ストレートネックが喉の痛みの原因かも?改善・予防方法を紹介

デスクワークをしている方に多い悩みのひとつが喉の違和感です。風邪やアレルギーなどの症状がないのに、「喉が痛い」「飲み込みにくい」などの症状がみられるなら、ストレートネックが原因かもしれません。 今回は、ストレートネックがなぜ喉の不調を招くのか、その原因から改善・予防方法をわかりやすく解説します。最近、喉の不快感で悩んでいる方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。


この記事は約7分で読み終わります。

ストレートネックが及ぼす喉の違和感の原因

ストレートネックが原因で喉に違和感を覚える方は意外と多くいます。その主な理由は、下記の2つです。

・飲み込みの動作がスムーズにできなくなる
・自律神経の乱れによる不調

一見、喉と首の骨格は関係がないように思えるかもしれませんが、実は密接なつながりがあります。それぞれの原因について詳しくみていきましょう。

飲み込みの動作が難しくなる

ストレートネックになると、首の前側にある筋肉群、特に嚥下(飲み込み)に関わる「舌骨上筋群」や「舌骨下筋群」の可動域が制限されてしまいます。これらの筋肉は、食べ物や唾液をスムーズに飲み込むために重要な役割を担っています。

そのため、ストレートネックの状態では、飲み込むという無意識の動作に余計な力が必要となり、意識的な努力を強いられるようになります。その結果、飲み込み動作がぎこちなくなり、喉の奥に何かが詰まっているような違和感や圧迫感を覚えやすくなるのです。

自律神経が乱れている

ストレートネックの姿勢は、首まわりの筋肉や神経に慢性的に負荷をかける状態です。そのため、気道の入り口が圧迫され、その刺激によって交感神経が過剰に働き、自律神経のバランスが崩れやすくなるのです。

自律神経が乱れると、呼吸が浅くなったり、息苦しさを感じたりするだけでなく、喉の奥に何かが引っかかっているような異物感が現れることがあります。

こうして引き起こされる喉の違和感は「ヒステリー球(咽喉頭異常感症)」と呼ばれることもあり、ストレスや精神的な緊張などの心理的要因とも深く関係しています。

ストレートネックによる喉の痛みの改善方法

ストレートネックが原因で喉の痛みや違和感が現れている場合、その原因である姿勢の崩れを改善することで、症状の緩和が期待できます。

ここでは、ストレートネックを和らげるための2つのアプローチを紹介します。

姿勢を見直す

姿勢がもっとも崩れやすいのは、座っているときです。特にデスクワークが多い方は、無意識のうちに前かがみになりやすく、ストレートネックの原因になりやすいため注意が必要です。

椅子に座るときは、椅子に深く腰掛け、背もたれでしっかり体幹を支えるようにしましょう。足の裏が地面にしっかりと着いている状態が理想です。

もしも「つま先しかつかない」「デスクが低過ぎて前かがみになる」などの問題がある場合は、椅子やデスクの高さを調整しましょう。

また、座る際は骨盤を立てる姿勢を意識するのも大切です。正しい座り方を習慣にするだけでも、首への負担を大きく軽減できます。

ストレッチをする

ストレートネックによって緊張した首まわりの筋肉をストレッチでほぐすことも、喉の違和感を和らげるのに効果的です。

日常生活に取り入れやすいおすすめのストレッチを紹介します。

首の後ろ側を伸ばすストレッチ

肩甲挙筋(けんこうきょきん)と僧帽筋(そうぼうきん)という、首と肩をつなぐ筋肉をやさしくほぐすストレッチです。

1.椅子に座り、左手で座席の縁をつかむ。(猫背にならないよう注意)
2.首を前に倒し、右斜め前に向ける
3.右手を頭の左側(耳の後ろ)に添える
4.右手で首をゆっくり右斜め前に倒し、10秒キープ
5.反対側も同様に行う

耳の後ろから肩にかけて、心地よく伸びているのを意識しながら行いましょう。

首の前側を伸ばすストレッチ

斜角筋(しゃかくきん)をほぐすストレッチです。斜角筋は、首の側面にある筋肉で、首を横に倒したり、呼吸をサポートしたりする働きがあります。

長時間のデスクワークやスマートフォン使用で緊張しやすく、コリや喉の圧迫感の原因になることもあるため、しっかりとほぐしましょう。

1.椅子に座り、左手で座面の前側を持つ
2.背筋を伸ばし、右手を左肩から鎖骨あたりに当てて軽く押さえる
3.首を右斜め後ろに反らし、まず真上を向く
4.さらに右に顔を向けて、左側の首筋が伸びる位置で10秒キープ
5.反対側も行う

無理をせず、心地良い伸びを感じる範囲で行いましょう。

首を傾けるストレッチ

斜角筋僧帽筋を緩めるストレッチです。

1.左手を右側頭部に当てる
2.手の重みで首をゆっくりと左に傾け、15~30秒キープ
3.手の位置を少し後方にずらし、左斜め前にも倒して同様に15~30秒キープ
4.反対側も同様に行う

筋肉がじんわりと伸びている感覚を大切にし、ゆっくりとした動作を心がけましょう。

腕・胸のストレッチ

大胸筋小胸筋、そして腕の前面の筋肉である上腕二頭筋を伸ばすストレッチです。PC操作などの際に、ストレートネックの方は腕を身体より前に出していることが多いため、胸や腕の筋肉をしっかり伸ばしましょう。

1.足を腰幅に開いて立ち、両手を背中で組む
2.胸を開きながら肘を伸ばし、手をできるだけ下に下ろす
3.肩が上がらないように注意し、両手をゆっくり上げて15~30秒キープ

呼吸を止めず、リラックスして行いましょう。

座りながら行うストレッチ

胸の前側を伸ばすストレッチです。座ったままできるため、仕事の合間などにもおすすめです。

1.椅子に深く腰掛け、背もたれにもたれる
2.顔を上に向け、両腕を後ろに引いて胸を張る
3.左右の胸がしっかり伸びるのを意識しながら、20秒キープ
4.3回繰り返す

腕は肩の高さより下に、手のひらは上を向けるようにすると、より効果的に胸が開きます。

ストレートネックによる喉の痛みの予防方法

ストレートネックによる喉の痛みなどの違和感を予防するには、日常生活の中で姿勢や生活習慣に気を配ることが大切です。

喉の不調を繰り返さないためにも、次のポイントを意識してみましょう。

長時間同じ姿勢を避ける

本来、背骨は横から見ると緩やかなS字カーブを描いています。しかし、スマートフォンやPCを長時間使って前かがみの姿勢が続くと、このカーブが崩れ、首の骨(頚椎)が真っ直ぐになってしまい、ストレートネックになります。

作業に集中していると、つい姿勢が崩れがちですが、1時間に1度は姿勢をリセットすることを心がけましょう。

出典:厚生労働省「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン

立ち上がって軽くストレッチしたり、首を回したりするなどして血流を促すだけでも効果的です。

こまめに身体を動かすことで、首や肩の緊張を和らげ、ストレートネックを予防できます。

自分に合った寝具を使う

寝ている間の姿勢も、ストレートネック予防に大きく影響します。特に枕の高さは重要で、朝起きたときに首や肩がこっている方は、枕が合っていない可能性があります。

理想的な枕の高さは、仰向けに寝たときに首と布団の角度が5度程度になる状態です。高過ぎても低過ぎても首に負担がかかるため、自分に合った高さに調整しましょう。

また、マットレスの硬さや寝姿勢にも注意し、首や背中が自然なカーブを保てるような寝具選びを意識すると、睡眠中の首への負担を減らすことができます。

質の高い睡眠をとることで、首まわりの筋肉の緊張がほぐれ、喉の不調の予防にもつながります。

身体を温める

身体を温めることも、首や喉のケアには効果的です。

湯船にゆっくりつかることで副交感神経が優位になり、筋肉が緩み、血流が促進されます。特に疲れがたまりやすい首までしっかり温めるのがおすすめです。

また、エアコンで冷えやすい夏場も油断せず、首元を冷やさないように意識しましょう。ストールや薄手のマフラーを携帯しておくと安心です。

冷えは筋肉をこわばらせ、ストレートネックの悪化や喉の違和感を引き起こす要因になるため、首を冷やさないことも日常の予防ケアのひとつです。

まとめ

ストレートネックは、首や肩の不調だけでなく、喉の違和感や痛みの原因にもなります。

姿勢の見直しやストレッチ、寝具の調整、身体を温める習慣などを取り入れることで、症状の改善・予防が期待できます。

早めの対策で快適な毎日を目指しましょう。