ぎっくり腰発症直後の応急処置
ぎっくり腰は発症した直後の処置次第で症状の悪化を防げるので、あらかじめ知っておくことが大切です。
ここでは、応急処置の方法に加え、病院へ行く目安も解説します。
直後は安静にする
ぎっくり腰になった直後は、深呼吸をしながら安静を保ちます。
どうしても動かなければならないときは、ゆっくりと自分の力で動くのがコツです。他の方の手を借りると、思わぬところで力が入ってしまって症状が悪化する可能性があるので注意しましょう。
痛みがあるときは、市販のものでも良いので外用鎮痛消炎剤(湿布)や鎮痛剤を使用して様子を見ます。
痛みの段階に応じて冷やすor温める
ぎっくり腰を発症したとき、患部が熱を持っている場合は冷やすのが原則です。10分程度冷やして様子を見てみましょう。
痛みが出て数日から数週間が経過し、痛みが弱まってきたタイミングで今度は患部を温めます。安静にしていたことと、患部を冷やしていたことで腰まわりの筋肉が緊張して硬くなっているため、温めて筋肉をほぐしていきましょう。
痛みが治まったら早めに動く
発症から2~3日経ったら、痛みの様子を見つつ動ける範囲で日常生活へ戻していくことも重要です。
安静にしている期間が長すぎると筋肉が衰えて治りが遅くなるため、なるべく早く動いた方が治りが早いという研究結果もあります。
ただし、痛みが増すほど無理に動かないことも必要です。腰を支えるコルセットを着けたほうが楽に動けるなら、締め付け具合に注意しながら着用しても良いでしょう。
出典: A Malmivaara,et al.N Engl J Med 1995;332(6):351-5.「The treatment of acute low back pain–bed rest, exercises, or ordinary activity? 」
病院に行く
通常のぎっくり腰であれば、痛みが徐々に引いて2週間程度で治ることがほとんどです。2週間以上経っても痛みがなくならない場合は、病院へ行くことをおすすめします。
症状が長引いている場合は、ぎっくり腰ではなく椎間板ヘルニアや別の内臓疾患が原因で痛む可能性があるため、医療機関での検査が必要です。
特に、発熱や吐き気など腰痛以外の症状がある、高齢である場合は、早めに受診することで疾患の早期発見にもつながります。
痛みを和らげるための正しい姿勢
ぎっくり腰のつらい症状といえば痛みなので、発症した直後から痛みを軽減できる姿勢をキープすることも大切です。
ここでは、腰痛を和らげる姿勢について解説します。
ぎっくり腰直後の楽な姿勢
ぎっくり腰になったら、まずは壁に寄りかかって腰にかかる負担を減らします。移動するときは、四つん這いになって動くと比較的楽になります。
床に手がつけないときなど歩いて移動する場合は、横向きのカニ歩きか、少しかがんでゆっくり歩くのがコツです。足をつくときも、衝撃が腰に伝わらないように、気を付けて歩きます。
仰向けで横になるときは、腰が楽になるようにクッションや丸めた毛布などを膝の下に挟むのがおすすめです。ちょうど良い毛布やクッションがない場合は、横向きに寝て体を「く」の字に曲げるようにして寝ます。
腰に負担がかからない正しい姿勢
ぎっくり腰を起こさないためには、普段から腰に負担がかからない正しい姿勢を意識することも大切です。
座るときの姿勢は、椅子に深く座って背筋を伸ばし、足の裏が床にしっかりつくようにします。腰と脚の付け根が直角になるように深く座るように意識してください。椅子の高さが合わなくて足がつかない場合は、踏み台やレッグレストなどを置いて調節しましょう。
足は組まない方が良いものの、どうしても足を組むクセが抜けない場合は、組む足を定期的に変えるのがおすすめです。
立つときや歩く姿勢は、背筋を伸ばしてあごを引き、膝を伸ばして歩くのがポイントです。鞄は同じ肩ばかりで持たないようにします。鞄が選べるなら、両肩に均等に力が加わるリュックなどが理想です。
靴のヒールは3cmまでが適しています。3cm以上のハイヒールは膝が曲がりやすく、腰に負担がかかるため、なるべく履かないようにすると良いでしょう。
ぎっくり腰時に避けるべき行動と注意点
ぎっくり腰になったときは、適切な姿勢を取ると同時に、避けたほうが良い行動もいくつかあります。
痛みを和らげようとして、自己判断でマッサージをすると、かえって炎症が広がって症状が悪化する可能性があるので避けます。ぎっくり腰ではなく、慢性的な腰痛にはマッサージは有効ですが、急性のぎっくり腰には逆効果です。
安静を保つときは、柔らかいソファーやベッドで寝ると体が沈み込んで腰に負担がかかります。ぎっくり腰がさらに悪化する原因になるため、やや硬めのマットレスなどを選んで休みましょう。
痛みなどの症状があるうちは、腰をひねる、そらす、曲げるような動作は行わないほうが無難です。運動を習慣化している場合でも、ぎっくり腰の回復を優先しましょう。
腰痛があるときに避けたほうが良い運動については、下記の記事で詳しく解説しています。
「腰痛の人がやってはいけない運動はある?おすすめのストレッチも解説」
ぎっくり腰の再発予防策
ぎっくり腰は一度なると再発しやすいといわれているため、再発させないための予防策も知っておきましょう。
正しい姿勢を保つための筋トレをする
ぎっくり腰の予防には、腰への負担を抑えつつ、正しい姿勢を保つことが重要です。
具体的には、腹横筋や多裂筋などのインナーマッスルを鍛えておきます。ここでは、腹横筋と多裂筋を鍛えるトレーニングを紹介します。
ドローイン
腹横筋を鍛えられ、仰向けの状態でできるトレーニングです。
1.床に仰向けになり、膝を曲げる
2.大きく息を吸い込み、お腹をしっかり膨らませる
3.お腹をできるだけへこませるイメージで、息をゆっくり吐き出す
4.お腹をへこませた状態で、深呼吸を繰り返す
バードドッグ
多裂筋を鍛えられ、多裂筋付近にある腰椎がより安定しやすくなるトレーニングです。腰椎が安定することで腰の負担が軽減され、腰痛の予防が期待できます。
1.床に四つん這いになり、肩甲骨を寄せる
2.片方の腕を前にできるだけ伸ばす
3.伸ばした腕とは反対側の足を、腕と一直線になるようにして後ろに伸ばす
4.伸ばした方の肘と膝を近づけ、また遠くに伸ばす
5.反対側も同様に行う
いずれのトレーニングも、腰まわりの筋肉を鍛えるのに効果的です。ただし、腰などに痛みがあるときは行わず、痛みが引いてから少しずつ始めてください。
筋肉を柔らかくするストレッチをする
ぎっくり腰になりやすい方は、腰まわりの筋肉が硬い方が多い傾向にあります。筋肉の柔軟性を高めておけば、ぎっくり腰のほかにケガ防止にもつながるため、ストレッチを取り入れてメンテナンスしておくのがおすすめです。
ここでは、腰まわりの筋肉を柔らかくするストレッチを紹介します。
腰をそらすストレッチ
1.肩幅程度に足を広げて立ち、両手を骨盤の後ろ辺りに当てる
2.お腹を突き出すようなイメージで、両手で骨盤を前に押し出しながら腰をそらす
3.そらした状態で3秒キープする
4.ゆっくりと元の姿勢に戻し、同じ動きを2~3回繰り返す
腰をそらすときは、息を吐きながら行います。デスクワークや家事の合間にできるので、手軽に取り入れられるストレッチです。
腰を曲げるストレッチ
1.肩幅よりも広い幅に足を開き、椅子に座る
2.息を吐きながら、上体を前に倒す
3.背中を丸めるようにして、3秒キープする
4.ゆっくりと元の姿勢に戻し、同じ動きを2~3回繰り返す
ぎっくり腰予防以外に、反り腰が気になる方にも効果的なストレッチです。伸ばして痛みが出る場合は、ストレッチを中止して様子を見てください。
長時間同じ姿勢にならないようにする
ぎっくり腰を防ぐには、長時間にわたって同じ姿勢を続けないように気を配ることも大切です。
目安として、1時間に1度は椅子から立ち上がりましょう。立ち上がったタイミングで、軽い屈伸運動やストレッチをして腰の血流を良くするように心がけます。
デスクワークの方や、長時間運転をする方などは注意が必要です。休憩時間をうまく組み込んで、腰への負担をできるだけ減らすようにしてみてください。
まとめ
ぎっくり腰になってしまったときは、まずは四つん這いになったり壁に寄りかかったりして、腰への負担を減らす姿勢を取ります。通常は2週間程度で治りますが、長引く場合は医療機関を受診しましょう。
ぎっくり腰を防ぐには、筋トレやストレッチをして身体や筋肉のバランスを整え、正しい姿勢で生活することも効果的です。日々の生活に取り入れてみてください。