりなど体調面に影響を及ぼします。気分が落ち込みやすい方は、肩こり防止の観点からもストレスを溜め込まないことが大切です。
心身のストレスが肩こりになるメカニズムは、交感神経への影響が原因です。ストレスは交感神経を活性化し、反対に副交感神経の働きが弱くなります。身体がオンモードになった状態が続くため、肩や首回りの筋肉が緊張・硬直して肩こりを起こします。
自律神経のバランスが乱れると、肩こりのほかに手足の冷え、しびれ、頭痛などの不調にもつながるため注意が必要です。
身体が冷えやすいため
女性ならではの悩みとして、冷え性があげられます。男性に比べると筋肉量が少ない女性は、血液を身体に巡らせるためのポンプ機能が弱い傾向にあります。体内で熱をつくるのが苦手なため、冷え性に悩む女性は少なくありません。
身体の冷えは、血行が悪くなる原因のひとつです。血の巡りが悪くなると首、肩、背中の筋肉に溜まった老廃物が代謝されにくく、肩こりにつながります。
首や肩が露出している服や、締め付けるような下着を身につけることも、冷えの原因です。肩こりがあり、冷え性に悩む女性は、服装選びにも注意しましょう。
前傾姿勢や細かい作業をすることが多いため
仕事やプライベートで前傾姿勢になったり細かい作業をしたりする機会が多い女性は、肩こりになりやすいといえます。
例えばPC・タブレットを使用するデスクワークや、指先を使う細かい作業の多い仕事は、無意識に首を前に出した前傾姿勢となりがちです。両肩をすぼめる姿勢になる方も多く、肩こりの原因となります。
家事や育児で持ち上げたり抱えたりする機会が多い方も、前傾姿勢になることが多いため、注意が必要です。一定の姿勢を長時間保つと、特定の筋肉に過剰な負担がかかり、血行不良による筋肉の痛み・こわばりが生じます。
ホルモンバランスの影響を受けるため
女性は生理の影響により、ホルモンバランスが乱れる時期があります。この時期は自律神経が乱れ、肩こりの原因にもなります。2種類の女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが月経周期に伴って変動し、筋肉の緊張や炎症を引き起こすためです。
更年期になると、エストロゲンの量が減少し自律神経が乱れやすくなります。そのため、血行不良による肩こり、動悸、睡眠障害などの不調を感じる女性も少なくありません。
月経前症候群(PMS)や卵巣機能の低下などもホルモンバランスに影響するため、肩こりの原因になります。また、月経で貧血になりやすいことも、女性ならではの肩こりの原因といえます。
肩こりの状態をセルフチェック!
ここでは、肩こりの重症度をセルフチェックする方法を解説します。
肩の可動域を確認
肩まわりの筋肉が固くなると、可動域にも影響が現れます。以下の手順で肩まわりの筋肉が硬くなっていないか確認しましょう。
1.壁に背を向けて立つ
2.両手を前に出し、両肘を曲げる
3.両肘同士をくっつけるように腕を寄せる
4.両肘をくっつけたまま&曲げたまま腕をあげる
両肘が鼻の高さまであがらない場合は、肩こりが重症化しています。ただし、肩の痛みが強く腕を背中側へ回せない方は、五十肩・四十肩の可能性もあります。
肩周辺から「ゴリゴリ」音がならないか確認
肩を動かしたときにゴリゴリと音がなる場合は、重症化していると考えられます。ゴリゴリの正体は、硬くなった筋肉や腱が骨と擦れているときの音です。
音がなっているからといって危険があるわけではないものの、肩こりの重症度は高いため対処が必要です。
ゴリゴリ音について詳しく知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。
「肩甲骨からゴリゴリ音がなる!原因や解消法を紹介」
肩こりの頻度を確認
常日頃から肩こりを感じるのか、天候が悪い日や疲れた日のみ感じるのかによって、重症度は異なります。誰でも天候の影響や疲れから、一時的に身体の不調が現れることはあります。
一方で、日頃から肩こりを感じている状態が続くのであれば、重症化しているかもしれません。ただし痛みが日に日に強くなったり、指すような痛みがあったりする場合は、肩こり以外の原因が隠れているおそれもあります。
指先のしびれを確認
肩こりが重症化していると、指先のしびれが現れる方もいます。指先がしびれる理由は、硬くなった筋肉が神経にも影響をおよぼしているためです。
指先にしびれが生じている場合は、かなりの重症度といえます。放置すると肩こりに加えて手の感覚も徐々に鈍くなるため、早急な対処が求められます。
頭痛や吐き気の有無を確認
重症化した肩こりは、頭痛や吐き気につながる場合もあります。肩こりは首の筋肉も硬くなっていることがあり、頭部の状態にも影響しかねません。
吐き気は首まわりの筋肉が硬くなり、付近の嘔吐中枢を刺激していることが原因と考えられます。頭痛や吐き気が出ている場合は、肩こりの重症化も疑ってみましょう。
女性の肩こりを改善する方法
最後に、女性の肩こりを改善するためのポイントを解説します。
ストレッチや筋トレをする
肩こりは、筋肉が緊張している状態です。違和感があるからといって動かさないでいると悪化するおそれがあるため、ストレッチで筋肉の緊張状態を改善しましょう。
特に、筋肉を伸ばしたり、肩甲骨を意識して動かしたりするストレッチがおすすめです。さらに、筋トレも取り入れると、血行の改善が期待できます。
肩こりに効果的なストレッチを知りたい方には、こちらの記事で詳しく解説しています。
「おすすめの肩甲骨ストレッチ10選!肩甲骨をほぐして肩こりを改善しよう」
ツボ押しやマッサージをする
ツボ押しやマッサージも、血行促進が期待できます。首、肩、肩甲骨付近の血行をツボ押しやマッサージで促すと、筋肉の緊張がほぐれて肩こりの緩和につながります。
肩こりに効果的とされているツボは複数あるので、取り入れやすいものから試してみましょう。
肩こりに効果的なツボ押しマッサージについて知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
「肩こりに効果的なツボ10選!マッサージで辛い肩こりを楽にしよう」
肩を温める
慢性的な肩こりには、温熱療法も効果的です。温熱療法とは、患部に熱を加えることで血行を促し、筋肉の緊張をほぐしてコリ・痛みの緩和を図る方法です。
湯船にしっかりとつかるほか、ホットパックや使い捨てカイロを当てて温めましょう。温熱療法を行うときは、低温やけどに注意が必要です。
入浴で肩こりを改善する方法について、詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
「お風呂につかると肩こりを緩和できる?理由と入浴時のポイントを紹介」
ストレスを発散する
ストレス性の肩こりにならないためには、こまめなストレス発散が大切です。自分に合ったストレス発散方法で、適度に溜め込んだものを解消させましょう。
手軽にできるストレス発散方法は、散歩やジョギング、スポーツなどがあります。また、旅行先でリフレッシュするのも効果的です。
まとめ
一般的に、女性のほうが筋肉量が少なく、冷え性に悩みやすいなどの理由から、肩こりになりやすい傾向があります。肩こりに悩んでいる女性は、簡単なストレッチやツボ押しなど、自分に合ったトレーニングで原因の改善から試してみることが大切です。